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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 X14 審判 一部申立て 登録を維持 X14 |
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管理番号 | 1230248 |
異議申立番号 | 異議2010-900088 |
総通号数 | 134 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-02-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-04-09 |
確定日 | 2010-12-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5292568号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5292568号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5292568号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成21年7月3日に登録出願、第14類「貴金属,キーホルダー,宝石箱,身飾品,宝玉及びその模造品,時計」、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,毛皮」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年12月9日に登録査定され、同22年1月8日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)ないし(7)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第562472号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和34年6月8日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同35年12月15日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。そして、指定商品については、平成14年2月27日に第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (2)登録第1586180号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和50年11月19日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年5月26日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。そして、指定商品については、平成15年6月18日に第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (3)登録第1586181号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、1975年9月4日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和51年1月23日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年5月26日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。そして、指定商品については、平成16年2月18日に第14類「水晶時計,水晶時計の部品および附属品」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (4)登録第1930791号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、1982年8月19日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和58年2月18日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年1月28日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。そして、指定商品については、平成19年6月27日に第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (5)登録第2129121号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(6)のとおりの構成よりなり、1985年1月4日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和60年7月4日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年4月28日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。そして、指定商品については、同21年3月11日に第14類「時計」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (6)登録第2456253号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(7)のとおりの構成よりなり、1989年6月5日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成元年10月4日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年9月30日に設定登録され、その後、同14年5月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。そして、指定商品については、同16年3月10日に第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (7)登録第4218418号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲(8)のとおりの構成よりなり、1997年4月29日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成9年10月24日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器,貴金属製のこしょう入れ,貴金属製の砂糖入れ,貴金属製の塩振出し容器,貴金属製の卵立て,貴金属製のナプキンホルダー,貴金属製のナプキンリング,貴金属製の盆,貴金属製のようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,記念カップ,記念たて」を指定商品として、同10年12月4日に設定登録され、その後、同20年7月1日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 以下、引用商標1ないし引用商標7を一括していうときは、「引用各商標」という。 第3 登録異議の申立てに係る商標登録の表示 申立人は、商標登録異議申立書において、本件商標の指定商品中、第14類「貴金属,キーホルダー,宝石箱,身飾品,宝玉及びその模造品,時計」を取り消すべき指定商品として記載している。 第4 登録異議の申立ての理由 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標と引用各商標とは、外観上いずれも王冠図形であるか、あるいは王冠図形を含んで構成されており、その王冠図形は、先端部が球形をした5つの突起が台座部分から左右対称の規則的な配列で放射状に並んだ上、全体が塗り潰されて表現されているという構成上の特徴のほぼ全てが一致している(甲第1号証ないし甲第8号証)。つまり、本件商標は、引用各商標の王冠図形と上下左右の比率がいくらか相違するだけの違いでしかない。 そのため、それぞれを時と処を異にして離隔的に観察したとき、需要者は本件商標から、引用各商標の王冠図形を直ちに連想し、誤って認識するおそれがある。そして、本件商標は、その外観形状から「王冠」の観念を生ずる。 これに対し、引用各商標は、その王冠図形より「王冠」の観念を生ずるから、本件商標と引用各商標とは、共に「王冠」の観念が共通する観念類似の商標でもある。 そして、これらの商標は、その指定商品が同一又は類似である。 