ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X09 審判 全部申立て 登録を維持 X09 審判 全部申立て 登録を維持 X09 |
---|---|
管理番号 | 1236760 |
異議申立番号 | 異議2009-685022 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2009-12-14 |
確定日 | 2011-04-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 国際登録第963817号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 国際登録第963817号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件国際登録第963817号商標(以下「本件商標」という。)は、「DIESEL」の欧文字を横書きしてなり、2008年4月16日に国際商標登録出願、第9類「Carrying cases for cell phones;cases for mobile phones;cell phone battery chargers;cell phone battery chargers for use in vehicles;cell phone covers;cell phone having large keys and numbers that assist users having impaired vision or dexterity;cell phones;cellular phone accessory charms;cellular phones;computer application software for mobile phones;devices for hands-free use of mobile phones;digital cellular phones;digital phones;hands free kits for phones;keyboards for mobile phones;mobile phone straps;mobile phones;mobile telephone batteries;mobile telephones;computer software to enable the transmission of photographs to mobile telephones;computer software,namely,an application allowing sales and field service employees to update and receive data stored in an enterprise’s computer databases in real time,using a mobile device,with full telephony integration with the telephone and/or software features of the mobile device.」を指定商品として、平成21年1月26日に登録査定、同年9月18日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要点) (1)登録異議申立人の引用する商標 登録異議申立人「ディーゼル・エセペーア」(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、「DIESEL」の欧文字を横書きしてなる商標及び赤色の長方形の中に白抜き文字で「DIESEL」の欧文字を横書きしてなる別掲1のとおりの商標であって、いずれも使用に係る商品を「被服(紳士服、婦人服、子供服等)、時計、香水、靴、鞄、身飾品、携帯電話ストラップ、サングラス、布地・織物、照明器具、家具、自動車、ヘルメット、ワイン、オリーブオイル」とするものである(以下、これらの商標を一括して「引用各商標」という。)。 (2)申立人の名称及びハウスマーク並びに商標「DIESEL」の著名性について 申立人であるイタリア法人「ディーゼル・エセペーア」(DIESEL S.p.A.)は、「被服(紳士服、婦人服、子供服)、鞄、履物、時計、サングラス、身飾品、香水」等のいわゆるファッションアイテムの製造及び販売を主たる業務とするが、これに限られず、布地・織物、照明器具、家具、自動車、ヘルメット、ワイン、オリーブオイル等幅広い商品の製造販売を行う者である。ディーゼル社は、1978年(昭和53年)にイタリアで設立され、アジア、ヨーロッパ及びアメリカにおいて、現在、計17の子会社を有し(甲4)、その商品は、日本を含む世界約80力国で販売されている。 このような事業展開等の結果、申立人は、ファッション業界において、トップブランドの一つに成長し、全世界規模で広く知られているに至った。 そして、申立人のすべての事業活動において使用されている標章「DIESEL」は、申立人の略称として、かつ、申立人の主たる取扱商品である「被服、鞄、履物、時計、サングラス、身飾品、香水」を表示する商標として、本件商標の出願日とみなされる平成20年(2008年)4月16日の時点は勿論のこと、それ以前から、世界的規模で広く認識されるに至っていたことは明らかであり、当該日付からさらに申立人の事業規模を拡大していることにかんがみれば、現在において「DIESEL」が申立人の略称及び商標であるとの認識は、より広い範囲にまで浸透しているというべきである。 申立人は、日本において1999年に、東京と大阪にディーゼルストアを開店させ、日本における事業展開をさらに推し進めるために、2002年に自己の子会社である「ディーゼルジャパン株式会社」を設置し、本件商標の出願日とみなされる平成20年(2008年)4月16日においては、日本全国に「DIESEL」ブランド商品を専門に取り扱う94の店舗を展開するとともに、127の正規取扱店を有するまでに成長した(甲4、甲32)。さらに、申立人は、三つの大規模な旗艦店を含む114の「DIESEL」ブランド製品のみを取扱う店舗を日本全国に構えるとともに、130以上の正規取扱店を有するに至り、平成20年よりもその事業規模を拡大している。現在では、申立人の商品は全都道府県で販売されるに至っている(甲33)。 申立人の我が国における事業活動及び事業展開からすれば、申立人の事業活動において使用されている標章「DIESEL」は、本件商標の出願日とみなされる平成20年(2008年)4月16日は勿論のこと、それ以前から、申立人の略称として、かつ、申立人の主たる取扱商品である「被服、鞄、履物、時計、サングラス、身飾品、香水」を表示する商標として、我が国においても幅広い年代にわたって広く認識されていたことが明らかである。 (3)商標法第4条第1項第8号について 本件商標は、他人である申立人の著名な略称「DIESEL」を含むにもかかわらず、商標権者は本件商標の登録について申立人から何ら承諾を得ていない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第15号について 引用各商標と同一の構成からなる本件商標がその指定商品に使用されれば、本件商標に接する需要者及び取引者は、本件商標から直ちに著名な引用各商標を連想・想起し、その商品が、申立人と直接、若しくは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがある。