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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y09
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y09
管理番号 1233464 
審判番号 不服2009-650088 
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-15 
確定日 2011-01-04 
事件の表示 国際登録第911878号商標にかかる国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「S3 GRAPHICS」の欧文字を横書きしてなり、第9類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2005年9月30日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2006年(平成18年)3月28日に国際商標登録出願されたものである。
そして、指定商品については、原審における平成20年6月16日付けの手続補正書により、別掲に示すとおりの商品に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『S3 GRAPHICS』の文字を書してなるところ、ローマ字1字と数字1字とを組み合わせた『S3』の文字は、商品の種別、規格、型式、品番等を表示するための記号・符号の類型の一つにすぎないものと理解されるにとどまり、極めて簡単かつありふれたものと認められ、また、『GRAPHICS』の文字は、『図形や画像であらわされるもの。そのほか、描画に関連した用途や機能を持つハードウェア、ソフトウェアの名称にも広く用いられている。』の意味を有する語であるから、本願商標は、これをその指定商品中、『コンピュータグラフィックス作成用のコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア』等に使用するときは、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「S3」の文字と「GRAPHICS」の文字を半角程のスペースをあけて一連に書してなるところ、両文字部分は、該スペースによって視覚上分離して看取されるばかりでなく、常に一体不可分のものとして認識されるべき格別の理由は見出し難いものである。
ところで、本願指定商品を取り扱う業界をはじめ、各種業界の事業者が、自己の製造、販売に係る製品について、欧文字と数字を組み合わせた標章を、商品の種別・規格・品番等を表す記号、符号として、取引上普通に採択・使用している実情があることからすれば、本願商標をその指定商品について使用した場合、取引者、需要者は、構成中前半の「S3」の文字部分については、商品の記号、符号の一類型として認識するに止まるというのが相当である。
また、構成中後半の「GRAPHICS」の文字は、英語で「製図法、製図学、コンピュータグラフィックス」等を意味する(小学館発行「ランダムハウス英和大辞典」)ものであり、また、「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典(三省堂発行)」の「グラフィックス[graphics]」の項に「製図法.コンピューターグラフィックス」との記載があることから、該文字は、「コンピュータグラフィックス」を指称するものとして容易に認識されるものである。
そして、本願指定商品を取り扱う業界において、欧文字と数字を組み合わせた標章が、商品の種別・規格・品番等を表す記号・符号として取引上採択・使用されている実情、また、コンピュータグラフィック用のソフトウェアやハードウェアを取り扱っている事業者が不特定多数存在している実情については、例えば、以下のインターネットのホームページ情報からも裏付けられるところである。
(1)欧文字と数字を組み合わせた標章が、商品の種別・規格・品番等を表す記号、符号として採択、使用されている実情について
ア 「COREL社」のウェブサイトにおいて、「CorelDRAW GRAPHICS SUITE X4」の見出しのもと、「あらゆるデザインワークとページレイアウトをカバーする総合グラフィックソフト」の記載。」(http://www.corel.com/servlet/Satellite/jp/jp/Product/1191272117978)
イ 「Panasonic」のウェブサイトにおいて、「パソコン(個人向け)製品一覧」の見出しのもと、CF-S9K(2010年夏モデル)として、「S9 Series」の記載。(http://panasonic.jp/pc/products/s9k/index.html)
ウ 「ASCII.jp」のウェブサイトにおいて、「DynaBook V1/470PMC、DynaBook SS S1/170PNMRほか」の見出しのもと、「(株)東芝は、1月25日にニュースでお伝えした『DynaBook A1シリーズ』に続いて、2001年春モデルの第2弾『DynaBook V1シリーズ』『DynaBook SS S1シリーズ』の3機種4モデルを発表、3月上旬より発売する。」の記載。(http://ascii.jp/elem/000/000/321/321169/)
エ 「IO DATA」のウェブサイトにおいて、「SUM-S3」の見出しのもと、「SUManager3(SUM-S3)は、USBメモリー『ED-S3、SV3シリーズ(別売)』専用のソフトウェアです。」の記載。(http://www.iodata.jp/product/usbmemory/easydisk/sum-s3/)
オ 「富士通」のウェブサイトにおいて、「静音PCサーバPRIMERGY(プライマジー)TX100 S1:特長」の見出しのもと、「コストパフォーマンスに優れ、オフィス利用に最適な1WAYエントリーサーバ『TX100 S1』の記載。(http://primeserver.fujitsu.com/primergy/catalog/tx100s1/product.html)
カ 「インバースネット株式会社」のウェブサイトにおいて、「パソコンスペック情報」の項目に「NEC PC-9821/S1」の記載。(http://www.inversenet.co.jp/pclist/product/NEC/PC%252D9821%252DS1.html)
(2)コンピュータグラフィックス用ソフトウェアやハードウェアを取り扱う事業者が不特定多数存在している実情について
ア 「Teradici社」のウェブサイトにおいて、「リモートコンピューティングのメリット」の見出しのもと、「主な取り扱い製品は、企業向け高性能グラフィックスハードウェア及びソフトウェア、一般コンシューマ向けグラフィックスハードウェア、及びマルチメディアソリューションです。」(http://www.teradici.com/teradici/jp)
イ 「株式会社エルザジャパン」のウェブサイトにおいて、「エルザ ジャパン、ワークステーショングラフィックス新製品を発表 NVIDIA Quadro FX GPUを搭載した新世代のグラフィックスソリューション」の見出しのもと、「プロフェッショナルアプリケーションに最適化されたグラフィックスハードウェア及びドライバ」の記載。(http://www.elsa-jp.co.jp/newsrelease/2006/0529.html)
ウ 「株式会社アルティマグラフィックス」のウェブサイトにおいて、「株式会社アルティマグラフィックスの取扱商品」の見出しのもと、「CADソフトとのデータ互換の良さと、素早く正確なモデリングが行える操作性の良さにより、多くのデザイナーの方々に好評の3次元コンピュータグラフィックスソフトウェア。」の記載。(http://kensetsu.ipros.jp/company/340450/)
エ 「メディアロジスティックス」のウェブサイトにおいて、「事業概要」の項目に「(1)コンピュータグラフィックスソフト・ハードウェアの企画・開発・販売」の記載。(http://www.good-news.jp/kaisha-annai.htm)
オ 「NGC Corporation」のウェブサイトにおいて、「事業内容紹介」の見出しのもと、「コンピューターグラフィックスソリューション事業 コンピューターグラフィックスソリューション事業では、コンピューターグラフィックスソフトウェアおよび関連機器に関する販売、技術支援サポート、およびシステム開発などのサービスを提供しております。」の記載。(http://www.ngc.co.jp/corporat_info/index.html)
カ 「@Press」のウェブサイトにおいて、「コンピュータグラフィックス専門オンライン販売サイト『CGiN』をリュニューアルオープン」の見出しのもと、「CGiNはこれまで一貫してコンピューターグラフィックス専門ショップとして多くの製品の販売、情報の提供を行ってきました。映画製作に多用されるハイエンド3DCG作成ソフトウェアを筆頭に、2DCG作成ソフトウェア、さらに映像制作に関連するハードウェアまで、コンピュータグラフィックスをテーマに製品を拡充し、コンピュータグラフィックス専門ショップとしては業界随一のラインナップを誇っております。」の記載。(http://www.atpress.ne.jp/view/3828)
