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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない X41
審判 査定不服 観念類似 登録しない X41
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X41
管理番号 1236557 
審判番号 不服2010-12745 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-11 
確定日 2011-04-18 
事件の表示 商願2008-104766拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「電話英検」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,検定試験受験者へのセミナーの開催及びこれらに関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,教材用書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),教材用ビデオ・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として、平成20年12月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、登録第3244238号商標(以下『引用商標』という。)と『エイケン』の称呼を共通にする類似の商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
そして、引用商標は、「英検」の漢字を横書きにしてなり、平成4年9月14日に登録出願、第41類「英語に関する能力の検定」を指定役務として、同9年1月31日に設定登録され、その後、同19年2月6日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、「電話英検」の文字を書してなるところ、構成各文字の大きさや書体は同一であり、かつ、等間隔にまとまりよく表されているとしても、その構成は、「電話」の文字と「英検」の文字とを結合したものと容易に認識することができる。
そして、本願商標の構成中の「英検」の文字は、その指定役務中「検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供」等、「検定試験」に関する役務との関係において、「財団法人日本英語検定協会」が、その取り扱いに係る役務「英語に関する能力の検定」について使用し、需要者の間に広く認識されている商標であると認められる(別掲参照)。
また、本願商標の構成中の「電話」の文字は、「電話機によって通話すること。」(広辞苑第六版)を意味する語であるところ、電話やインターネット等の通信手段を用いて各種検定試験が実施されている実情があることから、役務を提供する手段を表示するものとして認識されるものといえ、「電話」の文字部分は、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、あるいは、自他役務の識別標識としての機能を有するとしても、極めて弱い部分であると認められる。
そして、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されないが,他方,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の指定役務中「検定試験」に関する役務、とりわけ、「検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供」との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有さない「電話」の文字部分を捨象し、取引者・需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる「英検」の文字部分を要部として認識し、これをもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
よって、本願商標は、構成文字全体に相応した「デンワエイケン」の称呼のほか、「エイケン」の称呼をも生ずるものであり、また、「英検」の文字部分は、「財団法人日本英語検定協会の取り扱いに係る役務に使用する著名な商標」との観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、「英検」の漢字を横書きにしてなるものであるから、該文字に相応し、「エイケン」の称呼を生じ、かつ、「引用商標権者である『財団法人日本英語検定協会』の取り扱いに係る役務に使用する著名な商標」との観念を生ずるものである。
本願商標と引用商標とは、構成全体として外観における対比観察をした場合は相違するものであるが、本願商標の要部である「英検」の文字と引用商標「英検」とは、構成文字を同じくすることから、両商標は、外観において類似する商標と判断するのが相当である。
また、本願商標の構成中の「英検」の文字部分から生ずる「エイケン」の称呼と引用商標「英検」の文字から生ずる「エイケン」の称呼は同一のものである。
さらに、本願商標の構成中「英検」の文字及び引用商標「英検」から生ずる「財団法人日本英語検定協会の取り扱いに係る役務に使用する著名な商標」の観念は、共通である。
してみると、本願商標と引用商標とは、外観が類似し、称呼及び観念を共通にする類似の商標であって、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似の商品を含むものであるから、本願商標をその指定商品に使用した場合は、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められる。

(2)請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
ア 請求人は、「本願商標『電話英検』は、標準文字様からなる漢字4文字を同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で外観上まとまりよく一体的に表してなるところ、当該文字は、4文字熟語様の構成よりなるから、前半部の『電話』の文字は、これに続く『英検』の文字との関連においてのみ認識されるばかりでなく、この両文字は、共にそれ自体としては識別力を有しないか、有してもその機能が極めて弱い部分であるから、本願商標は、その構成文字全体によって自他役務の識別力を有し得るものである。」旨主張する。
しかしながら、前述のとおり、本願商標の構成中の「英検」の文字は、「財団法人日本英語検定協会」の取り扱いに係る役務に使用する著名な商標であると認められることから、本願商標の構成中「英検」の文字部分は、取引者・需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるものであるから、請求人が主張する「かかる文字(英検の文字)部分が、識別力を有しないか、有してもその機能が極めて弱い部分である」とはいえない。
一方、本願商標の構成中の「電話」の文字部分は、請求人も主張するとおり、それ自体としては識別力を有しないか、有してもその機能が極めて弱い部分であるといえる。
してみれば、本願商標に接する需要者等が、その構成中の「英検」の文字部分のみを捉えて、取引に資される場合があると判断するのが相当である。
よって、本願商標は、その構成文字全体によって自他役務の識別力を有し得るものとはいえないものであるから、請求人のかかる主張は採択することはできない。

