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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X42
管理番号 1233234 
審判番号 不服2009-6476 
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-26 
確定日 2011-02-10 
事件の表示 商願2008- 4395拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「勝手広告」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年1月24日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定商品及び指定役務については、原審における同年7月17日付け及び9月8日付け並びに当審における同22年1月14日付け及び同年4月19日付けの補正書により、第42類「インターネットで公開される広告コンテンツの制作支援のための電子計算機用プログラムの提供,個人が作成した広告コンテンツをアップロードして公開するためのインターネットウェブサイトの作成及び保守」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『インターネット上で、個人が企業の広告活動とは無関係に、勝手に作成し、発表した広告風作品のこと』を指す言葉(語)として一般に認識、使用されている『勝手広告』の文字よりなるものであるから、これをその指定役務に使用しても、前記勝手広告に関する内容の役務であることを認識させるにとどまり、単にその役務の質、内容を表示するものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における手続きの経緯
当審において、職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、請求人に対し、平成22年3月8日付けの審尋書によってこれを開示し意見を求めたところ、請求人は、同年4月19日付けの回答書を提出した。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は「勝手広告」の文字よりなるところ、「勝手広告」とは、「インターネット上の動画共有サイトを利用した、個人の意思により制作した企業等の広告」を表すものであり、インターネット上において、「勝手広告」の文字が、そのような広告を示すものとして多数使用されていること、そして、そのような広告が実際に提供されていることが、原審において認定した事実、及び当審における職権調査により認められる。
(1)平成21年2月19日付け拒絶査定書記載の証拠
ア『【Z会】Z会が「勝手広告」制作の神酒大亮氏を特集するTV東京系番組「うぇぶたま3」の広告素材として取り上げられます。』の見出しのもと、「◆「勝手広告」とは YouTubeを初めとする動画共有サイトを利用し、個人の意思で制作した企業広告のことです。」(http://www.news2u.net/NRR200833121.html)
イ「カンタンCM作成サイト コマーシャライザー」の見出しのもと、「2ちゃんねる勝手広告」(http://cmizer.com/movie/42)
ウ「おもしろNET」の見出しのもと「勝手広告 素人が作ったヤマト運輸のCM」(http://trivia.blog3.fc2.com/blog-entry-1850.html)
(2)平成22年3月8日付け審尋書記載の職権調査により発見された証拠
ア「高広伯彦のメディア現論(6)勝手に作られる広告-消費者目線で鋭い洞察力。」の見出しのもと、「『勝手広告』は通常の広告とは違い、広告主に事前の承諾を得ないまま、広告制作の発注を受けたわけでもないのに、“勝手”に広告が作られる。広告主から見ると、いつの間にか動画共有サイトに自社ないしは自社商品の広告が出ている。例えば、YouTubeで『勝手広告』を検索すると、地方の中小企業から誰もが知っているブランドのものまで、多数の“広告”がアップロードされるが、これらはすべてユーザーによって作られた広告。」との記事(2009.4.14 日経産業新聞)。
イ「ディズニーシーのマジカルマーケティング、来月4日開業-協賛企業が“勝手広告”。」の見出しのもと、「一方、オリエンタルランド自身がTDS開業までに流すCMは五千本程度にすぎない。『協賛企業のCMだけで告知は十分』(関係者)なためだ。協賛企業の“勝手広告”は国内にとどまらない。」との記事(2001.8.30 日経MJ(流通新聞))。
ウ「ジャパンナレッジプラス」のウェブサイトにおいて、「勝手広告」の見出しのもと、「企業の了承を得ないまま勝手に広告を作って、それをインターネットの動画として流す広告。」との記載(http://www.jkn21.com/stdsearch/displaimain)。
エ「フレッシュアイペディア」のウェブサイトにおいて、「勝手広告」の見出しのもと、「勝手広告とは、企業の許可なく個人が勝手に作成し、発表した広告風作品のこと。」との記載( http://wkp.fresheye.com/wikipedia/%E5%8B%9D%E6%89%8B%E5%BA%83%E5%91%8A)。
オ「MOKKUN.COM」のウェブサイトにおいて、「『勝手広告』が面白い」の見出しのもと、「勝手広告ってご存知ですか?特に許諾を得ず、勝手に作られた企業の広告です。youtubeなど動画共有サイトにアップされてます。」との記載(http://www.mokkun.com/?s=%E5%8B%9D%E6%89%8B%E5%BA%83%E5%91%8A)。
カ「かなろぐ」のウェブサイトにおいて、「『勝手広告』が面白い」の見出しのもと、「YouTubeなどを見ていると、最近「勝手広告」というモノが増えだしています。そもそも「勝手広告」って何なんですか?という所から入りますが、素人が企業の広告活動とは関係無しで、素人の思いつくままに勝手に映像を作成し、十中八九企業側に了承も取らず、インターネット上(主にYouTube等)にて、勝手にアップロードして発表している広告を指します。」との記載(http://blog.goo.ne.jp/kanataylfc/e/f93f4ad6e651712b137bd98b92bd9c4d)。
以上からすれば、本願商標は、「インターネット上の広告スペースを利用して提供する、個人の意思により制作した広告」を表すものであり、このことは、インターネット上の広告をはじめとする、インターネット関連の業界等の取引者や需要者が、十分に理解、認識していたものであるといわざるを得ない。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務である「インターネットで公開される広告コンテンツの制作支援のための電子計算機用プログラムの提供,個人が作成した広告コンテンツをアップロードして公開するためのインターネットウェブサイトの作成及び保守」に使用するときは、当該指定役務の質(内容)又は用途といえる「インターネットで公開される広告コンテンツ」又は「個人が作成した広告コンテンツ」が、「勝手広告」であると、取引者、需要者に認識されるものとするのが自然であるから、単に役務の質、用途を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

