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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X12 審判 全部申立て 登録を維持 X12 |
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管理番号 | 1235052 |
異議申立番号 | 異議2010-900215 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-07-26 |
確定日 | 2011-03-30 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5317058号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5317058号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5317058号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成21年10月29日に登録出願され、第12類「スクーター(乗物),二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、同22年3月26日に登録査定、同年4月16日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、以下の(1)及び(2)の登録商標を引用し、また、同第15号に該当するとして、以下の(3)の登録商標を引用している。 (1)引用商標1 登録第4413288号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Gショック」及び「G-SHOCK」の文字を上下二段に横書してなり、平成10年8月3日に登録出願、 第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を含む、第1類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同12年9月1日に設定登録、その後、平成22年9月7日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 (2)引用商標2 登録第5192026号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ジーショック」及び「G-SHOCK」の文字を上下二段に横書してなり、平成19年3月30日に登録出願、第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を含む、第1類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、 同20年12月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (3)引用商標3 登録第2424099号商標(以下「引用商標3」という。)は、「G-SHOCK」の文字を横書してなり、昭和60年9月24日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、 平成4年6月30日に設定登録、その後、平成14年6月11日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、平成15年12月17日に第9類「眼鏡」及び第14類「時計」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 (1)商標法第4条第1項第11号の該当性について ア 本件商標 本件商標は、ローマ文字の大文字で「S SHOCK」と横書きされてなり、その構成から「エスショツク」の自然的称呼が生じるものである。 イ 引用商標 引用商標1及び引用商標2は、その構成から、いずれも「ジーショック」の自然的称呼が生じるものである。 また,引用商標1及び引用商標2は、本件商標の先願先登録商標であり、その指定商品として一部に「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を有するものであって、本件商標の指定商品である「スクーター(乗物),二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び付属品」とは同一又は類似の商品である。 ウ 引用商標に係る「G-SHOCK」の著名性等 引用商標に係る「G-SHOCK」は、1983年以来申立人が「耐衝撃性腕時計」として20年以上にわたって使用し、周知・著名性を得るに至ったものである。 申立人は、1983年4月に引用商標に係る「Gショック」「G-SHOCK」商標を腕時計に付して発売し、1991年には国内3万本、1993年には国内50万本、1996年には国内100万本と急上昇し、新機種の販売は、大々的に宣伝広告すると共に次々に各新聞、雑誌にも報道・紹介され販売高も上昇したことによって、異常な人気となり、その人気は今日に至るまで継続しており、2009年には全世界における販売累計本数が5000万本という驚異の数値に達したものであること(甲7、甲8)などから、「G-SHOCK」商標の周知・著名性は明らかである。 また、引用商標に係る「G-SHOCK」は、腕時計として、多種多様なバリエーションが存在し、そのバリエーションの1つとして、時間計測機能が必要不可欠なモータースポーツ関連においても、そのコラボモデルが存在し、時計関連の販売店のみならず、「二輪自動車」の販売店や、ネットショップにおいても関連品として販売されている(甲13ないし甲15)。