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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X41
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X41
管理番号 1234984 
審判番号 不服2009-20837 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-28 
確定日 2011-03-30 
事件の表示 商願2007-127524拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「サウンドセラピー」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」を指定役務として、平成19年12月26日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、『音、音響』等の意味を有する『サウンド』の文字と『治療。療法。薬品や手術を用いないものをいう。』を意味する『セラピー』の文字とを結合して『サウンドセラピー』と標準文字で表してなり、構成全体として『音、音響を用いた(手段とする)治療、療法』の意味合いを容易に理解させるものであり、『サウンドセラピー』の語は、前記の意味合いで一般に使用されているから、これをその指定役務中『サウンドセラピーに関連する役務』、例えば、『サウンドセラピーのための音楽の演奏の興行の企画又は運営・音楽の演奏・ビデオの制作・施設の提供』等について使用するときは、単に役務の質(内容)、効能、用途を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「サウンドセラピー」の文字からなるところ、その構成中の「サウンド」は、「音。音響。」を意味し、「セラピー」は、「治療。療法。薬品や手術を用いないものをいう。テラピー。」(いずれも広辞苑第六版)を意味する語として良く知られて語であり、これらの文字を結合したと容易に認識し得る「サウンドセラピー」の文字は、それぞれの文字の意味から、構成全体として、「音、音響を用いた治療、療法」のような意味合いを容易に認識させるものである。
そして、実際に「サウンドセラピー」の語は、心理療法や「ヒーリング(治療。特に、心の病や疲れを癒いやすこと。いやし。)」(広辞苑第六版)を目的とするコンサート活動等の場において、実際に使用されていることが、拒絶理由で示した証拠(別掲1)の他、査定で示した証拠(別掲2)や別掲3に掲げる証拠からも認められるものである。
してみれば、本願商標「サウンドセラピー」をその指定役務中「音、音響を用いた治療、療法に関連する役務」、すなわち、音、音響を用いた治療を目的とする「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」について使用するときは、本願商標に接する需要者等は、「音、音響を用いた治療を目的とする心理療法やヒーリングを目的とした役務」であることを理解するにとどまるものといえ、本願商標は、単に役務の内容、質を表示したにすぎないものであり、かつ、前記に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ない。

2 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
ア 請求人は、「本願商標は、音、音響を用いた(手段とする)治療、療法の意味合いで一般に使用されている旨を拒絶理由で述べ、『サウンドセラピー』の文字が、前記の意味合いで使用されている実情もある旨、原査定で述べ、参考として『サウンドセラピー』の語句を含む新聞記事を紹介している。確かに、新聞記事中に『サウンドセラピー』の語句が含まれているが、その記事中『サウンドセラピー』の内容は、音楽を聴くのか、単に音(例えば、波の音)を聞くのか、音楽であればジャンルは何か、等全く不明であって、その内容が明確とはいえない。してみれば、本願商標『サウンドセラピー』から生じる意味合いは、明確ではないから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。」旨主張する。

しかしながら、前記1で認定したとおり、「サウンドセラピー」は構成全体として「音、音響を用いた治療、療法」の意味合いを容易に理解させるものであり、新聞記事情報やインターネット検索情報から、「心理療法」や「ヒーリング」を目的としたコンサート等において、「サウンドセラピー」の語が使用されている事実が見受けられることからすると、「サウンドセラピー」と称するコンサートにおいて、音楽のジャンルが明確ではないとしても、需要者等は、そのコンサートが、「音、音響を用いた療法」を目的としたものであることを容易に理解するものといえ、かつ、実際に、請求人以外の者が、役務「音楽の演奏の興行の企画又は運営・音楽の演奏」について、「サウンドセラピー」の語を使用している事実があることから、本願商標を前記指定役務について、請求人に独占的に使用させることが適当ではないと認定し得るものである。
よって、請求人の上記主張は、採用することができない。

イ 請求人は、「『セラピー(テラピー)』の文字を含む過去の登録例からすれば、本願商標も登録されるべきである。」旨主張する。

しかしながら、出願された商標の登録の適否の判断は、その案件毎に行うものであり、過去の登録例等にに拘束されるべき事情はない。
さらに、該登録例等は、商標の構成態様や指定役務等において、必ずしも、本願とは事案を同じくするものといえず、該登録例等の存在のみをもって、本願商標の登録の適否の判断基準とするのは必ずしも適切とはいえない。
よって、請求人のかかる主張も採用することができない。

ウ その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

3 まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 拒絶理由で示した「サウンドセラピー」の使用の事実
(1)「北国・富山新聞」(2008年6月18日付け、朝刊)
「癒やしの音色でリラックスを クリスタルボウルの体験講座 北國新聞文化センター」の見出しの下、「『クリスタルボウルサウンドセラピー』無料体験は十七日、金沢市松島町のテルメ金沢ラグゼで行われ、講師を務めたクリスタルボウルサウンドセラピストの寺井美紀さんが奏でる幻想的な音色に、参加者は心を落ち着かせた。クリスタルボウルは水晶で作られたボウル状の楽器で、その音にストレス発散効果があるとされる。参加者は横になり、リラックスした空間に身を委ねた。」の記載。

