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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y01
管理番号 1229926 
審判番号 取消2010-300166 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-02-10 
確定日 2010-12-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4782810号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4782810号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4782810号商標(以下「本件商標」という。)は、「VIRUS BUSTER」の欧文字と「ウイルスバスター」の片仮名文字とを上下二段に書してなり、平成15年10月29日に登録出願、第1類「化学品」を指定商品として、同16年7月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標の商標権者は、日本国内において、本件商標を継続して3年以上「化学品」ついて使用していない。また、その商標登録原簿を徴する限り、本件商標に専用使用権あるいは通常使用権が設定・許諾されている事実も見当たらない。
よって、本件商標の指定商品「化学品」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標が使用されている商品について
被請求人は、乙第2号証として「ウイルスバスター」ゲルタイプ商品の写真、乙第3号証として「ウイルスバスター」スプレータイプ商品の写真、乙第4号証として当該商品を販売しているインターネットサイト「楽天市場」の該当ページの写し、乙第5号証として当該商品に関する取引書類である「受注状況リスト」・「納品書」及び「宅配便の送り状」写しを証拠として提出し、「乙第2号証の製品包装写真によれば、商標『VIRUS BUSTER/ウイルスバスター』が使用されている商品は『消臭・防かび・防臭剤』と認められ、この商品は第1類の『化学品』に属する商品である。」と主張している。
しかし、本件商標が使用されている商品(以下、「使用商品」という。)は「化学品」に属する商品ではなく、第5類の商品である「薬剤」に属する商品である。以下、詳説する。
ア まず、乙第2号証及び同第3号証に照らせば、使用商品は、「二酸化塩素を発生させ、その効果としてウイルスの除去・除菌・消臭を謳った商品」である。
この二酸化塩素自体は、有機体である微生物(細菌)やウイルスのたんぱく質を酸化させることにより不活性化させて除菌・除去し、同様に臭いについてもその分子を酸化させてしまうことで消臭する働きをする化学物質である。
そして、二酸化塩素は、本来常温では気体の物質であるため、二酸化塩素を溶存させ保存性を高めた溶液が一般には「二酸化塩素水溶液」と呼ばれているものである。
乙第2号証及び同3号証に照らせば、使用商品はこの「二酸化塩素水溶液」をその成分に含んでいるが、同号証の商品の写真裏側には、「使用上の注意」として「誤飲食への注意、金属・衣類・皮革製品への使用についての注意、車内や冷蔵庫内での使用についての注意」が記載されており、また、乙第3号証の商品裏側の写真上部には、商品の用途として「玄関、リビング、トイレ、介護関連、キッチン用品、ペット用品、吐しゃ物」等であると記載されていることから、使用商品の用途は「工業用ではなく家庭用」であると考えられる。
イ また、乙第4号証の1つ目は、使用商品を販売している「ザグザグ楽天市場店」というインターネットの販売サイト、即ち「店舗」のページであるが、このインターネット販売サイトは「岡山を中心に中四国エリアで74店舗展開しているドラッグストアである株式会社ザグザグの通信販売サイト」であると記載されている。また、乙第4号証第3ページの下部には、「ザグザグ」という店舗名称と併せて同社の業務内容が「医薬品・化粧品・健康食品等の販売」と記載されており、医薬品の店舗販売業者等において医薬品リスク区分の第二類及び第三類一般用医薬品を販売する資格である「登録販売者」として薬剤師が氏名、写真とともに掲載されていることから、乙第4号証によれば、株式会社ザグザグという「薬局」が、当該サイトで使用商品を販売していることがわかる。