申立人は、腕時計の最重要機能である時間計測機能に密接不可分なモータースポーツの腕時計との深い結びつきに着目して、「G-SHOCK」ブランドの周知・著名性が本件商標の指定商品「第12類(国際分類第9版) スクーター(乗物)、二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び付属品」にも及ぶことを主張しているものであり、二輪自動車の使用に適した「G-SHOCK」を多く市場に送りだしている(甲16の1ないし4)。 申立人は、「G-SHOCK」ブランドをサングラス、デジタルカメラ、携帯電話にも使用している(甲17の1ないし3)。 したがって、引用商標に係る「G-SHOCK」ブランドの周知・著名性は、腕時計に留まるものではなく、腕時計の本質的機能からくる二輪自動車との密接不可分な関係、さらには、多種の物品を横断するブランドであることにかんがみ、本件商標の指定商品「第12類 スクーター(乗物)、二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び付属品」においても、同様に周知・著名性を備えるものである。 エ 本件商標と引用商標の類否判断 商標「G-SHOCK」については、その圧倒的な周知・著名性を考慮すると、語頭部分をローマ文字の「G」にした「G-SHOCK」のみにおいて認識されるものではなく、著名商標「G-SHOCK」の類似範囲又は出所の混同を生じる範囲には、語頭部分を「G」の語以外とした「(ローマ文字一字)SHOCK」も含まれるものであることが明白である。 本件商標は、前述の如く、ローマ文字の大文字で「S HOCK」と横書きされてなり、その構成中の語頭における「S」の字が図案化されて各部が尖って構成されているものである。 そうとすると、本件商標と引用商標に係る「G-SHOCK」とでは、本件商標の構成中の語頭の「S」に係る部分と引用商標に係る語頭部分のエンブレムとなる「G」マークの躍動感ある印象及びその構成が近似しており、また、引用商標に係る「G-SHOCK」ブランドの多種の物品に跨る圧倒的な周知・著名性、さらには、本件商標及び引用商標ともに、主要な構成要素と認められる「SHOCK」の文字にローマ文字の1字を結合したものという外観上及び観念上の共通性を有する点を考慮すると、両商標は類似するものと判断される。 したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、類似の商標であり、かつ、その指定商品は同一若しくは類似するものである。 (2)商標法第4条第1項第15号の該当性について ア 引用商標 申立人の所有する引用商標3は、その構成から「ジーショック」の自然的称呼が生じるものである。 イ 引用商標「G-SHOCK」の周知・著名性 引用商標3に係る「G-SHOCK」の周知・著名性については、前述のとおりである。 ウ 本件商標の指定商品と「腕時計」との関連性 本件商標の指定商品である「スクーター(乗物),二輸自動車・自転車並びにそれらの部品並びに付属品」と「G-SHOCK」に係る「腕時計」とは、後者が「アウトドアウォッチ」又は「スポーツウォッチ」等と呼ばれ、「二輪自動車、自転車」によるアウトドアスポーツにおいては、衝撃・振動に強い多機能なスポーツウオッチ、アウトドアウォッチを選択し着用することが多いことから、本件商標の指定商品と引用商標3の付された「腕時計」とは互いに何らの関係のない商品とはいえず、需要者層を同じくするものであり、引用商標3の著名性が本件商標の指定商品にまで及んでいる。 そのため、本件商標に係る指定商品と引用商標3に係る商品「腕時計」の密接な関連性の存在が明白である。 してみれば、本件商標をその指定商品について使用したときは、引用商標3「G-SHOCK」の所有者であるカシオ計算機株式会社と何らかの経済的又は組織的に関係がある商品であると誤認し、出所の混同を生じるおそれがあること明白である。 エ したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標である (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当する商標であり、その登録は取り消されるべきものである 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号の該当性について 本件商標は、別掲のとおり、右上から左下に稲妻が走るように緑色で濃淡をまだらに彩色した「稲妻形」の図形を配し、その右側に、左端の文字を濃い水色に彩色し右に進むにつれて薄い水色になるように彩色した「SHOCK」の欧文字を横書きし、図形の下部中央から各文字の下部に緑色の下線を配した構成よりなるものであって、全体としてまとまりよく表されているものである。 そして、本件商標は、その構成中の図形部分が稲妻形の図形としてのみ看取されるものであって、これからは特定の称呼及び観念を生ずることはないというのが相当である。また、構成中の「SHOCK」の文字部分は、我が国において「衝撃」などの意味を有する英語として広く知られた語であるから、本件商標は、該「SHOCK」の文字に相応して「ショック」の称呼を生じ、「衝撃」の観念を生じるものである。 一方、引用商標1は、「Gショック」及び「G-SHOCK」の文字を上下二段に横書してなり、引用商標2は、「ジーショック」及び「G-SHOCK」の文字を上下二段に横書してなるものであるところ、引用商標1及び引用商標2は、「Gショック」「G-SHOCK」及び「ジーショック」の語がいずれも特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、引用商標1及び引用商標2は、その構成文字に相応して、いずれも「ジーショック」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 そこで、本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否を検討するに、外観については、両者は、図形の有無及びその文字構成において明確な差異を有するものであるから、外観上判然と区別し得るものである。 