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審決分類 |
審判 判定 その他 属する(申立て成立) Y31 |
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管理番号 | 1235104 |
判定請求番号 | 判定2010-600052 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標判定公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 判定 |
2010-08-31 | |
確定日 | 2011-04-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5058041号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | 商品「野菜」に使用するイ号標章は、登録第5058041号商標の商標権の効力の範囲に属する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5058041号商標(以下「本件商標」という。)は、「バラフ」の文字を標準文字で表してなり、平成18年10月20日出願、第31類「生花の花輪,釣り用餌,ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,うるしの実,未加工のコルク,やしの葉」を指定商品として、同19年6月29日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 第2 イ号標章 被請求人が、商品「野菜」について使用する標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲のとおりの構成よりなるものである。 第3 被告人の主張 1 請求人は、被請求人が商品「野菜,果実」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由を以下のように述べ、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 2 請求の理由 (1)判定請求の必要性 請求人は、本件商標の商標権者であるところ、被請求人が商品「野菜,果実」に使用しているイ号標章の使用は、本件商標の商標権を侵害するものである。 このような侵害行為に対し、迅速、的確な結論を得るべく、そして、これらの侵害行為を未然に防止し、円滑な解決を図ることの必要性から本件判定を求める。 (2)イ号標章の説明 被請求人は、平成22年4月26日頃より、イ号標章を付した標章を商品「野菜,果実」についてインターネット等を通じて全国的に通信販売を行っているものである。 (3)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明 ア 本件商標は、甲第1号証に示すとおり「バラフ」の文字を標準文字としてなるものであるところ、「バラフ」の文字に相応して「バラフ」の称呼を生ずる一種の造語からなるものとみるのが相当である。 イ イ号標章「アイスプラント\パラフ」は、その構成全体から「アイスプラントパラフ」の一連の称呼が生ずるものであるとしても、構成中の「アイスプラント」の文字部分は、商品「野菜」との関係においては、商品の品質、原材料を表示するに止まるものであり、また、イ号標章は、「パラフ」の文字部分が「アイスプラント」部分とは文字の大きさ及び文字色が異なり、二段書きした構成からなるばかりでなく、全体から生ずる「アイスプラントパラフ」の一連の称呼も10音という比較的冗長な称呼からなるから、自他商品の識別標識としての機能を果たすとみられる「パラフ」の文字に相応して「パラフ」の称呼をも生ずるものとみるのが相当である。 ウ 次に、請求人が所有する本件商標とイ号標章との類否について検討すると、まず、本件商標から生ずる「バラフ」の称呼とイ号標章から生ずる「パラフ」との称呼上の類否についてみると、両称呼は、語頭において「バ」と「パ」の音に差異があるとしても、両者は共に3音から構成されていて、語頭において「バ」と「パ」の音の差異を有するのみで、他の「ラフ」の配列音を同じくするものであり、相違する「バ」と「パ」の音は、母音「a」を共通にする濁音「バ」と半濁音「パ」の近似した音であるばかりでなく、呼気の流れ(発声方法)を同じくする子音であるといえるものである。 そうとすれば、その差異が3音という短い音構成の語頭に位置することを考慮しても、これに続く「ラ」の音は、力の入る迫力音であって、強く、明確に聴取されるものといえるから、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、各々を全体として一連に称呼するときには、その語調、語感が極めて近似するものとなり、聴感が酷似して、いずれも聴別し難く、称呼上互いに相紛れるおそれのあるものといわざるを得ない。 したがって、本件商標とイ号標章とは、その外観、観念について述べるまでもなく、本件商標「バラフ」とイ号標章から生ずる「パラフ」の称呼とは、互いに聴き誤るおそれのある称呼上、類似の商標(標章)といえるものである。 そして、本件商標に係る指定商品中の「野菜、果実」とイ号標章の使用商品「野菜、果実」とは、同一又は類似の商品である。 エ 以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用商品と本件商標の指定商品も同一又は類似の商品であるから、被請求人が商品「野菜、果実」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、本判定請求に対し、何ら答弁していない。 第5 当審の判断 1 本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「バラフ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字からは特定の観念を生じないものであり、「バラフ」の称呼が生ずるものである。 2 イ号標章について (1)イ号標章は、別掲のとおり、籠文字による「アイスプラント」の文字と、それよりもやや大きな字体により白く縁取りした緑色の「パラフ」の文字とを二段に書してなるものであって、両文字は、その文字の大きさ、色の違いにより視覚的に分離して認識されるものである。 (2)「アイスプラント」が野菜の名称であることについて ア 「アイスプラント」の文字(語)が新聞等において使用されている事実について(下線は当合議体により付記した。) (ア)「読売新聞 東京朝刊」(2010年5月20日付け26頁) 「塩味で無農薬の新野菜 アイスプラント 川崎で出荷始まる=神奈川」の見出しのもとに、「川崎市内で、茎や葉の表面に、氷の結晶のような塩分を含む粒々が付着している野菜『アイスプラント』の出荷が今年も始まり、人気を集めている。・・(中略)・・アイスプラントは、マミズナ科の多肉植物で、南アフリカ原産。」の記載がある。 (イ)「日本経済新聞」(2010年2月23日付け 地方経済面京都・滋賀45頁) 「長浜のバイオ企業育成施設、入居2社技術開花、相次ぎ新商品、高ミネラル野菜。」の見出しのもとに、「葉物野菜『アイスプラント』の本格出荷を始める。アイスプラントは南アフリカ原産の多肉植物。葉や茎に粒状の小突起があり、ほんのりと塩味がある。」の記載がある (ウ)「日経流通新聞」(2009年3月23日付け18頁) 「南ア原産の野菜、アイスプラント、産地拡大、出荷倍増??通年供給可能に。」の見出しのもとに、「南アフリカが原産の新しい野菜『アイスプラント』の生産量が伸びている。・・(中略)・・アイスプラントはサボテンのように肉厚の葉を持つ植物。・・(中略)・・現在、アイスプラントは百貨店や高級スーパーの青果売り場で一パック三百?四百円程度で販売されている。」の記載がある (エ)「JAさが 佐賀県農業協同組合」のウェブサイトにおいて、「JAさがの農畜産物紹介![アイスプラント]」の見出しのもとに、「佐賀県産 Saga Product 新野菜『アイスプラント(ice plant)』は、南アフリカ原産の植物で国内では佐賀県で初めて栽培された注目の野菜です。」の記載がある。 (http://jasaga.or.jp/nousanbutsu/yasai/iceplant/index.html) (オ)インターネットフリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」のウェブサイトにおいて、「アイスプラント」の見出しのもとに、「アイスプラント(学名:Mesembryanthemum crystallinum)はハマミズナ科メセンブリアンテマ属の植物。名前の由来は表皮に塩を隔離するための細胞があるため葉の表面が凍ったように見えることから。ヨーロッパ、西アジア、アフリカ原産。」の記載がある。 (http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88) イ 以上の事実から、「アイスプラント」は、南アフリカ原産の野菜の名称として普通に使用されていることが認められる。 そうとすると、イ号標章中の「アイスプラント」の文字(語)は、商品「野菜」との関係においては、商品の名称、品質等を表示するものと認めることができる。 (3)そうとすると、イ号標章は、これを商品「野菜(アイスプラント)」に使用するときは、その構成中の「パラフ」の文字部分が、自他商品識別標識としての機能を果たすものと判断するのが相当である。そして、「パラフ」の文字(語)は特定の観念を有さず、「パラフ」の称呼が生ずるものである。 3 本件商標とイ号標章の類否について (1)外観 本件商標は、「バラフ」の文字を標準文字で表してなるところ、イ号標章は、別掲のとおりの構成からなり、両者は、構成全体としては、互いに見誤るおそれがないとしても、本件商標と、イ号標章中、自他商品識別標識としての機能を果たす「パラフ」の文字部分についてみると、両者は、「バ」と「パ」の文字における濁点と半濁点の差を有するにすぎず、外観においては極めて軽微な差と認めることができるから、両文字は、外観において近似しているものといえる。 (2)称呼 本件商標から生ずる「バラフ」の称呼と、イ号標章から生ずる「パラフ」の称呼とを比べると、両称呼は、語頭において「バ」と「パ」の音に差異があるところ、両音は、母音を共通にし、かつ、濁音と半濁音の違いという微差を有するにすぎないことから、両称呼を一連に称呼するときはその語調、語感が極めて近似するものとなり、称呼上互いに相紛れるおそれのあるものと認められる。 (3)観念 本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、観念については、イ号標章と比較することができない。 (4)してみれば、本件商標とイ号標章とは、外観及び称呼において相紛らわしい類似の商標とみるのが相当である。 4 本件商標の指定商品「野菜」とイ号標章の使用に係る商品との類否について 甲第2号証は、インターネットウェブサイトの写しであるが、そのウェブサイトの見出し及び写真によれば、イ号標章は、「アイスプラント」について使用されていることが認められる。 そして、「アイスプラント」は、前記2(2)のとおり、野菜の一種であり、本件商標の指定商品は「野菜」も含むものである。 そうとすれば、イ号標章の使用に係る商品は、本件商標の指定商品に含まれるものである。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標とイ号標章とは類似の商標であって、かつ、イ号標章の使用に係る商品「アイスプラント」は、本件商標の指定商品に含まれるものである。 したがって、商品「野菜(アイスプラント)」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
別掲 イ号標章(色彩については原本参照) |
判定日 | 2011-03-25 |
出願番号 | 商願2006-97771(T2006-97771) |
審決分類 |
T
1
2・
9-
YA
(Y31)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 岩崎 安子、石塚 文子 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
旦 克昌 内山 進 |
登録日 | 2007-06-29 |
登録番号 | 商標登録第5058041号(T5058041) |
商標の称呼 | バラフ |
代理人 | 平井 安雄 |
代理人 | 栫 生長 |