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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z38
管理番号 1236708 
審判番号 取消2009-300873 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-07-31 
確定日 2011-05-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4481699号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4481699号商標の指定役務中、「第38類 全指定役務」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4481699号商標(以下「本件商標」という。)は、「アミーゴ」の文字を標準文字で表してなり、平成11年9月30日に登録出願、第38類「電子メールによる通信,通信機能を付加してなるテレビゲーム機(家庭用及び業務用を含む)・液晶ゲーム機による通信,その他の電子計算機端末による通信,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,移動体電話による通信,テレックスによる通信,電報による通信,音声蓄積装置を媒介とする電話による通信,その他の電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」ほか、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として同13年6月15日に設定登録され、その後、同20年9月11日に「商標法第50条第1項の規定により、その指定役務中の第42類『家畜の診療に関する情報の提供,及びこれに類似する役務』についての登録を取り消す」旨の審判の確定登録がされているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成21年8月14日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中「第38類全指定役務」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかによって使用された事実は存在せず、また、現在においても使用されていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務中上記役務についての登録を取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、本件商標は本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務中の「電子メールによる通信,移動体電話による通信」(以下「本件役務」という。)について使用されているものであるから、本件審判請求は認められない旨主張して、乙第1号証ないし乙第8号証を提出している。
しかし、被請求人の上記主張は到底認容されるべきものではないので、以下に反論する。
ア 乙第1号証ないし乙第4号証は、いずれもバンダイネットワークス株式会社(以下「バンダイネットワークス」という。)が被請求人に提示したとされる提案書なるものであるが、これらは、単に被請求人が公式サイトとして「つるんDEアミーゴ」を提供するに当たって、被請求人に対して、バンダイネットワークスより提示したことを示すにすぎないものであり、しかも、これらの書証は、いずれも本件審判の請求の登録前3年以前のものである。
したがって、これらの各書証に本件商標「アミーゴ」の表示がされていたとしても、そのことをもって、本件商標が被請求人により本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていることを何ら立証するものでないことは明らかである。
イ 乙第5号証ないし乙第8号証についてみると、被請求人は、バンダイネットワークスが被請求人に提示したとされる提案書(乙第1号証ないし乙第4号証)を受けて、被請求人の提供に係る携帯電話機による通信サービスとの関係で本件商標が使用されている旨主張し、その書証として、携帯サイトのトップページ(乙第6号証)及び本件商標が表示されているという画像(乙第7号証及び乙第8号証)を提出している。
この点に関し、被請求人は、上記乙第1号証ないし乙第4号証における「アミーゴ」の表示と相まって、やや小さいオレンジ色の「つるん」と緑色の「DE」の下に、やや大きく赤色で本件商標「アミーゴ」が記載されており、この態様をもって、本件商標が使用されているとする。