称呼については、本件商標より生ずる「ショック」の称呼と引用商標1及び引用商標2より生ずる「ジーショック」の称呼とを対比すると、両者は、その構成音数が3音と5音との比較的短い音構成において、称呼の識別上重要な判断要素を占める語頭において「ジー」の音の有無の差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、音感、音調が異なり明確に聴別できるものである。 観念については、本件商標からは「衝撃」の観念を生じ、引用商標1及び引用商標2からは特定の観念は生じないものであるから、観念において比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 なお、申立人は、本件商標は、ローマ文字の大文字で「S SHOCK」と横書きしてなり、その構成から「エスショツク」の自然的称呼が生じる旨主張する。 しかしながら、本件商標の図形部分は、「稲妻形」の図形というべき構成態様であって、欧文字の「S」を想起、連想しないものであるから、この申立人の主張は、採用できない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号の該当性について ア 本件商標と引用商標3との類否について 本件商標は、前記(1)のとおり、緑色で濃淡をまだらに彩色した「稲妻形」の図形及び「SHOCK」の欧文字を結合してなるところ、これよりは、該「SHOCK」の文字に相応して「ショック」の称呼を生じ、「衝撃」の観念を生じるものである。 引用商標3は、「G-SHOCK」の文字を横書してなるものであるところ、これらを構成する文字は、同書、同大でまとまりよく一体に表されているものである。そして、該「G-SHOCK」の文字は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、引用商標3は、その構成文字に相応して、「ジーショック」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 そこで、本件商標と引用商標3との類否を検討するに、外観については、両者は、図形の有無及びその文字構成において明確な差異を有するものであるから、外観上判然と区別し得るものである。 称呼については、本件商標より生ずる「ショック」の称呼と引用商標3より生ずる「ジーショック」の称呼とを対比すると、両者は、その構成音数が3音と5音との比較的短い音構成において、称呼の識別上重要な判断要素を占める語頭において「ジー」の音の有無の差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、音感、音調が異なり明確に聴別できるものである。 観念については、本件商標からは「衝撃」の観念を生じ、引用商標3からは特定の観念は生じないものであるから、観念において比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものというべきものである。 イ 引用商標3の使用商品「腕時計」との関係について 申立人は、「G-SHOCK」ブランドの腕時計にコラボモデルが存在し、それらコラボモデルは、時計関連の販売店、ネットショップ等で販売されるのみならず、本件商標に係る「二輪自動車」の販売店や、ネットショップにおいても関連品として販売されているものであり、腕時計と二輪自動車等の密接な関連が明らかである旨を主張する。 しかしながら、コラボモデルの腕時計が「二輪自動車」の販売店や、ネットショップにおいて販売されているとしても、それは一般的、恒常的なものではなく、一時的なコラボモデルの腕時計の販売をもって、本件商標の指定商品と腕時計の需要者層が同じであるとはいえないし、密接な関連性のある商品ともいえないものである。よって、申立人の主張は採用できない。 ウ 出所の混同のおそれについて 本件商標と引用商標3とは、別異の商標と認識されるものであり、本件商標の指定商品と腕時計との需要者が常に重複するものではなく、また本件商標の指定商品と腕時計との商品関係が一般的、恒常的に密接な関係有する商品とまではいえないものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人が「腕時計」に使用する引用商標3が著名であったとしても、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、申立人の業務に係る商品に係るものであると誤認されるおそれがある商標とはいえず、また、当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤認されるおそれがある商標ともいえないものである。 エ まとめ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものということはできない。 (3)結論 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別 掲(本件商標) (色彩については原本参照。) |
異議決定日 | 2011-02-24 |
出願番号 | 商願2009-81838(T2009-81838) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X12)
T 1 651・ 26- Y (X12) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一、古森 美和 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 井出 英一郎 |
登録日 | 2010-04-16 |
登録番号 | 商標登録第5317058号(T5317058) |
権利者 | 山口 嘉一 |
商標の称呼 | ショック、エス、エスショック |
代理人 | 笹川 拓 |
代理人 | 羽切 正治 |
代理人 | 小野 友彰 |
代理人 | 仲村 圭代 |