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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X25
管理番号 1231755 
審判番号 不服2009-7183 
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-03 
確定日 2011-02-04 
事件の表示 商願2008-96096拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Backs」の欧文字を書してなり、第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年4月15日に登録出願された商願2008-29408に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年11月28日に登録出願され、その後、指定商品については原審における同21年2月16日付けの手続補正書により、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3185015号商標は、別掲のとおりの構成よりなり、平成5年6月11日登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テ?ブルクロス,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製ブラインド,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,遊戯用カ?ド,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライタ?,チェックライタ?,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マ?キング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同8年8月30日に設定登録され、その後、同18年7月18日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第3308733号商標は、別掲のとおりの構成よりなり、平成5年11月5日登録出願、第28類「遊戯用器具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,ビリヤード用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具」を指定商品として、同9年5月23日に設定登録され、その後、同19年4月3日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第3329948号商標は、別掲のとおりの構成よりなり、平成5年11月5日に登録出願、第25類「被服(和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同9年7月11日に設定登録され、その後、同19年6月19日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4)登録第4478309号商標は、別掲のとおりの構成よりなり、平成7年12月15日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,レコード,オゾン発生器,電解槽,遊園地用機械器具,回転変流機,調相機,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,盗難警報器,保安用ヘルメット,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮き袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」を指定商品として、同13年6月1日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用各商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、「Backs」の欧文字を書してなるところ、その構成文字に相応して「バックス」の称呼を生ずるものであり、「ラグビー・アメリカン-フットボール・ホッケーなどで、後衛の選手。また、そのポジション。」(株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)の観念を生ずるものである。
(2)引用各商標について
引用各商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その図形部分と文字部分とは、視覚上分離して観察されるものであり、また、これらを、常に一体不可分のものとして観察しなければならない格別の事情も見出せないものであるから、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというのが相当である。しかして、文字部分についてみると、その構成中の「MILWAUKEE」の欧文字は、米国ウィスコンシン州最大の都市名であって、商品の産地・販売地と認識し得るものであるから、自他商品の識別標識としての機能は無いか又は極めて弱く、また、その構成中、「BUCKS」の欧文字は、「MILWAUKEE」の欧文字に比して圧倒的に顕著に表されており、看者の注意を強く惹くものであるから、当該「BUCKS」の欧文字部分に着目し、これより生ずる「バックス」の称呼をもって取引に資される場合も決して少なくないとみるのが相当である。
そうとすると、引用各商標は、その構成中の文字部分全体から「ミルウォーキーバックス」の称呼を生ずるほか、単に「バックス」の称呼をも生じるものである。そして、「BUCKS」の文字は、その構成中の「buck」が、英語で「雄ジカ」の意味を有するものであるとしても、我が国において、広く親しまれた語であるとはいえないものであるから、これに接する需要者は特定の観念を看取し得ないものというのが相当である。
(3)本願商標と引用各商標との類否について
前記(1)のとおり、本願商標は、「バックス」の称呼を生じ、「ラグビー・アメリカン-フットボール・ホッケーなどで、後衛の選手。また、そのポジション。」の観念を生ずるものである。
他方、前記(2)のとおり引用各商標は、「バックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
してみれば、本願商標と引用各商標とは、外観において相違し、観念において比較できないものであるとしても、「バックス」の称呼を共通にする、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
