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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y41
審判 査定不服 商6条一商標一出願 登録しない Y41
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y41
管理番号 1236550 
審判番号 不服2008-10820 
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-06 
確定日 2011-04-13 
事件の表示 商願2006-116922拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「MBA ENGLISH」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成18年12月6日に登録出願され、その後、指定役務については、審判請求書と同日(同20年4月6日)で提出された手続補正書により、「語学の教授,派遣による語学の教授,語学試験問題の作成,語学試験の実施,語学試験の採点,外国文化の知識の教授に関する情報の提供,外国文化の資料の展示に関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み媒体の貸与,録画済み媒体の貸与,通訳,翻訳」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
(1)本願商標は、「MBA ENGLISH」の文字を書してなるところ、その構成中の「MBA」の文字は、本願指定役務との関係においては「欧米の経営管理学修士号」等を指す語として普通に使用されており、「ENGLISH」の文字は、「英語」を意味するから、全体として「欧米の経営管理学修士号を取得するために必要な英語」等の意味合いを認識・理解させるにすぎず、これを本願指定役務中、例えば、「欧米の経営管理学修士号を取得するために必要な英語の教授,欧米の経営管理学修士号を取得するために必要な英語に係る役務」等に使用するときは、これに接する需要者は、単に前記意味合いを認識するに止まり、結局、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願指定役務中「語学インストラクターの派遣,外国文化に関する情報提供,教育研修のための設備の提供」は、その内容及び範囲を明確に指定したものといえず、政令で定める商品及び役務の区分に従って役務を指定したものと認められないから、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、平成22年2月5日付け証拠調べ通知書をもって通知した内容は以下のとおりである。

この審判事件に関し、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知する。

(1)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおける「本」の項目に、「MBA ENGLISH 経済・会計・財務の知識と英語を身につける (単行本) 」の記載がある。
(2)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおける「本」の項目に、「MBA ENGLISH 経営・マーケティングの知識と英語を身につける (単行本(ソフトカバー)) 」の記載がある。
(3)「ベレ出版」のウェブサイトにおける「書籍案内」のタイトルの下、「MBA ENGLISH ボキャブラリー CD BOOK」の項目に「MBA・ビジネス・アメリカ生活で本当に必要な英単語3615」の記載及び「12年の商社勤務後、アメリカ・ミシガン大学のMBAを取得した著者が、留学中に出会った『身につけておくべき』英単語を中心に、アメリカでの生活とビジネスを通じてリスト化した『学ぶべき』英単語を一冊にまとめました。MBA取得のみならず、MBA留学を想定したアメリカ生活やビジネスにおいて『実際に役立つ』英単語・例文・日本語訳を掲載してありますので、無駄なく最短で『使える』英単語力を身につけられます。」の記載がある。
(4)「リーズ大学」のウェブサイトにおける「ビジネス・スクールのプロフィ-ル」の項目に、「The-Pre-MBA ENGLISH Language Programmeは1992年に開講され、のべ30カ国以上から留学生を受け入れてきました。」の記載がある。
(5)「トレーニングパートナーズ株式会社」のウェブサイトにおける「MBA取得者の英語レッスン Future Education Center」のタイトルの下、「MBA English 受講案内」の項目に、「プログラム概要 MBA Englishとは? MBA Englishとは、既にMBAを取得されたビジネスプロフェッショナルの方々を対象とするプライベートレッスン形式の実践的な上級ビジネス英語プログラムです。」の記載がある。
(6)「株式会社ビジネスパラダイム」のウェブサイトにおける「MBA留学」のタイトルの下「大学・語学学校が提供するPre-MBA講座」の項目の「ビジネススクール名」の欄に、「Pre-MBA English Language」の記載、「提供」の欄に「Leeds University(語学センター内)」の記載、「内容」の欄に、「1月?6月の6ケ月、又は、8月?9月の6週間前に渡英して、英語力の強化とMBAの準備をしておきたい方の適しているコースです。」の記載及び、「ビジネススクール名」の欄に、「Pre-MBA English Language」の記載、「提供」の欄に、「Aspect College London」の記載、「内容」の欄に、「英語コースはもとより、Pre-MBAプログラムも設けており、こちらは最短10週間からの受講可能で、非常にフレキシブルに対応してくれます。」等の記載がある。
(7)「公開講座JAPAN」のウェブサイトにおける「ビジネス英語・専門英語」の項目に「Introduction to MBA English(中上級)W-A」の記載がある。
(8)「★ListFreak」のウェブサイトにおいて「MBA ENGLISH ファイナンスの知識と英語を身につける」の記載がある。
(9)「留学リンクス」のウェブサイトにおける「Pre-MBAコース」のタイトルの下、「ビジネスピーク」の項目に「(マサチューセッツ、ケンブリッジ) ビジネスピークは、その名の通りビジネス英語の専門校です。ビジネスのスキルアップのために英語を身につけたいビジネスマン、米国の文化理解を深めて、国際感覚を養いたい、秘書英語を学習してステップアップしたい、MBA英語を学びたい、など様々な目的を持つ方に、様々なプログラムを提供しています。ビジネスピークは、TOEICのテストセンターにもなっています。」の記載がある。
(10)「(学)河合塾」のウェブサイトにおける「大学院人気分野紹介」のタイトルの下、「MBA主要校の入試問題を読む」の項目に、「キャリアの節目、キャリアの再構築を考えるとき、転機として役に立つのがMBA。でも本人の気持ち次第で、進学後の成否が分かれるのもMBAです。ここでは、KALS大学院入試対策講座の主要科目「MBA論述対策」「MBA英語」を担当する小川講師が、講座で扱うMBA主要校の入試問題の傾向と対策について論じます。」の記載がある。

