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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y19
管理番号 1234829 
審判番号 取消2009-300958 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-08-21 
確定日 2011-03-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4980761号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4980761号商標(以下「本件商標」という。)は,「インテルグロー」の文字を標準文字により表してなり,平成18年1月19日に登録出願,第19類及び第37類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成18年8月18日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成21年9月4日にされたものである。
第2 請求人の主張
請求人は,「本件商標の登録は,その指定商品又は指定役務中の第19類『タール類及びピッチ類,建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,区画表示帯,セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。),セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。),送水管用バルブ(金属製又はプラスチック製のものを除く。),道路標識(金属製又は発光式若しくは機械式のものを除く。),航路標識(金属製又は発光式のものを除く。),貯蔵槽類(金属製又はプラスチック製のものを除く。),ビット及びボラード(金属製のものを除く。),石製郵便受け,建具(金属製のものを除く。),灯ろう,可搬式家庭用温室(金属製のものを除く。),石製彫刻,コンクリー卜製彫刻,大理石製彫刻,鉱物性基礎材料』(以下「取消請求に係る指定商品」という。)について取り消す。」との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,本件商標に係る指定商品及び指定役務中の取消請求に係る指定役務について,継続して3年以上日本国内において当該登録商標の使用をしていない。よって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定に該当し,上記取消請求に係る指定商品についてその登録を取り消されるべきである。
2 弁駁の理由
(1)総論
被請求人は,乙第1号証ないし同第14号証をもって,指定商品への本件商標の使用を主張する。しかし,被請求人の主張は,商標法第50条規定の趣旨,同条第1項における「登録商標の使用」及び「登録商標との社会通念上の同一性」,「指定商品又は指定役務についての商標の使用」並びに「(自他商品役務識別力を発揮した)商標としての使用」について,法律並びに過去の裁判例・審決例に基づいた検討を全く行っておらず,個々の乙号証の内容を単に列記したものであって,具体的な検討無く非論理的かつ独善的検証をもって,本件商標の使用を証明せんとするものである。
(2)各論
(ア)乙第1号証
(a)「会社案内」の証拠力
乙第1号証の「株式会社インテルグローの会社案内」は,その内容から,被請求人の住所・名称・組織等の概要,沿革,事業内容等,被請求人における会社の内容を紹介する目的で配布されるものであり,被請求人が提供する商品又は役務の販売促進を目的とした広告媒体及び商品・役務の取引書類として配布されるものではない。
したがって,乙第1号証は,商標法第50条第1項における「商標の使用」を検討する以前に,同法第2条第3号第8号に規定される「広告,価格表,取引書類」には該当せず,指定商品への本件商標の使用を示す根拠とはならない。
(b)指定商品についての商標の使用
乙第1号証は,法人自身の紹介を目的として配布されるものであって,個々の指定商品に関連する事業の実施の事実を示すものではない。また,同号証の「事業内容」及び「取扱商品・工事」では,いくつかの取扱業務が列記されているが,これは,被請求人において「提供が可能な業務の単なる紹介」に止まるものであり,会社案内に事業内容を記載したのみでは,現実に事業を実施し,かつ,その事業に登録商標を使用している証拠とはならない。
