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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X0942
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0942
管理番号 1236555 
審判番号 不服2009-20338 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-22 
確定日 2011-04-18 
事件の表示 商願2009-38304拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「手ぶら認証」の文字を標準文字で表してなり、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,プロジェクター及びその部品,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、平成21年5月25日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『手ぶら認証』の文字を標準文字で表してなるところ、『手ぶら』の文字は、『手に何も持たない』といった意味を表す語として、また、『認証』の文字は、『対象の信頼性、正当性、適格性等を確認すること』といった意味を表す語として共によく知られてるから、これらの文字を結合してなる本願商標は、『手に何も持たずに行う認証』ほどの意味合いを容易に看取させるものといえる。
そして、手に何も持たずに認証を行う商品やシステムは、複数の企業が製造・提供している実情があるから、本願商標は、その指定商品及び指定役務中、認証のために用いられる商品、または、認証のために用いられる役務に使用するときは、単にその商品の品質(機能)、用途、または、役務の質、用途を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質または役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

1 辞書類の記載について
(1)て-ぶら【手ぶら】:手に何も持たないこと。からて。すで。(「広辞苑第6版」2008年1月11日発行 株式会社岩波書店)
(2)認証:コンピューター、あるいはネットワークを利用しようとしているユーザーが、正しいユーザーかどうかを確認する手続のこと。(「通信ネットワーク用語辞典」2007年7月17日発行 株式会社秀和システム)
(3)認証:個人や法人の実在性、信頼性、正当性を保証すること。コンピューターやネットワークでは、セキュリティを保つためにさまざまな認証技術が利用されている。代表的なものとしては、パスワードなどを使った本人確認がある。パソコンへのログオンや、Webサービス利用時などによく使われている。(「日経パソコン用語辞典2009年版」2008年10月20日発行 日経BP社)

2 インターネット情報(下線は当審で付与)
(1)「非接触型手のひら静脈認証装置の製品ラインナップを大幅に強化?PCログイン専用製品を1万円台の低価格で新発売、手ぶら認証を実現する機能も提供?」の見出しの下、「富士通フロンテック株式会社(以下、富士通フロンテック)、および富士通株式会社(以下、富士通)はこのほど、非接触型手のひら静脈認証装置において、新製品の開発と機能拡張を行い、製品ラインナップを大幅に強化して、本日より順次販売を開始します。」及び「2.手ぶら認証実現に向けた『PalmSecure』認証ライブラリの機能拡張 今までの手のひら静脈認証ビジネスで蓄積してきたノウハウや、他の部位の静脈に比べて情報量の多い手のひら静脈の利点を活かし、静脈認証において世界で初めて、1:1,000手の認証を高速で実現しました。従来から提供している非接触機能と合わせ、多くの利用者がいる環境において、認証者のIDカードやパスワードの併用なしに、手をかざすだけで認証が可能となります。これにより、大規模ICTシステムにおいても手のひら静脈認証を容易かつ低コストで導入できます。 また、この認証ライブラリ単独での1:1,000認証をベースとして、グルーピング、マルチサーバ等の技術と組み合わせることで、さらに大規模な手ぶら認証システムの構築が可能となります。」との記載(http://www.frontech.fujitsu.com/release/prs100105.html)。
(2)「『手ぶら認証入退出管理システム』の概要?もう“タグをかざす“のは不要。ノーアクションで個人単位の認証可能?」の見出しの下、「手ぶら認証装置は、イトーキが既に販売中のICカード認証装置(以下、MC装置)と互換性を持たせていますので、従来の入退出管理システムに容易に接続できます。使用環境やセキュリティ性に応じてMC装置及び手ぶら認証装置を自由に選択(又は併用)できる構成となっています。」との記載(http://eir.eol.co.jp/EIR/View.aspx?cat=tdnet&sid=702875)。
(3)「テナントオフィスの多拠点管理や手ぶら認証などラインアップを充実させ、入退室管理システム『統合型セキュリティシステム eX-SG』新発売」の見出しの下、「松下電工株式会社は、オフィスビルや工場などにおいて、既存ネットワークの活用や、運用後の追加・変更が容易な入退室管理システム『統合型セキュリティシステムeX-SG(イーエックス・エスジー)』に、点在する小規模テナントオフィスの多拠点管理システム『統合型セキュリティシステムeX-SG light(イーエックス・エスジーライト)』や手ぶらでID認証して入退室を可能とする端末『アクティブタグ』などラインアップを充実させ、2008年4月より順次発売します。」との記載(http://panasonic-denko.co.jp/corp/news/0802/0802-12.htm)。
(4)「カードなしの『手ぶら認証』を実現した指静脈認証システムタイムレコーダ」の見出しの下、「セイコープレジョン株式会社(以下、セイコープレジョン)は、ネットワーク対応型システムタイムレコーダに日立の『機器組込み用小型指静脈認証ユニット(PCT-KCC5001)』を採用した新モデルを追加。磁気カードやICカードを使わずに、精度の高い本人認証と打刻を『手ぶら』で行えるため、管理コストの低減やカードの貸し借り、代打ちなどによる『なりすまし』防止に高い効果が期待されています。」との記載(http://www.hitachi.co.jp/products/urban/security/yubi/pdf/seiko_1001.pdf)。

