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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X45
管理番号 1231757 
審判番号 不服2009-21517 
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-06 
確定日 2011-02-04 
事件の表示 商願2008- 48786拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「セレモニー散骨葬」の文字を青色で横書きしてなり、第45類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年6月19日に登録出願されたものである。その後、指定役務については、同21年4月8日付けの手続補正書により、第45類「散骨の執行,散骨場の提供」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、全体として『遺骨を細かく砕き、これを墓地以外の海や山に撒く葬法を行う儀式』等の意味合いを表わす『セレモニー散骨葬』の文字を、普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを補正後の指定役務に使用した場合、単に役務の質(内容)を表示しているものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「セレモニー散骨葬」の文字からなるところ、その構成中の「セレモニー」の文字は、「儀式。式典。」を、「散骨」の文字は、「死者の遺骨を粉にして海や山へまく葬礼。」を、及び「葬」の文字は、「死者をほうむること。」(いずれも広辞苑第六版)を、それぞれ意味する語として知られているものである。
ところで、葬儀関連分野において、「セレモニー」の語は、「葬儀に関する儀式」程の意味として、広く一般に採択・使用されており、また、近年、葬送の方式が、従来の、墓に遺骨を納めるものから、遺灰を山や海にまく散骨など、多様化している実情にあり、そして、遺灰を山や海等にまく散骨を、「樹木葬」、「海洋葬」等、あるいはこれらを総称して、単に「散骨葬」などと称していることは、例えば、別掲の新聞記事及びウェブサイトの記載からも窺えるところである。
そうとすると、上記意味合いの「セレモニー」の文字と「散骨葬」の文字とを結合した本願商標からは、「葬儀に関する儀式としての散骨葬(遺灰を山や海にまく散骨)」程の意味合いを認識させるものである。
してみれば、本願商標をその指定役務「散骨の執行,散骨場の提供」について使用しても、「遺灰を山や海にまく散骨葬の儀式を行う際の散骨の執行・散骨場の提供」程の意味合いを認識させるに止まり、単に役務の内容、質を表示したにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわざるを得ない。

2 請求人の主な主張について
(1)請求人は、「『セレモニー』や『散骨葬』の言葉にそれぞれの意味があったとしても、一連一体の造語で、語頭に『セレモニー』がくる本願商標『セレモニー散骨葬』は、その指定役務を取り扱う業界において、特定の役務の質等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実は皆無である。むしろ、取引の実情からすれば、請求人が取り扱う散骨葬を想起させると考える方が、一般的な取引者・需要者をして、より自然である。」旨主張している。
しかしながら、「セレモニー散骨葬」それ自体としては造語であるとしても、それを構成する「セレモニー」及び「散骨葬」の各語の語義から前記1のとおりの意味合いを有する複合語として認識されるものであり、また、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)」(役務についても同様に解される。)から、たとえ、一連一体で表された「セレモニー散骨葬」の文字が、その指定役務を提供する業界において、役務の質等を表示するものとして使用されている事実が存在しなくとも、本願商標が質等を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
また、確かに、請求人は、創業45年の実績のもと、埼玉県一円を活動の拠点とし、冠婚葬祭役務の提供を主な事業とする会社であって、葬儀分野に関しては、俳優の風間杜夫氏をイメージキャラクターに起用し、各種宣伝広告、テレビCM等を行っていることは認められる。
しかしながら、請求人が、実際にその指定役務に使用しているのは「海洋散骨葬」の文字(資料76)であって、本願商標を使用している事実は、一切見あたらない。そうとすると、取引の実情を考慮しても、本願商標が、請求人が取り扱う散骨葬を想起させるとは言い難い。
したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(2)請求人は、「青色に配色されたHGS明朝E書体8文字で横一連に『セレモニー散骨葬』と構成された本願商標は、当該役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとは言えないから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。」旨主張している。
しかしながら、近時、レタリング技法の進展により、役務の広告、宣伝等において、文字に彩色を施す手法や文字を装飾的に図案化するなどして表現する手法は広く採用されているところ、本願商標が、たとえ、青色に配色されたHGS明朝E書体で書されているとしても、「セレモニー散骨葬」の文字を表してなるものと容易に認識させるものであって、普通に用いられる態様から構成されているといえるものであるから、かかる配色と書体を根拠としては、特殊な態様とは到底いえず、この請求人の主張も採用することができない。
(3)請求人は、過去の審決例や登録例を挙げて、本願商標は、これらの登録商標における判断と本願商標における判断とを別異に取り扱うべき合理的根拠は見出し難いものであるから、登録されるべき旨主張している。
しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定役務に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本願については前記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張も採用することができない。

