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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X3642
管理番号 1231590 
審判番号 不服2009-16762 
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-09 
確定日 2011-01-13 
事件の表示 商願2008- 40664拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ハイブリッド」の片仮名を書してなり、第36類及び第42類の願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年5月29日に登録出願されたものである。その後、指定役務については、原審における同21年3月30日付け手続補正書により、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等精算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与」、及び第42類「気象情報の提供,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『雑種。(異種のものの)混成物。』の意味を有する『ハブリッド』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、昨今の金融業界において、『確定給付型年金と確定拠出型年金の両方の特徴を持った年金制度』を『ハイブリッド型年金制度』と称したり(金融財政事情研究会発行「金融実務大辞典」)、『二つの異なった種類の投資をあわせた投資』を『ハイブリッド投資、ハイブリッド証券』と称したり(日経BP社発行「バロンズ金融用語辞典 第5版」)、さらに証券と銀行預金、あるいは貸付と証券のように、『様々な機能を組み合わせ混合化した新種の金融商品』を『ハイブリッド商品』と称している実情があることから(経済法令研究会発行「改訂 金融経済用語辞典」)、本願商標をその指定役務中、例えば第36類『預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ』等の前記意味合いに照応する役務に使用したときは、単に役務の質、内容を表したにすぎないものと認める。また、該文字は、第42類の指定役務との関係においては、『混成物。CDーROMの記録方式の一つ。WindowsとMacOSのファイルシステムを共存させる。』という意味合いで広く知られているものであるから(集英社発行「イミダス2007」)、本願商標をその指定役務中、例えば第42類『電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守』等の前記意味合いに照応する役務に使用したときは、単に役務の質、内容を表したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「ハイブリッド」の片仮名を書してなるものであるところ、該文字は、「雑種。(異種のものの)混成物。」の意味を有する語として、一般に広く使用されているものである。
また、本願指定役務に係る金融業界及び電子計算機用プログラムを取り扱う業界においては、「ハイブリッド」の文字が一般に使用されていることは、原審において示した証拠のほか、例えば、以下のインターネットウェブページ情報により明らかである(なお、下線は、審判の合議体で加えた。)。

(1)金融業界において「ハイブリッド」の文字が使用されている事実
ア 「定期預金JP 利率比較サイト」のウェブページにおいて、「ハイブリッド型ネットバンク」の見出しのもと、「生活口座、いわゆるメインバンクとして利用したいのがネットバンクと店舗型銀行の2つの特徴を持ったハイブリッド型ネットバンクといわれる銀行です。」、「ネットバンクの場合、店舗がないということでクレジットカードや各種口座振替に対応していないという事態もありますが、ハイブリッド型の銀行であれば問題なく口座として登録できるわけです。」の記載がある。(http://www.madness.jp/hi-netbank.html)
イ 「ネットバンク比較 得するネット銀行の選び方」のウェブページにおいて、「新生銀行は、生活口座として最適なネットバンク(銀行)」の見出しのもと、「つまり、新生銀行は、ネットバンク&店舗型銀行という2つの特徴を兼ね備えた『ハイブリッド型のネットバンク』なのです。」等の記載がある。(http://www.netbank-navi.com/colum/60.html)
ウ 「佐賀銀行」のウェブページにおいて、「超長期固定金利住宅ローン(ハイブリッド型)の取扱開始について」の見出しのもと、「佐賀銀行(頭取 松尾靖彦)は、平成19年7月2日(月)より、超長期固定金利住宅ローン(ハイブリッド型)の取扱いを開始することとしましたのでお知らせします。」、「※ハイブリッド型 ・・・信託銀行との信託契約等を活用することで、実質的に変動金利ベースとなり超長期固定金利の金利変動リスクをヘッジできる仕組みです。」等の記載がある。(http://www.sagabank.co.jp/news/2007/0620-02.htm)
エ 「Hiromi Yamadaのファイナンシャル・不動産ページ」のウェブページにおいて、「住宅ローンプログラム」の見出しのもと、「ハイブリッドローン:Hybrid 最初の2年、3年、5年、7年が固定で、それ以降変動型になるというもので、30年固定型に比べてレートが低くなっており、必要な期間だけ低いレートで月々の支払額を固定できるという面でメリットがあります。」の記載がある。(http://hiromiyamada.com/mortgage.aspx)