(c)被請求人が使用する個々の表示
乙第1号証には,(1)二つの楕円図形からなる図形商標とローマ字「nTELGROW」の結合,(2)株式会社インテルグロー,(3)http://www.inteIgrow.co.jpが確認できる(以下,それぞれを「使用商標(1)」,「使用商標(2)」,「使用商標(3)」という場合がある。)。
まず,使用商標(1)が,「登録商標と社会通念上同一の商標」に該当するか否かにつき検討する。
1)片仮名とローマ字の相互間の使用
本件商標をローマ字に置き換えると,「INTELGROW」,「INTERUGROU」又は「INTERUGLOW」などいくつかの表示への変換が可能であるが,使用商標(1)は,図形要素と「nTELGROW」であるから本件商標をローマ字に変更したものには該当しない。
2)標章の外観
本件商標は片仮名文字からなり,使用商標(1)は,自他商品役務識別力を発揮する図形的要素とアルファベット文字「nTELGROW」を結合してなるものであるから,使用商標(1)と本件商標とは,「外観において同一視される図形からなる商標」には該当せず,また,「社会通念上同一」の商標にも該当しないことは,外観における顕著な差異より明らかである。
3)標章の観念
本件商標は,標章全体をして特定の観念を生じない「造語」と認識されるものであり,引用商標(1)も特段の意味合いは生じないから,両者の観念における共通性は無い。
4)標章の称呼
本件商標は,「インテルグロー」の呼称を生じ,使用商標(1)は,「ンテルグロー」「エヌテルグロー」など複数の称呼が生じるから,使用商標(1)からは本件商標と「同一の」称呼が生じるとはいえない。
5)商標の社会通念上の同一性
使用商標(1)は,文字と図形部分が密接不可分に結合したものであり,本件商標と共通の称呼,観念を生ずるものでもなく,本件商標をローマ字に変換したものとも認められない。
よって,本件商標と使用商標(1)とは,商標法第50条第1項にいう「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標,外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」には該当しない。
(d)商標としての使用と商号としての使用
使用商標(2)の使用は,本件商標について,商品・役務の自他識別標識としての機能を発揮させた「商標的としての使用」には該当せず,単に,会社説明において被請求人の法人格及び名称を示すものにすぎない。
乙第1号証は,単に会社の説明に用いられる「会社案内」として配布されるものであるから,当該会社案内を見た者が,使用商標(2)の表示を「商標」として認識することは有り得ない。
(e)会社ホームページのURLにおける使用
使用商標(3)の使用は,単に,被請求人の会社ホームページ(のURL)を示すものであり,具体的商品との関係が記述されていないことからも,これが自他商品役務の識別を図る商標として認識されることは有り得ない。
(イ)乙第2号証
乙第2号証には,(1)INTELGROW WEBSITE,使用商標(1)使用商標(3)及び使用商標(3)が確認できる。
しかし,これらの表示は,前記の検討と同様に,本件商標との社会通念上の同一性,具体的商品との関係における商標の使用及び商号としての使用の観点より,商標法第50条第1項における「登録商標の使用」には該当しない。
(a)ウェブサイトの題号としての使用
乙第2号証は,被請求人の会社ホームページと推察されるところ,ホームページの上段部分における「○○○○website」の表示が,一般的な需要者・取引者からして「ウェブサイトのタイトル」として理解されることは明らかであるから,「INTELGROW WEBSITE」の表示は,表示全体をして,「(ウェブサイトの名称が)インテルグロー」であることを示し,当該意味合い並びに認識をもって需要者・取引者に理解されるから,自他商品役務の識別機能を発揮した商標としての使用には該当しない。
(b)商標の社会通念上の同一性
乙第2号証に記載される(1)INTELGROW WEBSITE及び使用商標(1)は,前記と同様に,本件商標と社会通念上同一の商標には該当しない。本件商標をローマ字に置き換えるといくつかの表示への変換が可能であるから,「INTELGROW WEBSITE」に含まれる「INTELGROW」は,本件商標をローマ字に変更したものには該当しない。
