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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25 |
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管理番号 | 1231749 |
審判番号 | 取消2010-300276 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-03-12 |
確定日 | 2011-02-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4526945号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4526945号商標(以下「本件商標」という。)は、「Norton」の文字を標準文字で表してなり、平成11年11月10日に登録出願、第25類「履物,仮装用衣服」を指定商品として、同13年12月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中、「履物」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品のうち「履物」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人が提出している書類からは、(a)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「権利者」という。)によって、(b)審判請求の登録前3年以内に、本件商標を使用していることの証明はなされていない。 (1)乙第1号証について 乙第1号証は、被請求人についての履歴事項全部証明書である。これは単に被請求人の事業内容を証するにすぎず、ゆえに本件商標の使用の根拠となるものではない。 (2)乙第2号証について 乙第2号証として提出したエージェント契約書において、被請求人が株式会社イングラム(以下「イングラム社」という。)に、本件商標の再許諾権を与えている旨を述べている。 しかしながら、乙第2号証によっては、被請求人の陳述を裏付ける資料は提出されておらず、実際にそうなのかの立証はなされていない。 乙第2号証は、エージェント契約書と題されているが、契約書の末尾に付されている有限会社ブルーリボン及び株式会社イングラムの印鑑は、それぞれ大きさが同じであり、中心部と外周部に分かれているという構成においても同一である。また、印影の外周部にはそれぞれの会社名が記されているが、会社名を書している書体は明らかに同じであり、そのことはとりわけ両方の印の「社」の文字と「ン」の文字を見ると明らかである。 通常、異なる二つの会社の印鑑の書体や構成が同じであることは考えにくく、二つの似通った印鑑が単一の契約書に押されていることは、当該契約書が疑わしいものであることを示している。 その上、公証人による証明もないので、乙第2号証が実際に被請求人とイングラムの間で締結された正式な契約書であることは証明されていない。 (3)乙第3号証について 乙第3号証は、イングラム社のホームページの写真である。被請求人は、「イングラム社が、1992年の創業時より、いわゆるキャラクタ・ライセンス・ビジネスを行っていること」を証していると立証趣旨において書いている。しかし、乙第3号証は単にイングラム社のホームページの写真を羅列しているだけで、イングラム社のビジネスのこれまでの実績について述べた箇所は存在しない。そのため、被請求人の上記の主張は説得力を欠くものである。 また、乙第3号証の7ページ目の「国内展開プロパティー」のブランド紹介の中に、「Norton」のマークが見られるが、これだけでは、本件商標が権利者によって取消対象商品「履物」について使用されたことの証明にはならない。 (4)乙第4号証及び乙第5号証について 乙第4号証及び乙第5号証においては、ブーツの写真が提供されている。しかし、この写真には、当該ブーツが誰によって生産されたものなのかについての情報は含まれておらず、本件商標の使用者について知ることはできない。 その上、この写真が撮影された時期についても、提出された資料からは明らかではない。そのため、この写真が、審判請求の登録前3年以内に撮影されたものであるかどうかを知ることはできない。 (5)乙第6号証の1について 乙第6号証の1では、アパレル製品の販売店と思われる場所の写真が提出されており、それはズボンやその他の商品と共にブーツが二組展示されている写真である。被請求人は、この写真を株式会社ピート(以下「ピート社」という。)の店舗であると述べている。しかし、写真で示されている場所がピート社の店舗であることは、いかなる標識・看板も写っていない以上、写真からは知ることができない。 さらに、この写真で示されているブーツに付されているマークは不鮮明であり、この写真からでは判読できない。そのため、本件商標を付しているかどうかは明らかではない。 また、それらのブーツが誰によって生産されているのかについての情報も与えられた写真からではわからない。 