(2)「読売新聞」(2007年11月10日付け、大阪朝刊 32頁)
「音楽で心癒やします Aikaさんがきょう、あすコンサート=和歌山」の見出しの下、「歌声と和楽器の音色、ピアノの旋律によって心のやすらぎを感じてもらう『Aika サウンドセラピー チャリティコンサート』が、10日に和歌山市の和歌山市民会館小ホール(午後2時開演)、11日に田辺市の紀南文化会館大ホール(午後6時開演)で行われる。」の記載。

(3)「琉球新聞」(2006年2月2日付け、琉球新報夕刊 5頁)
「自然の音で波動伝える/ジョン・デュマ/金城久美子とライブ/サウンドセラピー/『沖縄、力感じる場所』」の見出しの下、「ネーティブアメリカンの民族楽器などを用いたサウンドセラピーで有名な、アメリカ・アリゾナ州の街セドナ。その地から音で癒やし効果を与えるサウンドヒーラー(人を癒やす者)のジョン・デュマを招き、ソプラノ歌手の金城久美子が歌う『ニューイヤーコラボレーションライブ』が一月三十日、那覇市のパレット市民劇場で開かれた。デュマの笛や太鼓が繰り出す自然の鼓動を感じる音色が会場を包み、金城の生命力みなぎる歌声が響いた舞台。サウンドセラピーの魅力について、デュマに聞いた。」の記載。

(4)「建設通信新聞」(1997年8月26日付け)
「温泉利用し健康増進施設を10月中旬に着工/北摂コミュニティー」の見出しの下、「施設として▽温泉浴室やサウナ、露天風呂もある「裸浴ゾーン」▽流水プールや子供プール、療法プールなどがある『水着浴ゾーン』▽安らぎを提供する香り(アロマセラピー)や音(サウンドセラピー)を活用した安静室▽美容志向者に対するエステサロン--などを整備する。」の記載。

別掲2 原査定で示した「サウンドセラピー」の使用の事実
(5)「毎日新聞」(1997年8月17日付け、地方版/兵庫 21頁)
「三田・フラワータウンに天然温泉と遊泳プール 98年夏オープン /神戸」の見出しの下、「療養施設としては温泉のほか、香りや音によるアロマセラピー、サウンドセラピーを行う安静室も設置。」の記載。

(6)「日経産業新聞」(2000年4月7日付け、2ページ)
「クオリティライフエクスプレス、森島製作所、その他(ホームページ新規開設)」の見出しの下、「サウンドセラピーCDの販売。ろ過処理を施した深くリラックスさせる音楽が、健康促進や脳力アップに役立つ」の記載。

(7)「日経流通新聞」(1997年5月24日付け、3ページ)」
「プレム・プロモーションCD『ソング・オブ・ヒーリング』(クローズアップ戦略商品)」の見出しの下、「ダニエル・コビアルカはサンフランシスコ交響楽団首席第二バイオリニストを務め、ソリストとしても名高い世界的なクラシック演奏家で、『癒し』のための音楽のリリースにも力を入れている。ヒーリング音楽の世界的なベストセラーとなった代表作「星に願いを」は、日本では九一年に同社から発売され、これまでに国内の売り上げ四万枚を記録している。コビアルカの音楽のサウンドセラピー効果は医学界でも認められており、手術などの医療の現場や心理療法などで頻繁に用いられている。ヒーリングCDの場合、アーティストの音楽などと違い、どんな音楽なのかイメージがわかないと買いにくい。そこで同社では、電話で発売中のすべてのCDの曲のさわりが約三分間試聴できるCD試聴サービスを行っている。またこの一月に開設したホームページでは、全タイトルの全曲が試聴できる。音楽による『癒し』の普及活動を行っている同社では、断続的にリラクセーションを体験するイベントを開催してきた。五月二十八日と二十九日には、東京の恵比寿ガーデンプレイスで、ダニエル・コビアルカの来日公演のヒーリング・コンサート『エンジェルズ』が行われる。」の記載。

別掲3 別掲1及び2以外の「サウンドセラピー」の使用の事実
(8)「リード個別指導」のウェブサイトにおいて「GINA SALA 11/24サウンドセラピーコンサート」及び「『ジーナ・サラーは音楽療法の分野で革命を起こそうとしている!彼女の声には人々の治癒力を高める力がある。』-ドン・キャンベル(『アマデウスの魔法の音』など多数)」の記載。
(http://www.leadkobetu.com/gina2010.html)

(9)「奈月オフィシャルウェブサイト」における「PROFILE」の項目に、「病院、福祉施設での慰問コンサートを通してサウンドセラピーを行う。」の記載。
(http://www.natsuki-natsuki.com/natsuki/natsuki-profile.htm)

(10)「大阪水晶気功院」のウェブサイトにおいて「☆サウンドセラピー♪?音に癒されて?☆ 4月2日(土) 箕面にてOCQ主催イベント、”サウンドセラピー♪?音に癒されて?”を横笛奏者 福井 幹(ふくい つよき)さんをお招きして開催いたします。お楽しみに☆」の記載。
(http://crystalq.com/)

なお、下線は当合議体で付与。


審理終結日 2010-11-24 
結審通知日 2010-11-25 
審決日 2011-02-16 
出願番号 商願2007-127524(T2007-127524) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X41)
T 1 8・ 13- Z (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長澤 祥子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 豊田 純一
小川 きみえ
商標の称呼 サウンドセラピー 
代理人 森下 夏樹 
代理人 山本 秀策 
代理人 安村 高明 

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