(c)指定商品についての商標の使用
乙第2号証において,被請求人の取扱業務が羅列される記述は,被請求人の「提供が可能な業務の単なる紹介」に止まるものであって,本件商標に指定商品に係る商標権者の信用が蓄積される態様では商標は使用されておらず,指定商品について本件商標が具体的関係をもって使用されているとは認められない。
(d)商標としての使用と商号としての使用
乙第2号証に記載される使用商標(2)の表示は,前記における検討と同様に,本件商標について,商品・役務の自他識別標識としての機能を発揮させた「商標的使用」には該当せず,単に,会社説明において被請求人の法人格及び名称を示すものにすぎず,その使用は,商標法第50条第1項における「登録商標の使用」には該当しない。
(e)会社ホームページにおける日付
被請求人は,乙第2号証(8)のホームページが2006年1月5日に印刷されたものである旨を主張するが,インターネットのホームページなど,一般的に,コンピュータの画面上に表されている作成日やアドレス,ファイル名等は,これを書き換えたり,あるいは画面自体を差し替えることが容易であり,これを操作することで容易に真実とは異なる日時を表示させることができるから,乙第2号証(8)のみならず,その他証拠として提出されたホームページの写しに記載の日時について,これをもって直ちに,表示されている日時に当該ホームページが存在したと認めることは早計に過ぎ,登録商標の使用の事実を証明する証拠としての価値を十分に満たすものではない(知財高裁 平成18年(行ケ)第10358号「EIGOTOWN事件」同旨)。
(ウ)乙第3号証
乙第3号証(1)ないし(5)は,人材募集記事であり,記載されている表示は使用商標(2)である。
使用商標(2)は,具体的な商品についての商標としては使用されておらず,その内容から会社の名称(商号)としてのみ認識されるものであり,当該証拠が人材募集を目的として配布されることに鑑みても,これらに接した者が「株式会社インテルグロー」を商号と認識し,乙第3号証の全体の内容をもって,「株式会社インテルグローなる法人の人材募集記事」と理解することは明らかである。
(エ)乙第4号証
(a)乙第4号証の1及び2
乙第4号証の1及び2のチラシと思しき資料においては,これがいつ作成され配布されたかを示す日付が記載されておらず,当該チラシが本件審判の予告登録日前3年以内に頒布等されていたことは不明である。また,被請求人は,当該資料がいつ,誰に対して,いかなる手段で,どの程度の量が配布されたのかを全く明らかにしておらず,当該資料が実際に配布されたかについても不明である。また,当該資料は,「商品・工事」と「取扱メーカー・工事」の欄を設け,各商品・工事に対応するメーカー名等が記述されているが,当該資料の内容のみによっては,はたして,具体的に如何なる業務を行っているのかが不明である。
(b)乙第4号証の3及び4
1)商標の使用時期
乙第4号証の3及び4のチラシと思しき資料においては,これが何年に作成され配布されたかが記載されておらず,当該チラシが本件審判の予告登録日前3年以内に頒布等されていたことは不明である。また,被請求人は,当該資料がいつ,誰に対して,いかなる手段で,どの程度の量が配布されたのかを全く明らかにしておらず,当該資料が実際に配布されたかについて不明である。
2)指定商品への使用
乙第4号証の3及び4は,「キッチンフロアーキャンペーン」と銘打ち,何らかの商品又はサービスの提供を示していると推察されるが,当該内容のみでは,具体的に如何なる商品又は役務を提供しているのかが不明であり,指定商品について本件商標が具体的関係をもって使用されているとは認められない。
3)商標の社会通念上の同一性及び商号としての使用
乙第4号証の3及び4は,使用商標(2)及び使用商標(1)が確認できるが,前記検討のとおり,これらは,本件商標と社会通念上同一の商標には該当しない。
(c)乙第4号証の5及び6
1)指定商品への使用
乙第4号証の5及び6では,「建材商品」,「設備商品」及びその他商品の記述がなされているが,個々の商品又は役務について使用される商標が本件商標であることは示されておらず,当該内容のみでは,具体的に如何なる商品又は役務について商標を使用しているのかが不明であり,当該資料によっては,指定商品について本件商標が具体的関係をもって使用されているとは認められない。
