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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X35
管理番号 1236742 
異議申立番号 異議2010-900245 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-08-17 
確定日 2011-04-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5323973号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5323973号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5323973号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成21年9月10日に登録出願、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類(「起動器・交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)・交流発電機・直流発電機・配電用又は制御用の機械器具・回転変流機・調相機・陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)・家庭用食器洗浄機・家庭用電気式ワックス磨き機・家庭用電気洗濯機・家庭用電気掃除機・電気ミキサー・電気かみそり及び電気バリカン・電気アイロン・電気式ヘアーカーラー・電気ブザー・家庭用電気マッサージ器・家庭用電熱用品類・電気式鉛筆削り・電気式歯ブラシ・電機ブラシ・磁心・抵抗線・電極・電気絶縁材料」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品・頭飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済みビデオディスク及びビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品(「菓子及びパン・みそ・ごま塩・食塩・すりごま・セロリーソルト・うま味調味料・香辛料・食肉・卵・食用魚介類・海藻類・肉製品・加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。)・かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり・加工野菜及び加工果実・飲料用野菜ジュース・アーモンドペースト・コプラ・油揚げ・凍り豆腐・こんにゃく・豆乳・豆腐・納豆・ぎょうざ・サンドイッチ・しゅうまい・すし・たこ焼き・肉まんじゅう・ハンバーガー・ピザ・べんとう・ホットドッグ・ミートパイ・ラビオリ・お茶漬けのり・ふりかけ・なめ物」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,金庫の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成22年4月19日に登録査定、同年5月21日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下(1)ないし(5)のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3195571号商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成5年8月25日に登録出願、第25類「被服,ガ?タ?,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成8年9月30日に設定登録されたものであり、その後、平成18年8月8日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第5069508号商標は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成18年6月6日に登録出願、第18類「スポーツバッグ,キャリーバッグ,ショルダーバッグ,ジムバッグ,アスレチックバッグ,靴類運搬用バッグ,ダッフルバッグ,ハンドバッグ,キーケース,皮革製又は擬革製バッグ,乳児運搬用バッグ,ビーチバッグ,ベルトバッグ,携帯用化粧道具入れ,旅行かばん,トランク,旅行用小型手提げかばん,リュックサック,傘,つえ,身体に身に着けて使用する乳児用キャリア,ビーチパラソル,ゴルフ用傘,ブリーフケース,名刺入れ,小銭入れ,スーツケース,札入れ,財布,かばん類,袋物,皮革製包装用容器,ステッキ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」、第25類「被服,帽子,ベレー帽,婦人用帽子,バスローブ,ストッキング及びユニホーム用ストッキング,吸汗性ストッキング及び吸汗性ユニホーム用ストッキング,スリッパ,ソックス,パンティーストッキング,ジャージー製被服,スポーツジャージー及び競技用ジャージー,タンクトップ,スウェットシャツ,プルオーバー型セーター及びプルオーバー型シャツ,バンダナ,ショーツ,トラックスーツ,手袋,トレーニング用トラックスーツ,履物,ヘッドバンド,スウェットバンド,レインコート,ジャケット,ティーシャツ,バミューダパンツ,