• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z12
管理番号 1229961 
審判番号 取消2010-300277 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-03-12 
確定日 2010-12-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4565414号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4565414号商標(以下「本件商標」という。)は、「Norton」の文字を標準文字で表してなり、平成13年3月9日に登録出願、第12類「船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として、同14年5月10日に設定登録されたものであるが、その後、同22年8月9日に、指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」についての登録を取り消す旨の審決が確定し、同年9月2日に審判の確定登録がされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品のうち『二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品』について登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人が提出している書類からは、(a)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「権利者」という。)によって、(b)審判請求の登録前3年以内に、本件商標を使用していることの証明はなされていない。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、ノートン自転車工業株式会社(以下「ノートン自転車」という。)のホームページの写真である。これはノートン自転車の業務内容が「スポーツ用自転車部品・用品・専用工具および自転車の卸」であり、多数の取引先を持つことなど示しているだけである。
よって、乙第1号証からは、本件商標の権利者によって使用されたことは証明できない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証の覚書は、被請求人とノートン自転車という当事者の間で作成されたものであるにすぎず、そのような覚書の存在を客観的に証明する資料は提出されていない。例えば、公証人の証明のようなものがあれば覚書が実際に存在しているということができるが、そのような資料は提出されていない。
また、本覚書において、被請求人は、本件商標を、ノートン自転車の製造・販売に係るツーリング自転車に使用することを認めたとされている。しかし、この内容は乙第1号証の記述と矛盾している。
なぜなら、乙第1号証においては、ノートン自転車は「当社は創業50年を超えるスポーツサイクルの老舗卸問屋です」又は「スポーツ用自転車部品・用品・専用工具および自転車の卸」と書いているからである。そこには、ノートン自転車が卸売りを行っていることは書かれているが、自転車の製造を行っていることは全く書かれていないからである。ゆえに、本覚書の記述は乙第1号証と矛盾している。
さらに、もしノートン自転車が実際に本件商標を付した自転車を製造しているならば、その写真を提出することができるはずである。しかし、そのような写真は提供されておらず、本件商標を付した自転車を実際に製造していることは疑わしい。
そのため、本覚書の記載事項は疑わしく、ノートン自転車が実際に使用権者であることは確かめられない。
そして、覚書の日付についても、それが正しいものであることを確かめることはできない。
よって、乙第2号証からは、(a)本件商標の権利者によって、(b)審判請求の登録前3年以内に、本件商標を使用していることを証明することはできない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証からは、被請求人の主張を証明することはできない。
上記乙第2号証における意見と同様に、当該証明書は、被請求人とノートン自転車という当事者の間で作成されたものであるにすぎず、その存在を客観的に証明する資料は提出されていない。例えば、公証人の証明のようなものがあれば覚書が実際に存在しているということができるが、そのような資料は提出されていない。
そして、証明書の日付についても、それが正しいものであることを確かめることはできない。
そのため、本証明書がノートン自転車が発行したものであることを確認することはできない。
また、本証明書において、ノートン自転車は、本件商標について、被請求人からノートン自転車への使用許諾がなされており、ノートン自転車製造に係るツーリング自転車に使用している旨を述べている。そして、その使用箇所についても詳細に述べている。
しかし、ノートン自転車が本件商標を使用した自転車を製造しているとの内容は、乙第1号証の記述と矛盾している。