2)商標の社会通念上の同一性及び商号としての使用
乙第4号証の5及び6においては,使用商標(1)及び使用商標(2)が確認できるが,前記検討のとおり,これらは,本件商標と社会通念上同一の商標には該当しない。
(d)乙第4号証の7
1)商標の使用時期
乙第4号証の7のチラシと思しき資料においては,これがいつ作成され配布されたかを示す日時が記載されておらず,当該チラシが本件審判の予告登録日前3年以内に頒布等されていたことは不明である。また,被請求人は,当該資料がいつ,誰に対して,いかなる手段で,どの程度の量が配布されたのかを全く明らかにしておらず,当該資料が実際に配布されたかについて不明である。
2)指定商品への使用
乙第4号証の7においては,「タイル」,「工具・副資材」及び「石」の製造メーカーと思しき記述は確認できるが,当該内容のみによっては,被請求人自身がここに記載される各メーカーの商品の販売を行っているのか,各メーカーの商品を用いて工事を行うのか,又は,単なる工事の仲介・斡旋を行っているのかが不明であり,具体的に如何なる業務を行っているのかが明らかにされていない。また,乙第4号証の7の内容によっては,個々の商品又は役務について使用される商標が本件商標であることは示されていない。
3)商標の社会通念上の同一性,商号及びURLとしての使用
乙第4号証の7においては,使用商標(2)及び使用商標(3)が確認できるが,前記のとおり,これらは,いずれも,「商標的使用」には該当せず,商標としては機能しないものである。
(e)乙第4号証の8
1)指定商品への使用
乙第4号証の8は,「セメント」の購入を促すチラシと思われるが,被請求人が購入を促す「セメント」の商標が本件商標であるかは不明である。乙第4号証の8においては,商品自体,商品包装等に本件商標を付すなど,本件商標に指定商品に係る商標権者の信用が蓄積される態様で商標が使用されていることまでは示されておらず,指定商品について本件商標が具体的関係をもって使用されているとは認められない。
2)商標の社会通念上の同一性,商号としての使用及び商標的使用態様
乙第4号証の8においては,使用商標(1),使用商標(2)及び,(3)インテルグローの表示が確認できる。しかし,前記検討のとおり,使用商標(1)及び使用商標(2)は,商品・役務の自他識別標識としての機能を発揮させた「商標的使用」には該当せず,本件商標と社会通念上同一の商標には該当しない。乙第4号証の8のキャンペーンの説明的表示部分における「インテルグロー」の記載は,その内容から,被請求人自身を示すものであり,具体的役務との関係で自他商品役務の識別標識として認識される態様で使用されていない。
(f)乙第4号証の9
1)商標の使用時期
チラシと思しき乙第4号証の9は,これがいつ作成され配布されたかを示す日時が記載されておらず,当該チラシが本件審判の予告登録日前3年以内に頒布されていたことは不明である。また,被請求人は,当該資料がいつ,誰に対して,いかなる手段で,どの程度の量が配布されたのかを全く明らかにしておらず,当該資料が実際に配布されたかについても不明であるから,これは,指定商品についての本件商標の使用を立証する証拠とはならない。
2)指定商品への使用
乙第4号証の9の資料においては,「タイル」,その製造メーカー及び「当該タイルの商標と思しき“グレイスランド”」の記載は確認できるが,当該内容のみによっては,被請求人自身がここに記載されるタイルの販売を行っているのか,当該タイルを用いて工事を行うのか,又は,当該タイルを用いた工事の単なる仲介・斡旋業務を行っているのかが不明であり,具体的に如何なる業務を行っているのかが明らかにされていない。
3)商標の社会通念上の同一性,商号としての使用及び商標的使用態様
乙第4号証の9においては,使用商標(1)及び使用商標(2)が確認できる。しかし,前記検討のとおり,使用商標(1),使用商標(2)は,具体的な商品又は役務について,自他商品役務識別機能を発揮し得る態様で使用されておらず,本件商標の社会通念上同一の商標にも該当しない。
(エ)乙第5号証ないし同第9号証
乙第5号証ないし同第9号証の使用商標(2)は,前記の検討と同様に,商標法第50条第1項における「登録商標の使用」には該当しない。
(a)指定商品についての商標の使用
乙第5号証ないし同第9号証の各種建築資材の提供に関する受領書及び請求書と思われる資料に記載される「建築資材」の商標が本件商標であることは不明であり,当該資料によっては,各建築資材の商品自体,商品包装等に本件商標を付すなど,本件商標に指定商品に係る商標権者の信用が蓄積される態様で商標が使用されていることまでは示されていない。
