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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X1025
管理番号 1230177 
審判番号 不服2009-14 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-05 
確定日 2011-01-04 
事件の表示 商願2007- 9569拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SELF-CARE」の文字と「セルフケア」の文字とを上下二段に書してなり、第10類及び第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年2月7日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年9月12日受付及び当審における同21年2月2日付けの手続補正書により、最終的に、第10類「弾性靴下」、第25類「洋服,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点
(1)本願商標は、「自己治療、自分で自己の健康管理を行うこと。」等の意味を有する「SELF-CARE」及び「セルフケア」の文字を普通に用いられる方法で二段に書してなり、自己治療法として、例えば、睡眠時無呼吸症候群について、夜寝ている間に自宅で治療を行うことができるCPAP治療法や喘息について、自宅での吸入ステロイド薬治療法が知られていることから、これを本願指定商品中、例えば「自己治療法に用いる医療用機械器具」に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標は、登録第3297668号商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審における審尋
本願商標は、「SELF-CARE」の文字と「セルフケア」の文字を上下二段に書してなるところ、その構成中「SELF-CARE」「セルフケア」の文字は、共に「自己の健康管理」程の意味合いを認識させるものである。
ところで、本願商標の指定商品中、例えば「弾性靴下」には、普段の家庭生活の中で、リンパふ種の治療や予防を目的として使用される「弾性ストッキング」があり、実際、このような家庭で自己の健康管理のために使用される商品は、「セルフケア用の商品」として販売されているものである。
また、「セルフケア」の文字は、さまざまな、自己の健康管理のための商品について、用途等を表す語として、普通に使用されている事実が認められるものである。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品中、例えば「弾性靴下」に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、該商品が「自己の健康管理のための商品」であることの意味合いを理解、認識するにとどまるというのが相当であるから、単に、商品の品質、用途等を表示するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
上記については、当審において、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項による証拠調べを行ったところ、辞典・新聞記事情報及びインターネット検索情報等において、以下(1)ないし(15)の事実を発見したので、同条第5項に基づき通知する。
(1)「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店発行)
「セルフ‐ケア【self‐care】」について、「自分で自己の健康管理を行うこと。」の記載がある。
(2)「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」(株式会社三省堂発行)
「セルフ‐ケア[self‐care]」について、「健康自己管理.正しい食事療法,運動療法などで,日常の健康を各自で管理すること.治療費の高負担に悩む国や自治体が,セルフ‐メディケーションと共に普及に努めている.」の記載がある。
(3)「現代用語の基礎知識2010」(自由国民社発行)
「セルフ・ケア[self‐care]」について、「自分の健康を自分で管理すること。自己治療。」の記載がある。
(4)「読売新聞」(2009年5月12日付け 中部朝刊 26頁)
「リンパ浮腫 自己管理で治療、予防 平井正文・東海病院センター長に聞く=愛知」の見出しの下、「・・・--治療法は。大部分のリンパ浮腫は、弾性ストッキング・スリーブによる圧迫療法や、リンパ誘導マッサージ、スキンケア・運動を含む日常生活の指導になります。これらの治療法は、医師やセラピストによってリンパ浮腫の程度、患者の生活環境に応じて組み合わされます。実際には、患者さん自らが家庭で行うセルフケアが中心になります。」の記載がある。
(5)「産経新聞」(2006年11月8日付け 大阪朝刊 16頁)
「2次性リンパ浮腫 腕、脚に腫れ…象皮病に むくみ放置せずケアを」の見出しの下、「・・・■複合的理学療法 治療は、停滞したリンパ液を取り除き、リンパの流れに迂回(うかい)路を作るための(1)スキンケア(2)弾性包帯や弾性ストッキングを用いた圧迫(3)圧迫下の運動(4)リンパ誘導マッサージを4本柱とする複合的理学療法になる。ただし、医療サイドが担えるのは、現状では診断と指導のみで、毎日の弾性ストッキングなどの着用やマッサージはセルフケアが中心となる点が、他の疾患との大きな違いだ。リンパ浮腫は軽減はしても、完治はしないため、多くの人が弾性着衣を一生着用し続けなければならない。・・・『むくみを放置しないことが、一番のポイント。複合的理学療法は、治療であると同時に予防でもある。リンパ浮腫治療研究会でも、セルフケアの大切さをより広く伝えるとともに、弾性着衣を含めた複合的理学療法への保険適用を関係方面に働きかけていきたい』」の記載がある。
