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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X3541 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X3541 |
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管理番号 | 1235099 |
異議申立番号 | 異議2010-900109 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-04-22 |
確定日 | 2011-03-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5296300号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5296300号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5296300号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成20年11月10日に登録出願、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,録音済みCD・録画済みDVD・録音済みCD付きの書籍・録画済みDVD付きの書籍の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第41類「電子出版物の提供,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く),通訳,翻訳,知識の教授(インターネットによるものを含む)」を指定役務として、同21年12月10日に登録査定、同22年1月22日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要点) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、(1)の登録商標を引用し、申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)申立人の引用する商標 申立人が引用する国際登録第895305号商標(以下「引用商標」という。)は、「ANTHONY ROBBINS」の欧文字を書してなり、2006年(平成18年)8月15日に国際商標登録出願、第41類「Educational services, namely, conducting classes and seminars in the fields of financial improvement, personal improvement and sales training.」を指定役務として、同20年5月16日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 (2)商標法第4条第1項第8号について 本件商標は、その構成中に「ANTHONY ROBBINS」及び「アンソニーロビンズ」の文字を顕著に含み、これらの文字は独立して自他商品識別標識として認識されるものである。「ANTHONY ROBBINS」及び「アンソニーロビンズ」の文字は、申立人の代表者であり、かつ、成功哲学、積極的態度、生きがい、集中力、人間的魅力、人間関係、決断力、説得力、思考法等をテーマとする自己啓発の分野の第一人者であり、自己啓発、ビジネス経営等に関する指導教育、助言、セミナー、コンサルティング、これらに関する多数の著書の出版、録音済みCD及び録画済みDVDの制作販売など幅広い分野で事業を営み、本件商標の登録出願時及び査定時において世界的に広く認識されていた米国人のAnthony Robbins氏の氏名及びその音訳に一致する。 本件商標は、上記のとおりのAnthony Robbins氏が実際に販売・提供している商品及び役務と明らかに重複する。 したがって、本件商標に接した者は、構成中の「ANTHONY ROBBINS」及び「アンソニーロビンズ」の文字から著名なAnthony Robbins氏を直ちに想起、連想することが明らかである。さらに、同氏は、本件商標の登録出願について承諾していないから、本件商標の使用により同氏の人格権が毀損される。 (3)商標法第4条第1項第15号について 本件商標は、その構成中に「ANTHONY ROBBINS」と「アンソニーロビンズ」の文字を顕著に含み、これらの各文字はそれぞれが独立して自他商品識別標識として認識されるものである。したがって、本件商標からは、「アンソニーロビンズ]の称呼が生じ、本件商標の指定役務の分野で広く認識されているAnthony Robbins氏の観念が想起、連想される。よって、本件商標は、Anthony Robbins氏の氏名であり、かつ、同氏及び申立人の取り扱いに係る商品及び役務を表示するものとして世界的に広く認識されている「ANTHONY ROBBINS」の文字からなる引用商標と類似する。 本件商標の指定役務は前述のとおりであり、Anthony Robbins氏及び申立人が実際に販売・提供している商品及び役務と同一又は類似し、あるいはこれらと密接に関連するものである。 さらに、本件商標の構成中「ANTHONY ROBBINS JAPAN」及び「アンソニーロビンズジャパン」の文字並びに「ANTHONY ROBBINS JAPAN」の構成語の頭文字をとった「ARJ」の文字は、本件商標の下に提供される役務が、あたかもAnthony Robbins氏及び申立人が承認あるいは設立した日本における営業所・提携先等、同氏及び申立人と経済的又は組織的に密接な関連を有する者によって提供されるものであるかのごとく需要者を誤信させるものである。 