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,サッカー靴,バスケットボール靴,バレーボール靴,ラグビー靴,フットボール靴,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,おんぶ・だっこ用ひも」、第28類「サッカー用具持ち運び用バッグ,ラグビー用具持ち運び用バッグ,バスケットボール用具持ち運び用バッグ,バレーボール用具持ち運び用バッグ,フットボール用具持ち運び用バッグ,テニス用具持ち運び用バッグ,ゴルフバッグ(車付・車のないもの),体操用具,トレーニング用機械器具,ボディービルディング用器具,ゲーム用ボール,運動競技用ボール,ゴールキーパー用手袋,スポーツ用グローブ又は手袋,すね当て(運動用具),ひざ当て,ウェットスーツ運搬用バッグ,運動競技用ボール運搬用バッグ,重量挙げ用ベルト,運動用具」を指定商品として、平成19年8月10日に設定登録されたものである。
(3)登録第4058440号商標は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成8年3月22日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」を指定商品として、平成9年9月19日に設定登録され、その後、平成19年8月7日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(4)登録第4094171号商標は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成8年3月22日に登録出願、第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,運動用具,釣り具」を指定商品として、平成9年12月19日に設定登録され、その後、平成19年11月20日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(5)登録第5285212号商標は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成21年5月18日に登録出願、第24類「タオル,毛布」を指定商品として、平成21年12月4日に設定登録されたものである。
なお、上記(1)、(3)及び(4)に示す登録商標をまとめて、以下「引用商標1」といい、(2)及び(5)に示す登録商標をまとめて、以下「引用商標2」といい、引用商標1及び2をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 引用商標の著名性について
申立人は、1988年の設立以来、サッカー、バレーボール、バスケットボール等のスポーツウェアを製造、販売するイタリアの企業であり、引用商標に表された図形をハウスマークとして、世界36カ国に製品を展開している。申立人の製造、販売するスポーツウェアは、プロスポーツチームのユニフォーム、特に、有名サッカーチームのユニフォームに採用され、これらのユニフォームには、引用商標が表示されている(甲8)。そして、有名サッカーチームは、我が国においても、刊行物や広告媒体等のマスメディアを通じて報道等がされている(甲9、甲10)。また、引用商標を表示したユニフォームのレプリカモデルが、日本の代理店を通じて1994年ころから販売されている(甲11ないし甲14)。したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時には、申立人の商標として、我が国の需要者の間に広く認識されていたものである。
イ 出所の混同について
本件商標と引用商標は、「正方形に近い黒塗りの菱形が二つ重なるように配置された形状」の図形であることが共通しており、外観上極めて近似する類似の商標である。
してみると、引用商標の著名性を考慮すれば、本件商標をその指定役務に使用するときは、需要者が該役務を申立人の業務と一定の関連性があるかのように認識し、混同を生じるおそれがあるといわざるを得ない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
ア 甲第7号証ないし甲第18号証によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人のホームページ(甲7)には、引用商標2が大きく表示され、「BRAND HISTORY」の項目に、「イタリア・パルマ生まれのスポーツブランドerreaは、1988年、・・・スポーツに対する強い情熱のもとスタートしました。わずか20年足らずで5大陸36カ国に製品を展開する世界的ブランドへと急成長し、欧州を中心に、プロスポーツチームのサポートも幅広く手がけています。」の記載がある。
(イ)甲第8号証の「Wikipedia(ウィキペディア)」の「Errea」(語尾の「a」にはアクサンテギューが付されている。)のページは、全文英語で表記されているものであり、ここには、ブランドを使用しているスポーツチームとして、バスケットボール、フットサル、サッカー、ラグビー、バレーボールなどのチームの名称が多数羅列されている(掲載日及びプリントアウトされた日付けは不明である。)。
しかし、これらスポーツチームのユニフォームに申立人の業務に係るスポーツウェアが採用されたとしても、該スポーツウェアに引用商標が表示されているか否かは明らかでない。