イ 請求人は、「過去の審決・登録例からすれば、本願商標も登録されるべきである。」旨主張する。

しかしながら、出願された商標の登録の適否の判断は、その案件毎に行うものであり、過去の審決・登録例等にに拘束されるべき事情はない。
さらに、該審決・登録例等は、商標の構成態様や指定役務等において、必ずしも、本願とは事案を同じくするものといえず、該審決・登録例等の存在をもって、本願商標の登録の適否の判断基準とするのは必ずしも適切とはいえない。
よって、請求人のかかる主張も採用することができない。

ウ その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。

(3)まとめ
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 「英検」が、「財団法人日本英語検定協会」が、その取り扱いに係る 役務「英語に関する能力の検定」について使用し、需要者の間に広く認 識されている商標であること

(1)「imidas2007」(1037頁、2007年1月1日発行、株式会社集英社)
「文化」のタイトルの「言語とコミュニケーション」の項目の英語の資格の欄に、「英検」の記載及び「財団法人日本英語検定協会主催の英語テスト。正式名称は実用英語技能検定。」の記載がある。

(2)「自由国民ガイド版 国家試験資格試験全書」(271頁、2007年1月10日発行、株式会社自由国民社)
「語学」の欄に「実用英語技能検定(英検)」の記載及び「◆問い合わせ先」の項目に「(財)日本英語検定協会」の記載がある。

(3)「大辞林 第三版」(261頁、2006年10月27日発行、株式会社三省堂)
「英検」の項目に「『実用英語技能検定』の略」の記載がある。

(4)「朝日新聞」(2010年12月15日付け、大阪地方版/岡山 27頁)
「耳からスイスイ園児、英検準2級 週1回の教室通い、家で復習/岡山県」の見出しの下、「日本英語検定協会が実施する英検準2級」の記載がある。

(5)「毎日新聞」(2009年2月28日付け、東京朝刊 30頁)
「英検:郁文館中高、答えを事前指導 学校が会場、問題入手--十数回」の見出しの下、「東京都文京区の私立郁文館中学・高校で、英語教員3人が02年まで十数回、同校を会場にして行われた『実用英語技能検定』(英検)の問題を事前に見て、試験前に解答を生徒に指南していたことが分かった。」の記載及び「英検を運営する『日本英語検定協会』(東京都新宿区)によると、実施要領では、事前に学校に届けられた問題や解答用紙は、教員が数だけをチェックした後は封印して当日まで厳重に保管することになっている。」の記載がある。

(6)「日刊工業新聞・流通サービス新聞」(2008年11月7日付け、3頁)
「英内務省、国の入国審査で英検を採用」の見出しの下、「英国への赴任時には英検3級以上が必要-。英国内務省国境庁は、英国で働く際に課す英語能力判定試験『Tier』に、日本英語検定協会(東京都新宿区、赤尾文夫理事長、03・3266・6555)が実施する実用英語技能検定(英検)を採用した。」の記載がある。

(7)「読売新聞」(2006年2月17日付け、東京朝刊 31頁)
「公立高が県版英語検定 新年度から 学習意欲向上狙う リスニングも=宮城」の見出しの下、「県教委は2006年度から、公立高校で県版英語検定を実施する。県内では、『実用英語技能検定』(英検)を受検したことのない生徒も少なくない。県教委は、同等の試験を生徒に受けさせることで、自らの英語力を把握してもらい、学習意欲と英語力の向上につなげたい考えだ。県版英語検定は、高校1年生を対象に主要3科目(国、数、英)で行っている学力状況調査の英語の試験に導入する。英検を実施する『日本英語検定協会』と協力して、英検のレベルで『準1?2級』『2?3級』『準2?4級』の3段階の問題を作成。」の記載がある。




審理終結日 2011-02-10 
結審通知日 2011-02-15 
審決日 2011-03-07 
出願番号 商願2008-104766(T2008-104766) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X41)
T 1 8・ 261- Z (X41)
T 1 8・ 262- Z (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長澤 祥子山根 まり子箕輪 秀人 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小林 由美子
豊田 純一
商標の称呼 デンワエーケン、エーケン 
代理人 岩内 三夫 

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