本件商標は、Anthony Robbins氏及びその商標「ANTHONY ROBBINS」の著名性にフリーライトし、その出所表示機能を希釈化するものといわざるを得ない。 したがって、本件商標が使用された場合には、Anthony Robbins氏及び同氏が代表者を務める申立人の業務に係る商品及び役務と出所混同を生ずるおそれがあることが明らかである。 (4)商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、引用商標と類似する。また、本件商標は、Anthony Robbins氏の日本における営業所、提携先等の観念を直感させる「ANTHONY ROBBINS JAPAN」及び「アンソニーロビンズジャパン」の文字を包含する。本件商標の登録出願人のカルダーニ ファルハッド氏は、本件商標の登録出願後の2009年6月から9月までの期間において数回にわたり申立人に接触し、申立人との日本における事業提携に関する契約交渉の申し出を行い、不成立に終わったという経緯が存在する。 本件商標の登録出願時におけるAnthony Robbins氏の世界的な名声及び本件商標の指定役務がAnthony Robbins氏及び申立人が実際に販売・提供する商品及び役務と同一又は類似のもの、もしくは、これらと極めて密接にかかわるものであるという事実に照らせば、本件商標は世界的に広く知られている商標「ANTHONY ROBBINS」が我が国では本件商標の指定役務について未登録であることを奇貨として、申立人との日本における代理店契約、事業提携契約等の交渉を強制し、あるいは、そのような交渉において優位な立場を確保すること等を目的として登録出願されたものと推認されるものであり、不正の目的で使用するものといわざるを得ない。 (5)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は引用商標と類似する。また、引用商標の指定役務「第41類 Educational services,namely,conducting classes and seminarsin the fields of financial improvement,personal improvement and sales training.」は、本件商標の指定役務中の「第41類 知識の教授(インターネットによるものを含む)」と同一又は類似のものである。 引用商標は、本件商標の登録出願日前に出願されたものである。 (6)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、世界的に著名なAnthony Robbins氏及び申立人の商品及び役務を表示するものとして広く認識されている商標「ANTHONY ROBBINS」の名声にフリーライドし、「ANTHONY ROBBINS」の表示を同氏の許可なく無断で使用し、その出所表示力を希釈化し、Anthony Robbins氏及び申立人に精神的、経済的損害を与えるものである。また、本件商標の登録出願の経緯には、著名商標「ANTHONY ROBBINS」の国内登録を先取りし、当該登録を利用して申立人との契約交渉、自己の事業運営等を有利に展開せんとする意図が推認される。 したがって、本件商標は、公正な競業秩序、国際信義に反するものであって、公序良俗に違反するものといわざるを得ない。 (7)まとめ したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第15号、同第19号、同第11号及び同第7号に違反してされたものであるから、取り消すべきである。 3 本件商標の取消理由 商標権者に対して通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。 (1)「Anthony Robbins」の氏名の著名性について 申立人の主張及び提出した甲第3号証ないし甲第15号証、甲第18号証、甲第20号証ないし甲第31号証によれば、以下の事実が認められる。 Anthony Robbinsは、現在までの過去30年以上にわたり、リーダーシップ、交渉学、組織改革、自己能力の発揮等の心理学、自己啓発、ビジネス経営等における指導教育などの分野において活動する米国人であること(甲第3号証)。 そして、Anthony Robbinsの活動は、セミナーの開催、コンサルティング(個人指導)の提供、著書や録音済みコンパクトディスク(オーディオブック)・録画済みビデオディスクの制作出版などを通じて行われていること(甲第3号証及び甲第11号証ないし甲第13号証)、同人の出版した著書は、我が国を含む世界14か国語で翻訳され、本件商標の登録出願前までに、多数出版されていること(甲第3号証)、その中でも、1987年(昭和62年)に出版された「Unlimited Power」(邦題「あなたは今の自分と握手できるか」)、1992年(平成4年)に出版された「Awaken the Giant Within」(邦題「小さな自分で満足するな!」)は、世界的ベストセラーとなったこと(甲第9号証及び甲第10号証)、同人の出版した著書、同人の活動に関するコンパクトディスク(オーディオブック)、録画済みビデオディスク、セミナーは、本件商標の登録査定(平成21年12月10日)後においても、インターネットを介して我が国の需要者に紹介されていること(甲第12号証ないし甲第15号証)、さらに、同人は、1993年(平成5年)ころから本件商標の登録査定前である2009年(平成21年)10月ころまでの間、「TIME」、「Newsweek」、「The New York Times」、「Forbes」といった著名な新聞や雑誌に、その活動等が頻繁に紹介されたこと(甲第20号証ないし甲第31号証)。 