なぜなら、乙第1号証においては、ノートン自転車は「当社は創業50年を超えるスポーツサイクルの老舗卸問屋です」又は「スポーツ用自転車部品・用品・専用工具および自転車の卸」と書いているからである。そこには、ノートン自転車が卸売りを行っているとは書かれているが、自転車の製造を行っているとは全く書かれていないからである。
もしノートン自転車が、製造した自転車に実際に本件商標を使用し、151台も販売したのであれば、その自転車の写真を提出することができるはずである。しかし、そのような写真は提供されておらず、実際に本件商標を付した自転車を製造していることは疑わしい。
そのため、本証明書の記載事項は極めて疑わしい。
よって、乙第3号証からは、(a)本件商標の権利者によって、(b)審判請求の登録前3年以内に、本件商標を使用していることを証明することはできない。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、株式会社イングラム(以下「イングラム」という。)のホームページの写真である。
その7ページ目の「国内展開プロパティー」のブランド紹介の中に、「Norton」のマークが見られるが、これだけでは、本件商標が権利者によって取消対象商品「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」について使用されたことの証明にはなっていない。
よって、乙第4号証からは、本件商標が権利者によって使用されたことは証明されない。
(5)乙第5号証について
乙第5号証については、契約書の末尾に付されている印鑑は不鮮明であり、公証人による証明もないので、実際に被請求人とイングラムの間で締結された正式な契約書であることは、この証拠からでは判断できない。
そのため、乙第5号証が実際に被請求人とイングラムの間で締結された正式な契約書であることは証明されていない。
よって、乙第5号証のエージェント契約書の存在は極めて疑わしく、(a)本件商標の権利者によって、(b)審判請求の登録前3年以内に、本件商標を使用していることを証明することはできない。
(6)乙第6号証について
乙第6号証においては、自転車が誰によって生産されたものなのかについての情報は含まれておらず、本件商標の使用者について知ることはできない。
その上、写真で示されている場所が株式会社ピート(以下「ピート」という。)の店舗であることは、いかなる標識・看板も写っていない以上、写真からは知ることができない。そのため、誰が当該自転車を販売しているのかについても知ることはできない。
さらに、イングラムはピートが重要販売先である旨を述べているが、そのような関係を証明する資料は提出されておらず、イングラムとピートがどのような関係にあるか明らかではない。そのため、イングラムが本件商標の使用権者であるかどうかもわからない。
また、写真が撮影された日時についてはまったく不明であり、本件商標の使用時期を特定するための証拠にもなっていない。
よって、乙第6号証からは、(a)本件商標の権利者によって、(b)審判請求の登録前3年以内に、本件商標を使用していることを証明することはできない。
(7)乙第7号証について
乙第7号証において、ピートのホームページの写真が提供されているが、その4ページ目には、欧文字「Norton」の表示が見られるものの、それだけでは本件商標を取消対象商品「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」に使用していることを証明することはできない。
さらに、当該ホームページ上で、上記欧文字「Norton」をクリックした時に現れる「Norton」ブランドの解説においては、欧文字「Norton」は、「N」の文字が左を向いた動物のような形に描かれており、同じ「N」の文字の右上部が右方に長く伸び、右端の文字である「n」の下に潜り込んだ形態で記載され、その他の欧文字もデザイン化されており、本件商標とはその外観において明白に異なっている。そのため、本件商標を社会通念上同一の形態で使用しているということはできない(甲第2号証)。
また、被請求人は、上記乙第6号証の写真に写っている自転車は、ピートの「『TOKYO-BAY』店を『NORTON SHOP』としてリニューアル・オープンすることを機に、企画されたものである」と述べている。しかし、そのような記述を裏付ける資料は提出されていないし、そもそも、企画した主体が誰なのかについても明らかにされていない。そのため、乙第7号証からでは、本件商標を取消対象商品「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」に対して使用していることは証明できない。
よって、乙第7号証からは、本件商標が権利者によって使用されたことは証明されない。
(8)乙第8号証について
乙第8号証について、被請求人は、株式会社ツノダ(以下「ツノダ」という。)からイングラムヘの自転車の納品書であると述べている。しかし、これは単に商品名、数量、単価、金額及び合計について記したとされる書類にすぎず、納入されたとされる商品に本件商標が付されていることの証明にはならない。
また、納品書の商品名の欄において型番(EDT2-207)やノートンマークが付されていることについて述べているが、それに対応する自転車のカタログや写真は提供されていない。通常、自転車を製造していれば、カタログや写真などは当然持っているので、それらを提供できないということは、そのような自転車の製造自体が疑わしいことを示している。