したがって、本件商標は引用各商標と類似の商標であり、両商標の指定商品は需要者・取引者が共通する以上、本件商標がその指定商品について使用されたときは、引用各商標を付した商品との間で出所の混同を生ずるおそれがある。 つまり、本件商標と引用各商標とは、外観上いずれも王冠図形という点で一致している。各王冠図形は、台座を下にして突起を上へ向けた王冠を、側面方向から捉えている。いずれの王冠図形も、全体を塗りつぶして表現されている。各王冠は、台座部分から放射状に突起が伸びている。各王冠の突起の数が5つである。各王冠の突起は、左右対称で規則的に並んでいる。各王冠の突起先端部は、球形である。各王冠図形からは、「王冠」という同一の観念が生ずる。 以上のように、本件商標と引用各商標とは、外観において、構成の軌が同一であり、双方の間で混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標がその指定商品に使用されれば、需要者と取引者が共通する以上、申立人の引用各商標を付した商品との間で出所の混同を生ずることは避けられない。 2 商標法第4条第1項第15号について 引用各商標の王冠図形は、世界的に著名な高級時計ブランドである申立人の業務に係る商品を表す商標として我が国において周知・著名であるため、これと類似する本件商標はその登録を取り消されるべきである。 引用各商標の王冠図形は、申立人の業務に係る周知・著名な商標であることを認められており、登録第1586180号の防護標章登録第1号として防護標章登録を受けている(甲第9号証)。 また、引用各商標の王冠図形と、黒塗りの王冠形状の図形を有してなる点を共通にし、かつ、抽象的表現手法をもって台座部分から上方に向けてその頂部を黒玉状にした五個の突起部を描いてなる点において構成の軌を一にする王冠図形は、時と処を異にして離隔的に観察した場合、全体の外観印象が近似し彼此紛らわしく、時計を取り扱う業界においては、商品に商標を表示する場合、例えば、腕時計の文字盤等に小さく表示することが普通一般に行われる事情を考慮すれば、図形の細部における違いは、常に明瞭に識別し得るとは認め難く、その王冠図形を「時計」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その商品が申立人または申立人と事業上何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く商品の出所について混同を来すおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消されている(甲第10号証)。 申立人は、1905年創業の世界的に著名な高級時計のブランドであり、我が国を含め世界100ヶ国以上の4000店の正規販売店でその製品を販売している。 申立人の王冠図形は、時計の商標として100年以上に渡る使用の結果、その業務に係る商標として需要者の間で広く認識されている。そうしたことは、この分野に係る当業者であれば、当然認識しているはずである。 したがって、引用各商標が我が国の需要者の間で申立人の業務に係る商標として周知・著名となっている中、本件商標がその指定商品について使用されると、あたかも申立人の業務に係る商品であるか、あるいは申立人と経済的・組織的に何らかのつながりを待った者の商品であると誤認混同を生ずることは明らかである。 3 むすび 以上詳述したとおり、本件商標は、引用各商標と類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。 また、本件商標は、世界的に著名な高級時計ブランドである申立人の業務に係る商標として我が国において周知・著名である引用各商標と類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第4条第1項第15号に該当し、その登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消しを免れない。 第5 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、別掲(1)のとおりの図形であって、やや横長の緩い湾曲の底辺とその底辺の部分から盛り上がって、その中央部分に短い3本の突起、その両側にやや長い2本の突起、合わせて5本の突起が配され、その5本の突起はいずれも比較的太く短いものである。そして、中央の1本の突起の上部の黒点が一番大きく、その中央1本の突起の左右2本の突起の上部の黒点はやや小さく、さらに外側の2本の突起の上部の黒点が一番小さく描かれており、全て黒く塗り潰されているものである。 (2)引用各商標について 引用各商標は、別掲(2)ないし別掲(8)のとおり、図形のみ若しくは文字と図形の組合せよりなるものであるところ、引用商標2の図形(以下「引用図形」という。)は、引用商標2以外の引用各商標中に全て含まれている。 (3)本件商標と引用図形との比較 ア 本件商標は、上記のとおり、やや横長の緩い湾曲の底辺とその底辺の部分から盛り上がって、その中央部分に短い3本の突起、その両側にやや長い2本の突起、合わせて5本の突起が配され、その5本の突起はいずれも比較的太く短いものである。そして、中央の1本の突起の上部の黒点が一番大きく、その中央1本の突起の左右2本の突起の上部の黒点はやや小さく、さらに外側の2本の突起の上部の黒点が一番小さく描かれており、全て黒く塗り潰されているものであるから、全体として横に広く水玉が跳ねたような感じを表した特異な図形というのが相当であって、これよりは、直ちに特定の称呼及び特定の観念は生じないというべきである。 イ 他方、引用図形は、底辺が小さい白抜き楕円で、その楕円の上部から5本の突起が細長く、上部に向かってやや広がって描かれており、その先端には同じ大きさの黒点を有しているものであって、全体として細く縦長のすっきりした印象を有する王冠と思しき図形というのが相当である。 ところで、王冠の図形に関しては、貴金属製品、タバコなどの商品において、その図柄等が装飾的に使用されている事例が多く、また、これらの貴金属製品などに表示される場合においては、比較的小さく表示されるのが一般的であるから、これら商品の取引者、需要者は、該部分を注視して確認する場合が少なくないといえるものである。 そうすると、これら貴金属製品などの商品の取引者、需要者は、王冠の図形を単に「王冠」として認識し把握して取引に資するものとはいい難く、その特徴をもって識別して取引に当たるというのが相当である。 そうとすれば、本件商標と引用図形とは、外観上その構成において顕著な差異があるばかりでなく、引用図形の王冠図形が貴金属製品などに使用されることが多い実情をも勘案すると、本件商標と引用図形とは、全体的印象を全く異にする別異のものであるから、両者を時と処を異にして観察したとしても、外観において紛れるおそれはないというべきである。 してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観において明らかに相違し、称呼及び観念においては、比較すべくもない非類似の商標である。 2 商標法第4条第1項第15号について 本件商標と引用各商標は、上記1のとおりであり、仮に、引用各商標が「時計」に使用されて、取引者、需要者の間において広く認識されていたものであるとしても、前記認定のとおり、本件商標は、引用各商標とは引用図形において全く印象の異なる別異の商標といえるものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、その商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的に何等かの関係のある者の業務に係るものであるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。 3 したがって、本件商標は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (2)引用商標1 (3)引用商標2 (4)引用商標3 (5)引用商標4 (色彩については原本参照。) (6)引用商標5 (色彩については原本参照。) (7)引用商標6 (8)引用商標7 |
異議決定日 | 2010-11-29 |
出願番号 | 商願2009-50441(T2009-50441) |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(X14)
T 1 652・ 271- Y (X14) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 保坂 金彦 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 渡邉 健司 |
登録日 | 2010-01-08 |
登録番号 | 商標登録第5292568号(T5292568) |
権利者 | 株式会社オンワードホールディングス |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 加藤 義明 |
代理人 | 山崎 和香子 |