また、本願の指定商品と引用各商標に係る指定商品とは、同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、引用各商標は雄ジカの図形部分と文字部分とが一体不可分として認識されるとし、その理由として引用各商標は全米バスケットボール協会(NBA)所属のバスケットボールチーム「MILWAUKEEBUCKS」の商標であり、当該チームは、我が国において十分周知であること等を主張する。
しかしながら、請求人の提出する証拠(甲1、甲2、甲4)は、英文のインターネット情報の写しであり、我が国から、どの程度の者が当該ウェブサイトを参照しているか全く不明である。甲5及び甲6は、テレビ放送の予定に関するインターネット情報の写しであるが、対戦チーム中に前記「MILWAUKEEBUCKS」と思しきチーム名は存在しない。以上からすると、「MILWAUKEEBUCKS」(ミルウォーキーバックス)が、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーに本拠を置くNBA所属のチーム名であるとしても、提出された証拠によっては、当該チームが我が国において広く認識されているものとは、到底、認めることはできないものである。したがって、前記チーム名が我が国において周知であることを前提とする請求人の主張は失当である。
イ 請求人は、本願商標と引用各商標とは、外観、観念において大きく異なること、また、引用各商標の称呼は冗長ではなく、語呂も良く、アメリカNBAのバスケットボールチーム名を表すものであるから「ミルウォーキーバックス」の称呼を生じる旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用各商標とが外観における相違を有するものであるとしても、観念においては、前記(3)のとおり、両者を比較することはできないものである。請求人は、その主張の根拠として、引用各商標中の「BUCKS」の欧文字部分及び図形部分からは「雄ジカ」の観念を直ちに想起し、前記のバスケットボールチームを想起すると主張しているが、本願商標の指定商品の取引者、需要者が引用各商標中の「BUCKS」の欧文字から、「雄ジカ」の観念を直ちに認識できるものとは言い難いものである。たとえ、「buck」の語が英語で、「(シカやウサギなどの)雄、雄ジカ」の意味を有する語であるとしても、本願商標の指定商品の需要者は、一般の消費者であり、換言すれば年齢・性別に関わらないあらゆる人々であるところ、「buck」の語が我が国において取引上よく用いられ、親しまれ、又はその意味がよく知られていることを認めるに足りる証拠はないから、我が国において、「BUCKS」の欧文字から、特定の観念を直ちに想起し得るものということはできない。なお、請求人は、「地球人ネットワークを創るSPACEALC」との見出しのインターネット情報の写し(甲3)を提出しているが、当該インターネット情報が存するとしても、前記のような我が国における英語の普及状況に照らしてみるならば、引用各商標に接した取引者、需要者が、「BUCKS」の欧文字から特定の観念を想起し得るものとは言い難いものである。
次に、称呼についてみるに、引用各商標の文字部分全体に相応して「ミルウォーキーバックス」の称呼が生ずることは前記(2)のとおりであるが、前記のとおり、本願商標の指定商品の需要者は、一般の消費者である老若男女であって、必ずしも米国のプロバスケットボールに強い関心を持つ者であるということはできない上に、前記アのとおり、引用各商標が米国プロバスケットボールチームであるミルウォーキーバックスの商標として周知なものであるということもできないから、引用各商標に接した取引者、需要者が、当該チームを認識することを前提とする請求人の主張は失当である。
加えて、引用各商標中の「BUCKS」の欧文字は、前記(2)のとおり、「MILWAUKEE」の欧文字に比して圧倒的に顕著に表されているものであるから、引用各商標に接した取引者、需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるものである。
そうすると、引用各商標からは、その構成中の「BUCKS」の欧文字に相応して「バックス」の称呼をも生じ、当該称呼をもって、取引に資されるものというのが相当である。
ウ 請求人は、東京高裁の判決(平成7年(行ケ)第52号、東京高裁平成8年4月17日判決)に言及し(甲7)、本願商標と引用各商標との類否について、全体観察をすべき旨主張する。
しかしながら、当該判決は、前記(3)のとおりに判断する本願商標と引用各商標とは事案を異にするものであって、本件の審理に適切なものということはできない上に、商標の類否判断は、対比する商標同士について個別具体的に判断すべきものであるところ、前記イのとおり、引用各商標については、その構成中、強く支配的な印象を与える「BUCKS」の欧文字部分をもって、本願商標との類否を判断すべきものというのが相当である。
エ 請求人は、本願指定商品の特異性として、需要者層の違いが商品購入の機会に対しても大きく影響を与えるとし、例えば、引用各商標はバスケットボールに係るものであるからスポーツ用品店で取り扱われる、他方、本願商標はいわゆる渋谷109系ファッションに憧れる10代、20代女性向けのファッションブランドであり、「Backs」といえば、請求人のブランド名を想起するから、引用各商標と出所の混同を生じ得ないと主張する。
しかしながら、本願商標の指定商品は、10代、20代の女性向けに限られるものではない上に、請求人の提出する証拠(甲9及び甲10)によって、請求人のブランド名を想起するというような事情があるものということはできない。そもそも請求人が、インターネット情報(甲9)及び雑誌写し(甲10)に掲載されていると主張する商標は、本願商標とその構成態様を異にするものである。加えて、本願の指定商品の需要者は、前記イのとおり、一般の消費者であるから、需要者層の相違を前提とする請求人の主張は、失当である。
よって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
4 結論
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、これを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用各商標)


審理終結日 2010-11-29 
結審通知日 2010-11-30 
審決日 2010-12-14 
出願番号 商願2008-96096(T2008-96096) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 前山 るり子
内田 直樹
商標の称呼 バックス 
代理人 佐藤 勝 

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