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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X05
審判 一部申立て  登録を維持 X05
管理番号 1235058 
異議申立番号 異議2010-900223 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-07-30 
確定日 2011-04-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5318840号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5318840号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5318840号商標(以下「本件商標」という。)は、「アルコピュア」の文字を標準文字で表してなり、平成21年7月1日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」を指定商品として、同22年3月3日に登録査定され、同年4月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定商品中「薬剤」について、その登録が取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)引用商標
申立人の引用する登録第4585634号商標(以下「引用商標」という。)は、「アルコン」の片仮名と「ALCON」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成12年4月28日登録出願、第5類「コンタクトレンズ用洗浄・殺菌消毒・保存剤,眼科用剤,耳鼻科用剤,その他の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」を指定商品として、同14年7月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標中の「ピュア」の文字部分は、「純粋な、混じりけのない」又は「清い、きれいな、よごれていない」を意味する英語の片仮名表記として我が国においては広く理解されているものである。そして、本件商標の指定商品をみると、その全てが身体の衛生を保つことを目的として用いられる商品であり、これらとの関係においては、本件商標中の「ピュア」の語は、上記の意味をもって商品の品質等を表示するにすぎない部分であるから、本件商標中の「ピュア」の文字部分については、これに接した取引者・需要者は直ちに商品の品質等を表示するものとして理解するにとどまるのである。このことから、本件商標中の「ピュア」の文字部分は、自他商品等識別機能を有さないか、有していたとしても極めて弱いことが明らかであるので、本件商標中のその他の部分、すなわち、「アルコ」の文字部分を、本件商標に接する取引者・需要者は自他商品等識別機能を有するものとみて、これより生じる「アルコ」の称呼をもって商品の取引に当たる場合が極めて多いと考えるのが自然である。
これに対し、引用商標からは、該文字に応じて「アルコン」の称呼が生じることは明らかである。
そこで、本件商標から一般に生じる称呼「アルコ」と、引用商標から生じる称呼「アルコン」とを比較する。これらの称呼は、称呼の識別上極めて重要な要素である語頭音の「ア」をはじめ、それに続く「ル」及び「コ」の各音を共通にしている。これらの称呼のうち、差異がみられるのはわずかに語尾における「ン」の音の有無のみである。しかも、この「ン」の音は、有気の気息を鼻から漏らして発する鼻音であり、元来聴別しづらい弱音である。その上、この弱音「ン」は、語尾に位置しているために、発音されないか、発音されたとしても聴別できない程度の弱い音にしかならない。つまり、語尾に位置する「ン」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は大きいものとはいえない。このようであるので、上記称呼は、全体の音感音調が近似したものとなり相紛らわしく、称呼上類似するものである。
また、指定商品についてみても、本件商標及び引用商標は、同一又は類似の指定商品を指定している。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であることは明らかであるので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、1945年にアメリカ合衆国テキサス州のフォーワースにおいて創立者のロバートアレクサンダーとウィリアムコンナーとが開業した薬局が後に法人組織へと発展し、医薬品、コンタクトレンズ関連製品、医療用機械器具等の研究開発や販売を主に多方面において営業活動を行っている法人である。また、申立人の営業活動地域としては、現在、180力国を超えており、そのうち約75力国においては自社の事業所を有する形での企業活動を行っている。その中には当然ながら日本を含んでいる。
引用商標は、申立人であるアルコンインコーポレイテッドの名称の略称であると同時に、申立人が有する複数のハウスマークのうちのひとつである。引用商標は、薬剤、コンタクトレンズ関連用品及び手術用機械器具などの各分野における申立人の長年にわたる不断の営業努力により、申立人を表示するものとして、少なくとも本件商標の登録出願日の時点及び査定時のいずれの時点においても、我が国において周知性を獲得していたものである。
以上の状況の下、本件商標がその指定商品中の「薬剤」について使用されたとすると、これに接した取引者、需要者は引用商標を連想・想起し、当該商品が申立人あるいは申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認、混同するおそれがある。
よって、本件商標は商標法4条第1項第15号に反して登録されたものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「アルコピュア」の片仮名よりなるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で一連一体に書されているものであって、外観上も極めてまとまりのよいものであり、また、これより生ずるものと認められる「アルコピュア」の称呼も冗長でなく無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、たとえ、構成中後段部の「ピュア」の文字部分が「純粋な、混じりけのない」の意味を有する外来語として親しまれ、クリーンな純粋さや清潔感を表現するために該語を含む商標が採択されやすい事情があるとしても、かかる構成にあっては、構成文字全体をもって一体不可分の構成からなる造語を表したものと認識し把握されるとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、該構成全体に相応して「アルコピュア」の称呼のみを生ずるものであって、単に「アルコ」の称呼が生ずることはないといわなければならない。
イ 引用商標について
引用商標は、前記2(1)のとおりの構成よりなるものであるところ、上段の「アルコン」の片仮名が下段の「ALCON」の欧文字の表音を表したものと無理なく看取し得るものであるから、これよりは「アルコン」の称呼のみを生じるものであり、特定の観念を有しない造語を表したものであるというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標より生ずる「アルコピュア」の称呼と引用商標より生ずる「アルコン」の称呼について比較するに、両者は、構成音数を異にし、共通する「アルコ」に「ピュア」を伴うか撥音「ン」を伴うかの明確な相違があるから、それぞれを一連に称呼しても、称呼上十分区別し得るものである。
また、両商標は、それぞれ前記の構成よりなるものであるから、外観上、十分に区別し得る差異を有するものであり、さらに、共に特定の観念を想起し得ない造語と認められるから、観念について比較することができない。
そして、その他、本件商標と引用商標とを類似するものとする特段の事情は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れることのない非類似の商標といわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る甲第20号証ないし甲第29号証によれば、「ソフトコンタクトレンズのケア商品」を始めとした「薬剤」等について「アルコン」、「ALCON」又は「Alcon」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が使用されていることが認められる。そして、使用商標は、引用商標の「薬剤」等についての使用と認められるところ、前記(1)のとおり、本件商標と引用商標とが十分に区別し得る別異の商標というべきものであると同様に、本件商標と使用商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点からみても全く異なるものである。
そうすると、仮に、使用商標が商品「薬剤」、特に「ソフトコンタクトレンズのケア商品」に使用され、需要者の間で広く認識されていたとしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者をして、使用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないと判断するのが相当である。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、申立てに係る指定商品「薬剤」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-03-18 
出願番号 商願2009-49685(T2009-49685) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (X05)
T 1 652・ 262- Y (X05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀内 真一目黒 潤 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
酒井 福造
登録日 2010-04-23 
登録番号 商標登録第5318840号(T5318840) 
権利者 サンケミファ株式会社
商標の称呼 アルコピュア 
代理人 加藤 和詳 
代理人 中島 淳 
代理人 特許業務法人山田特許事務所 
代理人 西元 勝一 

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