しかし、この態様からいえるのは、被請求人が使用しているのは「つるんDEアミーゴ」という商標であって、「アミーゴ」という商標がそれ自体では使用されていないということである。
このことは、乙第6号証ないし乙第8号証に示されている表示と、乙第5号証で提示されているサイト名称の対応からもいい得るところである。つまり、乙第5号証で提示されているサイト名は「つるんDEアミーゴ」であり、それに対応するのが乙第6号証ないし乙第8号証に示されている表示としたときには、被請求人において、携帯電話機による通信サービスとの関係で使用されているという商標は、あくまでも「つるんDEアミーゴ」という商標であり、「アミーゴ」という商標でないことは明らかである。
加えて、乙第6号証のサイトの中には「つるアミの趣旨」という表示が用いられているが、ここでいう「つるアミ」とは、サイト名として使用されている「つるんDEアミーゴ」の略と考えられるところであり、このことも、このサイト名の表示から「アミーゴ」の部分のみ独立して看取されるものではないことを意味するに他ならないものである。
ウ 上述の点に鑑みると、乙第1号証ないし乙第8号証をもって、商標法第50条第2項に規定する商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって「登録商標(又はこれと社会通念上同一の商標)が使用されている」という事実を何ら証明するものでないことは明らかである。
エ なお、乙第6号証において、「つるんDEアミーゴ」のプロバイダーとして、バンダイネットワークスの名称が記載されているが、バンダイネットワークスにあっては、甲第1号証に示すとおり、登録商標「つるんdeアミーゴ」(第4481698号)を所有している状況(平成21年4月21日に一般承継により株式会社バンダイナムコゲームスに移転登録済み)にあるということを付言しておく。
(3)以上の諸点を総合すると、乙第1号証ないし乙第8号証をもって、商標権者等が本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務について使用された事実を何ら立証するものではない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出している。
1 答弁の概要
被請求人は、請求に係る指定役務「第38類全指定役務」中の本件役務(電子メールによる通信,移動体電話による通信)に関し、本件審判の請求の登録日である平成21年8月12日(審決注:正しくは14日。)前3年以内に、継続して、本件商標を使用している。
2 証拠の説明
以下、本件商標の使用の事実を説明する前提として、各乙号証を説明する。
(1)乙第1号証ないし乙第4号証は、2002年9月12日、2003年7月22日、2004年4月21日及び同年12月14日に、それぞれバンダイネットワークスから被請求人に対し提案された提案書の写しである。
ア 乙第1号証は、「ベストモ1000人できるかな? つるんDEアミーゴ」と題されたエンタテインメントコミュニケーションサイトに関する提案書であり、その表紙の上部中央には、やや小さい「つるんDE」の文字の下に、やや大きめの本件商標「アミーゴ」が記載されている。また、これは、被請求人が提供する本件役務中「電子メールによる通信」に関し、本件商標を使用した公式サイトを開設するために、バンダイネットワークスから被請求人に対して提示されたものである。
イ 乙第2号証は、「つるんDEアミーゴ【写ルームオープンキャンペーン】」に関する提案書であり、その表紙には、乙第1号証と同様の態様で、やや小さいオレンジ色の「つるん」と緑色の「DE」の下に、やや大きく赤色で本件商標「アミーゴ」が記載されている。また、これは、本件商標を使用した公式サイトで、写真画像を添付してメールが送信できる機能を附加したものに関するものである。更に、ここでは、「月額315円(税込)」と明示されており、本件役務により提供されるサイトが、有料であることを示している。
ウ 乙第3号証は、「つるんDEアミーゴ プラス FOR KDDI」と題された提案書であり、その表紙には、乙第2号証と同様の態様及び色彩で、本件商標が表示されている。また、これは、被請求人が本件役務中「移動体電話による通信」で提供するEZ公式サイトにおける本件商標を使用したサイトにおいて、従来の提供サービスの内容を変更・整理し、更に、セキュリティ強化の管理体制を伴ったものになっている。