第4 証拠調べに対する請求人の意見
請求人は、前記第3の証拠調べに対し、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり「手ぶら認証」の文字を標準文字で表してなるところ、前記第3の1によれば、構成中の「手ぶら」の文字部分は、「手に何も持たないこと」の意味、「認証」の文字部分は、「コンピューター、あるいはネットワークを利用しようとしているユーザーが、正しいユーザーかどうかを確認する手続のこと。」及び「個人や法人の実在性、信頼性、正当性を保証すること。代表的なものとしては、パスワードなどを使った本人確認がある。」等の意味を有する語であるから、本願商標は、構成中の文字のそれぞれの意味から、「手に何も持たないで、コンピューターを利用しようとしているユーザーが正しいユーザーかどうかを確認する」、「手に何も持たないで本人確認を行う」位の意味合いを容易に理解させるものである。
そして、前記第3の2の事実によれば、「手ぶら認証」の文字は、「手ぶら認証実現に向けた『PalmSecure』認証ライブラリの機能拡張・・・認証者のIDカードやパスワードの併用なしに、手をかざすだけで認証が可能となります。」、「『手ぶら認証入退出管理システム』の概要?もう“タグをかざす“のは不要。ノーアクションで個人単位の認証可能」、「手ぶら認証などラインアップを充実させ、入退室管理システム『統合型セキュリティシステム eX-SG』」のように取引上普通に使用されている事実が認められる。
そうとすれば、本願商標をその指定商品中「認証を行うための電気通信機械具、同電子応用機械器具及びその部品」及び指定役務中「認証を行うための機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計、同電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「手に何も持たないで本人確認を行う」程度の商品の品質、機能及び役務の質を表示したものとして理解するにとどまり、自他商品及び自他役務の識別標識とは認識し得ないというべきである。してみれば、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、上記商品及び役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質を表したにすぎないものといわなければならない。
また、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、前記以外の「電気通信機械具、電子応用機械器具及びその部品」及び「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用する場合は、あたかもその商品及び役務が「認証を行うための商品及び役務」であるかのように、商品の品質及び役務の質について誤認を生じるおそれがあるもの判断するのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3条及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-02-23 
結審通知日 2011-02-25 
審決日 2011-03-08 
出願番号 商願2009-38304(T2009-38304) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X0942)
T 1 8・ 13- Z (X0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎浅野 真由美 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 大森 友子

末武 久佳
商標の称呼 テブラニンショー 
代理人 木村 明隆 

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