(b)商標としての使用と商号としての使用
乙第5号証ないし同第9号証に記載される使用商標(2)の表示は,前記と同様に,本件商標について,商品・役務の自他識別標識としての機能を発揮させた「商標的使用」には該当しない。
(オ)乙第10号証
(a)指定商品への使用
乙第10号証の資料においては,被請求人の取扱業務について「住宅設備機器,配管資材,各種タイル及び石材の販売,住宅工事の施工管理及び付帯サービス」等が記述されているが,当該内容のみによっては,これらの商品及び役務に使用される商標が本件商標であることは不明である。前記の検討と同様に,乙第10号証の内容においては,タイルや石材等の商品自体,商品包装等に本件商標を付すなど,本件商標に指定商品に係る商標権者の信用が蓄積される態様で商標が使用されていることまでは示されておらず,本件商標が指定商品との具体的関係において使用されているとは認められない。
(b)商標の社会通念上の同一性,商号としての使用及び商標的使用態様
乙第10号証においては,使用商標(1),使用商標(2)及び(3)インテルグローの表示が確認できる。しかし,前記検討のとおり,使用商標(1),使用商標(2)は,本件商標と社会通念上同一の商標には該当しない。
さらに,乙第10号証(3)に記載される「インテルグロー」の表示は,乙第10号証全体の内容に鑑みれば,刊行物の末尾等において,当該刊行物内に掲載された広告の索引として用いられるものであり,「株式会社インテルグローの広告」が前19ページに掲載されていることを示すのみにすぎない。
(カ)乙第11号証
乙第11号証の「会社登記簿謄本」は,指定商品への本件商標の使用を何ら示すものではなく,提出の趣旨が不明である。
(キ)乙第12号証ないし同第14号証
乙第12号証ないし同第14号証の商品カタログは,乙第5号証ないし同第9号証の受領書及び請求書に記載された商品との対応関係のみを示すものであり,直接,本件商標の使用を示すものではない。
3 結語
以上のとおり,被請求人が提出する乙第1号証ないし乙第第14号証によっては,被請求人が取消請求に係る指定商品について,本件審判の予告登録日前3年以上に,日本国内において使用している事実は示されておらず,答弁の趣旨には理由がない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第28号証(枝番を含む。)を提出した。
1 答弁の概要
本件商標の商標権者は,本件審判請求の登録前3年以内に我が国において取消請求に係る指定商品中,少なくとも「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,送水管用バルブ(金属製又はプラスチック製のものを除く。),貯蔵槽類(金属製又はプラスチック製のものを除く。),建具(金属製のものを除く。),鉱物性基礎材料」について,本件商標を使用している。
2 証拠の説明
上記の事実を以下の証拠により説明する。
乙第1号証は,商標権者の会社案内の写しである。本件商標及びこの片仮名をローマ字の文字に変更したものであって本件商標と同一の称呼「インテルグロー」を生ずる商標「INTELGROW」(以下,「使用商標(1)」という。)が,広告媒体である上記会社案内に取扱商品(外装用建材,住宅内部造作材など)について使用されている。これら商品群は,本件商標の指定商品との関係では,前記の商品に相当し,本件商標及び使用商標(1)が使用されていることが証明される。
乙第2号証は,商標権者のインターネットによるホームページの写しである。このホームページには,各ページの左上に使用商標(1)が掲載されて,かつ1ページ「住宅設備機器・建材商品の販売・施工」を行っているとの記載があり,ホームページの広告において本件商標が上記取扱商品に使用されている。
乙第3号証は,インターネット上のリクナビ2010に掲載された商標権者の紹介サイトの写しである。本件商標がリクナビ2010上の広告及び住宅設備機器,建築資材,配管資材などの商品について使用されている。
乙第4号証の1ないし9は,商標権者による各種のチラシ広告の写しであり,乙第4号証の1及び2のチラシ広告には,タイル,システムバスを始め,木質建材,新建材,受水槽,コンクリート,左官材料,石などの取扱商品について,本件商標及び使用商標(1)が使用されている。