エ 乙第4号証は、「カテゴリ変更のご提案」と題された提案書であり、その表紙には、乙第2号証及び乙第3号証と同様の態様及び色彩で、本件商標が表示されている。また、これは、本件商標を使用したEZ公式サイトの内容(カテゴリ)を、いわゆるコミュニケーションサイトから投稿サイトヘ変更する内容の提案であるが、投稿された写真・画像などに対し、登録会員が書き込む制度で、それら投稿画像に対するコメントを送信できるものであり、本件役務中「移動体電話による通信」により提供されるサイトとなる。
(2)乙第5号証は、現在ネット検索で確認できる「EZ公式サイトインターネットナンバー一覧」(http://www.888.ne.jp/biz/product/pdf/ezofficial/html)の抜粋写しであり、2007年8月15日現在の公式サイトをまとめた一覧である。これは、被請求人が提供する本件役務により利用可能な公式サイトを一覧にしたもので、全体で113頁となるため、最初の5頁、本件商標を使用した公式サイト(以下「本件サイト」という。)が記載されている26ないし30頁、及び、最後の111ないし113頁の抜粋である。
そして、同号証の26頁中頃には、本件サイト「53467 つるんDEアミーゴ バンダイネットワークス株式会社」が記載されていることが明らかである。
(3)乙第6号証は、本件サイトのトップページの画像出力である。これは、現実に移動体電話(携帯電話機)の画面に表示される画像のイメージ出力になるが、その最上段に本件商標が表示されており、他の表示との関係から、これが本件役務との関係で、商標的使用態様であることは明らかである。
(4)乙第7号証及び乙第8号証は、本件サイト用の画像を、各々小さい版と大きい版で出力したものである。そもそも本来の画像が、携帯電話機の画面に合わせて極めて小さいため、大きくすると(乙第8号証)、本件商標の表示部がかなりぼやけるが、乙第2号証ないし乙第4号証と同様の態様及び色彩で、本件商標が表示されていることが分かる。
以下、上記各証拠に則り、本件商標の使用の事実を説明する。
3 本件商標の使用の事実の説明
(1)被請求人は、請求に係る指定役務中、本件役務等の電話通信事業を営んでいるが、その通信サービスにおいて、種々の公式サイトをも提供している。そして、これらの公式サイトの各名称は、被請求人により提供される本件役務の出所表示としても機能しており、各利用者・ユーザーは、これらの識別標識を目印として、被請求人の提供に係る通信サービスを介して、各サイトの提供を受けることができるものである。
(2)被請求人が本件商標の使用を立証すべき期間は、本件審判の請求の登録前3年の平成18(2006)年8月14日ないし同21(2009)年8月13日となるが、被請求人は、それ以前から本件商標の使用を行っている。
すなわち、被請求人は、平成14(2002)年9月12日、同15(2003)年7月22日、同16(2004)年4月21日及び同年12月14日に、バンダイネットワークスから、被請求人の公式サイトとして「つるんDEアミーゴ」を提供するに当たり、各提案書を受けており(乙第1号証ないし乙第4号証)、その提案書には、各々やや小さいオレンジ色の「つるん」と緑色の「DE」の下に、やや大きく赤色で本件商標「アミーゴ」が記載されている。
そして、現実に被請求人が提供する携帯電話機による通信サービスにおいて、本件商標を表示したサイトのトップページ(乙第6号証)を提供し、また、本件商標が表示された画像(乙第7号証及び乙第8号証)も提供している。
(3)上記事実は、本件審判の請求の登録前3年よりも以前の事実に係るが、本件サイトが、平成19(2007)年8月15日現在で、「EZ公式サイト」として存在していたことも明らかである(乙第5号証)。
更に、本件サイトが有料で提供されていた事実(乙第2号証)も明らかであり、これは、被請求人が、電話通話料・利用料として一括して徴収している事実も、取引の実情において、明らかと認められる。
4 まとめ
以上、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定役務中「電子メールによる通信,移動体電話による通信」に、本件商標の使用をしていることを、被請求人は証明しており、本件商標の登録は取り消されるべきではない。

第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人は、移動体電話による通信等の通信事業者であり、かかる通信を介して日本電気株式会社、株式会社タイトー、ヤマハ株式会社、株式会社NHK情報ネットワーク、ソフトバンク・モバイル株式会社、株式会社講談社、株式会社リクルート等の種々の事業者が独自のサイトを開設している(被請求人主張及び乙第5号証)。
(2)乙第1号証ないし乙第4号証について
