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審決分類 審判 査定不服 商3条柱書 業務尾記載 登録しない X35
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X35
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X35
管理番号 1233455 
審判番号 不服2010-8559 
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-22 
確定日 2011-03-03 
事件の表示 商願2008-44524拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「牛乳便」の文字を標準文字で表してなり、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用たんぱく・食用グルテン・飼料用たんぱくの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食品香料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食餌療法用食品及び食餌療法用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児の離乳育児用食品及び乳幼児の離乳育児用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児用粉乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化学品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,寝具類及び織物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成20年6月6日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、以下の(1)及び(2)のとおり、認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願は、広範にわたる小売等役務を指定しているため、出願人が出願に係る商標を小売等役務に使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。したがって、本願は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
(2)本願商標は、「牛乳便」の文字よりなるところ、該文字は、「牛乳を配達すること」の意味合いを容易に認識させるものであるから、これをその指定役務中、「牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用した場合、それに接する取引者・需要者は、「配達による牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と認識するに止まり、自他役務の識別標識とは認識することができないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書について
原審において、請求人(出願人)が提出した平成21年5月7日受付の意見書において援用する、商願2007-67305の平成20年7月14日付け及び商願2007-63978の同年8月11日付け手続補足書を確認した結果、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するものと認められる。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとした原査定の拒絶の理由は、解消した。

(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「牛乳便」の文字を書してなるところ、その構成中「牛乳」の文字部分は、「牛乳・加工乳の総称。」(広辞苑 第六版)を意味する語として、また、「便」の文字部分は、「人や荷物・手紙などをある場所まで運ぶこと。また、その手段。」(「大辞泉」小学館発行)を意味する語として、それぞれ良く知られている語であり、全体として「牛乳をある場所まで運ぶこと」程の意味合いを容易に理解、認識させるものである。
ところで、本願指定役務中、牛乳の小売業界において、商品を購入者の自宅等へ配達(宅配)するサービスが一般的に行われている実情がある。
また、本願指定役務中、飲食料品の小売業界において、配達(宅配)の対象となる商品を表す語に「便」の文字を連結した「○○便」の文字が、「○○を配達(宅配)するサービス」を指称する語として、一般的に採択、使用されている実情がある。
そして、前記実情は、以下のインターネットにおけるウェブサイトの情報からも、裏付けられるところである。

ア 本願指定役務中、牛乳の小売業界において、商品を購入者の自宅等へ配達するサービスが行われている実情について
(ア)「明治の宅配サービス 健康プラザ」のウェブサイトにおいて、「宅配サービスの特徴」の見出しのもと、「面倒な買い物の手間が省けます。 意外と思い牛乳パック。・・・宅配サービスは、そんな悩みを解消します。」の記載。(http://takuhai.meinyu.jp/service/)
(イ)「牛乳の宅配『みんなの産直』」のウェブサイトにおいて、「おいしい牛乳を配達・宅配してくれる酪農家・生産者さんを紹介するページです。」「おすすめ情報 大手の宅配牛乳を止めて生協や食材宅配サービスを利用する人が増えています。『牛乳の種類が豊富で小さな産地の特徴のある牛乳が飲める。』ということで乗り換える人が増えているそうです。」の記載。(http://watagonia.com/milk/)
(ウ)「古谷乳業株式会社」のウェブサイトにおいて、「牛乳宅配サービス」の見出しのもと、「古谷乳業では、お客様のご自宅に商品をお届する『宅配サービス』を実施しております。」の記載。(http://www.furuya-milk.co.jp/delivery.html)
(エ)「布亀株式会社」のウェブサイトにおいて、「マザーケア おいしい牛乳の宅配」の見出しのもと、「マザーケアの宅配サービスが選ばれる理由 満足その1.【おいしさ】 宅配ならではの新鮮な明治の商品をお届けします。紙パック特有の匂いがない飲みきりサイズのビンで、牛乳本来のおいしさをお届けします。」の記載。(http://www.nunokame.co.jp/service/milk.html)
(オ)「株式会社岐雪宅配サービス」のウェブサイトにおいて、「株式会社岐雪宅配サービスは岐阜県岐阜市を中心に乳製品の宅配や病院や学校向けへの乳製品の特殊搬入を行っております。また、生活習慣の対策にも期待される牛乳をご家庭にもお届けいたします。」の記載。(http://www.gisetsu-delivery.com/pc/)