(ウ)1996年1月3日発行の「週刊サッカーダイジェスト」(甲9)の表紙及び1995年12月20日発行の「週刊サッカーマガジン」(甲10)の抜粋記事中には、引用商標2が右胸元に表示されたユニフォームを着用した外国のサッカー選手の写真が掲載されている。
(エ)申立人の日本代理店の発行に係る「SOCCER WEAR CATALOGUE/’94?’95」(甲11)並びに「SOCCER WEAR CATALOGUE/1995」(甲12)の表紙及びヨーロッパを中心としたサッカーチームのレプリカのユニフォームなどが掲載されたページには、引用商標1や引用商標2、また引用商標1の図形と「errea」の文字とを横一列に並べた商標が表示されている。なお、これらのカタログの発行部数、頒布地域等は明らかではない。
(オ)「ワールドサッカーグラフィック」の1996年1月号(甲13)には、引用商標2及び「errea ITALIA」の文字と共に、申立人の業務に係るユニフォームが掲載されている。
(カ)「蹴球本舗」、「TOKYO-SHINJUKU-adhoc/『GALLERY』95X’MAS・FAIR」などと表記されたチラシ(甲14)には、サッカーのユニフォームやシューズ、ボールなどが掲載されていることは認められるものの、写真全体が不鮮明であるため、申立人の業務に係る商品であるか否か確認することはできない。また、当該チラシの発行部数、頒布地域等も明らかではない。
(キ)インターネット通販サイト(甲15)には、引用商標1が表示され、ビーチサッカーボールやトレーニングウェアなどのスポーツ用ウェア、帽子などが掲載されているところ、ビーチサッカーボールには、引用商標2が表示されていることが認められるものの、写真全体が不鮮明であるため、それ以外の商品に引用商標が表示されているか否かは明らかではない。また、これらのサイトの末尾には、「2010 TOYOSHIMA&Co.」の文字が小さく表示されている。
(ク)インターネット検索サイト「Google」による「errea」(甲16)、「エレア スポーツ」(甲17)、「エレア スポーツブランド」(甲18)の検索結果リストによれば、それぞれ順に、約603,000件、約30,000件、約5,260件ヒットしたことが認められるが、これらの具体的内容は定かではない。
イ 前記アで認定した事実によれば、申立人は、1988年に設立されたイタリアの企業であり、引用商標2をハウスマーク的にそのホームページに表示し、スポーツウェア、特に、プロスポーツウェアの製造、販売を行っていること、設立から「わずか20年足らずで」世界36カ国に製品を展開するに至っていること、引用商標2が表示されたユニフォームを着用したプロサッカーチームの選手が1995、6年(平成3、4年)ころに、我が国で発行されたサッカー専門の雑誌2冊に掲載されたこと、「ヨーロッパを中心としたサッカーチームのレプリカのユニフォーム」等の申立人の業務に係る製品(以下「申立人製品」という。)は、1994年(平成2年)ころから1996年(平成4年)ころにかけて、申立人の日本における販売代理店が発行したカタログや雑誌の広告に掲載されたこと、これらのカタログや広告には、引用商標1や引用商標2が表示されていたこと、などが認められ、引用商標2を表示した申立人製品は、本件商標の登録出願前より我が国において販売されていたことが認められる。
そして、申立人が、企業ないし申立人製品を表示するものとして、本件商標の登録出願日までに使用していた商標は、主として引用商標2であり、引用商標1、すなわち、引用商標2中の図形のみを単独で使用していると認めることができる証拠は見当たらない。
また、申立人製品を掲載したカタログは、平成3、4年ころのものであり、雑誌への広告も平成4年のもの1件のみであって、本件商標の登録出願日である平成21年9月10日よりはるか以前のものである。そして、これらの広告以外に、本件商標の登録出願前に広告をした事実は認められない。
しかも、上記カタログやチラシにしても、どの程度の部数が、どのような方法で、どのような者を対象として配布されたかについては明らかではない。さらに、申立人製品を含む申立人の業務に係る商品が、本件商標の登録出願前までに、我が国でどの程度販売され、どの程度の売上があったのかなどについても明らかではない。
なお、前記認定のとおり、「TOKYO-SHINJUKU-adhoc」のチラシ(甲14)は、写真全体が不鮮明であるため、申立人製品が掲載されていたか確認することができない。仮に申立人製品が掲載されていたとしても、該チラシは、1995年(平成7年)のものと認められる。
また、インターネットによる通販(甲15)の広告は、「2010 TOYOSHIMA&Co.」の表示から、本件商標の登録出願前のものとは認めることができない。
したがって、申立人提出に係る証拠によっては、引用商標1はいうまでもなく、引用商標2についても、申立人製品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標と引用商標1について
本件商標は、別掲1のとおり、黒塗りの菱形2つを、それぞれの一部を縦に重ねたと思しき図形内に、7つの黄色みを帯びた菱形をやや不規則に並べた図形を中央に配し、その左に「YAMAHA」の文字を横書きにし、さらに、図形の右に「GINZA」の文字を横書きにした構成よりなるものであるところ、本件商標を外観から観察すれば、一応まとまりよく一体のものとして看取されるといえる。