被請求人は、2002年9月12日、2003年7月22日、2004年4月21日及び同年12月14日に、バンダイネットワークスから「つるんDEアミーゴ」と題するエンターテインメントコミュニケーションサイトを被請求人の移動体電話による通信を介して開設するための提案書を提示された(乙第1号証ないし乙第4号証)。
上記提案書には、以下のとおりの記載がされている。
ア 乙第1号証の表紙には、やや図案化された籠字風の「つるんDE」の文字及び「アミーゴ」の文字を上下二段に横書きした構成からなる標章が表示されている。
2枚目の最上段の枠内には、「携帯電話コミュニティサイト」の文字、上記と同様の標章、「バンダイネットワークス株式会社」等の文字が記載されている。
イ 乙第2号証の表紙には、やや図案化された籠字風のオレンジ色の「つるん」の文字、同じく緑色の「DE」の文字及びこれらの下に、同じく赤色の「アミーゴ」の文字を上下二段に横書きした構成からなる標章(以下「使用標章」という。)が中央上部に表示され、その下に図形を介し、「エンタテイメントコミュニケーションサイト」、「月額315円(税込)」の各文字が記載され、さらにその下の囲み内に「つるんDEアミ?ゴ」及び「【写ルームオープンキャンペーン】」の文字が記載され、さらに、その下に、「バンダイネットワークス株式会社」と記載されている。
2枚目以降には、携帯電話の画面と共に操作手順等の説明が記載されている。
ウ 乙第3号証の表紙には、使用標章、「バンダイネットワークス株式会社」等が記載され、2枚目以降には、携帯電話の画面と共に操作手順の説明が記載されている。
エ 乙第4号証の表紙には、左上に「KDDI株式会社御中」と記載され、上部に使用標章、中央部に「カテゴリ変更のご提案」、下部に「BANDAI NETWORKS CO.,LTD.」の欧文字表記の社名等が記載されている。
(3)乙第5号証は、「EZ公式サイトインターネットナンバー一覧(2007/8/15現在)」と題する書面の写しと認められ、その26頁中の「53467」の「TITLE」欄に「つるんDEアミーゴ」、「CONTENTS PROVIDER」欄に「バンダイネットワークス株式会社」とそれぞれ記載されている。
そのほかにも、「TITLE」欄と「CONTENTS PROVIDER」欄には、多数掲載されており、例えば、次のようなものがある。
朝日新聞社による「朝日・日刊スポーツ」、読売新聞社による「モバイルGIANTS」、日本経済新聞社による「日経・マネー&スポーツ」、東洋経済新報社/株式会社エムティーアイによる「四季報最新情報」、株式会社ツタヤオンラインによる「TSUTAYA online」、株式会社ワコールによる「wacoal mobile」、株式会社東京放送による「TBSもばいる」、翼システム株式会社/カーコンビニ倶楽部株式会社による「カーコンビニ倶楽部」、九州旅客鉄道株式会社による「JR九州ねっと」、福岡県による「福岡県庁」、株式会社大和銀行による「大和銀行」、三井不動産販売株式会社による「三井のリハウス」
(4)乙第6号証は、携帯電話機の画面に表示されるサイトのトップページの画像出力の写しと認められるところ、その最上段に使用標章が図形と共に表示され、その下には、「チームアプリはココ!」、「サボテンブラザーズ オリジナルキャラ フレーム」、「メールーム」、「アミ?ゴ探しルーム」等の各項目が掲載され、最下段に「BandaiNetworks」と表示されている。
かかる「BandaiNetworks」は、「バンダイネットワークス」の読みが生じること、乙第4号証の欧文字表記の社名の前半部とつづりを同じくすることなどから、バンダイネットワークスに係るものと認められる。
(5)乙第7号証及び乙第8号証は、画像出力の写し及びその拡大版と認められるところ、画面中の擬人化された七福神の乗った宝船の如き図形の上方の帆部分に使用標章と思しき標章が表示されているが、かかる画像の使用時期及び使用者等を示す表示はない。
2 判断
前記1の認定事実によれば、以下のとおり判断することができる。
(1)バンダイネットワークスは、2002年9月から2004年12月にかけて、「つるんDEアミーゴ」と題するエンターテインメントコミュニケーションサイトを被請求人の移動体電話による通信を介して開設するために、被請求人に提案書を提出したものと認められる(乙第1号証ないし乙第4号証)。
しかして、上記提案書は、いずれもバンダイネットワークスが被請求人に対し提示したものであるから、かかる提案書に使用標章が表示されているとしても、使用標章の使用者は、被請求人ではなくバンダイネットワークスというべきであるが、同人が本件商標権に係る通常使用権者又は専用使用権者であることを認めるに足りる証左はない。