(6)「共同通信」(2006年6月24日付け)
「むくみにはまず圧迫 手術後のリンパ浮腫」の見出しの下、「・・・治療は、まず弾性ストッキングなどを使った「圧迫」が行われる。▽早いほど効果的 六月初め、日本リンパ学会が東京都内で開いたリンパ浮腫の市民公開講座には女性を中心に数百人が詰め掛け、治療法やマッサージによるリンパ液の誘導(リンパドレナージュ)方法などに関する講演に耳を傾けた。リンパ浮腫の専門医で、公開講座開催の世話人でもある広田内科クリニック(東京都世田谷区)の広田彰男院長は『治療はセルフケアが基本で、早ければ早いほど効果的。・・・』」の記載がある。
(7)「読売新聞」(2005年4月17日付け 東京朝刊 26頁)
「がん手術後に手足がむくむリンパ浮腫 スキンケアなど習慣付けて症状緩和」の見出しの下、「・・・リンパ浮腫(ふしゅ)。マッサージや弾性ストッキング着用などの日々の適切なセルフケアで症状は軽くなる。」の記載がある。
(8)「株式会社エビデンス」のウェブサイトにおいて、「日常生活に欠かせない弾性スリーブ、ストッキングの活用」の項目に、「・・・セルフケアの1つとして、リンパ浮腫の症状を良い状態で維持するためには医療用の弾性スリーブ、ストッキングの活用が欠かせません。弾性ストッキング、スリーブは病院の売店などでも自由に購入できますが、自分に合ったサイズを選ばないと良い効果が出ないこともあり、専門の治療機関に受診し、アドバイスを受けた上で選びましょう。」の記載がある。
(http://www.gsic.jp/measure/me_06/02/02.html)
(9)「スターツ出版株式会社」のウェブサイトにおいて、「?手軽にできる☆おすすめセルフケア法!?」の見出しの下、「・・・セルフケア アイテム編/弾性ストッキングに注目!/はくだけで静脈の血流を心臓に戻すのをサポートしてくれるのが、弾性ストッキング。新しい皮膚をまとう感覚で日常的にはくことにより、少ない動きで筋ポンプ作用が大きく働く! 手軽に取り入れて、むくみとお別れしよう。」の記載がある。
(http://www.ozmall.co.jp/special/2009100690o/care.asp)
(10)「住友スリーエム株式会社」のウェブサイトにおいて、「これからのセルフケア・・・健康な体を自分で維持するための自己管理=セルフケアが今まで以上に重要になってきています。新ネクスケア ブランドはワングレード上のセルフケアブランドを目指し、より質の高いセルフケア商品をご家庭に提供していきます。」「・・・これからもみなさまのセルフケアに役立つ製品を開発提供してまいります。」「傷・外傷ケア製品/・救急絆創膏 ・防水フィルム ・皮膚接合用テープ ・メディカルテープ/ガッチリテープ ・自着性伸縮包帯」の記載がある。
(http://www.mmm.co.jp/nexcare/concept/index.html)
(11)「有限会社ファクトリー吉田」のウェブサイトにおいて、「セルフケアグッズ紹介」の見出しの下、「・・・セルフケア・三種の神器・・・セルフケア・足もみ棒・・・セルフケア・便利グッズ」の記載がある。
(http://ashimomi-factory.jp/index.php?id=10)
(12)「たけうち歯科」のウェブサイトにおいて、「セルフケアグッズ」の見出しの下、「歯ブラシ・・・音波ブラシ・・・歯間ブラシ・・・フロス・・・歯磨剤・・・洗口液・・・義歯用品・・・軟膏・・・食品・・・その他・・」の記載がある。
(http://www.takeuchi-4618.jp/goods.html)
(13)「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「DENT.Check-Up gel バナナ(セルフケア用フッ化配合ジェル)」の見出しの下、「・・・矯正治療中などのカリエスリスクの高い方に最適なセルフケア用フッ化物製剤です。」の記載がある。
(http://item.rakuten.co.jp/haburashi/c/0000000122)
(14)「有限会社 セラピア」のウェブサイトにおいて、「ホームケア商品」の見出しの下、「家庭でのいろいろなセルフケア商品を取り揃えました。・・・姿勢矯正ベルト(子供用)・・・低反発マットレス・・・」の記載がある。
(http://serapia.ocnk.net/product-list/7)
(15)「みやの歯科医院」のウェブサイトにおいて、「おすすめセルフケアグッズ」の見出しの下、「一番のお勧めは音波振動ブラシです。」の記載がある。
(http://www.miyano-dental.jp/NewFiles/selfcaregoods.html)

4 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記3の審尋に対して、平成22年9月15日受付の回答書において、本願商標が登録されるべき理由として、以下のとおり主張している。
本願商標「SELF-CARE」「セルフケア」の語は、直訳すれば「自己の世話」「自己管理」等である。指摘のあった「弾性靴下」は、「類似商品・役務審査基準」によれば、第10類中の「医療用の補助器具及び矯正器具」に属する商品と考えられる。そして「商品及び役務の区分解説」には、前記商品について「主として医師が処置し又は医師の指導で使用される“機械器具的なもの”に限られる。」と記載されている。