乙第4号証の3及び4のチラシには,「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料」などに相当するフローリング材について本件商標及び使用商標(1)が使用されている。
また,乙第4号証の5のチラシ広告には「平成20年1月7日(月)」にオープンする旨の記載,「平成十九年十二月吉日」との記載とともに,そこに記載の建材商品及び設備商品について本件商標及び使用商標(1)が使用されている。
乙第4号証の6のチラシ広告には,「2009年7月31日迄」との記載がある。タイル,塗り壁材,目地材を始めとする,そこに記載の商品に本件商標及び使用商標(1)が使用されている。
また,乙第4号証の7にもタイルなどの取扱商品について本件商標が使用されている。
乙第4号証の8のチラシ広告には,「2008年12月1日」との記載があり,セメントについて,また,乙第4号証の9のチラシ広告には,外装床タイルについて,それぞれ本件商標及び使用商標(1)が使用されている。
乙第5号証の1及び2?乙第9号証の1及び2は,商標権者の商品等の受領書及び請求書(抜粋)の写しであり,これら取引書類において,各取引書類に記載された商品について本件商標が使用されている。
乙第10号証は,商標権者の広告が掲載された刊行物(「近代建築」平成20年12月5日発行,発行所:株式会社近代建築社)の写しである。その2ページに「住宅設備機器(便器・水栓金具等),配管資材,各種タイル及び石材」等について,広告として本件商標及び使用商標(1)が使用されている。
乙第15号証は,愛知県に所在の山田建設株式会社の代表取締役により乙第4号証の1及び2の広告チラシについて平成20年8月?12月頃にその頒布を受けたことを証明する書面である。この頒布を受けた時期は,本件審判請求の登録日から3年以内の期間にあたり,同期間に「インテルグロー」がタイルを始めとする住宅・建築資材・建設工事などの広告として,使用された事実が立証される。
甲第16号証(審判体注:以後,甲を乙と読み替える。)は,その時期に対応して,その証明者である山田建設株式会社と被請求人との間で乙第4号証の1及び2に示される商品や役務の取引が行われていたことを示す請求書である。
乙第17号証は,愛知県に所在の株式会社太平建設の代表取締役が乙第4号証1及び2についてその頒布を受けた事実を立証する書面である。
乙第18号証はその頒布を受けた時期(期間)に対応して,被請求人と株式会社太平建設との間に取引関係が存在していたことを立証する書面である。
乙第19号証は,愛知県に所在の株式会社奥井ハウスの代表取締役が,乙第4号証1及び2の広告チラシの頒布を受けたことを立証する書面である。
乙第20号証は,その証明書に記載された時期(期間)に,被請求人と株式会社奥井ハウスとの間に取引関係が存在していたことを立証する書面である。
乙第28号証は,被請求人会社の営業社員が,乙第4号証の1及び2のチラシ広告を,平成20年8月?12月に,自身の営業の職務において多数頒布し,その頒布先に山田建設株式会社,株式会社太平建設及び株式会社奥井ハウスが含まれていることを証明するものである。
乙第21号証は,愛知県岡崎市で2008(平成20)年の8月に行われた岡崎観光夏まつり(岡崎花火大会)において,被請求人が協賛者として岡崎市並びに岡崎市観光協会に1400本のうちわを提供し,これを2008年8月2日(土曜日)に,花火大会に訪れた来訪者に対し,岡崎市の職員が企業協賛品として配布したものである。1頁はそのうちわの表面を原寸・原色で複写したものであり,そこには「岡崎観光 夏まつり」「2008SUMMER FES.」の記載がある。また,2頁はそのうちわの裏面を示すもので,ここに被請求人の広告が掲載されている。
乙第22号証は,2008年(平成20年)8月2日(土曜日)に,花火大会への招待者や一定の参加者に岡崎市・岡崎市観光協会が配布したものである。その表紙には,「日時8月2日(土),場所 乙川・矢作川河畔,岡崎市・岡崎市観光協会」の記載があり,30頁にはうちわの協賛者名として「(株)インテルグロー」が掲載されている。51頁には被請求人の広告頁が掲載され,そこには「インテルグローです。どうかよろしくお願いします。」「住宅設備機器・建築資材の総合商社」等の記載があり,この広告頁によっても「インテルグロー」が広告(商標)として,少なくとも平成20年8月2日に建築材料等に使用されている。