オ 「シリーズ国際税務 日系企業による対外投資の留意点 第3回 買収後のタックスプランニング」のウェブページにおいて、「2.ファイナンススキームによる節税のメリット」の見出しのもと、「なお、さらなるタックスプランニングとしてハイブリッド・ローンを利用する方法があります。これは、諸外国の税務上の基準により「借入金」であるか「出資」であるかの取り扱いが異なるファイナンスを利用したもので、例えば、借入金の支払利息を元金の一定割合ではなく、企業の業績(利益あるいは売上など)に連動させるようなローンは、税法上、資本という取り扱いを受ける場合があります。このように税務上、資本と借り入れが当事国で異なるようなファイナンスを利用したスキームをハイブリッド・ローンといいます。」等の記載がある。(http://www.shinnihon.or.jp/shinnihon-library/publications/pdf/issue/info-sensor/2008/info-sensor-2008-06-05.pdf#search=)
カ 「社団法人 山口県法人会連合会」のウェブページの「法人会・税理士会のハイブリッド・ビジネスローン」の項において、「頑張る企業、応援します。」の見出しのもと、「法人会・税理士会では、各金融機関の協力のもと、法人会会員並びに税理士会関与事業所向けに優遇された融資制度(ハイブリッド・ビジネスローン)を実施しています。県下中小企業の資金調達の円滑化を図り、更なる事業発展を支援するとともに、通常より優遇された融資制度に加え、中小企業の会計に関する指針による『チェックリスト』や税務署に提出する『添付書面制度』の活用、『電子申告・電子納税』の利用、さらには、新しい会社法による『会計参与制度』を導入することにより、金融機関として財務諸表の信憑性が更に高いとの認識から有利な利率で融資する制度となっております。」の記載がある。(http://www.yamaguho.or.jp/hb/)
キ 「みずほ第一ファイナンシャルテクノロジー」のウェブページにおいて、「ハイブリッドファイナンスへの取り組み」の見出しのもと、「ハイブリッドファイナンスとは、このようなメザニンファイナンスの一つである劣後債あるいは劣後ローンのうち、格付会社から資本性を認定されたファイナンスを指します。」等の記載がある。(http://www.fintec.co.jp/business/product_dev/others.html)
ク 「DBJ 日本政策投資銀行」のウェブサイトにおいて、「ハイブリッドファイナンス」の項に、「ハイブリッドファイナンスとは、資本と負債の特徴を有する証券等によるファイナンス手法をいう。ハイブリッド証券・ハイブリッドローン等による資金調達手段であり、メザニンファイナンスの一種。劣後債、劣後ローン、永久債、優先出資証券、優先株などによる資金調達があげられる。負債の性質を持つと同時に、格付機関から一定の資本性を認められることが期待できるなど、発行体にとっては財務構成比率を改善し、財務の安定性を高めるメリットがある。」の記載がある。(http://www.dbj.jp/glossary/ha.html)
ケ 「infobank マネー百科 by ARTIS」のウェブページにおいて、金融用語辞典の「ハイブリッド証券」の項に、「ハイブリッド証券とは、資本と負債の性格を併せ持った証券をいいます。具体的には劣後債、永久債、優先株式、優先証券などを指しますが、わが国では2006年秋以降、一般事業会社が積極的に利用し始めたところから、新たな資金調達方法として注目を浴びています。」等の記載がある。(http://money.infobank.co.jp/contents/H100119.htm)
コ 「Kotobank.jp」のウェブページにおいて、「デジタル大辞泉の解説」の見出しのもと、「ハイブリッドがた‐ファンド 【ハイブリッド型ファンド】」 の項に、「《hybridは、混成物の意》集めた資金を、株式、債券、不動産など各種の資産に分散して運用する投資信託。異なる種類の資産に投資することで、安定的な資産運用を目指す。バランス型ファンド。」の記載がある。(http://kotobank.jp/word/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E5%9E%8B%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%89)
サ 「投資信託と預金の違い@マネーの達人」のウェブページにおいて、「投資信託の種類(2)」の見出しのもと、「そこでこうしたニーズを満たすために、収益と安全性を両立させようとする、いわばハイブリッド型とも呼べる投資信託である『ハイブリッド型投資信託(バランス型投資信託)』と呼ばれる投資信託があります。」の記載がある。(http://debbiejackola.com/fx04/index.html)
シ 「りそな銀行」のウェブページにおいて、「年金用語集 年金編 は行」の見出しのもと、「ハイブリッド型年金制度」の項に、「確定給付型年金(DB)制度と確定拠出型年金(DC)制度の両方の性質を併せ持つ年金制度のことであり、『混合型年金制度』ともいう。DB制度とDC制度は、どちらか一方が優れているのではなく、それぞれメリット・デメリットを有するが、ハイブリッド型年金制度は、両制度の欠点を相互補完し、企業ニーズに応じた柔軟な制度設計を可能にするものとして、注目されている。日本では、平成14年4月より、厚生年金基金・確定給付企業年金において、ハイブリッド型年金制度のひとつであるキャッシュバランスプランの導入が可能となった。」の記載がある。(http://www.resona-gr.co.jp/resonabank/nenkin/info/yougo/n6.html)