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第19号について 本件商標「DIESEL」は、申立人の著名な引用各商標を剽窃したものに他ならず、世界的に著名な引用各商標「DIESEL」に化体した莫大な顧客吸引力を利用し、申立人が長年培ってきた業務上の信用にフリーライドするものであるから、不正の目的をもって採択・使用したといわざるを得ない。よって、本件商標は、公正な取引秩序を乱すものであり商標法第4条第1項第19号にも該当する。 (6)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)使用商標である引用各商標の周知、著名性について 申立人は、引用各商標が「被服、鞄、履物、時計、サングラス、身飾品、香水」に係る商標として著名となっている旨主張し、証拠(甲1ないし甲271)を提出している。 そこで、申立人の提出に係る証拠を検討するに、甲第4号証は、申立人のホームページであって、2010年3月3日にプリントアウトしたものである。 甲第5号証ないし甲第28号証は、2007年を中心とする申立人に関する外国の新聞記事及び雑誌記事が記載された「PRESS REVIEW」を表題とするものであって、その表題の左上には、赤色の方形内に「DIESEL」及び「FOR SUCCESSFUL LIVING」の文字が書された標章が表示されている。 甲第30号証は、2002年から2007年にかけての申立人に関する日本の新聞記事及び雑誌記事が収録された「PRESS REVIEW」の抜粋とするものである。 甲第32号証は、「DIESEL」ブランドを取り扱う店舗数、その商品に関する雑誌広告及び新聞記事の掲載回数の記載された資料である。 甲第33号証は、申立人の店舗及び所在地が記載されたホームページであって、2010年3月1日にプリントアウトしたものである。 甲第34号証ないし甲第256号証、甲第268号証ないし甲第271号証は、2006年12月から2008年12月にかけての多数の各雑誌であって、抜粋された各頁には、申立人に係るカジュアルなジーンズなどの被服、靴等の商品が紹介され、「DIESEL」「ディーゼル」の文字の記載がある。 上記証拠によれば、申立人の引用各商標は、ヨーロッパ、アジア、アメリカを中心にカジュアルな「ジーンズなどの被服」について使用されていることが窺えるものである。そして、我が国においても、1999年に初のディーゼルストアが東京と大阪にオープンし、2008年4月時点で「DIESEL」ブランドの取り扱いに係る店舗数は211店となっていることが認められる。 そして、提出された多くの雑誌等に関しては、申立人に係るカジュアルなジーンズなどの被服、靴等の商品が紹介され、「DIESEL」「ディーゼル」の文字の記載がある。また、雑誌の記載内容や新聞の記事には、申立人が「DIESEL(ディーゼル)」として紹介されている。 しかしながら、これらの雑誌については、そのほとんどが2006年12月から2008年12月までのわずか2年間という短い期間のものであって、また、申立人による宣伝、広告によるものであるとの裏付けもなく、雑誌内容として商品紹介等されているものである。 その他、外国の新聞記事及び雑誌記事に関しては、そのほとんどが英文などによるものであるし、これらが我が国において広く一般に紹介されていることを示す証左もない。 しかも、引用各商標を使用した商品についての、具体的な販売数量、売上高、市場占有率、宣伝広告の費用・期間・地域・規模・媒体等は一切不明である。 そうすると、引用各商標がたとえ海外においてカジュアルな「ジーンズなどの被服」等について、ある程度知られているブランドであって、日本国内において、1999年以降、ある程度使用がなされているものであるとしても、その周知性の程度は必ずしも明らかでないし、いずれにしても2007年及び2008年の雑誌に掲載された商品等の紹介及びその記事等のみによって、引用各商標が我が国において取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用各商標が、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認められない。 (2)商標法第4条第1項第8号について 申立人は、「DIESEL」の文字は、申立人の名称の著名な略称である旨を主張しているものである。 しかしながら、申立人の引用各商標が著名でないことは上記(1)のとおりであって、これと同様に、その雑誌、新聞記事で申立人の名称が「DIESEL(ディーゼル)」として紹介されているとしても、提出された証拠によっては、「DIESEL」の文字が申立人の名称の略称として用いられ、著名になっているものとは認められない。 してみれば、本件商標は、申立人の著名な略称を表示する商標ということはできない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号に違反してされたものとはいえない。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について 引用各商標は、上記(1)のとおり、我が国において取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用各商標ないしは申立人(ディーゼル・エセペーア)を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (4)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について 前述のとおり、引用各商標が日本国内において、需要者の間に広く認識されているものとはいえず、また、ヨーロッパ、アジア、アメリカを中心にカジュアルな「ジーンズなどの被服」について使用されていることは窺えるとしても、その周知著名性については、提出された証拠からは確認できない。 加えて、本件商標を構成する「DIESEL」の文字は、元来、「ディーゼルエンジン、ディーゼルカー、ディーゼル機関の略。」の意味を有する英単語として我が国においても親しまれた語であり、独創性のある創造語でないことからすれば、本件商標と引用各商標とが偶然一致したものといわざるを得ない。 そして、申立人の提出に係る証拠には、商標権者が引用各商標ないしは申立人(ディーゼル・エセペーア)の存在を知っていたことや、申立人の企業の国内参入を阻止する目的等を具体的に示す証左はない。 そうすると、本件商標は、商標権者が申立人の引用各商標が周知、著名であることを知りながら、これに化体した顧客吸引力を利用し、申立人が長年培ってきた業務上の信用にフリーライドする目的等の不正の目的をもって使用するものとは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
【別記】 |
異議決定日 | 2011-03-29 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X09)
T 1 651・ 222- Y (X09) T 1 651・ 23- Y (X09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 八木橋 正雄 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 井出 英一郎 |
登録日 | 2008-04-16 |
権利者 | UNITED BRANDS INTERNATIONAL,INC. |
商標の称呼 | ディーゼル |
代理人 | 加藤 ちあき |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 辻居 幸一 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 藤倉 大作 |