さらに、使用商品が「ザグザグ楽天市場」という「薬局」のサイトで「どのような商品」として販売されているか(取り扱われているか)についてはサイト左側の「カテゴリー」から検索することが可能であるが、乙第4号証における使用商品上部にも記載されているように、当該サイトにおいては、使用商品は「日用雑貨」中の「消臭・芳香剤」に区分されている。
また、使用商品の説明として、「菌・臭いが気になるところに置くだけ!」のキャッチコピーの下、「部屋の隅々まで機能を発揮します」との効能が記載され、用途として「玄関、リビング、寝室、子供部屋、キッチン、トイレ、洗面所、浴室、ペット周辺などのウイルス除去、除菌、消臭、防カビにお使い下さい」と記載されている。
さらに、乙第4号証2ページ右下部には【広告文責】として株式会社ザグザグの名称の下に、【商品区分】として「日本製・除菌消臭剤」と記載されている。
以上の事実及び「ザグザグ楽天市場」というインターネット販売サイトが「一般個人向け」であることを踏まえれば、使用商品は、「二酸化塩素を応用した工業用のものではない家庭用の消臭・防かび・防臭剤」の範ちゅうに属するものであるといえる。
また、乙第4号証の2つ目は、使用商品を販売している「青葉堂薬局」というインターネットの販売サイト、即ち「店舗」のページであるが、このインターネット販売サイトは堺市に所在する株式会社青葉堂という「薬局」が運営し、当該サイトで使用商品を販売していることがわかる。
さらに、「青葉堂薬局」という「薬局」のサイトで「どのような商品」として販売されているか(取り扱われているか)についてはサイト左側の「カテゴリー」から検索することが可能であるが、当該サイトにおいては、使用商品は「医療衛生」中の「インフルエンザ対策」商品に区分されている。
また、使用商品の特徴として、「水溶液の中に二酸化塩素のガスが入っている為、拡散して部屋の隅々まで機能を発揮します」と記載され、乙第4号証6ページ中段には広告文責として有限会社青葉堂の名称の上に、「区分」として「消臭・芳香(除菌)剤」と記載されている。
また、当該サイトの商品の写真上部にある「詳しい内容は類似品のこちらを参照ください」という表示から使用商品の詳細を確認すると、「ステア二酸化塩素スプレー」という名称の「ウイルス・菌の衛生」用の二酸化塩素スプレー商品を紹介するページとなり、この商品の用途は「除菌:トイレ・洗面所・キッチン周り・床・壁面・汚染器材・サニタリー用品・シーツ・寝具類(水洗いできる白物繊維製品)・まな板・ふきん・キッチン用品等、消臭:トイレ・汚染物・生ゴミ等悪臭・腐敗臭・灰皿・エアコンフィルター等」と紹介されている(甲第2号証)。
以上の事実及び「青葉堂薬局」というインターネット販売サイトが「一般個人向け」であることを踏まえれば、使用商品は、「二酸化塩素を応用した工業用のものではない家庭用の消臭・防かび・防臭剤」の範ちゅうに属するものであるといえる。
ウ また、被請求人は、乙第5号証として使用商品に関する取引書類である「受注状況リスト」・「納品書」及び「宅配便の送り状」写しを提出しているが、当該書類によれば、使用商品の販売先は、社名が沖縄に所在する「株式会社薬の?」、店名が「薬の?本部」という「薬局(薬剤を取り扱う事業者)」であることがわかる。かかる販売先の性格からも、使用商品は、「二酸化塩素を応用した工業用のものではない家庭用の消臭・防かび・防臭剤」の範ちゅうに属するものであることが伺える。
エ 以上のとおり、被請求人が提出した乙第2号証ないし乙第5号証に照らせば、使用商品は「二酸化塩素を応用した工業用のものではない家庭用の消臭・防かび・防臭剤」といえるものである。
オ そして、商品「消臭・防かび・防臭剤」がどの区分の商品として分類されているかを特許庁のデータベース(特許電子図書館)で確認すると、各商品は以下の通り区分されている(甲第3号証)。
消臭剤(工業用のものに限る。)→第1類(類似群:01A01)
身体用消臭剤→第3類(類似群:04C01)