また、そこにイングラムの名前が現れているからといって、ツノダがイングラムに対して、乙第8号証に記載されている製品を納入したとは限らない。そもそも、納入された商品が自転車であることすら、当該納品書からはわからない。
さらに、乙第8号証の納品書の宛先はイングラムになっているが、イングラムがそれらの製品を実際に販売しているということの証明にもなっていない。
よって、乙第8号証からは、本件商標が権利者によって使用されたことは証明されない。
(9)乙第9号証について
乙第9号証について、被請求人は、ツノダからイングラムに対する請求明細書であると述べている。しかし、これは単に商品名、数量、単価、金額及び請求額について記したとされる書類にすぎず、納入されたとされる商品に本件商標が付されていることの証明にはならない。
また、請求明細書の商品コードの欄において型番(ED-T2 MBKなど)やノートンマークが付されていることについて述べているが、それに対応する自転車のカタログや写真は提供されていない。通常、自転車を製造していれば、カタログや写真などは当然持っているので、それらを提供できないということは、そのような自転車の製造自体が疑わしいことを示している。
また、そこにイングラムの名前が現れているからといって、ツノダがイングラムに対して記載されている製品を納入したとは限らない。そもそも、納入された商品が自転車であることすら、当該請求明細書からはわからない。
さらに、乙第9号証の請求書明細書の宛先はイングラムになっているが、イングラムがそれらの製品を実際に販売しているということの証明にはなっていない。
よって、乙第9号証からは、本件商標が権利者によって使用されたことは証明されない。
(10)乙第10号証について
乙第10号証について、被請求人は、イングラムからピートヘの納品書であると述べている。しかし、これは単に品名、数量、単価及び金額について記したとされる書類にすぎず、本件商標が実際に納入された商品に付されていることの証明にはならない。
また、納品書の商品名の欄において型番(ED-T2 MBKなど)について述べているが、それに対応する自転車のカタログや写真は提供されていない。通常、自転車を製造していれば、カタログや写真などは当然持っているので、それらを提供できないということは、そのような自転車の製造自体が疑わしいことを示している。
また、そこにピートの名前が現れているからといって、イングラムがピートに対して、乙第10号証に記載されている製品を納入したとは限らない。そもそも、納入された商品が自転車であることすら、当該納品書からはわからない。
さらに、乙第10号証の納品書の宛先はピートになっているが、ピートがそれらの製品を店舗において実際に販売しているということの証明にはなっていない。
よって、乙第10号証からは、本件商標が権利者によって使用されたことは証明されない。
(11)乙第11号証について
乙第11号証について、被請求人は、イングラムからピートに対する請求書であると述べている。しかし、これは商品に関する様々な情報について記したとされる書類にすぎず、本件商標が実際に納入された商品に付されていることの証明にはならない。
また、型番(ED-T2 MBKなど)について述べられているが、それに対応する自転車のカタログや写真は提供されていない。通常、自転車を製造していれば、カタログや写真などは当然持っているので、それらを提供できないということは、そのような自転車の製造自体が疑わしいことを示している。
そこにピートの名前が現れているからといって、イングラムがピートに対して記載されている製品を納入したとは限らない。そもそも、納入された商品が自転車であることすら、当該請求書からはわからない。
さらに、乙第11号証の請求書の宛先はピートになっているが、ピートがそれらの製品を店舗において実際に販売しているということの証明にはなっていない。
よって、乙第11号証からは、本件商標が権利者によって使用されたことは証明されない。
(12)その他
答弁書において、被請求人がノートン自転車、イングラム、ピート及びツノダなどの名前を挙げて、本件商標の使用について様々な説明をしている。しかし、それらの会社間の関係は錯綜しており把握することが困難である。そのため、被請求人が、誰がどのように使用していることをもって本件商標の使用を主張したいのか不明確である。
3 以上より、被請求人より提供された各資料を総合的に検討すると、被請求人は、商標法第50条第2項に規定する条件を満たしていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証証ないし乙第11号証を提出した。
1 理由
本件商標は、下記のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の使用権者であるノートン自転車及びイングラムにより「自転車」に使用されている。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきではない。
(1)ノートン自転車による本件商標の使用
ア ノートン自転車は、昭和23年5月に設立された、主としてスポーツ用自転車の卸売会社である(乙第1号証)。