その上、この写真が撮影された日時についてはまったく不明であり、本件商標の使用時期を特定するための証拠にはなっていない。 (6)乙第6号証の2ないし4について 乙第6号証の2ないし4において、ブーツの写真が提供されている。被請求人は、これらのブーツがピート社の店舗において現に販売されている旨を述べているが、実際にその店舗において販売されているかどうかは証明されていない。 さらに、乙第6号証の2及び3の写真で示されているブーツに付されているマークは不鮮明であり、この写真からでは判読できない。そのため、本件商標を付しているかどうかは明らかではない。 また、乙第6号証の2ないし4の写真で示されているブーツが誰によって生産されているのかについての情報は、与えられた写真からでは得られない。 その上、乙第6号証の2ないし4で提供されている写真が撮影された日時についてはまったく不明であり、本件商標の使用時期を特定するための証拠にはなっていない。 (7)乙第7号証について 乙第7号証において、ピート社のホームページの写真が提供されているが、その4ページ目には、欧文宇「Norton」の表示が見られるものの、そのマークがいかなる商品に対して付されているのかの情報は提供されていない。 さらに、当該ホームページ上で、上記欧文字「Norton」をクリックした時に現れる「Norton」ブランドの解説においては、欧文字「Norton」は、「N」の文字が左を向いた動物のような形に描かれており、同じ「N」の文字の右上部が右方に長く伸び、右端の文字である「n」の下に潜り込んだ形態で記載され、その他の欧文字もデザイン化されており、本件商標とはその外観において明白に異なっている。そのため、本件商標を社会通念上同一の形態で使用しているということはできない(甲第2号証)。 (8)乙第8号証について 乙第8号証において、「Norton」と外壁に書された店舗写真が提供されている。そして、被請求人は、乙第6号証の1ないし4で示されたブーツは、ピート社の「『TOKYO-BAY』店を『NORTON SHOP』としてリニューアル・オープンすることを機に、企画・販売されたものである」と述べている。 しかしながら、写真のどこを見ても履物は見当たらず、この写真が取消対象商品「履物」とどのような関係があるのかはわからない。その上、この店舗はピート社の店舗であると説明されているが、ピート社との関係を証明する資料が提出されていないので、写真の店舗がピート社の店舗であることを証明することはできない。 そもそも、写真が撮影された日時についてはまったく不明であり、本件商標の使用時期を特定するための証拠にもなっていない。 (9)乙第9号証及び乙第10号証について 乙第9号証及び乙第10号証について、被請求人は、OLTON社に対する生産指示書である旨を述べているが、これはあくまで「生産指示書」であるにすぎず、本件商標が実際に生産された商品に付されたかどうかについては、提出された資料からは明らかではない。 (10)乙第11号証及び乙第12号証について 乙第11号証及び乙第12号証について、被請求人は、OLTON社からイングラム社にブーツがそれぞれ4組及び33組納入されたことを証する資料である旨を述べている。しかし、この資料は単に納入されたとされる商品名とその単価などを記載しただけのものであり、本件商標が実際に納入された商品に付されていることの証明にはならない。 (11)乙第13号証について 乙第13号証について、被請求人は、OLTON社からイングラム社に納入されたブーツの請求書である旨を述べているが、これは単に商品名、単価、小計などについて記したとされる書類にすぎず、本件商標が実際に納入された商品に付されていることの証明にはならない。 (12)乙第14号証及び乙第15号証について 被請求人は、乙第14号証はイングラム社からピート社ヘの納品書であり、乙第15号証はイングラム社からピート社に対する請求書であるとると述べている。しかし、これらは単に商品名、数量、単価、小計及び合計について記したとされる書類にすぎず、本件商標が実際に納入された商品に付されていることの証明にはならない。 そこにピート社の名前が現れているからといって、イングラム社がピート社に対して、記載されている製品を納入したとは限らないからである。さらに、乙第14号証の納品書及び乙第15号証の請求書の宛先はピート社になっているが、ピート社がそれらの製品を店舗において実際に販売しているということの証明にはなっていない。 (13)その他 被請求人によって提出された資料のうち、被請求人白身によって作成又は取得された以外の資料を、被請求人がどのようにして入手したのかについて、答弁書内では説明されていない。そのため、被請求人が答弁書において添付した資料の実在について疑義が生じる。例えば、乙第2号証からは、被請求人とイングラム社はエージェント契約を締結しているものの、「ロイヤリティ金額の正確さを担保するため」の情報開示についてしか取り決めがない。 また、乙第11号証ないし乙第13号証は、OLTON社の中道大介氏によって提供されているが、OLTON社と直接の関わりがない被請求人が、どのような権限でそれらの書類を手に入れたのかについても説明されていない。 そのため、答弁書における添付資料のうち、被請求人自身によって作成・取得された以外の資料については信憑性が薄い。