一方、本件商標を観念上からみた場合、その構成中の「YAMAHA」の文字部分は、商標権者のハウスマークとして、あるいは、その業務に係る商品及び役務を表示する商標として、需要者の間に広く認識されているものであるから、需要者に強く印象づけられる部分であるといえるのに対し、中央に位置する図形部分からは、特定の観念ないし称呼は生じないものであり、また、「GINZA」の文字部分は、我が国の著名な地名であり、商標権者の営業活動の拠点を表したと理解されるものである。
そうすると、本件商標に接する需要者は、簡易迅速を旨をする商取引の実際において、「YAMAHA」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼のみをもって、役務の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
してみると、本件商標に接する需要者は、その構成中の図形部分に着目するというより、むしろ、「YAMAHA」の文字部分に着目するというべきである。
これに対して、引用商標1は、別掲2及び4のとおり、黒塗りの菱形2つを、それぞれの一部を横に重ねたと思しき図形とこれを囲む黒の輪郭線より構成されるものである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、前者が図形と文字との構成よりなるものであるのに対し、後者は図形のみの構成よりなるものであるから、一見して外観上の差異を識別し得るのみならず、本件商標中の「YAMAHA」の文字部分に着目した場合は、引用商標1との外観上の差異は、歴然としているというべきである。
仮に、本件商標中の文字部分と図形部分とが、観念及び称呼上密接な関係を有しないところから、本件商標に接する需要者が、その構成中の図形部分に着目する場合があるとしても、以下のとおり、本件商標の図形部分と引用商標1とは、外観上類似するものではない。
すなわち、本件商標中の図形部分は、黒塗りの菱形2つを、それぞれの一部を縦に重ねたと思しき図形内に、7つの黄色みを帯びた菱形をやや不規則に並べた構成よりなるものであって、2つの黒塗り菱形の重なりの程度は、一方の中心点に他方の頂点の一つを合わせ、双方の菱形の重なり合うそれぞれの辺が二等分されるものであり、したがって、それぞれの菱形の面積の約4分の1が重なった状態のものといえる。
これに対し、引用商標1は、上記のとおり、黒塗りの菱形2つを、それぞれの一部を横に重ねたと思しき図形とこれを囲む黒の輪郭線より構成されるものであって、2つの黒塗り菱形の重なりの程度は、双方の菱形の重なり合うそれぞれの辺は約3分の1であり、したがって、それぞれの菱形の重なり合う面積は、極めて小さいものといえる。
そうすると、本件商標の図形部分と引用商標1は、2つの黒塗りの菱形が重なり合う状態が大きく相違するばかりでなく、本件商標の図形部分は、縦に重なり合う2つの黒塗りの菱形内に7つの黄色みを帯びた菱形をやや不規則に並べた点、引用商標1は、横に重なり合う2つの黒塗りの菱形とこれを囲む黒の輪郭線を有する点において大きく相違するものである。
してみれば、本件商標の図形部分と引用商標1は、看者に与える構成全体の印象において全く異なるものである。
したがって、本件商標と引用商標1は、外観上類似する商標ということはできない。
また、引用商標1は、特定の称呼、観念が生ずるものではないから、本件商標とは、称呼、観念においては比較することができない。
イ 本件商標と引用商標2について
引用商標2は、別掲3のとおりの構成よりなるものであるところ、本件商標と引用商標2は、上記アで認定した本件商標と引用商標1との差異に加え、引用商標2は、図形の下部に「errea」の文字を有するものであるから、外観上明らかに区別し得る差異を有するものであり、他に本件商標と引用商標2とが類似するとみるべき理由は存在しない。
ウ したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、類似しない別異の商標というべきである

(3)出所の混同について
以上(1)及び(2)を総合すると、本件商標に接する需要者が、引用商標を想起又は連想することはなく、本件商標をその指定役務について使用しても、該役務が申立人又はこれと何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれは全くないというべきである。
したがって、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)

(色彩については原本参照。)


別掲2 登録第3195571号商標(引用商標1)


別掲3 登録第5069508号商標及び登録第5285212号商標(引用商標2)


別掲4 登録第4058440号商標及び登録第4094171号商標(引用商標1)


異議決定日 2011-04-04 
出願番号 商願2009-69718(T2009-69718) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子大森 健司 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2010-05-21 
登録番号 商標登録第5323973号(T5323973) 
権利者 ヤマハ株式会社
商標の称呼 ヤマハギンザ、ヤマハ 
代理人 上原 空也 
代理人 黒川 朋也 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 平山 一幸 
代理人 篠田 哲也 
代理人 工藤 莞司 
代理人 齋藤 宗也 

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