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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X20 審判 全部申立て 登録を維持 X20 |
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管理番号 | 1236749 |
異議申立番号 | 異議2010-900286 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-09-09 |
確定日 | 2011-04-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5329865号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5329865号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5329865号商標(以下「本件商標」という。)は、「ECOLUX」の欧文字と「エコラックス」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり、平成22年1月29日に登録出願、第20類「マットレス,クッション,座布団,まくら」を指定商品として、同年5月18日に登録査定、同年6月11日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出した。 1 申立人の引用する商標 申立人が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、次の(1)ないし(3)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。なお、それらの商標をまとめていうときは、以下「引用各商標」という。 (1)登録第4266751号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ECOMAX」の欧文字と「エコマックス」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり、平成9年12月12日に登録出願、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,布製ラベル,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」を指定商品として、同11年4月23日に設定登録されたものである。 (2)登録第1009751号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ラ ッ ク ス」の片仮名を書してなり、昭和44年7月11日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同48年4月23日に設定登録され、平成16年6月16日に指定商品を第20類「まくら,ベッド用マットレス,クッション,座布団,マットレス」及び第24類「かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (3)登録第3326545号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Lax」の欧文字と「ラックス」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり、平成6年6月6日に登録出願、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」を指定商品として、同9年6月27日に設定登録されたものである。 2 具体的理由 (1)商標法第4条第1項第11号 ア 本件商標と引用商標1との類否について 本件商標は、「ECOLUX」の欧文字と「エコラックス」の片仮名を二段に横書きしてなるものである。 これに対し、引用商標1は「ECOMAX」の欧文字と「エコマックス」の片仮名を二段に横書きしてなるものである。 両商標は、相違音である「ラ」と「マ」の音が母音を共通にするばかりでなく、聴者の印象に残りがたい中間に位置すると共に、その後の「ックス」の音が強く発音されることから、差異音が全体に及ぼす影響は少なく、全体の語感・語調が極めて近似した称呼上類似の商標である。 イ 本件商標と引用商標2及び引用商標3との類否について 本件商標は、前述したように「ECOLUX」の欧文字と「エコラックス」の片仮名文字を二段に横書きしてなるものであるが、語頭の「ECO」「工コ」の部分は、「地球にやさしい」「環境を汚さない」商品として「エコ商品」のごとく使用されているものであり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか極めて弱いものである。 このため、本件商標からは、単に「ラックス」の称呼をも生じるため、同じく「ラックス」の称呼が生じる引用商標2及び引用商標3と称呼上類似するものである。 (2)商標法第4条第1項第19号 ア 申立人が引用する使用商標について アメリカやカナダ等を拠点に販売実績をもつマットレス専門メーカーであるアメリカのインプレス社は、マットレスについて商標「eco-LUX」(以下「引用使用商標」という。)を使用し、この商品は、全米で大々的な人気を博した後、申立人が日本における総代理店として日本国内で販売し、その商品を多くの者がホームページ等で販売していたものである。その結果、引用使用商標は需要者の間に広く認識されるに至っているものであって、本件商標と明らかに類似するものである(甲第7号証ないし甲第28号証)。 イ 不正の目的について 申立人は、上記商標「eco-LUX」を使用していたところ、商標権者との間に取引上のトラブルが発生したため、通知書を送付し、名古屋地裁で訴訟を提起した(甲第29号証及び甲第30号証)。商標権者は、申立人と長年に亘りマットレス等の販売につき継続的な取引関係にあり、申立人がマットレスについて著名な商標「eco-LUX」を使用していることについて、当然認識していた筈である。 商標権者は、申立人の前記通知書を受領後、商標「eco-LUX」が出願されていないことを知っていたため、本件商標を出願したものであり、申立人との関係が悪化してから本件商標を出願しているのであるから、申立人に損害を加える目的が明らかである。 また、申立人は、商標権者との関係から、問題が発生することを未然に防止するため、現に商標の使用態様を変更している(甲第31号証ないし甲第34号証)。 このように、申立人側には、著名な商標の変更による販売量の減少、イメージや信用の失墜、ホームページや広告等の変更に係る費用の負担等の著しい損害が既に生じているものである。 したがって、本件商標は、申立人との裁判で和解等の際、有利な条件を導き出そうとしたり、申立人の使用に対して使用の差止や損害賠償等を求めようとする不正の目的で登録出願したものであることは明らかである。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に違反して登録されたものである。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「ECOLUX」と「エコラックス」の文字からなるところ、各構成文字はそれぞれ同書、同大、等間隔で、外観上まとまりよく一体に表されているものであり、その構成文字全体から生じる「エコラックス」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものといえる。 そして、たとえ「ECO」及び「エコ」の文字が、それ自体では「地球にやさしい」等の意味を表すものとして使用され、自他商品識別標識としての機能を有しないか極めて弱いものであるとしても、本件商標は、その構成、称呼からすれば、「ECOLUX」及び「エコラックス」の文字はそれぞれが一体不可分の商標として認識されるものと判断するのが相当である。 