ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X09 審判 全部申立て 登録を維持 X09 |
---|---|
管理番号 | 1235084 |
異議申立番号 | 異議2010-900283 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-09-08 |
確定日 | 2011-04-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5328908号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5328908号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5328908号商標(以下「本件商標」という。)は、「GREEN SENSOR」の文字を標準文字で表してなり、平成21年4月21日に登録出願、第9類「流量センサ,二酸化炭素排出量検出センサ,照度センサ,電力量センサ,埃・塵などの粗粒子検知センサ,静電気帯電量検出センサ,圧力センサ,振動センサ,速度センサ,加速度センサ」を指定商品として、平成22年4月19日登録査定、同年6月11日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要旨) 本件商標は、「GREEN SENSOR」の欧文字を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものであるから、指定商品中、「自然環境の保護に関する流量センサ、自然環境の保護に関する二酸化炭素排出量検出センサ」等に使用しても、商品の品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。 また、本件商標を該商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。 したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲第2号証ないし甲第10号証によれば、「グリーン(green)」の語は、「緑、緑色、芝生」等の意味を有するほか、「自然環境の保護に関する意」を表す語として、例えば、「グリーン・ケミストリー(自然環境を保護し持続可能な社会を構築するための科学技術)」、「グリーン・インベスター(投資にあたって、環境問題を重視する投資家)」、「クリーンアンドグリーン(「きれいで緑」という意味の環境保護用標語)」などのように、他の語と結合して使用されていること(甲第2?4号証)、非接触で運動する物体の位置や回転速度などの検出ができる磁気センサは、動力の制御とその省エネルギー技術の構築に必須なセンサであり、磁気センサを応用する技術は、地球環境を持続的に維持する上で重要視され、この観点から、「グリーンセンサ」とも呼ばれ、センサ関連の電気・電子機械器具の分野においては、2004年(平成16年)の初めころから本件商標の登録査定日(平成22年4月19日)以降に至るまで、磁気センサの応用技術等に関するセミナーが開催されていたこと(甲第5?8号証)、経済産業省が平成22年8月に公表した「平成23年度経済産業政策の重点」には、「新成長戦略実現アクション100」が掲げられ、そのうちの一つである「グリーン・イノベーション技術開発の重点化・加速化」(action21)には、「グリーンセンサ統合制御システム実証プロジェクト」があり、該プロジェクトの目的は、「自立電源・無線通信・メンテナンスフリーのエネルギー制御MEMSセンサネットワークを、商業ビルや工場等に幅広く導入するシステムを確立する。」というものであって、上記経済産業省の施策に基づき、平成23年度から「小型のMEMSセンサ」等の研究開発が実施されること(甲第9、10号証)、などを認めることができる。 (2)前記1のとおり、本件商標は、「GREEN SENSOR」の文字を標準文字で表してなり、その指定商品を第9類「流量センサ,二酸化炭素排出量検出センサ,照度センサ,電力量センサ,埃・塵などの粗粒子検知センサ,静電気帯電量検出センサ,圧力センサ,振動センサ,速度センサ,加速度センサ」とするものである。 しかるところ、以下の理由により、本件商標が、その登録査定時において、その指定商品の品質を表示するものとして普通に使用されていたものと認めることはできない。 すなわち、磁気センサを応用する技術は、地球環境を持続的に維持する上で重要視され、この観点から、磁気センサが「グリーンセンサ」とも呼ばれていることは認め得るとしても、申立人の提出した証拠によっては、磁気センサと本件商標の指定商品との間の具体的な関連性が見出せない。 また、経済産業省が平成22年8月に公表した「平成23年度経済産業政策の重点」中の「グリーンセンサ統合制御システム実証プロジェクト」において、平成23年度から研究開発が実施される「小型で低コストのMEMSセンサ」について、具体的な商品が未だ特定されておらず、したがって、本件商標の指定商品との間に、いかなる関連性を有するものであるか判然としない。 上記の状況よりすれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質を具体的、かつ、直接的に表示するものとみることはできない。 仮に「グリーンセンサ」の語が、エネルギー消費量や二酸化炭素排出量の把握(見える化)等を行うことにより、電力等を節約し、省エネルギーによって環境保護につながるセンサを総称的にいうものであると解した場合においても、申立人の提出した証拠によっては、本件商標の登録査定日である平成22年4月19日の時点において、「GREEN SENSOR」(グリーンセンサ)の語が、上記意味合いを有するものとして、取引者、需要者の間に相当程度知られ、本件商標の指定商品の品質等を表示するためのものとして普通に使用された結果、これに接する取引者、需要者が、直ちに商品の品質等を表示し、自他商品の識別機能を有しない語として認識していたとまで認めることはできない。 その他、本件商標が、その指定商品の品質等を表示するためのものとして、本件商標の登録査定時に、我が国において、取引上普通に使用されていたと認めるに足りる証拠は見出せない。 以上によれば、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標より「緑のセンサ」なる極めて曖昧な意味合いを想起する場合があるとしても、これが商品の品質等を具体的、かつ、直接的に表示する語でない以上、本願商標は、特定の品質を表したものというよりは、造語を表したと認識するものというのが相当である。 したがって、本件商標は、その指定商品のいずれについて使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない商標といわなければならない。 (3)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2011-03-29 |
出願番号 | 商願2009-30009(T2009-30009) |
審決分類 |
T
1
651・
272-
Y
(X09)
T 1 651・ 13- Y (X09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鈴木 斎 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 井出 英一郎 |
登録日 | 2010-06-11 |
登録番号 | 商標登録第5328908号(T5328908) |
権利者 | オムロン株式会社 |
商標の称呼 | グリーンセンサー |
代理人 | 福島 三雄 |