よって、それらの資料からは、本件商標を権利者が使用したことは証明されない。 また、答弁書において、被請求人がイングラム社、ピート社及びOLTON社などの名前を挙げて、本件商標の使用について様々な説明をしている。しかし、それらの会社間の関係は錯綜しており把握することが困難である。そのため、被請求人が、誰がどのように使用していることをもって本件商標の使用を主張したいのか不明確である。 3 以上より、被請求人より提供された各資料を総合的に検討すると、被請求人は、商標法第50条第2項に規定する条件を満たしていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。 1 理由 本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の使用権者であるイングラム社の製造・販売に係る、ワークブーツ、エンジニアブーツ等の「履物」に使用されている。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきではない。 (1)被請求人と使用権者との関係 ア 被請求人である有限会社ブルーリボン(以下「ブルーリボン社」という。)は、主として「キャラクター等の無体財産の企画及び著作権、商標権、意匠権の管理業務」を業とする会社である。本件商標は、当初有限会社アイピーコーポレーションが保有していたが、同社の経営が芳しくなくなったことから、被請求人が同社の他の営業資産の一部とともに譲り受けたものである(甲第1号証)。 イ 被請求人は、本件商標の活用を図るべくイングラム社との間で、「エージェント契約書」を締結した(乙第2号証)。締結の理由は概ね以下のとおりである。 (ア)イングラム社は、いわゆるキャラクタ・ライセンス・ビジネスに永年の実績があり(乙第3号証)、被請求人とも人的・営業的に緊密な関係にあったこと (イ)イングラム社は、「被服」等の商品について、多数の取引先を有しており、同一ルートを使用して履物の販売にも注力していたこと (ウ)イングラム社は、過去にも、本件商標を使用した履物の販売実績を有しており、製造・販売に関する充分なノウハウを有していたこと (エ)イングラム社は、被請求人が本件商標の商標権者となる以前から、本件商標についての専用使用権者であった時期があり(平成15年12月1日ないし平成18年12月31日;甲第1号証)、本件商標の使用を希望したこと (2)イングラム社による本件商標の使用実績 ア 乙第4号証は、本件商標を使用したワークブーツの写真である(以下「本件商品1」という)。また、乙第5号証は、本件商標を使用した、エンジニアブーツの写真である(以下「本件商品2」といい、「本件商品1」と併せて「本件商品」という場合がある)。本件商品は、イングラム社の重要販売先である、ピート社に販売され、同社の店舗において現に販売されている(乙6号証の1ないし4)。 イ ピート社は、乙第7号証のとおり、いわゆるアメリカンカジュアルといわれる商品の製造・販売を業として、本件商標を含む「GOTCHA」、「KARL KANI」等6商標をメインブランドとして営業展開を行っている。本件商品は、同社の「TOKYO-BAY」店を「NORTON SHOP」としてリニューアル・オープンすることを機に、企画・販売されたものである(乙第8号証)。本件商品1には、シュー・タン部(甲部分)に本件商標と社会通念上同一の商標が透明箔でロゴ押しされ(乙第6号証の3)、また、下げ札にも表示されている(乙第4号証)。また、本件商品2にも、履き口部に本件商標と社会通念上同一の商標が透明でロゴ押しされ(乙第6号証の4)、下げ札にも表示されている(乙第5号証)。 ウ 以上のとおり、本件商標は、その指定商品である「履物」に現に使用されていることが明らかである。 (3)本件商標の使用に関する帳票等について ア 乙第9号証は、本件商品1のOLTON社に対する「生産指示書」である。同様に、乙第10号証は、本件商品2の、OLTON社に対する「生産指示書」である。本件商品の生産指示は、いずれも2009年12月18日に行われている。この生産指示書には、本件商標及び本件商標と同一又は社会通念上同一の商標が表示されている。上記生産指示書に基づいて、本年1月16日には、本件商品1及び本件商品2が、それぞれ2足ずつ、OLTON社からイングラム社に納入された(乙第11号証)。ちなみに、乙第4号証及び同第5号証は、その際納入された商品を写真撮影したものである。また、その後、2月3日には、本件商品1及び本件商品2が、それぞれ33足、OLTON社からイングラム社に納入された(乙第12号証)。乙第13号証は、当該分の請求書である。 イ 乙第14号証は、本件商品1及び本件商品2それぞれ33足の、イングラム社からピート社への納品書であり、乙第15号証は、当該分の請求書である。乙第14号証及び同15号証にも、本件商標が使用されている。上記商品は、2月27日にピート社宛に出荷され(乙第14号証)、2月28日付けでピート社に対する請求書も発行された(乙第15号証)。これらの帳票にも、本件商標が使用されている。 