加えて、上記提案書は、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内(平成18年8月14日から平成21年8月13日まで。以下「要証期間」という。)の期間前であることが明らかである。
また、乙第7号証及び乙第8号証にも使用標章の表示が認められるものの、使用時期等を特定できる証左は見当たらないものである。
そうすると、使用標章が本件商標の使用といえるか否かはさておき、乙第1号証ないし乙第4号証、乙第7号証及び乙第8号証は、要証期間に商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかによる本件商標の使用を証明するものとは認められない。
(2)被請求人は、多数の事業者に対して移動体電話による通信を利用したサイトを提供しており、バンダイネットワークスは、「つるんDEアミーゴ」と題するサイトを、被請求人の提供する移動体電話による通信を介して要証期間と認められる2007年8月15日に提供し、携帯電話機の画面において使用標章の使用(表示)をしていたものと推認することができる(乙第5号証及び乙第6号証)。
かかる移動体電話による通信は、請求に係る指定役務「第38類全指定役務」に含まれるものと認められるところ、これに関して、被請求人は、同人が提供する移動体電話による通信を利用しているサイトの各名称は、本件役務についての被請求人の出所表示として機能するから、使用標章又は「つるんDEアミーゴ」の標章をもって本件商標の使用に当たる旨主張する。
そこで、使用標章が被請求人(商標権者)による使用といえるか、また、使用標章又は「つるんDEアミーゴ」の標章が本件商標の使用といえるかについて以下検討する。
ア 使用者について
被請求人は、多数の事業者に対して移動体電話による通信を利用したサイトを提供しているところ、かかるサイトには、バンダイネットワークスの「つるんDEアミーゴ」のほかに、朝日新聞社による「朝日・日刊スポーツ」、読売新聞社による「モバイルGIANTS」、日本経済新聞社による「日経・マネー&スポーツ」、東洋経済新報社/株式会社エムティーアイによる「四季報最新情報」、株式会社ツタヤオンラインによる「TSUTAYA online」、株式会社ワコールによる「wacoal mobile」、株式会社東京放送による「TBSもばいる」、翼システム株式会社/カーコンビニ倶楽部株式会社による「カーコンビニ倶楽部」、九州旅客鉄道株式会社による「JR九州ねっと」、福岡県による「福岡県庁」、株式会社大和銀行による「大和銀行」、三井不動産販売株式会社による「三井のリハウス」等多数のサイトが認められる(乙第5号証)。
ところで、携帯電話機の画面に表示されるサイトのトップページ(乙第6号証)には、使用標章のほか、「チームアプリはココ!」、「サボテンブラザーズ オリジナルキャラ フレーム」、「メールーム」、「アミ?ゴ探しルーム」等の各項目(以下これらをまとめて「本件コンテンツ」という。)と共に、「BandaiNetworks」と表示されていることが認められることにかんがみれば、かかるサイトに接する需要者は、被請求人の提供に係るものではなく、バンダイネットワークスの提供に係るものと認識、把握するとみるのが自然である。
そうすると、乙第6号証において表示されている使用標章は、被請求人の業務に係る役務「移動体電話による通信」について被請求人が使用する商標というべきではなく、本件コンテンツを提供する者、すなわちバンダイネットワークスが使用する商標といわなければならない。
また、「EZ公式サイトインターネットナンバー一覧」(乙第5号証)には、「TITLE」欄に多数の標章が掲げられており、その右に、事業者の表示がなされているのであるから、これらの標章は「CONTENTS PROVIDER」の欄に掲げられた事業者によって提供されるサイトの名称ないしは商標として認識し理解されるとみるのが自然である。
仮に、被請求人が主張するように、上記「TITLE」欄に掲載された「つるんDEアミーゴ」の標章が同人による使用とすると、他の「TITLE」欄に掲載された「朝日・日刊スポーツ」、「モバイルGIANTS」、「日経・マネー&スポーツ」、「四季報最新情報」、「TSUTAYA online」、「wacoal mobile」、「TBSもばいる」、「カーコンビニ倶楽部」、「JR九州ねっと」、「福岡県庁」、「大和銀行」、「三井のリハウス」等の多数の標章も全て被請求人によって使用されていることになるのである。