ス 「保険選び・保険見直し情報室」のウェブページにおいて、「生命保険のタイプ4?定期付終身保険」の見出しのもと、「生命保険の各種類による、このような相反する長所、短所を、お互いにカバーしあうような形で組み合わせた、ハイブリッド型とも言うべき保険があり、その代表が定期付終身保険でしょう。」の記載がある。(http://insurance.facili.biz/type/4.html)
セ 「保険情報」のウェブページにおいて、「1.2.1養老保険の定義」の見出しのもと、「養老保険も、養老と呼ばれる。被保険者が保険期間中に死亡した、保険会社は、受益者に保険金を支払うため、保険の期限が切れる場合は被保険者、保険会社は独自の保険の支払いが生存する。したがって、養老保険は死亡保険と生命保険のハイブリッド保険です。」の記載がある。(http://www.nbamm.info/insurance/2939.html)

(2)電子計算機用プログラムを取り扱う業界において「ハイブリッド」の文字が使用されている事実
ア 「FUJITSU」のウェブページにおいて、「ScanSnap S1300 Windows/Mac OS ハイブリッドモデル」、「Windows/Mac OS両方のScanSnap Managerをバンドル」の記載がある。(http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/s1300/)
イ 「ネットショップ ビックカメラ.com」のウェブページにおいて、「サイバーフロント かんたんWEBアニメーション 2 (Windows/Mac ハイブリッド版)」の記載がある。(http://www.biccamera.com/bicbic/jsp/w/catalog/detail.jsp?JAN_CODE=4521923240237)
ウ 「マイコミジャーナル」のウェブページにおいて、「Windows/Mac両対応となったDJ向けパッケージ『DJ CONSOLE MK2 HYBRID』発売」の見出しのもと、「これまでは対応OSによりWindows版、Mac版のパッケージが別々に用意されていたが、VIRTUAL DJがハイブリッド化されたことにより、ひとつのパッケージでWindows/Mac両方に対応する。」の記載がある。(http://journal.mycom.co.jp/news/2009/01/05/008/index.html)
エ 「Jungle」のウェブページにおいて、「プレスリリース」の見出しのもと、「株式会社ジャングル(本社:東京都文京区、代表取締役社長 高田晃子 以下、ジャングル)はプロ向け画像の拡大ツール『PhotoZoom Pro 3(フォトズームプロ3)』(Windows/Macハイブリッド版)を2010年4月22日(木)より、全国の量販店及びネットショップで発売開始します。」の記載がある。(http://www.junglejapan.com/release/2010/0330a/)
オ 「Vector PC Shop」のウェブページにおいて、「Klix ピクチャーレスキュー for Mac」の見出しのもと、「あきらめる前に消えてしまったデジカメ写真を簡単復元。Mac/Windowsのハイブリッド対応」「☆★Windows/Macのハイブリッド版でご提供★☆」の記載がある。(http://shop.vector.co.jp/service/servlet/Catalogue.Detail.Top?ITEM_NO=SR118440)
カ 「デジタル用語辞典」のウェブページにおいて、「ハイブリッドCD-ROM」の項に、「MacintoshでもWindowsでも読むことができるCD-ROM。Macintosh用のHFSフォーマットとWindows用のISO 9660フォーマットの両方式で記録している。両フォーマットでデータの共有が可能なので、写真集CD-ROMなどでは写真データを共有にし、Macintosh用、Windows用の再生ソフトを用意することでCD-ROMの容量を有効に使える。」の記載がある。(http://yougo.ascii.jp/caltar/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89CD-ROM)
キ 「kotobank.jp」のウェブページにおいて、「ハイブリッド‐ディスク 【hybrid disk】」の項に、「複数の異なるオペレーティングシステムで読み取り可能な記憶媒体。Windows、Mac OS、UNIXなどで相互に利用できるCD-ROMやDVD-ROMを指す。」の記載がある。(http://kotobank.jp/word/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AF)
ク 「PC online」のウェブページにおいて、「【ハイブリッドディスク】」の項に、「複数のファイルシステムでデータが書き込まれた記憶メディアのこと。主にWindowsとMac OSで動作するように作られたCD-ROMを指す。Windows用とMac OS用のプログラムは別々に収録し、画像や音声などのデータは共用するのが一般的。ハイブリッド版や、単にハイブリッドと呼ぶこともある。」の記載がある。(http://pc.nikkeibp.co.jp/word/page/10117219/)