乙第23号証はその花火大会協賛金(うちわ)について,岡崎市観光協会から被請求人に発行された平成20年5月27日付の請求書であり,その中にうちわ1400本の制作代金として21万円が計上されていることがわかる。
乙第24号証の1頁は,そのうちわの原寸・原色の複写であり,そこには「夏まつり 岡崎観光」の文字が記載され,また裏面には被請求人の広告である「あなたの住まいのどこかにきっとインテルグローが活躍してる」「住宅設備機器・建築資材の総合商社」等の文字が記載されており,住宅設備機器や建築資材等に「インテルグロー」が商標として使用されていることが立証される。
乙第25号証は,乙第24号証のうちわが配布された2007年(平成19年)8月4日(土)において開催された「岡崎観光夏まつり」「第59回花火大会」のプログラム冊子である。これによれば,被請求人会社は建築資材や建築工事に本件商標「インテルグロー」を商標として(広告として),少なくとも2007年(平成19年)8月4日に使用している事実が立証される。
乙第26号証は,乙第24号証のうちわ1400本分の制作費として20万6千円が,岡崎市観光協会から被請求人宛の請求書に計上されている。
乙第27号証は,平成20年5月23日?平成20年7月15日のキャンペーン期間中に被請求人により主に静岡県を中心に配布されたもので,その上部に「キャンペーン期間(H20.5.23?H20.7.15)」としてシステムバスの紹介,「インテルグロー決算セール」,「キャンペーン期間に限り材料費・工事費込みで25万円」等の記載がある。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者により指定商品中,少なくとも「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,送水管用バルブ(金属製又はプラスチック製のものを除く。),貯蔵槽類(金属製又はプラスチック製のものを除く。),建具(金属製のものを除く。),鉱物性基礎材料」について使用していることが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証は,被請求人の会社案内及び被請求人のホームページ写しであり,これらの事業内容,取扱商品・工事の欄の記載から,被請求人は,住宅設備機器・建材商品の販売・施工を行う事業者であって,取消請求に係る指定商品に含まれる「外装用建材」「壁材」「石材」「セメント」「レンガ」などの商品を販売していることが認められる。
(2)乙第4号証の1及び2は,被請求人に係るチラシであり,それぞれの上段に「インテルグロー」の文字が表示されており,「商品・工事」の欄に,「タイル」「木質建材」「新建材等」「コンクリート」「左官材料」「石/その他」などの記載がある。そして,当該チラシに表示された「インテグロー」の文字は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標であり,「商品・工事」の欄に記載された「タイル」などの商品は,いずれも取消請求に係る指定商品に含まれる商品である。
乙第15号証は,その下部に乙第4号証の1及び2のチラシが表示された証明書であり,これには,「…2枚のチラシ広告は,平成20年8月?12月頃,株式会社インテルグローが,同チラシ広告に記載された商品及び役務の広告のために,主に愛知県及び静岡県において頒布していたもので,当社は平成20年8月?12月頃,この広告チラシの頒布を受けたことに相違ありません。」の記載とともに,「2010年(平成22年)6月1日」,「豊田市市木町3丁目1番地2 山田建設株式会社 代表取締役○○ 電話○○」の記載と社印の押印がされている。
乙第17号証及び乙第19号証は,乙第15号証と同様の証明事項が記載された証明書であり,それぞれに,「2010年(平成22年)6月2日」の日付と「愛知県北設楽郡設楽町田口字大田1番地7 株式会社太平建設 代表取締役○○」又は「岡崎市上里二丁目1-24番地 株式会社奥井ハウス 代表取締役○○ 電話○○」の記載と社印の押印がされている。
乙第28号証は,その下部に乙第4号証の1及び2のチラシが表示された証明書であり,これには,「…2枚のチラシ広告は,平成20年8月?12月に株式会社インテルグローの営業社員である私,○○が,同チラシ広告に記載された商品及び役務(工事)の広告のために愛知県等を中心に多数配布し,少なくとも愛知県所在の山田建設株式会社,株式会社太平建設,株式会社奥井ハウスに営業に出向いた際に配布したものに相違ありません。」との記載とともに,証明者の住所,氏名の記載と押印がなされている。
