• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X16
審判 全部申立て  登録を維持 X16
審判 全部申立て  登録を維持 X16
審判 全部申立て  登録を維持 X16
管理番号 1230252 
異議申立番号 異議2010-900139 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-02-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-05-24 
確定日 2010-12-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5303447号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5303447号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5303447号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lassie Paper」の文字を標準文字により表してなり、平成21年8月4日に登録出願され、第16類「印刷物」を指定商品として、平成22年1月13日に登録査定、同年2月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。」は、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第15号、同第16号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし第25号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)「LASSIE」及び「ラッシー」の著名性について
「LASSIE」及び「ラッシー」の文字からなる標章(以下、まとめて「引用標章」という。)は、映画・テレビドラマ・小説・アニメ等の主人公のコリー犬の名称又はこれら映画等のタイトルを指称するものとして日本国内又は外国で広く認識され、周知著名となっているものであり、各種商品につき、多大な顧客吸引力を有する周知著名な商標といえる。

(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標を、その指定商品中「名犬ラッシーを内容とする新聞等の印刷物」に使用するときは、単に商品の品質、内容を表示するにすぎず、また、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が、その指定商品に使用された場合、取引者・需要者は「Lassie」の文字に着目して、映画・テレビアニメ等の主人公のコリー犬の名称又はこれら著作物のタイトルとして周知著名な引用標章及び「名犬ラッシー」のキャラクターを連想・想起し、申立人又は引用標章の商品化について許諾を受けた者の業務に係る商品等であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

(4)商標法第4条第1項19号について
本件商標は、周知著名な引用標章を構成中に含んでおり、引用標章と類似するものである。そして、本件商標の使用は、申立人及びその許諾を受けた者が本件指定商品の分野において我が国に進出することを阻み、引用標章に化体した信用や名声について、ただ乗り希釈化汚染するものであり、不正の目的をもって使用をするものである。

3 当審の判断
(1)引用標章の周知著名性について
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 米国の作家「エリック・モーブリー・ナイト」の、1938年に米国のサタデー・イブニング・ポスト紙上で掲載された短編小説「Lassie Come-Home」(邦題「名犬ラッシー家路」)に登場する主人公のコリー犬の名称が「Lassie」(ラッシー)であること、上記小説は、1940年に単行本として出版されたこと、上記「Lassie」(ラッシー)を主人公として、1943年には映画化され、以後シリーズ化し1945年、1946年、1948年ないし1951年、1963年、1965年、1978年、1994年及び2005年の各年において合計11作品が制作・公開されたこと、同じく、1946年には米国でラジオ番組「ラッシー・ラジオ・ショー」が開始され、3年間継続したこと、同じく、1954年には米国でテレビドラマシリーズの放映が開始され、20年間継続したこと、上記テレビドラマは、1955年及び1956年にエミー賞の最優秀子供向けTVシリーズ賞を受賞し、1960年にはLassieがハリウッドのウォーク・オブ・フェイムに顕彰されたこと(甲第2ないし7号証)。
イ 我が国では、上記米国のテレビドラマシリーズが1957年11月から1966年4月にかけてTBS系列でテレビドラマ「名犬ラッシー」、「新・名犬ラッシー」として放映され、人気を博したこと、1975年1月から1976年3月まで「新・名犬ラッシー」がフジテレビ系列で放映されたこと、日本のテレビアニメシリーズとして「名犬ラッシー」が1996年1月から同年8月までフジテレビ系列で放映されたこと、1999年6月にはNHK教育テレビで「名犬ラッシー」として放映されたこと、1960年4月から1961年3月まで、講談社「たのしい三年生」に「名犬ラッシー」として連載されたこと、その後も「名犬ラッシー」の題名で童話、絵本が発行されているほか、DVD等として販売されていること、コリー犬に係る団体・業界においては、コリー犬について「アメリカのテレビ番組『名犬ラッシー』が放送され、日本でも一躍人気犬種となりました。」、「我が国でやっとテレビが家庭に普及し始めた頃に『名犬ラッシー』と言う、アメリカ製のドラマが放映され、主人公であるコリーの知名度が急速にあがった。」、「テレビドラマ『名犬ラッシー』で一世を風靡しました。」、「国際的な公認と人気を得たのは、ハリウッドがこの犬種の存在を知り『名犬ラッシー』という映画を制作してからです。」等と紹介していること、2006年暮れから2007年正月にかけて米国映画「Lassie」が公開されたが、映画パンフレットを初め、映画の紹介サイトにおいても「名犬ラッシー」として紹介されていること、「名犬」を冠さず、単に、「ラッシー」として紹介されている例は、甲第13号証の一部以外には殆ど見当たらないこと、ウェブサイトにおける「『ラッシー』といったら犬?飲み物?」との問いに対し、「犬」と回答する者の殆どが「名犬ラッシー」と回答していること(甲第2ないし第4、第8、第9、第11ないし第13及び第15号証)。
ウ 米国では、1969年に缶入りドッグフードの宣伝広告に「LASSIE」が起用されたのを初め、絵本、すごろく、浮き輪、財布、靴、腕時計等について商品化事業がおこなわれたこと、我が国でもランチボックスの復刻版が販売されたほか、2006年?2007年の映画公開に際し、「LASSIE」の文字を使用したカレンダー、シール、ポストカード等の商品が販売されたことは認められるものの、前記商品の販売数量、売上高、輸入販売の事実、宣伝広告の期間・地域・範囲・規模・媒体等は明らかでない(甲第3、第4及び第16ないし第18号証)。
以上を総合すると、「Lassie」は、米国の作家「エリック・モーブリー・ナイト」が1938年に発表した小説に登場する主人公のコリー犬の名称として、米国において1940年代から現在に至るまで広く知られているものといえる。
そして、我が国においても、上記「Lassie」については、テレビが一般家庭に普及し始めた昭和30年代中頃にテレビ放映されたこともあって、爆発的人気となり、映画、テレビドラマ、アニメ、童話、絵本等により「名犬ラッシー」として紹介され、広く知られていることが認められる。
しかしながら、我が国においては、「名犬」の文字を冠さず、単に、「Lassie」又は「ラッシー」の文字自体が独立して、上記米国の小説の主人公の犬の名称として、広く一般に知られているとまでは認め難い。
したがって、引用標章が、本件商標の登録出願時において、上記米国の小説の主人公の犬の名称として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものということはできない。まして、引用標章が申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認められない。