イ 本願指定役務中、飲食料品の小売業界において、配達(宅配)の対象となる品物を表す語に「便」の文字を連結して、「○○便」の文字が、「○○を配達(宅配)するサービス」を指称する語として一般的に採択、使用されている実情について
(ア)「大石田百姓保存会」のウェブサイトにおいて、「大石田百姓保存会・すいか便・メロン便申込書」の見出しのもと、「スイカ便 お届け予定日 7/25?8/10 内容 スイカ2個 スイカは2Lサイズ 7kg以上のものです。 価格(送料込み)3800円」の記載。(http://ooishidaclub.iinaa.net/2suika.html)
(イ)「矢板市農業公社」のウェブサイトにおいて、「年間発送表」の見出しのもと、「発送月 7月(お中元便)季節の新鮮野菜をお届けいたします。 種類 野菜便(小) 価格 3,500円・・・米便(7kg)3,500円・・・」の記載。
(http://www.yaita-nougyoukousya.jp/furusatobin/hassou.html)
(ウ)「むしゃなび」のウェブサイトにおいて、「卵便のお知らせ」の見出しのもと、「たつかーむでは、大地を元気にかけまわる鶏が産んだ有精自然卵の配達をしております。」の記載。(http://www.mushanavi.com/news/?S=9530)
(エ)「天満屋ネットショップ」のウェブサイトにおいて、「旬のくだもの便は岡山特産の果物をお届けします。」の記載。(http://www1.tenmaya.co.jp/fruit/pione.html)
(オ)「佐藤園」のウェブサイトにおいて、「お届けの便について」の見出しのもと、「果物便 果物商品は、他の商品と同時にご注文いただいた場合でも別送になりますので、ご注意下さい。」の記載。(http://www.satoen.co.jp/index.php/main/guidance/2)
(カ)「食材宅配サービス比較ナビ」のウェブサイトにおいて、「協和のおいしい野菜便」の見出しのもと、「協和のおいしい野菜便は、健康食品を販売している協和が、KM(協和ミネラル)栽培という農法で作った『美味しく体に優しい旬の減農薬野菜』を産地直送で宅配してくれる食材宅配サービスです。」の記載。(http://www.takuhai-go.com/006/ent342.html)

以上よりすれば、本願商標「牛乳便」の文字よりは、全体として「牛乳を配達(宅配)するサービス」程の意味合いを容易に認識させるものである。 そうとすれば、本願商標をその指定役務中、「牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に、その役務が「配達(宅配)による牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」程の意味合いを表したものと容易に理解・認識するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない商標とみるのが相当であり、前記役務以外の役務に使用したときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「請求人の知る限りにおいては、『牛乳便』の文字が、本願指定役務の分野において牛乳を配達することの意味合いにより普通に使用されているような事実はない。」旨主張しているが、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号列挙のものは通常、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解されるところ、本願指定役務を取り扱う業界において、配達(宅配)による小売サービスが一般的に行われている実情があり、また、配達の対象となる品物を表す語に「便」の文字を連結した「○○便」の文字が、「○○を配達(宅配)するサービス」を指称するものとして一般的に使用されている実情にあることは、前記したとおりである。
そうとすると、本願商標「牛乳便」については、その指定役務との関係において、これに接する取引者、需要者は、その役務が「牛乳の配達(宅配)に関するもの」であることを認識し、役務の内容(質)を表示したものと理解するにとどまると判断するのが相当であり、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないものであるから、請求人の該主張を採用することはできない。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、「本願商標も登録されるべきである。」旨主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであり、それらの既登録例に拘束される理由はないから、請求人の該主張を採用することはできない。

(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-12-28 
結審通知日 2011-01-05 
審決日 2011-01-18 
出願番号 商願2008-44524(T2008-44524) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X35)
T 1 8・ 272- Z (X35)
T 1 8・ 18- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 裕子宮川 元平澤 芳行大島 康浩 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小田 昌子
田中 亨子
商標の称呼 ギューニュービン、ビン 
代理人 河野 生吾 
代理人 河野 誠 

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