家庭用の消臭剤、消臭剤(身体用及び工業用のものを除く)→第5類(類似群:01B01)
防かび剤→第1類(類似群:01A01)
防菌剤→第5類(類似群:01B01)
工業用防臭剤→第1類(類似群:01A01)
身体用防臭剤→第3類(類似群:04C01)
防臭剤(工業用及び身体用のものを除く)→第5類(類似群:01B01)
すなわち、使用商品である「工業用のものではない家庭用の消臭・防かび・防臭剤」は、いずれも第5類「薬剤(類似群:01B01)」の範ちゅうに属する商品であるとされており、かかる事実に照らした場合、使用商品は第1類の商品である「化学品」に属する商品ではなく、第5類の商品である「薬剤」に属する商品であるといえる。
カ また、ニース協定の「商品・サービス国際分類表」の「類見出し及び注釈(商品)」においては、第1類の化学品は「工業用、科学用、写真用、農業用、園芸用及び林業用の化学品」が含まれるとされ、「医学用化学品、殺菌剤」は第5類であってこの類には特に含まないとされている(甲第4号証)。
使用商品は、上述のとおり「工業用のものではない家庭用の消臭・防かび・防臭剤」であることから、ニース協定の注釈に沿った場合であっても、第1類の商品である「化学品」に属する商品ではなく、第5類の商品である「薬剤」に属する商品であるといえる。
キ なお、使用商品の発売元で商標の使用者と考えられる「株式会社キンエイクリエイト」の事業目的が、「医薬部外品および家庭用殺虫剤の製造販売、医薬品、医療用具、医療用器械器具、化粧品、食品、日用雑貨の販売」となっていることからも(甲第5号証)、使用商品が「薬剤」に属する商品であるとすることが極めて妥当であると考えられる。
以上述べたとおり、本件商標が使用されている商品は、第5類の商品である「薬剤」に属する商品であって第1類の商品である「化学品」に属する商品ではないことから、商標権者及び通常使用権者が、本件商標を、請求に係る指定商品である「化学品」について本件審判の請求の登録前3年以内に使用していることは何ら証明されていないものである。
(2)本件商標を使用している主体について
被請求人は、本件商標を使用した商品については製品の製造のみを行い、通常使用権者である株式会社キンエイクリエイトが販売を行っていると述べ、乙第2号証ないし同第4号証における製造元、発売元の記載を摘示した上で、通常使用権者である株式会社キンエイクリエイトが本件商標を使用していると述べ、さらに、「これらの事実から株式会社キンエイクリエイトの販売に係る商品を製造している被請求人も、本件商標を使用していることが推定される」と述べている。
さらに、被請求人は、株式会社キンエイクリエイトが通常使用権者である証明は特に添付していないと述べ、その理由として「包装用箱の記載から株式会社キンエイクリエイトが本件商標の通常使用権者である関係は当然にも推定されると考えられるためである」と述べている。
しかしながら、被請求人の論理は「推定」に基づくものであって使用の主体について何を主張・立証しようとしているのかが不明である。
なお、請求人にて商標権者である株式会社アマテラについて同社のホームページを調査した範囲では、被請求人が本件商標を使用している事実は何ら認められず(甲第6号証)、商標権者が本件商標を使用している事実も何ら証明されていないものである。
3 以上述べた理由により、被請求人が提出した答弁書及び乙各号証は、いずれも商標権者又は使用権者によって本件登録商標が使用されている事実を示すものではなく、したがって登録商標の使用が立証されていないこと明らかであるから、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する新たな答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 被請求人等は、以下のとおり本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の指定商品「化学品」に使用しているので本件審判請求は理由がない。