「セルフケア」の語は、甲第1号証ないし甲第3号証に示すように、本来「心のケア」である。心に関係する語であり、機械器具とは関係しない語である。してみると“機械器具的なもの”に属する「弾性靴下」が、「心のケア」と関係する商品には到底なり得ない。
インターネット検索情報に掲げられているものには、大きく分けて、自己が健康に気を付けて予防として行うことをセルフケアといっている場合と、治療の一貫として家庭で行うセルフケアとが混在するようである。しかしながら、拒絶理由の冒頭にて定義されているように「セルフケア」は「自己の健康管理」である。したがって、家庭での治療行為は含まれないものである。
前者に関するものとして前記情報(1)ないし(3)がある。そして後者に属するものとして、「弾性ストッキング」に言及している情報(4)ないし(9)がある。これは病気と診断された者が自宅で行う治療行為と同等に「セルフケア」の語を使用している。この使用は「セルフケア(自己の健康管理)」の定義から外れるものである。さらに前記情報(4)ないし(9)ならびにその後の情報(10)ないし(15)を参考にして「セルフケア」の語を定義してしまうと、日常の家庭用品、衣服等でも健康のために使用すれば全て含まれてしまうことになりそうである。例えば、寒い時に厚手のセーター、靴下、下着を着ければ風邪の治療行為にあたってしまう。日射病予防に帽子を着用しても、熱中対策に水を飲んでも全て治療行為になってしまう。さらには情報(10)ないし(15)によれば、医薬部外品に属する絆創膏、歯ブラシ、虫除けスプレー等も「セルフケア」商品となり、際限が無くおかしなことになってしまう。「セルフケア」の語の使用法を誤っているものとしか言えない。
上記したように、インターネット検索情報等は「セルフケア」の解釈が統一されてなく、これらの誤った情報をもって「セルフケア」の語が「自己の健康管理のための商品」について、用途等を表わす語として、普通に使用されている、との事実認定は早計の謗りを免れない。

5 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「SELF-CARE」の文字と「セルフケア」の文字を上下二段に書してなるところ、その構成中「SELF-CARE」「セルフケア」の文字は、共に「自己の健康管理」程の意味合いを認識させるものである。
そして、その指定商品中、例えば「弾性靴下」には、普段の家庭生活の中で、リンパふ種の治療や予防を目的として使用される「弾性ストッキング」があり、家庭で自己の健康管理のために使用される商品である「セルフケア用の商品」として販売されているものである。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品中、例えば「弾性靴下」に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、該商品が「自己の健康管理のための商品」であることの意味合いを理解、認識するにとどまるというのが相当であるから、単に、商品の品質、用途等を表示するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 本願商標「SELF-CARE」「セルフケア」の語は、直訳すれば「自己の世話」「自己管理」等であり、「弾性靴下」は、第10類中の「医療用の補助器具及び矯正器具」に属する商品と考えられる。そして、「セルフケア」の語は、本来「心のケア」であって、心に関係する語であるから、機械器具とは関係しない語である。してみると“機械器具的なもの”に属する「弾性靴下」が、「心のケア」と関係する商品には到底なり得ない、旨主張している。
しかしながら、本願商標は、需要者をして、「自己の健康管理」程の意味合いを認識させるものであって、心に関係する語であると認識されるということはできないから、その主張は適当でない。
イ インターネット検索情報に掲げられているものには、大きく分けて、自己が健康に気を付けて予防として行うことをセルフケアといっている場合と、治療の一貫として家庭で行うセルフケアとが混在するようであるが、「セルフケア」は「自己の健康管理」であるから、家庭での治療行為は含まれないものである。また、インターネット検索情報等は「セルフケア」の解釈が統一されてなく、これらの誤った情報をもって「セルフケア」の語が「自己の健康管理のための商品」について、用途等を表わす語として、普通に使用されている、との事実認定は早計の謗りを免れない、旨主張している。
しかしながら、「セルフケア」の語は、容易に「自己の健康管理」程の意味合いを認識させるものであって、また、家庭での治療行為に使用される商品が一般に存在することからすれば、本願商標に接する需要者、取引者は、その商品が「自己の健康管理のための商品」であることの意味合いを理解し、商品の品質、用途等として認識するというのが相当であるから、本願商標が用途等を表すものとして認識されないとする請求人の主張は失当である。
ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-10-29 
結審通知日 2010-11-02 
審決日 2010-11-15 
出願番号 商願2007-9569(T2007-9569) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X1025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄平澤 芳行 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
松田 訓子
商標の称呼 セルフケア 
代理人 松田 省躬 

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