乙第16号証,乙第18号証及び乙第20号証は,それぞれ,被請求人が山田建設株式会社,株式会社太平建設及び株式会社奥井ハウスに宛てた請求書であり,そのそれぞれの「締切日」欄に,2008年8月から12月までの各月の末日の日付及び「取引日」「品番/品名」「数量」などの各項目欄に,請求の対象となる工事や商品などの必要事項の記載がある。
そして,乙第15号証,乙第17号証,乙第19号証及び乙第28号証の証明書の記載事項,各証明者の記名・押印及び乙第16号証,乙第18号証及び乙第20号証に示された被請求人と証明者との取引の事実などをあわせ考慮すれば,その証明書に記載された内容は,十分に信憑性のあるものと認め得るものである。
(3)乙第21号証は,うちわの写しであり,その表面に「岡崎観光夏まつり」「2008 SUMMERFES.」,裏面の中央に「インテルグロー」,その周囲に「住宅設備機器・建築資材の総合商社,住所,電話番号」「あなたの住まいのどこかにきっと インテルグローが活躍してる」などの記載がある。そして,当該「インテグロー」の文字は,本件商標と書体のみが相違する社会通念上同一の商標と認められ,また,建築資材は,取消請求に係る指定商品に含まれるものとみて差し支えない。
乙第22号証は,岡崎観光夏まつり第60回花火大会と題するプログラム冊子であり,その表紙に,「日時 8月2日(土),場所 乙川・矢作川河畔,岡崎市・岡崎市観光協会」,30頁に「うちわ協賛者名」「(株)インテルグロー」の記載がある。
乙第23号証は,岡崎市観光協会が被請求人に宛てた請求書であり,これには,「平成20年5月27日」「うちわ 2口 1400本 210,000円」の記載がある。
2 以上において認定した事実及び被請求人の主張を総合してみれば,本件商標の商標権者であって,住宅設備機器・建材商品の販売・施工などの事業を行う被請求人は,本件審判の登録の日(平成21年9月4日)前3年以内である2008年8月から12月の間に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標及び取消請求に係る指定商品に含まれる商品名(「タイル」「木質建材」「新建材等」「コンクリート」「左官材料」「石/その他」など)を表示したチラシを,愛知県所在の山田建設株式会社,株式会社太平建設及び株式会社奥井ハウスに,広告のために頒布したことを推認することができる。
また,同じく,被請求人は,平成20年8月2日に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標及び取消請求に係る指定商品に含まれる商品名(「建築資材」)を表示したうちわを,岡崎市・岡崎市観光協会を通じて,岡崎市で行われた花火大会の参加者に広告のために頒布したことを推認することができる。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,取消請求に係る指定商品中の「タイル,木質建材,コンクリート,石材」などの商品について,被請求人(商標権者)によって使用されていたものと判断するのが相当であるから,商標法第50条第1項の規定により,取消請求に係る指定商品についての登録を取り消すべき限りでない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-09-09 
結審通知日 2010-09-13 
審決日 2010-10-29 
出願番号 商願2006-3632(T2006-3632) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y19)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 茂木 祐輔山田 正樹 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
酒井 福造
登録日 2006-08-18 
登録番号 商標登録第4980761号(T4980761) 
商標の称呼 インテルグロー 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 
代理人 菅原 正倫 

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