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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Y09
管理番号 1230214 
審判番号 不服2008-650013 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-06 
確定日 2010-11-05 
事件の表示 国際登録第879452号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審決事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SHARPCAST」の欧文字を横書きしてなり、第9類「Computer software for wireless content delivery.」を指定商品として、2005年8月3日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2006年(平成18年)2月1日に国際商標登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号所在の『シャープ株式会社』がパーソナルコンピュータ、液晶テレビなどに使用して著名商標となっている『SHARP』の文字を、その構成中に有するものであるから、このような商標を本願指定商品について使用するときは、あたかも上記会社と何らかの関係を有する商品であるかの如く商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)「SHARP」標章の周知著名性について
「SHARP」の欧文字よりなる標章(以下「『SHARP』標章」という。)は、大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号に本社をおく、日本有数のエレクトロニクス機器及び電子部品を製造、販売する企業である「シャープ株式会社」(以下「シャープ社」という。)がその取り扱いに係る商品「家庭用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具」等に使用して、本願商標の登録出願前から、我が国をはじめ世界的にも広く認識され、取引者、需要者の間において広く知られているものとなっていることは、顕著な事実である。
このことは、例えば、以下の新聞記事情報及びインターネット情報の記述において窺い知ることができる。
ア 2009年9月30日付けの読売新聞 大阪朝刊 8頁には、「[SHARP・始動堺工場](上)部品直送コンビナート(連載)」の見出しのもと、「◆コスト削減、試金石に シャープが堺市に建設した液晶パネル工場が10月1日に操業を始める。甲子園球場33個分に相当する127万平方メートルの広大な敷地に、パネル工場のほか部品メーカーの工場群が集積し、太陽光発電パネル工場も併設する。進出企業の総投資額は1兆円とも言われ、関西経済の起爆剤としても期待が高まっている。…」との記載がある。
イ 2004年12月17日付けの日本経済新聞 夕刊7頁には、「注目業界の最新地図(4)電機??デジタル景気が追い風に(マネーレッスン)」の見出しのもと、「電気機器業界の二〇〇四年九月中間決算は、デジタル景気の追い風を受けて、業績を大きく伸ばす企業が相次ぎました。三月期決算の上場百五十八社の営業利益合計は前年同期に比べて七三%増となり、製造業全体の増益率(三六%)を大幅に上回りました。一方、デジタル景気に乗り切れない企業は低迷するなど、明暗も分かれました。(中略)「順位」、「社名」、「連結営業利益」及び「前年同期比増減率」の欄に、それぞれ「4(3)」、「シャープ」、「77,576百万円」及び「32.4%」との記載がある。
ウ「業界動向 SEARCH.com」のウェブサイトにおいて、「家電業界 売上高ランキング(平成20年)」に見出しのもと、「順位」、「企業名」及び「売上高(億円)」の欄に、それぞれ、「9」、「シャープ」及び「2兆8,472」との記載がある。(http://gyokai-search.com/4-kaden-uriage.htm)
(2)本願商標と「SHARP」標章の類似性について
本願商標は、「SHARPCAST」の文字よりなるところ、その構成中の前半部分の「SAHRP」の文字は、「鋭い、よく切れる、(先の)とがった」(「小学館ランダムハウス英和大辞典」 第2版 株式会社小学館 2002年1月10日発行)等の意味を有する語であり、また、後半部分の「CAST」の文字は、「投げる、ほうる、配役、キャスト、鋳造」(前掲 「小学館ランダムハウス英和大辞典」 第2版)等の意味を有する語であって、いずれも我が国では一般に親しまれた語であるばかりではなく、両者を結合した語が親しまれた熟語を形成しているものともいえないから、本願商標はこれら2語からなるものと容易に認識し把握されるというのが相当である。
しかして、その構成中前半部の「SHARP」の文字は、これを商標としてみた場合には、シャープ社が家庭用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具等の商品に使用して著名な「SHARP」標章を連想、想起し、該文字部分に強く印象づけられるというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成中に「SHARP」の文字を含んでいる点において、「SHARP」標章との類似性の程度は高いものといわなければならない。
(3)本願商標の指定商品とシャープ社の業務に係る商品等との関連性及び需要者の共通性について
本願商標の指定商品「Computer software for wireless content delivery.」は、コンピュータプログラムを記憶させた記録媒体であり、シャープ社の業務に係る商品「電子応用機械器具」等とは、いずれもコンピュータ関連機器の商品であるという点で、密接な関連性を有しており、両商品の取引者、需要者は共通するものである。
(4)出所混同のおそれ
以上のとおり、「SHARP」標章は、我が国において、特に著名な標章であること、並びに、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の見やすく、印象に残りやすい語頭部に位置している「SHARP」の文字部分に着目することが一般的であることからすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合には、著名な「SHARP」標章を連想、想起し、該商品がシャープ社又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信されるおそれがあり、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、「SAHRP」の文字は、英語の既成語であり、しかも、日本語の単語としても我が国の国民一般に広く親しまれているものであるから、「SHARP」の文字自体は、独創性に欠けるものであって、商品出所識別力の程度が高いものといえない旨主張する。
しかしながら、「SHARP」標章が、本願商標の指定商品と密接な関連性を有するコンピュータ関連機器等の商品に使用されているものであって、本願商標の商標登録を認めた場合には、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものであるから、「SHARP」標章の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や、その希釈化(いわゆるダイリューション)を招く結果を生じ兼ねないものである。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、請求人が挙げる登録例は、対比する商標の構成態様において本願商標とは異なるものであり、また、商標の類否の判断は、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の登録例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
したがって、請求人の上記主張も、採用することができない。
(6)むすび
以上のとおり、本願商標は、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-06-10 
結審通知日 2010-06-14 
審決日 2010-06-25 
国際登録番号 0879452 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 井出 英一郎
榎本 政実
商標の称呼 シャープキャスト、シャープ、キャスト 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 
代理人 中熊 眞由美 

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