4 証拠調べ通知に対する意見の要旨
提示の証拠(3)ないし(7)、(9)及び(10)は、想定される指定役務の「語学の教授」からは、同指定役務にかかる取引者・需要者が想起し難い程にユニークな意味合いを有する用語の「MBA ENGLISH」ないし「MBA 英語」で構成される商標の存在を示すもので、指定役務の「語学の教授」との関係で、自他役務識別力を有する商標の存在を示唆するにすぎないから、本願商標が、その指定役務「語学の教授」との関係で、自他役務識別力を欠く点を証明するための証拠価値はない。
さらに、提示の証拠(1)、(2)及び(8)は、想定される指定商品の「書籍」の題号としての用語の「MBA ENGLISH」で構成される商
標の存在を示唆し、指定商品「書籍」との関係で、自他商品識別力を有する商標の存在を示唆するにすぎないから、本願商標が、その指定役務「語学の教授」との関係で、自他役務識別力を欠く点を証明するための証拠価値はない。

5 当審の判断
(1)本願商標は、「MBA ENGLISH」の文字よりなるところ、両文字の間に一文字程度のスペースを有することから、「MBA」と「ENGLISH」の文字からなるものと容易に看取されるものである。
そして、構成中前半の「MBA」は、「Master of Business Administration(経営学修士)」を表す略語(ベーシック ジーニアス英和辞典)として、また、後半の「ENGLISH」は英語を意味する語として、わが国においていずれもよく知られている語(文字)であり、本願商標全体としては、「MBAのための、MBAに特化した英語」程度の意味合いを容易に認識させるものである。
ところで、「MBA(経営学修士)」は、一般に欧米でビジネススクールと呼ばれている経営学の大学院(修士課程)修了者に与えられる学位を指し、その学位取得の目的は、「経営者・ビジネスリーダーとしてのスキルを身につけること。」とされ、理論的な内容から、より実践的なマネージメント法まで、経営に関するノウハウを学ぶことができるものであって、請求人も述べるとおり、近年では、欧米だけでなく日本においてもMBAを取得できる大学あるいは日本校等も増えてきているところ、欧米のビジネススクールにおいては勿論のこと、日本(校)においても英語で授業が行われることも多く、そのため入学時あるいは入学後にも相応の英語力が求められているという実情にあるといえる。
そして、証拠調べ通知で示したとおり、「MBA English」あるいは「MBA英語」の文字は、例えば、英語レッスンや大学あるいは語学学校の講座名、講座の科目名として使用され(証拠5、証拠6、証拠7、証拠10)、留学先のガイドに、その対象者の説明として記載され(証拠9)、また、MBA取得等を考えている人に役立つものとして、「MBA取得は勿論のこと、MBA留学を想定したアメリカ生活やビジネスにおいて〈本当に必要な〉英単語・例文・日本語訳を厳選。」、「MBA(経営学修士)カリキュラムのエッセンスと英語同時に身につける/・・・MBA取得を目指している方など、・・・」、「2年間で学ぶMBAの、コア(基礎)コースで勉強するカリキュラムを網羅しつつ、将来のMBA取得を視野に入れた方の入門書として、・・・」などと説明されている書籍(証拠1、2、3、8)のタイトルとして「MBA ENGLISH」の文字が使用され、販売されている事実が認められるものである。
そうとすれば、本願商標をその指定役務中、例えば、「語学の教授、派遣による語学の教授、語学試験の実施、(語学に関する)セミナーの企画・運営又は開催、(語学に関する)電子出版物の提供、(語学に関する)書籍の制作」等の語学に関連した役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、その語学が「MBA(経営学修士)を取得するために、あるいは取得したMBAを活用するために有用な英語」であること、すなわち教授する語学、開催するセミナー、提供する出版物等の内容の如く、提供する役務の質(内容)を表したものと理解、認識させるにすぎず、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、請求人は、証拠調べ通知に対する意見書において、1)指定役務「語学の教授」について「MBA ENGLISH」ないし「MBA 英語」で構成される自他役務識別力を有する商標の存在を示唆しているにすぎない、2)「書籍」の題号との関係で、自他役務識別力を有する商標の存在を示唆しているにすぎないものであって、本願商標が、本願指定役務「語学の教授」との関係で、自他役務識別力を欠く点を証明するのには証拠価値がない、旨主張している。
しかしながら、証拠調べ通知で示した事実からすれば、MBA取得を目指す人達を対象とした語学学校等の講座名、あるいは取得等に役立つとする書籍のタイトルに本願商標と同一又は類似の文字が使用され、それぞれがMBAに特化した英語講座や書籍であることを表しているものであることは前述したとおりである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。

(2)本願指定役務は、前記1のとおり補正された結果、指定役務の内容が明確になったものと認められ、かつ、政令で定める商品及び役務の区分に従ったものと認め得るものである。
したがって、本願商標が商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しないとした原査定の理由は解消した。

(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
なお、原査定は、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとして拒絶したものであるが、原査定と当審決とは、いずれも本願商標を本願指定役務に使用しても、自他役務識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第3条第1項所定の商標登録の要件を欠く商標に該当するという結論にいたるものであるから、両者は、その判断の内容において実質的に相違するものではない。(平成16年(行ケ)第369号判決[平成17年1月26日言渡]参照。)
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-06-07 
結審通知日 2010-06-25 
審決日 2010-07-26 
出願番号 商願2006-116922(T2006-116922) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y41)
T 1 8・ 91- Z (Y41)
T 1 8・ 16- Z (Y41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲村 秀子廣川 麻理恵 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 小川 きみえ
豊田 純一
商標の称呼 エムビイエイイングリッシュ、エムビイエイ 
代理人 尾崎 光三 

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