• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X3542
審判 全部申立て  登録を維持 X3542
管理番号 1235102 
異議申立番号 異議2010-685002 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-02-23 
確定日 2011-02-17 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第963595号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第963595号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第963595号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第35類「Advertising;business management;business administration;office functions.」及び第42類「Scientific,industrial and technological research and design;industrial analysis and research services;design and development of computer programs.」を指定役務として、2007年10月23日にPortugalにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2008年(平成20年)3月26日に国際商標登録出願され、平成21年7月28日に登録査定、同年12月4日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第1968241号商標(以下「引用商標1」という。)は、「DROID」の欧文字を横書きしてなり、昭和59年5月11日に登録出願され、第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同62年7月23日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4140003号商標(以下「引用商標2」という。)は、「DROID」の欧文字を横書きしてなり、平成8年9月12日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同10年4月24日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(以下、これらをまとめていうときは、単に「引用商標」という。)
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第7号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。
(1)引用商標の著名性について
引用商標は、申立人の関連会社が所有する登録商標であり、「おもちゃ,娯楽用具」等について継続的に使用している著名商標であり、申立人である「ルーカスフィルム リミテッド」(以下「ルーカス社」という。)は、ジョ-ジ・ルーカスが設立した映像制作会社であり、「スターウォーズ」の製作会社として有名である。ルーカス社が手掛けた映画「スターウォーズ」シリーズは、日本においても1978年に公開されてから現在まで、多くの観客に支持され、大人気を博している。
引用商標「DROID(ドロイド)」は、スターウォーズの映画の中で生まれた言葉であり、知性を持つロボットを総称するものである(甲第4号証ないし甲第11号証)。ドロイドは、映画スターウォーズの人気とともに、多くのファンを有しており、おもちゃを初めとするさまざまな商品に使用されている他、ドロイドを題材としたイベントも行われている(甲第20号証及び甲第21号証)。ドロイドは映画スターウォーズシリーズのさまざまなエピソードにおいて登場し、その種類もいろいろあり、「ドロイド」から派生して、「バイオ=ドロイド」、「バトル・ドロイド」、「デストロイヤー・ドロイド」、「バズ・ドロイド」、「PKドロイド」などが代表的なものとして挙げられる(甲第12号証及び甲第19号証)。
以上より、引用商標は、本件商標の国際登録時である平成20年(2008年)3月26日当時において、申立人に係る商品を表示するものとして、既に我が国において著名であった。
(2)本件商標と引用商標の類否
本件商標「biodroid」は、その文字に相応して、「ドロイド」ないし「バイオドロイド」の称呼が生ずる。ここで、構成中の「bio」の文字部分は、生物学を意味する「バイオテクノロジー」の略「バイオ」であり、本件商標の第42類の指定役務との関係においては、識別力は弱いと考えられることから、本件商標の要部は「droid」の部分であり、「ドロイド」と称呼される。
これに対し、引用商標「DROID」からは、その文字に相応して、「ドロイド」の称呼が生ずるものであるから、本願商標の要部「droid」と引用商標とは、「ドロイド」の称呼において共通するものであり、全体としてみれば、本件商標は引用商標に称呼上類似するといわざるを得ない。
また、申立人の使用に係る造語商標「DROID(ドロイド)」の著名性にかんがみれば、本件商標からは、「バイオテクノロジーを駆使したDROID(ドロイド)」との観念を生じさせるから、本件商標は引用商標と観念上も類似し、さらに、本件商標中の「droid」の文字部分は、看者の注意を惹くところであり、引用商標と「DROID」の文字部分を共通にするから、外観上極めて相紛れるおそれがある類似の商標である。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観・称呼・観念上のいずれにおいても類似することは明らかである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似する本件商標が、その指定役務に使用された場合、取引者・需要者をして、その役務が申立人の提供にかかるものであるかのごとく、あるいは、申立人と何等かの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され、出所混同を生ぜしめるおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第7号について
申立人の使用にかかる著名な引用商標と同一・類似の本件商標を、申立人と何ら関係のない他人が自己の役務について商標として採択し使用することは、該名称の著名性にフリーライドするものであり、また、著名商標「DROID」に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあるといわざるをえない。特に、本件商標は著名商標「droid」に、指定役務との関係で識別力の弱い「bio」の語を付加したにすぎないから、当該著名商標に只乗りする意図が容易に見受けられるものであり、本件商標は、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義にも反するものであり、商標制度の趣旨に則しない。
4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、別掲に示すとおり、前半と後半の「bi」及び「id」の部分は文字として判別できるものの、中間の記載については、相当程度図案化されていることから、一見して、特定の文字を想起することはできず、本件商標よりは特定の称呼は生じないものといわなければならない。
してみると、本件商標より「バイオドロイド」あるいは「ドロイド」の称呼を生ずるとし、これを前提に本件商標と引用商標とが称呼において類似するとする申立人の主張は、採用することができない。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の理由は見出せない。
したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
なお、仮に申立人が述べるように、本件商標が「biodroid」の文字からなるものと認識される場合があるとしても、本件商標は、その構成態様からして、一体不可分のものとして認識されるものであって、「バイオドロイド」の称呼のみが生ずるものであるから、引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出する各証拠(甲第4号証ないし甲第21号証)によれば、映画「スターウォーズ」に登場するロボットが「ドロイド」と称され、「パワードロイド」や「バトルドロイド」等さまざまな「ドロイド」が存在し、また、ドロイドが登場するゲームが行われたことは確認できる。
しかしながら、そのゲームの行われた回数は不明であり、また、「ドロイド」なる商標がいかなる商品あるいは役務に使用されているかも明らかでない。
そうとすれば、映画「スターウォーズ」が、我が国において相当程度の人気を博しているものであるとしても、申立人の提出に係る証拠からは、その登場キャラクターを示す引用商標が、本件商標の国際商標登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
その他、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていることを認めるに足る証拠はない。
さらに、前記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない別異の商標であるから、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者・需要者が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
引用商標は、前記のとおり、本件商標の国際商標登録出願時及び登録査定時に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標とは類似するところのない別異の商標であるから、本件商標権者が、引用商標に化体した信用等にただ乗りし、不正の利益を得るために使用する目的で本件商標を出願し、登録を受けたものということはできず、本件商標権者による本件商標の使用が、商取引の信義則に反するものともいえない。
さらに、本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであって、それ自体何ら矯激、卑猥もしくは差別的な印象を与えるものでなく、また、本件商標をその指定役務について使用することが社会公共の利益、一般道徳観念に反するものとすべき事由はなく、かつ、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第7号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2011-01-31 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X3542)
T 1 651・ 22- Y (X3542)
最終処分 維持  
前審関与審査官 水落 洋山田 啓之 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
田中 亨子
登録日 2008-03-26 
権利者 Biodroid Entertainment, Lda.
商標の称呼 バイオドロイド、ビオドロイド 
代理人 黒川 朋也 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 小暮 君平 
代理人 森川 邦子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