ケ 「Yahoo!辞書」のウェブページにおいて、「ハイブリッド‐ディスク【hybrid disk】」の項に、「複数の異なるオペレーティングシステムで読み取り可能な記憶媒体。Windows、Mac OS、UNIXなどで相互に利用できるCD-ROMやDVD-ROMを指す。」の記載がある。(http://dic.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&p=%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AF&fr=dic)

以上のとおり、金融業界においては、ネットバンクと店舗型銀行の特徴を兼ね備えたもの、普通銀行のローンにおいて信託銀行との信託契約等を活用したもの、証券において資本と負債を組み合わせたもの、年金において確定給付型と確定拠出型を組み合わせたもの等について、「ハイブリッド」の語が、「異種のものを混ぜた(組み合わせた)もの」を表す語として広く使用されているものであり、電子計算機用プログラムを取り扱う業界においても例えば、複数のオペレーションシステムへの対応が組み合わされている商品であることを表示する場合に「ハイブリッド」の語が、「異種のものを混ぜた(組み合わせた)もの」の意味合いをもって普通に使用されているものということができる。
してみれば、本願商標は、指定役務との関係においては、「異種のものを混ぜた(組み合わせた)もの」であることの役務の質、内容であることを理解、認識するにとどまるものであって、自他役務の識別力を有しないものというべきである。
なお、請求人は、「『ハイブリッド?』の態様からなる金融・証券用語は多数存在しており、どの語の省略かを特定できない」こと、「『ハイブリッド?』の構成からなるコンピュータ用語は多数存在している」ことより、「本願商標から『雑種(異種のものの)混成物。』程度の意味合いを想起したとしても、直ちに『ハイブリッド型年金制度』又は、『ハイブリッド投資』の略、又は、『WindowsとMacOSのファイルシステムを共存させる、CD-ROMの記録方式の一つ。』を想起することはできない。」旨、述べている。
しかしながら、「ハイブリッド」の語は、「ハイブリッドローン」、「ハイブリッド証券」などのように,金融商品名などと結びつけて使用することが多いところ、本願商標が「ハイブリッド」の語のみであるとしても、取引者、需要者は、商標をそれが使用されている商品(役務)との関係で理解するから、例えば、ローンに「ハイブリッド」の文字を使用するときは、「ハイブリッド型のローン」であることを容易に理解するところである。
さらに、本願商標に接する取引者、需要者は、具体的な組み合わせまでも理解しないにしても、前記実状よりすれば「ハイブリッド型(異種のものを組み合わせたもの)」の意味合いを理解、把握するにすぎないものであることから、本願商標について自他役務の識別標識としては認識するということができない。よって、請求人の上記主張は採用することができない。
また、請求人は、請求人(出願人)が少なくとも主観的には本願に係る商標「ハイブリッド」を自他役務の識別力を有する商標として現実に使用し、一方、この分野で「ハイブリッド」の語のみを商標として使用している者が他にいないことから、客観的に見ても当該語が自他役務の識別力を発揮している、と主張している。
しかしながら、請求人(住信SBIネット銀行株式会社)の実際に行っている金融商品(役務)においても、例えば、「SBIハイブリッド預金とは!? 特徴1 SBI証券と銀行口座をつなげる画期的な銀行預金です。」のように説明されている(http://hokende.boo.jp/other/newpage17.html)ところであり、これに金融業界において、前記のとおり、「ハイブリッド」の語が「異種のものを混ぜた(組み合わせた)もの」を意味する語として広く使用されていることからすると、請求人の使用についてみても、これに接する取引者、需要者が自他役務の識別標識として認識するということはできない。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨述べているが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に前記認定が左右されるものではない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3項に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-11-15 
結審通知日 2010-11-16 
審決日 2010-11-29 
出願番号 商願2008-40664(T2008-40664) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X3642)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一波方 美奈子半田 正人 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 瀧本 佐代子
根岸 克弘
商標の称呼 ハイブリッド 
代理人 鈴木 一永 
代理人 山本 典弘 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 正次 

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