以上よりすれば、本願商標は、その指定商品中、例えば「コンピュータグラフィックス用のコンピュータソフトウェア及びハードウェア」に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、単に、その商品が「S3規格のコンピュータグラフィックス用のソフトウェア及びハードウェア」であることを認識し、商品の規格(品質)を表示したものと理解されるに止まるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであって、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものといわなければならない。
また、本願商標を前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
なお、請求人は、審理終結通知後の平成22年8月5日付け上申書において、「本願商標は使用による自他商品識別力を発揮している。」旨主張し、その証拠として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出しているが、提出された証拠によれば、本願商標が請求人の業務に係るコンピュータ関連の商品に使用されていることは認められるものの、その使用商標は、例えば、黄色で塗りつぶした枠内に大きく表わされた「S3」とその下に「GRAPHICS」の文字を表示したもの(甲第8号証)等の、本願商標とは構成態様が相違するものも含まれるものであり、また、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であると認識するに至ったと認めるに足る事実を認定するための取引等に関する証拠等はないものであるから、これらの証拠のみをもっては、上記認定を左右するものではない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標の指定商品)
第9類「Computer hardware;namely,semiconductors and chipsets,microprocessors,integrated circuits,printed circuit board,computer graphic cards,computer chips,handheld computing devices and wireless communications devices,namely,cellular handsets,tablet computers,LCD displays for computers,digital video recorders and players,electronic notepads and associated computer software and computer hardware for operating same;computer programs for modems,personal digital assistant (PDA) devices processors,namely,handheld digital devices having programmable capacity and capacity to communicate by electronic,digital,microwave,broadband,analog,radio,and satellite using voice,graphics,video,data,sensory,infrared,ultraviolet,and laser audio transmissions in the nature of electronic personal organizers,mobile phones,smart phones,portable and pocket-size personal computers,handheld and portable multimedia players,computers having context,user and location awareness and which may be outfitted and adaptable with modem,memory,PC MCIA card,disk drives,keyboard,and monitor,mobile digital devices with computer notebook functionality and connectivity in a handheld portable micro-sized form and which may be adaptable and fitted with modem,memory,PC MCIA card,disk drives for computers,keyboard,and monitor in the nature of electronic personal organizers,mobile phones,palmtop computers in the nature of electronic personal organizers,handheld multimedia players,computers having context,user and location awareness and which may be outfitted and adaptable with modem,memory,PC MCIA card,disk drives for computers,keyboard,and monitor,wireless digital devices in the nature of mobile and handheld phones,smart-phones,imaging smart phones,hands-free phones,handheld multimedia players,electronic personal organizers,electronic personal information management organizers,computers having context,user and location awareness and which may be outfitted and adaptable with modem,memory;PC MCIA cards,disk drives for computers,keyboard,monitor,pocket printer for use with computers,pocket camera,and pocket video camera,portable micro-sized computers for the mobile enterprise,portable personal navigational Global Positioning Systems (GPS),computers having context,user and location awareness and with integrated multidimensional data,sound,video and graphics,portable multimedia player,multimedia computer work stations,namely,public kiosks in the nature of computer terminals,and portable computer terminals both allowing dial-up connectivity and personal computer access,communication devices having capacity for acquisition,multiplexing,transmission,encoding,compression,filtering,transforming,decompression,decoding,demultiplexing and reception of communications data in the nature of smart phones,portable computers,portable interactive learning computers,electronic organizers;integrated circuits containing chipsets for spread spectrum modulation and demodulation,error correction encoding and decoding,voice coding and preprogrammed memories containing electronic processor instructions.」
審理終結日 2010-07-27 
結審通知日 2010-07-29 
審決日 2010-08-23 
国際登録番号 0911878 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y09)
T 1 8・ 272- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀧本 佐代子田中 亨子 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小田 昌子
野口 美代子
商標の称呼 エススリーグラフィックス、エスサングラフィックス、グラフィックス 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 中村 稔 
代理人 藤倉 大作 
代理人 松尾 和子 
代理人 熊倉 禎男 

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