さらに、本件商標の構成中の一部を分離・抽出して検討しなければならない事情は見いだせないから、本件商標は、構成文字全体をもって一体不可分の商標と認識され、「エコラックス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 そうすると、本件商標は、構成文字全体をもって一体不可分の商標と認識され、その構成文字に相応して、「エコラックス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (2)引用各商標について ア 引用商標1は、上記第2 1(1)のとおり、「ECOMAX」と「エコマックス」の文字からなるところ、構成各文字はそれぞれ同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体に表されているものであり、その構成文字全体から生じる「エコマックス」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものといえる。 そして、引用商標1は、その構成中の一部を分離・抽出して検討しなければならない事情は見いだせない。 そうすると、引用商標1は、構成文字全体をもって一体不可分の商標と認識され、その構成文字に相応して、「エコマックス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 イ 引用商標2は、上記第2 1(2)のとおり、「ラックス」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「ラックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 ウ 引用商標3は、上記第2 1(3)のとおり、「Lax」と「ラックス」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「ラックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (3)本件商標と引用各商標との類否について ア 称呼について (ア)本件商標から生じる「エコラックス」の称呼と、引用商標1から生じる「エコマックス」の称呼とを比較すると、両者は、共に6音という比較的短い音構成にあって、中間音において「ラ」と「マ」の差異を有し、それぞれ促音を伴うことで強く発音・聴取されるものであるから、かかる差異が称呼全体に与える影響は大きく、それぞれ一連に称呼しても、全体の音感、音調が異なり明確に聴別し得るものである。 (イ)本件商標から生じる「エコラックス」の称呼と、引用商標2及び3から生じる「ラックス」の称呼とを比較すると、前者が6音、後者が4音の音構成からなり、両者は、語頭における「エコ」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれのないものである。 イ 外観について (ア)本件商標と引用商標1は、それぞれの構成は上記第1と第2 1(1)のとおりであり、文字構成において、「LU」と「MA」及び「ラ」と「マ」との明らかな差異を有するから、これらの差異が両商標の外観の印象に与える影響は大きく、両者は外観上相紛れるおそれはないものである。 (イ)本件商標と引用商標2及び3は、それぞれの構成は上記第1と第2 1(2)及び(3)のとおりであるから、両者は、その構成文字から外観上相紛れるおそれはないこと明らかである。 ウ 観念について 本件商標と引用各商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから観念について比較することができない。 エ 以上のとおり、本件商標と引用各商標は、称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 2 商標法第4条第1項第19号について (1)引用使用商標の著名性 引用使用商標は「eco-LUX」の文字からなるところ、申立人の主張及び提出された証拠(甲第7号証ないし甲第34号証)によれば、次の事実が認められる。 ア 引用使用商標は、アメリカやカナダ等を拠点を置くマットレス専門メーカーであるアメリカのインプレス社がマットレスについて使用し、申立人が日本における総代理店として、日本国内で販売している。 イ 申立人は2009年(平成21年)10月6日にインプレス社から、同社の総代理店として、日本国内でフォーム・マットレス及びフォーム・ピローを販売する権限を授与され(甲第7号証)、また、インプレス社のロゴ「Eco-Lux」をアートワークデザイン及び広告の目的で日本国内において使用することを認められた(甲第8号証)。 ウ また、販売業者のウェブページに、「インプレス社のエコラックス」として引用使用商標とともに、高弾性マットレスなどと称する商品「マットレス」が広告、宣伝されている(甲第9号証ないし甲第26号証)。 しかしながら、これらのウェブページには、いずれもプリントアウトの日付がなく、ウェブページに営業日が記載されているものは、いずれも本件商標の登録出願の日(平成22年1月29日)以降の2010年(平成22年)5月ないし8月のものである(甲第15号証、甲第16号証、甲第20号証及び甲第22号証)。 エ 本件商標の登録出願の日前の2009(平成21年)年11月ないし2010年(平成22年)1月の総計の出荷数は、474個(甲第27号証)であり、他に本件商標の登録出願の日前のものは見当たらない。 オ そうすれば、引用使用商標は、申立人の業務に係る商品マットレスを表示するものとして、本件商標の登録出願の時及び査定時において、日本国内における取引者・需要者の間に広く認識されている商標とは認めることはできない。 (2) 商標法第4条第1項第19号の該当性 引用使用商標が我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものとは認められないこと上記(1)のとおりであり、また、不正の目的をもって使用をするものであると認めるに足る証拠も提出されていないから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものとはいえない。 なお、申立人は、著名な商標の変更による販売量の減少、イメージや信用の失墜、ホームページや広告等の変更に係る費用の負担等の著しい損害が既に生じている。したがって、本件商標は、申立人との裁判で和解等の際、有利な条件を導き出そうとしたり、申立人の使用に対して使用の差止や損害賠償等を求めようとする不正の目的で登録出願したものであることは明らかである旨主張している。 しかしながら、引用使用商標は、上記のとおり取引者・需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであり、申立人との裁判で和解等の際、有利な条件を導き出そうとしたり、申立人の使用に対して使用の差止や損害賠償等を求めようと出願したとする証拠の提出もないから、不正の目的をもって使用するものとも認められない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2011-04-12 |
出願番号 | 商願2010-6247(T2010-6247) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(X20)
T 1 651・ 262- Y (X20) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 石井 千里 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 瀧本 佐代子 |
登録日 | 2010-06-11 |
登録番号 | 商標登録第5329865号(T5329865) |
権利者 | 株式会社フラグスポート |
商標の称呼 | エコラックス、エコルクス、エコ、ラックス、ルクス、エルユウエックス、イイシイオオ |
代理人 | 名古屋国際特許業務法人 |