ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X07 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X07 |
---|---|
管理番号 | 1236464 |
審判番号 | 不服2010-6241 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-23 |
確定日 | 2011-04-14 |
事件の表示 | 商願2008-102836拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「ディスクダンパー」の文字を標準文字により表してなり, 第7類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成20年12月22日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同21年8月3日付け手続補正書により,第7類「建築物用免震装置,金属製免震装置,鉄筋コンクリート製免震装置,その他の免震装置,建築物用制震装置,金属製制震装置,鉄筋コンクリート製制震装置,その他の制震装置」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は,「本願商標は,指定商品との関係において『動力や回転の運動・制動などの装置に使われる円板型の部品』の意味合いに通じる『ディスク』の文字と『制振器,吸振器』『振動を吸収して柔らげたり,共振を防いだりする装置』の意味合いに通じる『ダンパー』の文字を一連に『ディスクダンパー』と標準文字で表示してなるものであって,その構成全体から『円板型の制振器,吸振器』ほどの意味合いを容易に理解させるものであるから,これをその指定商品中の振動を制御する装置(例えば『免震装置』『制震装置』『制動装置』等)に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品が前記意味合いのものであることを認識するに止まり,単に商品の品質(内容)を表示したものと理解するにすぎないものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当し,また,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質(内容)の誤認を生じさせるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。 3 当審における手続きの経緯 当審において,職権に基づく証拠調べをした結果,本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので,請求人に対し,平成22年12月7日付けの証拠調べ通知書によって,これを開示し意見を求めたところ,請求人からは,何らの回答もなかった。 4 当審の判断 本願商標は,「ディスクダンパー」の文字からなるところ,これは,「動力や回転の運動・制動などの装置に使われる円板型の部品」(三省堂「コンサイスカタカナ語辞典第三版」)の意味を有する「ディスク」の文字と「振動を吸収する装置」(岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を有する「ダンパー」の文字を結合したものと容易に認識し得るものであって,その構成全体からは,「円板型のダンパー(制振器,吸振器)」ほどの意味合いを容易に理解させるものである。 そして,以下のとおり,本願商標の指定商品である「免震装置」及び「制震装置」並びにこれに関連する分野において,「ダンパー」及び「ディスクダンパー」の文字が,商品の品質(機能)や形状等を表すものとして普通に使用されている事実が認められる。 (1)「免震装置」の分野における「ダンパー」の使用 (ア)大成建設株式会社作成「耐震ネット」Webサイト 「免震装置の種類と特徴/一般的に免震装置は大きく分けてアイソレータとダンパーという2つの装置で構成されています。アイソレータは建物の固有周期を長くする役割を持つと同時に,建物重量を支えます。積層ゴム系のものとすべり系の2種類あります。またアイソレータの中にはダンパー機能を兼ね備えているものもあります。/ダンパーは地震時の建物の揺れ幅を抑えるたり揺れを早く留める役割をする装置です。ダンパーは建物の重量を支えることはありません。」(http://www.taisin-net.com/solution/online_seminer/mensin/b0da0e000000cp6t.html) (イ)「社団法人日本免震構造協会」Webサイト 「免震装置について/『免震装置として,何が使われているのですか?』/アイソレータ と ダンパー という,あまり耳慣れない装置が使われています。/・・・ダンパーは建物を支える役目はせず,アイソレータだけではいつまでも続く揺れをとめることはできないので,ダンパーが抑える働きをします。種類としては,『オイルダンパー』『鋼材ダンパー』『鉛ダンパー』などがあります。」