してみると、Anthony Robbinsは、自己能力の発揮等の心理学、自己啓発、ビジネス経営等における指導教育などの分野において活動する者として、その氏名は、本件商標の登録出願前より、日本を含む世界の主要国において、取引者、需要者の間に広く認識され、その著名性は、本件商標の登録査定時にも継続していたものと判断するのが相当である。 (2)商標法第4条第1項第8号の該当性について 本件商標は、別掲のとおり、欧風の紋章と文字との組み合わせからなり、その構成中、紋章内の上部に表された「ANTHONY ROBBINS」の文字部分は、独立して看者に印象づけられるものである。また、紋章の下に二段に横書きされた「ANTHONY ROBBINS JAPAN」及び「アンソニーロビンズジャパン」の文字は、それらの構成中「JAPAN」及び「ジャパン」の各文字部分が、「『ANTHONY ROBBINS(アンソニーロビンズ)』の日本における活動拠点(あるいは、提携先など)」の意味合いを表したものと理解され、自他役務の識別機能を有しないものといえ「ANTHONY ROBBINS」及び「アンソニーロビンズ」の文字に印象づけられるものといえる。 そして、これらの「ANTHONY ROBBINS」の文字部分は、前記(1)認定とおりAnthony Robbinsの著名な氏名と同一の綴り字からなるものであり、また、「アンソニーロビンズ」の文字部分は、Anthony Robbinsの氏名の片仮名表記ということができる。 したがって、本件商標は、他人(申立人の代表者)の氏名をその構成中に含む商標であって、その者の承諾を得ていないので、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号の該当性について 前記(1)認定のとおり、Anthony Robbinsは、現在までの過去30年以上にわたり、リーダーシップ、交渉学、組織改革、自己能力の発揮等の心理学、自己啓発、ビジネス経営等における指導教育などの分野において活動する者として、日本を含む世界の主要国において著名性を有している。 また、同人は、セミナーの開催、コンサルティング(個人指導)の提供、著書や録音済みコンパクトディスク・(オーディオブック)・録画済みビデオディスクの制作出版などを手掛けている。 そうすると、「Anthony Robbins」の文字(以下「申立人表示」という。)は、同人の業務に係る役務及び商品を表示するものとしても、本件商標の登録出願時には既に、我が国の取引者、需要者の間において広く認識され、その著名性は、本件商標の登録査定時にも継続していたものと認めることができる。 そして、前記(2)認定のとおり、本件商標は、その構成中の「ANTHONY ROBBINS」及び「アンソニーロビンズ」の文字部分が独立して自他役務の識別機能を有するものとして認識されるので、該文字より「アンソニーロビンズ」の称呼及び上述の著名な人名である「Anthony Robbins」の観念を生じるものである。 また、「Anthony Robbins」の文字からなる著名な申立人表示は、「アンソニーロビンズ」の称呼及び上述の著名な人名である「Anthony Robbins」の観念を生じるものである。 そうすると、本件商標と申立人表示とは、「アンソニーロビンズ」の称呼及び上述の著名な人名である「Anthony Robbins」の観念を共通にし、外観においては、本件商標の構成中「Anthony Robbins」の欧文字部分は、申立人表示と綴り字を共通にするものであるから、両者は、類似するものというべきである。 してみれば、本件商標は、これをその指定役務について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、申立人表示を連想又は想起させ、該役務がAnthony Robbins又は申立人等同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反してされたものというべきである。 4 商標権者の意見 商標権者は、上記3の取消理由に対して、指定した期間を経過するも、何ら意見を述べていない。 5 当審の判断 上記3の取消理由は、妥当なものと認められる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (色彩については、原本参照) |
異議決定日 | 2011-02-09 |
出願番号 | 商願2008-91011(T2008-91011) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(X3541)
T 1 651・ 23- Z (X3541) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 津金 純子、瀬戸 俊晶 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 瀧本 佐代子 |
登録日 | 2010-01-22 |
登録番号 | 商標登録第5296300号(T5296300) |
権利者 | カルダーニ ファルハッド |
商標の称呼 | アンソニーロビンズジャパンリーダーズクリエートチェンジ、アンソニーロビンズジャパン、アンソニーロビンズ、アンソニー、アントニー、ロビンズ、ロビンス、リーダーズクリエートチェンジ、エイアアルジェイ、ステップアップ |
代理人 | 佐久間 剛 |
代理人 | 下山 冨士男 |
代理人 | 中熊 眞由美 |
代理人 | 柳田 征史 |