イ 被請求人とノートン自転車とは、本件商標の使用について覚書を締結している(乙第2号証)。同覚書に明らかなとおり、ノートン自転車は、平成20年5月1日以降現在に至るまで、本件商標に関する使用権者である。
ウ 乙第3号証は、ノートン自転車発行の証明書である。同書面に記載のとおり、ノートン自転車において、本件商標を付した自転車が販売されている。なお、同自転車の販売実績は、現時点で明確になる範囲では、平成20年5月から平成21年4月までの1年間で151台である。
(2)イングラムによる本件商標の使用
ア イングラムは、平成4年8月に設立された、いわゆるキャラクタ・ライセンス会社であり(乙第4号証)、被請求人とは人的・営業的に緊密な関係にある。
イ 本件商標は、当初有限会社アイピーコーポレーションが保有していたが、同社の経営が芳しくなくなったことから、被請求人が同社の他の営業資産の一部とともに譲り受けた(甲第1号証)。この時点で、被請求人は、本件商標の活用を図るべくイングラムと「エージェント契約書」を締結した(乙第5号証)。
したがって、イングラムも平成20年4月1日以降本件商標の使用権者である。
ウ 乙第6号証は、本件商標、及び、本件商標と社会通念上同一の商標を、車体フレーム部に付した自転車の写真である。同自転車は、イングラムの重要販売先である、ピートの「NORTON SHOP」にて販売されている。ピートは、乙第7号証のとおり、いわゆるアメリカンカジュアルといわれる商品の製造・販売を業として、本件商標を含む「GOTCHA」、「KARL KANI」等6商標をメインブランドとして営業展開を行っている。同自転車は、同社の「TOKYO-BAY」店を「NORTON SHOP」としてリニューアル・オープンすることを機に、企画されたものである。
エ 乙第8号証は、同自転車の製造元であるツノダからイングラムヘの納品書の控えであり、乙第9号証はその請求書である。同自転車は、本年3月16日にイングラムに納品され、同月20日にイングラムに対して請求がなされている。
オ 乙第10号証は、本自転車20台(メタリックブラック10台、及び、メタリックグレー10台)の、イングラムからピートへの納品書であり、乙第11号証は当該分の請求書である。これらの取引書類にも、「ノートン」又は「NORTON」の商標が表示されている。この納品書にも明らかなとおり、本件商標を付した自転車は(乙第6号証)、本年3月19日にピートへ納品されているから、本件商標が使用されていることも明らかである(商標法第2条第3項第1号、及び、同第2号)。
2 以上より、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人の使用権者であるノートン自転車、及び、イングラムの販売に係る「自転車」に使用されているから、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第5号証について
乙第5号証は、2008年4月1日付けの被請求人とイングラムとの「エージェント契約書」で、「有限会社ブルーリボン(以下、『甲』という)と株式会社イングラム(以下、『乙』という)とは、甲が保有する登録商標『Norton』(以下、『本件プロパティ』という)の使用、及び、商品化権について以下の通り合意した。」と記載されており、その下の(本件プロパティ)の項に、「第1条(1)甲の保有する本件プロパティは、以下の通りである。」「…登録第4565414号…」と記載され、同第1条(2)に「甲は、乙に対して、日本(以下、『テリトリー』という。)における本件プロパティの使用をすること、及び、本件プロパティを使用した商品化権のエージェント業務(代理店業務)を行うことを認める。」と記載されている。
また、(有効期間)の項には、「第6条 本契約の有効期間は2008年4月1日から2013年12月31日までとする。本契約満了の90日前までに甲又は乙が文書で契約終了の申出をしない場合には、本契約は自動的に1年間更新され、以降も同様とする。」と記載されている。
(2)乙第6号証について
乙第6号証は、ピート店舗内の写真とされるものであって、正面に大きく2台の自転車が陳列されており、手前の自転車の車体フレーム部には「Norton」(「N」の文字の右下から「n」の文字の下まで横線が配されている。)の標章が付されている。
(3)乙第7号証について
乙第7号証は、ピートのホームページであって、2枚目の「企業理念」及び「会社の概要」の欄に、「ピートグループは1968年創立以来、アメリカンカジュアルの"カッコ良さ"を追求してまいりました。…従来からのアパレル卸の他に直営店も加わりました。私達は"カッコいいお店"で"カッコいい"カジュアルを提供し、"誰もが幸せな気持ちになれるライフスタイルを創造する企業"を目指します。」の記載、3枚目の「事業内容」の欄に、「ヤングカジュアルウェアの企画・製造・卸売 および 小売販売」の記載、「直営店」の欄に、「G-LAND、KARL KANI、Real Outlet、GOTCHA OUTLET」の記載、4枚目左中央部分に、取扱い商標として「Norton」等が掲載されている。
(4)乙第8号証について