(http://jssi.or.jp/menshin/m_kenchiku.html) (ウ)「株式会社巴コーポレーション」Webサイト 「地震・振動対策技術 | 免震U型ダンパー/”免震層の偏心調整に”/積層ゴムとの組合せ範囲にとらわれず,必要性能で選択できます」(http://www.tomoe-corporation.co.jp/gijutu/bosai/m03.html) (エ)「新日鉄技報第382号」 「免震U型ダンパーの開発」(http://www.nsc.co.jp/tech/report/pdf/38211.pdf) (オ)「社団法人日本免震構造協会」Webサイト 「社団法人日本免震協会刊行図書『MENSHIN』の掲載記事(バックナンバー)」における「ダンパー」の記載 「ループ状鋼棒ダンパー」「新日鐵式免震U型ダンパー」「オイレス式壁型粘性ダンパー」「多段型摩擦ダンパー(KFD)」「免震用平面型粘性ダンパー」「鋼製U型ダンパー」「巴コーポレーション式鋼製J型ダンパー」等(http://webcache.googleusercontent.com/search?hl=jalr=q=cache:iKYa5SnQWtwJ:http://jssi.or.jp/bussiness/shuppan_detail/ka-5-4.htm+%E5%85%8D%E9%9C%87+%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%BCct=clnk) (2)「制震装置」の分野における「ダンパー」の使用 (ア)「weblio事典」Webサイト 「建築用語大辞典/制震ダンパー/【意味】制震構造で,地震による建物の揺れを減衰させる中心となる制震部材である。制震構造にはアクティブ型(能動的)とパッシブ型(受動的)がある。また木造軸組に付加する制震ダンパーには粘弾性ダンパー・粘性ダンパー・弾塑性ダンパー・剛塑性ダンパーがある。」(http://www.weblio.jp/content/%E5%88%B6%E9%9C%87%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%BC) (イ)「JFEスチール株式会社」Webサイト 「制振ダンパー/JFEの制振ダンパーは,種々の建物にフレキシブルに対応するために,3種類のダンパーをご用意しています。/制振ブレース2重鋼管タイプ・・・/制振ブレース平鋼タイプ・・・/ハーフ十字ブレースダンパー/溶接組立による十字型軸力材と補剛管の使用で,平鋼タイプの性能をさらに向上させました。高歪領域での疲労性能に優れ,設計軸力に応じた最適設計断面の選択が可能です。鋼板の組合せだけでできている軽量・コンパクトかつ高性能なダンパーです。」(http://www.jfe-steel.co.jp/products/building/seisin_danper/index.html) (ウ)「清水建設株式会社」Webサイト 「ニュースリリース2005年/高性能粘弾性ゴムを使った壁型制震ダンパーを開発・実用化/?設置台数を6割削減し,コストの削減と室内空間の有効利用を実現?」(http://www.shimz.co.jp/news_release/2005/634.html) (3)機械部品の分野における「ディスクダンパー」の使用 「メカトロネット事務局」Webサイト 「カタログ全文検索/メカトロパーツ全文検索/不二ラテックス(株)/自動省力化総合カタログ」/「ロータリーダンパー」/「ディスクダンパー(両方向性)FDT-63/70シリーズ(固定式)仕様・価格」「ディスクダンパー(一方向性)FDN-47A/57Aシリーズ(固定式)仕様・価格」等(http://www.mekatoro.net/mechatro_parts/vol3/pdf/P06-177.html) 以上のとおり,「免震装置」との関係において,「ダンパー」は,「アイソレーター」と共に「免震装置」を構成する装置(機能)の一つであって,地震時の建物の揺れ幅を抑えたり揺れを早く留める役割をする装置のことをいい,これには,様々な形状や構造,原材料のものがあり,例えば,「ループ状鋼棒ダンパー」「U型ダンパー」「壁型粘性ダンパー」「多段型摩擦ダンパー」「平面型粘性ダンパー」「鋼製U型ダンパー」「鋼製J型ダンパー」等のように「ダンパー」の文字の前に形状や構造を意味する語を冠した名称の商品が多数流通していることが認められる。 また,「制震装置」との関係においては,地震による建物の揺れを減衰させる中心となる制震部材を「制震(振)ダンパー」といい,前記の「免震装置」と同様に,これにも様々な形状や構造,原材料のものがあり,例えば,「ハーフ十字ブレースダンパー」「壁型制震ダンパー」等のように,「ダンパー」の文字の前に形状や構造を意味する語を冠した名称の商品が多数流通していることが認められる。 さらに,本願商標の指定商品と用途は異なるが,機械部品として使用されるダンパー(緩衝器)について,円板型のものがあり,これを「ディスクダンパー」と称していることが認められる。 以上において認定した事実及び本願商標の構成自体が「円板型のダンパー(制振器,吸振器)」の意味合いを容易に理解させるものであることを総合考慮すれば,本願商標は,これをその指定商品に使用した場合には,「免震装置」又は「制震装置」として用いられる「円板型のダンパー」であることを認識させるものと言わざるを得ない。 そうすると,本願商標は,これをその指定商品中,前記商品(「免震装置」又は「制震装置」として用いられる「円板型のダンパー」)について使用した場合には,その商品の品質(機能),形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり,また,前記以外の商品に使用するときには,その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある商標である。 したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法4条第1項第16号に該当する。 |
審理終結日 | 2011-02-10 |
結審通知日 | 2011-02-15 |
審決日 | 2011-02-28 |
出願番号 | 商願2008-102836(T2008-102836) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X07)
T 1 8・ 272- Z (X07) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 古森 美和、薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
大塚 順子 小畑 恵一 |
商標の称呼 | ディスクダンパー |
代理人 | 一色国際特許業務法人 |