ウ 以上のとおり、本件商標は、遅くとも、本年1月16日以降使用されており(商標法第2条第3項第1号)、2月27日には、販売先への譲渡も為されている(商標法第2条第3項第2号)。これらの行為が本件商標の使用にあたることも明らかである。 2 以上より、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人の使用権者であるイングラム社の製造・販売に係る「履物」に使用されているから、本件審判の請求は成り立たない。 第4 当審の判断 1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、平成22年3月19日付けの被請求人(商標権者)ブルーリボン社の履歴事項全部証明書で、目的の欄に「1.キャラクター等の無体財産の企画及び著作権、商標権、意匠権の管理業務」と記載されている。 (2)乙第2号証は、2008年4月1日付けの被請求人(商標権者)とイングラム社との「エージェント契約書」であって、そこには、「有限会社ブルーリボン(以下『甲』という。)と株式会社イングラム(以下、『乙』という。)とは、甲が保有する登録商標『Norton』(以下、『本件プロパティ』という。)の使用、及び、商品化権について以下の通り合意した。」の記載がある。そして、「第1条(1)」には、甲の保有する登録商標として「登録第4526945号」を含む8件の記載がある。さらに、「第1条(2)」に「甲は、乙に対して、日本(以下、『テリトリー』という。)における本件プロパティの使用をすること、及び、本件プロパティを使用した商品化権のエージェント業務(代理店業務)を行うことを認める。」の記載がある。 また、(有効期間)の項には、「第6条 有効期間は2008年4月1日から2013年12月31日までとする。本契約満了の90日前までに甲又は乙が文書で契約終了の申出をしない場合には、本契約は自動的に1年間更新され、以降も同様とする。」の記載がある。 (3)乙第3号証は、イングラム社のホームページであって、パソコンの画面を印刷したものである。5枚目に「会社の概要」が記載され、7枚目には「国内展開プロパティー」の表題の下に、複数のブランドが表示され、その中に、ややデザイン化された「Norton」の文字のロゴマークと、その下に「Norton」の文字が表示されている。 (4)乙第4号証は、下げ札の付いた短めのブーツの写真で、下げ札にはややデザイン化された「Norton」の文字が表示されている。 また、乙第5号証は、下げ札の付いた長めのブーツの写真で、下げ札にはややデザイン化された「Norton」の文字が表示されている。 (5)乙第6号証の1は、店舗内の写真で、ジーンズと思しき商品が陳列されている上の棚に、上記乙第4号証の短めのブーツと乙第5号証の長めのブーツが陳列されている。 乙第6号証の2は、上記乙第4号証の短めのブーツと乙第5号証の長めのブーツの正面部分の写真である。 乙第6号証の3は、上記乙第4号証の短めのブーツの正面部分の拡大写真で、シュータン部分の上部にやや不鮮明ながら上記乙第4号証の下げ札に表示された「Norton」と思しき文字が表示されている。 乙第6号証の4は、上記乙第5号証の長めのブーツの側面部分の写真で、上部にややデザイン化された「Norton」の文字が表示されている。 (6)乙第7号証は、2010/04/19付け打ち出しの「株式会社ピート」のホームページで、2枚目、3枚目には、「企業理念」及び「会社の概要」の記載があり、4枚目には、ブランド名として「Norton」の記載があり、5枚目には、「メディア掲載情報」として「2010年3月10日発売 【NORTON雑誌掲載】 The COVER for STARS 4月号」と記載されている。 (7)乙第8号証は、店舗内の写真で、ややデザイン化された「Norton」の文字が表示されたTシャツを着たマネキンと、壁には、ややデザイン化された「Norton」の文字の看板が表示されている。 (8)乙第9号証は、イングラム社からOLTON社宛の「生産指示書」で、「ブランド名」の欄に「Norton」、「品番」の欄に「NMB-012」、「品名」の欄に「ワークブーツ」、「素材」の欄に「合成皮革/レザー」、「発注日」の欄に「2009/12/18」、「納期」の欄に「2010/01/25」の各記載があり、「スタイル/加工位置指図」の欄には、乙第4号証及び乙第6号証の3の写真に示された「ブーツ」と同様の「ブーツ」の図とともに、ややデザイン化された「Norton」の文字の加工指示がされている。また、「カラー」の欄に「ブラウン」の記載があり、「サイズ」の欄にそれぞれの数字が記載され、「SAB TOAL」の欄に「33」の数字が表記されている。 (9)乙第10号証は、乙第9号証と同様の「生産指示書」で、「ブランド名」の欄に「Norton」、「品番」の欄に「NMB-013」、「品名」の欄に「エンジニアブーツ」、「素材」の欄に「レザー」、「発注日」の欄に「2009/12/18」、「納期」の欄に「2010/01/25」の各記載があり、「スタイル/加工位置指図」の欄には、乙第5号証及び乙第6号証の4の写真に示された「ブーツ」と同様の「ブーツ」の図とともに、ややデザイン化された「Norton」の文字の加工指示がされている。