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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X25
管理番号 1236706 
審判番号 不服2010-18438 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-17 
確定日 2011-05-06 
事件の表示 商願2008-72822拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲に示す構成よりなり、第9類、第16類、第25類及び第28類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年12月11日に登録出願された商願2007-122885に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成20年9月4日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における同22年8月17日受付の手続補正書により、第25類「ティーシャツ,スポーツジャージー及び競技用ジャージー,パーカー,帽子,被服,履物,仮装用被服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,乗馬靴」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第4751152号商標(以下「引用商標」という。)は、「戦国」の文字を標準文字で表してなり、平成15年9月4日に登録出願、第16類「ステッカー及びその他の文房具類」、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「スキー及びスノーボード用ワックス,スキー及びスノーボード用スクレーパー,スキー及びスノーボード用カーボンブラシ,その他のスキー及びスノーボードを含む運動用具」を指定商品として、同16年2月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、別掲のとおり、「戦」の文字と「極」の文字とを「極」の漢字がやや低くなるよう上下にずらして横書きし(「戦」の文字の部首である、ほこがまえの第二画を赤色で、かつ、右下に長く伸ばしている。)、「戦」の文字の直下に「SENGOKU」の欧文字を横書き(「N」の欧文字は、赤色で、かつ、その運筆の最後を右斜め上方に長く伸ばしている。)してなるものであるところ、「戦極」の文字は成語ではないものの、「極」の漢字には呉音として「ゴク」の読みもあり(「新版 漢字源」 株式会社学習研究社 1996年4月1日改訂新版第3刷発行)、また、例えば、「極秘」(ゴクヒ)、「極楽」(ゴクラク)、「至極」(シゴク)、「京極」(キョウゴク)などのように「極」を「ゴク」と読む成語が存することからすれば、本願商標は構成中の「戦極」の文字から、「センゴク」の称呼を生ずるものといえ、また、その構成中の「SENGOKU」の文字部分からは、その構成文字に相応して「センゴク」の称呼が生じ、上段の「戦極」の文字の読みを特定したものと、無理なく認識し得るものであるから、本願商標は「センゴク」の称呼を生ずるものと見るのが自然である。
そうすると、本願商標は、「センゴク」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
他方、引用商標は、前記2に示すとおり、「戦国」の漢字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「センゴク」の称呼を生じ、「戦争でひどく乱れた世の中。戦国時代。多くの企業などによる激しい競争の時代」の観念を生ずるものである(広辞苑第六版 株式会社岩波書店発行参照)。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較できないとしても、「センゴク」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならず、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標とから生じる称呼が共通であることを自認しつつも、両商標の外観及び観念は著しく相違するから、本願商標は引用商標に類似しないと主張し、最高裁判所の判例(最高裁昭和39年(行ツ)第110号、昭和43年2月27日第三小法廷判決)を引用している。
しかしながら、前記(1)のとおり、本願商標と引用商標とは、称呼が共通しているものである。しかして、請求人の引用する判例の事案は、対比する称呼が比較的近似しているけれども、称呼上の差異は容易に認識できるという事案であって、称呼が共通である本件には適切なものではない。また、当該判例は、対比する商標を使用する商品の取引において、称呼による取引が行われず、称呼の対比考察を比較的緩やかに解して差し支えないとの原審の判断を是認した事案であるが、本願の指定商品の取引において称呼による取引が行われないという格別の事情も存しない。
また、請求人は本願商標と引用商標の観念の相違を認識しつつ称呼がなされるから、両称呼は弁別しうる旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標の称呼が共通であることは、前記(1)のとおりであって、両商標の称呼を聞き分け、識別することができるということはできない。
さらに、請求人は、本願商標からは、その構成中の漢字の各々の意味から「最良の戦い」、「この上ない試合」あるいは「戦いを極める」のような観念が直ちに生ずるとし、引用商標からは、小学校で履修する戦国時代の観念が生ずるから、両者の観念は相違する旨主張する。
しかしながら、本願商標は、成語ではないことは前記(1)のとおりであり、その他に本願商標から特定の意味合いを生ずることを認めるに足りる証拠も存しないことからすれば、本願商標と引用商標との観念をそもそも比較することはできない。
イ 請求人は、本願商標が請求人の企画・運営及び開催に係る格闘技イベントを表示するものとして、需要者・取引者間に広く認識されているという「取引の実情」を考慮しても、本願商標は引用商標との間で出所を誤認混同するおそれはなく、非類似の関係にあると解されて然るべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標が、請求人の主催に係る総合格闘技イベントの名称であり、2008年3月5日に立ち上げられ、地上波テレビ放送がなされる等、格闘技イベントの名称を表示するものとして、一定の認識を得たことが伺われるとしても、本願商標が、本願の指定商品についての商標として、その取引者、需要者に広く認識されていたとまでは、認めることはできない。
また、請求人は、取引の実情に関して、裁判例(平18年(行ケ)第10519号)を引用するが、当該事例は、一方の商標が、対比する両商標に共通の指定商品に関して高い識別力を有しているとの事実が認定されている事例であり、また、両商標を使用する当事者同士の和解の成立等をも認定しているものであり、本件とは前提となる事実を異にしており、当該裁判例が本件の審理に適切なものということはできない。
さらに、請求人は、裁判例(平19年(ネ)第10057号)を引用しつつ、本願商標が指定商品中格闘技関連の商品にしか使用される可能性がない以上、取引の実情を勘案すれば、本願商標と引用商標との間で出所を彼此混同する機会すらなく、両者は相互に非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、本願商標が、その指定商品中の格闘技関連の商品にしか使用される可能性がないと認めるに足りる証拠はない。また、本願の指定商品の需要者は、いわゆる老若男女であり、必ずしも総合格闘技に関心を持つ者に限られるものではないことからすれば、請求人の主張は失当である。
なお、前記の裁判例(平19年(ネ)第10057号)は、原告商標と被告標章との類否について、被告標章の体裁、現実の使用態様におけるイメージ、著名なロックバンドの名称として相当期間使用されてきた等の事情を踏まえて総合的に判断すると、被告標章を分断すべきものと解することはできないとして、その結果、原告商標と被告標章とは、類似しないとの判断を導いた事案であるから、本件に適切なものということはできない。
よって、前記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)

(色彩については原本参照)

審理終結日 2011-02-28 
結審通知日 2011-03-07 
審決日 2011-03-22 
出願番号 商願2008-72822(T2008-72822) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官
内田 直樹
前山 るり子
商標の称呼 センゴク、センキョク 
代理人 網野 友康 

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