しかし、上記「TITLE」欄に掲げられた標章について、このように解することは、サイトを提供する「CONTENTS PROVIDER」の欄に掲げられた事業者からみれば、極めて不合理というべきであり、これらのサイトの需要者も多数の標章すべてが被請求人によって提供される役務について使用されるものとは認識しないというべきである。
したがって、被請求人が提供する移動体電話による通信を利用しているサイトの各名称は、本件役務について同人に係る自他役務の出所表示としての機能を果たすものということができないから、この点に関する被請求人の主張は、採用することができない。
イ 使用標章等について
使用標章は、別掲のとおり、やや図案化された籠字風のオレンジ色の「つるん」の文字、同じく緑色の「DE」の文字及びこれらの下に、同じく赤色の「アミーゴ」の文字を上下二段に横書きした構成からなるものである。
しかして、いずれの文字もやや図案化された籠字風の体裁をもって表されている上、「つるん」、「DE」及び「アミーゴ」の各文字部分がいずれも近接して全体的にまとまりよく一体的に表示されているものであり、構成文字全体から生ずると認められる「ツルンデアミーゴ」の称呼も格別冗長ではなく一連に称呼し得るものである。
そして、使用標章に接した需要者がその構成中の「つるん」及び「DE」の各文字を捨象して「アミーゴ」の文字部分のみをとらえて取引に当たるとみるべき格別の事情も見いだし得ないものである。
そうすると、使用標章は、一連一体のものとして看取される固有の商標というべきである。
次に、「つるんDEアミーゴ」の標章についてみるに、該文字は、平仮名、欧文字及び片仮名からなるものであるとしても、いずれの文字も同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって視覚上まとまりよく一体に表されており、上記と同様に、これより生ずる「ツルンデアミーゴ」の称呼も一連に称呼されるものであり、「アミーゴ」の文字部分のみをとらえて取引に当たるとみるべき格別の事情も見いだし得ないものである。
そうすると、「つるんDEアミーゴ」の標章も、一連一体のものとして看取される固有の商標というべきである。
そして、使用標章と「つるんDEアミーゴ」の標章は、いずれも親しまれた特定の観念を生ずるものではない。
一方、本件商標は、「アミーゴ」の片仮名からなるところ、「(男性の)友だち。親友。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)の観念を生じ、「アミーゴ」の称呼を生ずるものである。
してみれば、使用標章と「つるんDEアミーゴ」の標章は、いずれも「アミーゴ」の文字を有しているとしても、本件商標とは、称呼が相違するものであり、観念を同じくするものでもないから、社会通念上同一のものとはいえない。
したがって、被請求人のかかる主張は、採用することができない。
(3)小括
以上のとおりであるから、被請求人の提出に係る証拠によっては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件役務について本件商標の使用をしていたものとは認められない。
その他、本件商標が要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
3 むすび
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務「第38類全指定役務」のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したとはいえないものである。
また、被請求人は、取消請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中の結論掲記の役務について、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
使用標章

(色彩は原本参照)

審理終結日 2009-10-28 
結審通知日 2009-11-02 
審決日 2011-03-22 
出願番号 商願平11-88640 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z38)
最終処分 成立  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
酒井 福造
登録日 2001-06-15 
登録番号 商標登録第4481699号(T4481699) 
商標の称呼 アミーゴ 
代理人 岡部 正夫 
代理人 特許業務法人松田特許事務所 
代理人 岡部 讓 
代理人 本宮 照久 

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