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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X25
審判 一部申立て  登録を維持 X25
審判 一部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1235034 
異議申立番号 異議2010-900155 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-06-03 
確定日 2011-03-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5306813号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5306813号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5306813号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成21年9月29日に登録出願、第25類及び第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年2月12日に登録査定され、同年3月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第3条第1項柱書
本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、会社目的には、「紳士服の縫製加工の下請及び販売並びに輸出入」なる記載はあるものの(甲第2号証)、実際の業務は、「不動産賃貸管理」であり(甲第3号証)、本件商標の指定商品である第25類に属する商品ついての業務を行っていない。
したがって、本件商標は、少なくともその指定商品である第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」については、商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品について使用をする商標」に該当しないものである。
(2)商標法第4条第1項第11号
本件商標は、欧文字「C」の中に縦に棒状の図形を描いた図形からなるものであり、次のアないしウの登録商標(いずれもその商標権は、現に有効に存続している。)と外観上類似する商標であって、同一又は類似の指定商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
ア 登録第1286289号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和48年7月5日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年7月20日に設定登録され、その後、平成19年12月26日に指定商品を第20類、第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。
イ 登録第1456098号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、昭和50年1月17日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同56年2月27日に設定登録され、その後、平成13年9月19日に指定商品を第10類、第16類、第17類、第20類ないし第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。
ウ 登録第4057070号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成からなり、平成5年12月2日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年9月19日に設定登録されたものである。
(なお、引用商標1ないし3をまとめていうときは、以下「引用商標」という。)
(3)商標法第4条第1項第19号
本件商標権者の代表取締役である西山匡之(甲第2号証)は、大阪市中央区に存する「ニスクジャパン株式会社」(以下「ニスクジャパン」という。)の代表取締役も兼ねており(甲第7号証の2)、本件商標権者とニスクジャパンは、実質的には同一会社又は関連会社と認められる(甲第7号証の3)。すなわち、甲第7号証の3は、ニスクジャパンの書簡であるが、その中に「弊社所有の商標登録第53306813号・Cと菱形を組み合わせた図形」との記載(登録第53306813号は登録第5306813号の誤記と思われる。)があることから明らかである。
そして、本件商標権者は、ニスクジャパンの名のもとに、少なくとも平成20年1月ころ、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の所有する引用商標及び我が国においても申立人の商標として広く認識されている「Champion」の文字を付したベンチコート(通告書では「紳士ジャケット」と記載)を販売し(甲第8号証の1ないし5)、引用商標の商標権を侵害した(甲第7号証の1)。その後、平成22年1月ころには、上記ベンチコートに使用した商標と同じ商標を使用したTシャツ(通告書では「パーカー」と記載)を販売し(甲第9号証)、引用商標の商標権を侵害しているにもかかわらず、ニスクジャパンは、本件商標を所有しているとして前記侵害を正当化しようとしている(甲第7号証の3)。
したがって、引用商標に類似する本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」について、商標法第3条第1項柱書き、同法第4条第1項第11号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書について
商標法第3条第1項柱書にいう「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」として登録を受けられる商標は、現に使用をしている商標だけでなく、使用をする意思があり、かつ、近い将来において使用をする予定のある商標も含まれると解される。
そこで、本件商標についてみると、本件商標の登録査定時に、本件商標権者が本件審判請求に係る指定商品について本件商標を現に使用をしている又は使用をする予定があることについて、格別に合理的疑義があったものとはいえないし、また、使用をしている又は使用をする予定があることを否定し得るに足る証拠の提出もない。
したがって、本件商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 外観
本件商標は、別掲(1)のとおり、両端が先細りとなった欧文字の「C」状図形を黒色の太い線で表し、該「C」状図形の内部には、中央やや左寄りに、菱形を想起させる左右の中央部に突起のある黒色の太い縦線を配し、かつ、これら図形を構成する黒色の太い線の外周に近い内側部分に、細い白線を施したごとき構成からなるものである。そして、本件商標は、構成全体として、欧文字の「C」状図形とその内部に配した菱形状太線との組み合わせからなる図形として、看者に印象付けられるというのが相当である。
これに対して、引用商標1は、別掲(2)のとおり、両端が先細りとなった欧文字の「C」状図形とその内部の中央に配した極太の縦線の外輪郭を黒色の線で表し、「C」状図形の内部の左側部分を半円状に黒色で塗りつぶした構成からなるものであって、外輪郭で表された特異な形状とその内部の半円状の黒色図形に印象づけられるものといえる。また、引用商標2は、別掲(3)のとおり、両端が先細りとなった欧文字の「C」状図形とその内部の中央に配した極太の縦線を黒色で表したものであって、構成全体が簡潔な抽象図形を表したものと印象づけられるものといえる。さらに、引用商標3は、別掲(4)のとおり、両端が先細りとなった欧文字の「C」状図形とその内部の中央に配した極太の縦線を青色で表し、「C」状図形の内部の左側部分を半円状に赤色で塗りつぶした構成からなるものであって、青色の「C」状図形とその内部の極太の縦線及び「C」状図形の内部の半円状の赤色の図形の特異な形状及び配色に印象づけられるものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標は、いずれも両端が先細りとなった欧文字の「C」状図形とその内部に配した縦線が共通するものの、看者の注意を強く引く「C」状図形の内部に配された縦線の形状、位置、太さ等において著しく相違するものであり、また、引用商標1及び3にあっては、上記相違点に加え、その「C」状図形の内部の左側部分が黒色及び赤色で半円状に塗りつぶされている点においても、本件商標と大きく相違するものである。したがって、本件商標と引用商標は、その構成全体が看者に与える印象において大きく異なるというのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標は、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはないものというべきである。
イ 称呼及び観念
本件商標と引用商標は、いずれも特定の称呼及び観念は生じないものといえるから、称呼及び観念においては比較することができない。
ウ 以上によれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものと認めることはできない。
(3)商標法第4条第1項第19号
申立人は、本件商標権者は引用商標及び我が国においても申立人の商標として広く認識されている「Champion」の文字を付した商品を販売し、引用商標の商標権を侵害したにもかかわらず、本件商標を所有していることをもって、上記侵害行為を正当化しようとするものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する旨主張する。
しかし、本件商標と引用商標とが、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であることは、前記(2)認定のとおりであり、また、申立人の提出した証拠によっては、本件商標権者が引用商標等の著名性にただ乗りするなど、不正の目的をもって本件商標を採択したと認めることはできない。
そうすると、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものと認めることはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」について、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備せずにされたものでなく、また、同法第4条第1項第11号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(2)引用商標1

(3)引用商標2

(4)引用商標3

(色彩については原本参照)



異議決定日 2011-03-08 
出願番号 商願2009-73753(T2009-73753) 
審決分類 T 1 652・ 26- Y (X25)
T 1 652・ 222- Y (X25)
T 1 652・ 18- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2010-03-05 
登録番号 商標登録第5306813号(T5306813) 
権利者 西山産業株式会社
代理人 ウォーレン ジー シミオール 

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