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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X09
管理番号 1233344 
審判番号 不服2009-17495 
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-17 
確定日 2011-02-18 
事件の表示 商願2007- 98618拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「SDDナビ」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成19年9月19日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『silicon disk drive(シリコンディスクドライブ)』の略称である『SDD』の文字と『ナビゲーション装置』の略称である『ナビ』の文字とを一連に『SDDナビ』と書してなるところ、近時、本願の指定商品を取り扱う業界において、カード型のフラッシュメモリ記憶装置が『シリコンディスク』と呼ばれており、前記の記憶装置を利用したナビゲーションシステムが多数製造・販売されている実情にある。さらに、ナビゲーション装置が採用している記憶装置等によって、例えば、『DVDナビ』『SDナビ』『HDDナビ』等のように使用されている事実も多数認められるから、本願商標は全体として『カード型のフラッシュメモリの読み取り装置を利用したナビゲーション装置』ほどの意味を理解させるにとどまるものである。そうとすると、本願商標をその指定商品中『前記のナビゲーション装置』に使用するときは、単に商品の品質(機能)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における手続きの経緯
当審において、職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、請求人に対し、平成22年10月18日付けの証拠調べ通知書によって、これを開示し意見を求めた。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、「SDDナビ」の文字を普通に用いられる態様で表してなるところ、その構成中の「SDD」の文字は、「フラッシュメモリを使用した記憶媒体」を意味する「シリコンディスクドライブ(Silicon Disk Drive)」の略語であって、「ソリッドステートドライブ(Solid State Drive)」及びその略語である「SSD」と、同義語として使用されていることが、以下の新聞情報等により認められる。
また、「ナビ」の文字は、「ナビゲーター・ナビゲーションの略。」を意味する語であって、「ナビゲーション装置」の略語としても普通に使用されているものである。
(1)1991年7月30日付けの日刊工業新聞には、「プロサイド、SDD3機種を開発。10月から量産化、初のメモリーカード応用製品」の見出しのもと、「FDD(フロッピーディスク駆動装置)やHDD(ハードディスク駆動装置)に置き換えできるPC-XT/ATおよびその互換機対応のSDD(シリコンディスク駆動装置)三機種を開発した」「FDDやHDDに比べSDDはアクセス時間が〇・五ミリ秒と高速で、機構部分がなく高信頼性、低消費電力という特徴を持つ。」との記載がある。
(2)「株式会社アドテック」のWebページにおいて、「2.5inchシリコンディスクドライブ SDDシリーズ」が紹介され、「ハードディスクドライブ(HDD)の記憶媒体である磁気ディスクの代わりに、NANDフラッシュメモリを使用した、高信頼性大容量記憶媒体」との記載がある(http://www.adtec.co.jp/products/SDD/)。
(3)「ウィキペディア」のWebページにおいて、「ソリッドステートドライブ」の見出しのもと、「ソリッドステートドライブ(solid state drive、SSD)」及び「シリコン(ディスク)ドライブ、?などとも呼ばれる」との記載がある(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96)。

そして、「SDDナビ」及びこれと同義である「SSDナビ」の文字は、たとえば、以下のとおり、「SDDやSSDを使用したカーナビゲーション装置」を意味する語として使用されている事実がある。
(1)「スズキアリーナ長泉」のWebページにおいて、「当店限定!ナビキャンペーン」の見出しのもと、「イクリプスAVN119M」「カロッツェリアAVIC-MRZ088」「パナソニックMW100D」の項に、「SDD(メモリー)ナビ」とあり、また、「SDDナビ」について、「SDD(メモリー)を使用したナビで、動作が早く、振動にも強いのが特徴です。」との記載がある(http://www.wbs.ne.jp/bt/arena-ngizm/navicannew.html)。
(2)「本田技研工業株式会社」のWebページにおいて、「カーナビゲーション」の見出しのもと、「SSDインターナビモデル」の項に「SSDナビ」の記載があり、「主な特徴」として、「8GB SSD(ソリッドステート ドライブ)搭載 記憶媒体にHDDと比べ動作スピードが速い先進のSSDを採用。」との記載がある(http://www.honda.co.jp/navi/vxs-092cvi/)。

さらに、「HDD」や「DVD」等の「記憶媒体の種類」と「ナビ」の語を一連に組み合わせた語は、当該記憶媒体を搭載したカーナビゲーション装置であることを意味する語として使用されている事実がある。
(1)「富士通テン株式会社」のWebページにおいて、「ECLIPSE カーナビ入門 カーナビの種類」中に「HDDナビタイプ」「CDナビやDVDナビ」との記載がある(http://www.fujitsu-ten.co.jp/eclipse/brand/naviguide/kind.html)。

これらの事実を総合すれば、「SDDナビ」の文字は、「フラッシュメモリを使用した記憶媒体を利用したナビゲーション装置」を認識させるものであるといわざるを得ない。
そうとすると、「SDDナビ」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中、「フラッシュメモリを使用した記憶媒体を利用したナビゲーション装置」に使用しても、商品の品質を表示するにすぎないものであって、自他識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、これを前記商品以外の商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。

2 請求人の主張について
請求人は、本願商標「SDDナビ」は、英語辞書や広辞苑などの辞典には存在せず、請求人の案出した造語であるから、カーナビゲーションの業界において未だ一般的に通用されている語ではないと主張するが、本願商標が、その指定商品の取引者、需要者の間で、当該商品の品質を表示するものとして認識されることは、上記認定のとおりであるから、この点についての請求人の主張は認めることができない。
また、請求人は、「ナビ」またはこれに通じる「Navi」と他の文字とが結合した過去の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張するが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号等に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それら過去の登録例をもって本願商標の登録の適否についての判断基準とするのは、必ずしも適切でない。
したがって、請求人の上記主張はいずれも採用することができない。

3 むすび
以上のとおり、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-12-07 
結審通知日 2010-12-10 
審決日 2010-12-21 
出願番号 商願2007-98618(T2007-98618) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X09)
T 1 8・ 272- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 尊恵早川 文宏真鍋 伸行 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小畑 恵一
大塚 順子
商標の称呼 エスデイデイナビ、エスデイデイ 
代理人 黒田 泰弘 

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