また、「カラー」の欄に「ブラック」の記載があり、「サイズ」の欄にそれぞれの数字が記載され、「SAB TOAL」の欄に「33」の数字が記載されている。 (10)乙第12号証は、2010年2月3日付けのイングラム社宛のOLTON社の納品書で、「品名」欄に「NMB-012/ワーク/ブラウン」「NMB-013/エンジニア/ブラック」と記載され、「数量」欄にそれぞれ「33」と記載され、単価、金額等が記載されている。 (12)乙第13号証は、2010/2/19付けのイングラム社宛のOLTON社の請求書で、「品番」、「品目」、「カラー」の欄に、それぞれ「NMB-012」「ワークブーツ/(サイズ表示)」、「ブラウン」、「NMB-013」、「エンジニア/(サイズ表示)」、「ブラック」と表示され、数量、単価、金額等の記載がある。 (13)乙第14号証は、2010年2月27日付けのピート社宛のイングラム社の「納品書(控)」3枚で、「品名」欄に「NORTONワークブーツ/NMB-012/(サイズ表示)」、「NORTONエンジニアブーツ/NMB-013/(サイズ表示)」と記載され、数量、単価、金額等が記載されている。 (14)乙第15号証は、2010年2月28日付けのピート社宛のイングラム社の「請求書」で、「伝票日付」欄に「10/02/27」、「品番・品名」欄に「NORTON商品代金/ワークブーツ(サイズ表示)」、「NORTON商品代金/エンジニアブーツ(サイズ表示)」と記載され、数量、単価、税抜御買上額等が記載されている。 2 以上を総合してみると、次のとおりである。 (1)本件商標の通常使用権者について 乙第2号証の「エージェント契約書」によれば、被請求人(商標権者)は、イングラム社と、本件商標を使用すること、及び再許諾することについて合意していることが認められ、有効期間については、2008年4月1日から2013年12月31日までとされ、契約終了の申出をしない場合には、以降自動的に1年毎に更新されることが認められる。 したがって、イングラム社は、本件商標の通常使用権者と認められる者である。 (2)使用商品について 使用商品については、請求人及び被請求人とも、争っておらず、また、上記乙各号証よりすると、被請求人の使用している商品「ブーツ」は、明らかに「履物」の範ちゅうに属する商品と認められる。 (3)取引について 乙第9号証ないし乙第15号証によれば、イングラム社は、2009年12月18日に、OLTON社に対し、「Norton」ブランドの付された、品番「NMB-012」のワークブーツ及び品番「NMB-013」のエンジニアブーツそれぞれ33足の生産を依頼し、2010年2月3日にその商品の納品を受け、同年2月27日に、当該商品をピート社に販売したものということができる。そして、ピート社に納品された商品は、乙第4号証ないし乙第6号証の写真に表示された「ブーツ」とみて何ら不自然ではない。 (4)使用商標について 乙第5号証及び乙第6号証の写真に表示された商品「ブーツ」には、「Norton」の文字が表示された下げ札が付されているところ、該文字は、ややデザイン化されているものの、本件商標とは社会通念上同一の範囲内の商標というべきである。 また、イングラム社からピート社宛の「納品書(控)」(乙第14号証)及び「請求書」(乙第15号証)には、「NORTON」の文字が表示されているところ、該文字は、本件商標とは大文字と小文字の相違する点はあるものの、その綴り字を共通にし、かつ、称呼を共通にする社会通念上同一の商標といえるものである。 (5)請求人は、被請求人が提出した証拠の信憑性について縷々述べ、かつ、イングラム社、ピート社及びOLTON社の会社間の関係は錯綜しており把握することが困難である旨述べているが、被請求人が提出した各証拠に何ら不自然な点は見出せず、また、イングラム社、ピート社及びOLTON社の会社間の取引き関係は上記(3)のとおり明確に把握されるものである。 3 以上のとおり、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、本件商標は、通常使用権者であるイングラム社により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品「履物」の範ちゅうに属する「ブーツ」について使用されていたことが認められる。 したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る「履物」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-11-12 |
結審通知日 | 2010-11-17 |
審決日 | 2010-12-21 |
出願番号 | 商願平11-101931 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 千葉 麻里子、加園 英明 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 渡邉 健司 |
登録日 | 2001-12-07 |
登録番号 | 商標登録第4526945号(T4526945) |
商標の称呼 | ノートン、ノルトン |
代理人 | 小林 彰治 |
代理人 | 鳥海 哲郎 |
代理人 | 田中 克郎 |