2 請求人の主張について
出願人は、回答書と同時提出の手続補正書において、第35類の指定役務を削除し、「勝手広告」の文字が、第42類「インターネットで公開される広告コンテンツの制作支援のための電子計算機用プログラムの提供」、「個人が作成した広告コンテンツをアップロードして公開するためのインターネットウェブサイトの作成及び保守」については、その役務の質を表す語であるとは言えず、識別性を有するものであり、原審において認定した事実、及び当審における職権調査によって発見されたウェブサイトでは、「勝手広告」の語が、広告コンテンツ若しくはその制作について用いられているにすぎず、第42類の当該役務について用いられている訳ではない旨主張する。
しかし、インターネット上において、以下のとおり、広告を作成する電子計算機用プログラムを提供するウェブサイトや、個人の意思により制作した広告を公開するためのウェブサイトが存在する事実があることからすれば、「勝手広告」の語は、これに接する取引者、需要者が、当該指定役務の質(内容)であると、容易に理解し、認識するものといわざるを得ない。
(1)「株式会社リクルート」のウェブサイトにおいて、「カンタン動画CM作成サイト コマーシャライザー」の見出しのもと、「コマーシャライザーは、誰でも簡単にCMを作れるサイトです。」の記載(http://cmizer.com/)。
(2)「株式会社エニグモ」のウェブサイトにおいて、「勝手にCM、つくってみない? - [filmo]動画コンテスト」「勝手CM 大募集!」(http://filmo.tv/liberty/)、及び「filmoとは」「企業のCMをみんなでつくってしまうサービスです。制作頂いた作品の中から選考/投票により制作者へ賞金や制作費をお支払いいたします。」(http://filmo.tv/info/about/)の記載。
(3)「株式会社ムービーインパクト」のウェブサイトにおいて、「勝手CMchannel」中、「第5回勝手CMアワード 作品一般公募/エントリーシート」の見出しのもと、「勝手CMを募集します」の記載(http://www.movieimpact.net/award/index.html)。
(4)「リアルネットワークス社」のウェブサイトにおいて、「勝手CMチャンネル」中、「勝手CM」の見出しのもと、上記(3)の公式チャンネルとして、「勝手広告」が公開されている(http://guide.jp.real.com/kattecm/)。
(5)「視聴者が勝手に作るおもしろCM動画集:勝手広告など」のウェブサイトにおいて、「勝手広告」「勝手CM」等の分類付けがされた動画が公開されている(http://www.omoshirocm.com/)。
(6)「NTT番号情報株式会社 」のウェブサイトにおいて、「iタウンページ 動画CMタウン」の見出しのもと、「動画CMタウンとは?動画広告を利用したい広告主様と、動画CMを制作するユーザ(動画投稿者)を結びつける消費者参加型サービスです。」の記載(http://cmtown.itp.ne.jp/explain/)。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

3 むすび
以上のとおり、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-12-02 
結審通知日 2010-12-07 
審決日 2010-12-27 
出願番号 商願2008-4395(T2008-4395) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小畑 恵一
大塚 順子
商標の称呼 カッテコーコク、カッテ 
代理人 村上 辰一 

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