3 まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 (「樹木葬」「海洋葬」「散骨葬」等の語の使用の実情)
(1)2002.10.25 産経新聞 大阪夕刊 12頁 タウンニュース
「増える散骨葬 海外ではポピュラー、選択肢のひとつに」の見出しの下、「故人の遺骨を粉末状にして海や山にまく『散骨葬』が、葬祭業者の新しいサービスとして注目を集めている。これまでは故人の遺志に従って遺族らが各地で自主的に行ってきたセレモニーが中心だったが、業者は葬送の一環として普及を図りたい考えだ。」との記載。

(2)2002.05.09 日本工業新聞 17頁 ベンチャー
「メモリアルアートの大野屋 来月、日本社で初サービス モンブランで散骨葬」の見出しの下、「メモリアルアートの大野屋(会長兼社長・・・・)は、欧州アルプスの最高峰、モンブランの山頂などで散骨する初の『モンブラン葬』を六月に実施する。」との記載。

(3)2006.11.08 日本工業新聞新社 FujiSankei Business i. 13頁 ニュースリリース
「【好機!】アルゴダンザ・ジャパン 法月雅喜社長(42)」の見出しの下、「■故人を身近に“遺灰ダイヤ”/散骨葬の広がりなどで多様化する葬送スタイル。」との記載。

(4)2004.11.12 朝日新聞 北海道地方版/北海道 25頁
「『散骨は合法』道視察し見解 長沼町困惑『風評が心配』/北海道」の見出しの下、「札幌市のNPO法人が空知支庁長沼町の私有林で散骨による『樹木葬』を始めた問題で、道や長沼町は11日、関係者の案内で散骨葬の現場を初めて視察した。」との記載。

(5)「株式会社カズラ」のウェブサイトにおいて、「散骨の種類」の項に、「海洋葬/海洋葬とは粉骨した遺骨を岸から離れた海上で撒く散骨の方法です。」「樹木葬/樹木葬とは、予め墓地として許可を受けた山林や墓地の一画の樹木や花木の周りに遺骨を埋める葬法です。」との記載。
http://www.kazurajima.jp/sankotsu/

(6)「株式会社ファミリーホール」のウェブサイトにおいて、「葬儀プラン一覧」の項に、「海への散骨(海洋散骨)/海への散骨とは、お遺骨を海へ還すプランで、従来の納骨あるいは分骨の方法です。」との記載。
http://www.familyhall.co.jp/

(7)「BATEAU CEREMONIE」のウェブサイトにおいて、「自然海葬のバトーセレモニーでは、葬送の新しい形として、海での散骨葬、葬儀、家族葬を皆様にご提案いたしております。」との記載。
http://www.bateau352.com/

(8)「散骨.com」のウェブサイトにおいて、「≫散骨の流れ/ここでは、一般的に行われる『海洋葬』『樹木葬』についてのご紹介をさせて頂きます。」との記載。
http://www.sankotu.com/020_/

(9)「有限会社 風」のウェブサイトにおいて、「散骨葬・海洋葬のメニュー(料金プラン)」として、「委託散骨(ご家族が立ち合わず、代行による散骨)」、「合同散骨(他のご家族との乗り合わせによる散骨)」等の記載。
http://sankotsu-kaze.com/sankotu/

(10)「株式会社 清蓮」のウェブサイトにおいて、「船を持たない会社がプロデュースする散骨葬」の項に、「船を持たない低コスト運営のメリットを最大限に活かし、質の高いサービス、丁寧な対応、お客様の希望に合ったプランをご提案し、ひとつひとつの散骨葬を大切に行っております。」との記載。
http://shizensou.com/

審理終結日 2010-11-19 
結審通知日 2010-11-26 
審決日 2010-12-07 
出願番号 商願2008-48786(T2008-48786) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X45)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 小川 きみえ
豊瀬 京太郎
商標の称呼 セレモニーサンコツソー、セレモニー、サンコツソー 
代理人 秋山 敦 
代理人 城田 百合子 

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