乙第8号証は、売上日が2010年3月16日付けのイングラム宛のツノダの納品書で、「商品コード/商品名」の欄の一段目に「00471403」、「入数 10」、「EDT2-207 メタリックブラックS(ノートンマーク付)」の記載、数量、単価及び金額の欄の一段目に、それぞれ「10」、「18,858」及び「188,580」の数字が記載されている。
(5)乙第9号証について
乙第9号証は、2010年3月20日締切分のイングラム宛のツノダの請求明細書で、日付けの欄に「3月16日」の記載、「商品コード/商品名」の欄の一段目に「00471403 ED-T2 MBK(ノートンマーク付)」の記載、数量(台)、単価及び金額の欄の一段目に、それぞれ「10」、「18,858」及び「188,580」の数字が記載されている。
(6)乙第10号証について
乙第10号証は、2010年3月19日付けのピート宛のイングラムの「納品書(控)」で、「品名」の欄の一段目に「NORTON自転車 00471403 ED-T2 MBK」の記載、数量、単価及び金額(税抜・税込)の欄の一段目に、それぞれ「10」、「25870」及び「258700」の数字が記載されている。
(7)乙第11号証について
乙第11号証は、ピート宛のイングラムの「請求書」で、伝票日付の欄に「10/03/19」の記載、「品番・品名」の欄の一段目に「NORTON商品(00471403)ED-T2 MBK」の記載、数量、単価及び税抜御買上額の欄の一段目に、それぞれ「10」、「25870」及び「258,700」の数字が記載されている。
2 以上よりすると、以下の(1)ないし(5)のとおりである。
(1)通常使用権者について
「エージェント契約書」(乙第5号証)によれば、被請求人とイングラムとは、その第1条(1)及び(2)において、イングラムが本件商標を使用することに合意している。そして、被請求人とイングラムとは、有効期間について、その第6条において、2008年4月1日から2013年12月31日までとすることを合意している。
したがって、イングラムは、通常使用権者ということができる。
(2)通常使用権者が使用している商品について
乙第10号証によれば、通常使用権者が使用している商品は、「自転車」であることが確認でき、当該商品は、請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品である。
(3)取引について
乙第7号証ないし乙第11号証によれば、通常使用権者であるイングラムは、2010年3月16日に、商品コード「00471403」の自転車10台を自転車メーカーのツノダから購入し、同年3月19日に、同じ商品コードの自転車10台を小売店のピートに販売していることが認められる。
そして、ピートに販売された自転車は、ピート店舗内の写真(乙第6号証)の自転車とみて差し支えないものであるから、通常使用権者であるイングラムは、「Norton」の商標を付した自転車をピートに販売したものとみるのが自然である。
(4)使用商標について
ピート店舗内の写真(乙第6号証)の手前の自転車の車体フレーム部には、「Norton」(「N」の文字の右下から「n」の文字の下まで横線が配されている。)の商標が付されている。この使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
また、「納品書(控)」(乙第10号証)の品名の欄には、「NORTON自転車」と記載されている。「NORTON自転車」のうち、「自転車」の文字は、本件商標の使用に係る商品「自転車」を表したものということができるから、自他商品識別標識としての機能を果たす文字部分は、「NORTON」の文字部分にある。
したがって、この使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。
(5)請求人は、「提出された証拠では、本件商標が実際に納入された商品に付されていることの証明にはならない。…ノートン自転車、イングラム、ピート及びツノダなどの会社間の関係は錯綜しており把握することが困難である。」などと縷々述べているが、被請求人が提出する各証拠に何ら不自然な点は見出せない。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を請求に係る指定商品中の「自転車」について登録商標の使用していたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標は、請求に係る指定商品中の「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-10-14 
結審通知日 2010-10-22 
審決日 2010-11-02 
出願番号 商願2001-27312(T2001-27312) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澁谷 良雄平澤 芳行 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2002-05-10 
登録番号 商標登録第4565414号(T4565414) 
商標の称呼 ノートン、ノルトン 
代理人 鳥海 哲郎 
代理人 小林 彰治 
代理人 田中 克郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