(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「Lassie Paper」の文字からなるところ、その構成中の「Lassie」の文字は、「小娘、少女」の意味を有する英語であり、「Paper」の文字は「紙、新聞」(いずれもジーニアス英和大辞典)等を意味する英語であるものの、両語を結合した構成文字全体が、既成の観念を有する熟語を形成するものとして知られているものではない。
そして、上記(1)のとおり、「LASSIE」の文字からなる引用標章が我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認められないこと、また、かかる構成において、「Paper」の文字が直ちに特定の内容を記述した印刷物を意味する語として認識し理解されるとはいい難いこと、などからすれば、本件商標は、全体として、特定の親しまれた既成の観念を有しない一種の造語からなるものとして認識されるとみるのが自然である。
してみれば、本件商標は、商品の品質、内容を表示するものではなく、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものというべきであって、いずれの指定商品に使用しても、品質の誤認を生ずるおそれもないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用標章が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、また、申立人に係る小説、映画、テレビドラマ等の主人公のコリー犬の名称として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものとまではいえないことは、上記(1)のとおりであり、本件商標が全体をもって一種の造語として認識されるものであることは上記(2)のとおりである。
かかる事情の下において、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、その構成中の「Lassie」の文字部分に注目して引用標章ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれもないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記(2)のとおり、全体として親しまれた既成の観念を有しない一種の造語からなるものとして認識され、「ラッシーペーパー」の一連の称呼のみを生ずるものと認められるのに対し、引用標章は、「小娘、少女」の意味を有する英語からなるものであり、「ラッシー」の称呼を生ずるものであるから、両商標は、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
加えて、上記(1)ウのとおり、引用標章を使用した商品が販売されたことが認められるとしても、その販売数量、販売高、輸入販売の事実、宣伝広告の期間・地域・範囲・規模・媒体等が明らかでなく、申立人が多角経営により引用標章が多方面の商品に使用されている等の事実や、申立人が我が国の印刷物分野に参入する可能性等を窺わせる事実も見当たらない。まして、本件商標は、引用標章の著名性にただ乗りして、先取り的に出願し、申立人の我が国市場への参入を阻止したり、代理店契約を強制する等の具体的事実もなく、不正の利益を得る目的、他人たる申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第15号、同第16号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-11-25 
出願番号 商願2009-59286(T2009-59286) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (X16)
T 1 651・ 222- Y (X16)
T 1 651・ 272- Y (X16)
T 1 651・ 271- Y (X16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
小田 昌子
登録日 2010-02-19 
登録番号 商標登録第5303447号(T5303447) 
権利者 株式会社 AREG
商標の称呼 ラッシーペーパー、ラッシー 
代理人 谷 義一 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