(1)被請求人は、環境浄化資材の製造・販売を行っている会社である(乙第1号証)。ただし、本件商標「VIRUS BUSTER\ウイルスバスター」を使用した商品についてはその製造のみを行い、本件商標の通常使用権者である株式会社キンエイクリエイトがその販売を行っている。この事情は、提出した写真に表されている製品の包装用箱に記載されているように、被請求人(商標権者)が商品の製造を行い、通常使用権者の「株式会社キンエイクリエイト」が販売を行っているため、製造元として被請求人(商標権者)が記載され、発売元の項には「株式会社キンエイクリエイト」が記載されている(乙第2号証及び乙第3号証)。また、インターネット上の販売サイトにおいては発売元として「株式会社キンエイクリエイト」の名称が記載されている(乙第4号証)。
(2)ここで、本件商標「VIRUS BUSTER\ウイルスバスター」と使用商標「ウイルス\バスター」とは、社会通念上同一の商標と認められる。
すなわち、二段書き商標である本件商標において、「VIRUS BUSTER」・「ウイルスバスター」のいずれか一方の使用は、片仮名文字が欧文字から生じる称呼を限定する関係になっているなどの特殊な場合を除いて、原則として、当該二段書きの登録商標の使用と認められるからである。
さらに、使用商標は「ウイルス」「バスター」の二段に書している場合もあるものの、文字の書体、大きさ及び色は同一ものを使用し、外観上一体にまとまり良く表しているため、本件商標と写真(乙第2号証及び乙第3号証)で提出した使用商標は、社会通念上同一の商標と認められる。
(3)次に、添付の製品包装写真によれば(乙第2号証)、商標「VIRUS BUSTER\ウイルスバスター」が使用されている商品(以下「使用商品」とする。)は、「消臭・防かび・防臭剤」であり、第1類の「化学品」に属する商品である。
(4)本件取消審判の請求に係る商品「消臭・防かび・防臭剤を含む化学品」の販売実態の一端を証明する為、前掲の株式会社キンエイクリエイトの商品の販売に係る「受注リスト」・「納品書」・「宅配便の送り状」の写しを証拠として提出する(乙第5号証)。
上記証拠のうち「受注リスト」によれば、平成21年10月20日の時点で当該商品を受注しており、製品を製造後、「納品書」「宅配便の送り状」によれば、平成21年10月28日には商品の納品を行っている。
したがって、少なくとも、この平成21年10月20日の時点において通常使用権者である「株式会社キンエイクリエイト」は、請求に係る指定商品「消臭・防かび・防臭剤を含む化学品」について本件商標を使用している事実が認められる。
また、上記事実から、株式会社キンエイクリエイトの販売に係る商品を製造している被請求人も、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を請求に係る指定商品「化学品」に含まれる「消臭・防かび・防臭剤」について使用していることも推定される。
(5)これらの資料により、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を請求に係る指定商品「化学品」に含まれる「消臭・防かび・防臭剤」について使用している事実は明らかである。
なお、「株式会社キンエイクリエイト」が本件商標の通常使用権者である証明は、特に添付していない。包装用箱の記載から「株式会社キンエイクリエイト」が本件商標の通常使用権者である関係は当然にも推定されると考えられるからである(乙第2号証及び乙第3号証)。
2 弁駁に対する答弁
(1)請求人は、使用商品は、「化学品」に属する商品ではなく、第5類の「薬剤」に属する商品であると主張しているが、本件商標の使用商品は「二酸化塩素発生調整剤」であり、その効能・用途からみて化学剤に属する商品である。
請求人は、本件商標の使用商品の用途のみをみて、その使用商品が第5類「薬剤」に含まれる「家庭用消臭剤」であると述べており、被請求人もこの主張を全く否定するものではないが、使用商品は単なる「消臭剤」ではなく、「ウィルスや雑菌の除去・消臭・防かび」等各種効能を有する化学剤である。しかも、家庭用に使用されることがあったとしても、家庭用に限定されるものではない。
商品は、常にいずれか一つの分類に属するものであって二つの分類に属することはありないとするのは相当ではなく、登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが二つの分類に属する両面性を有する商品であれば当該二つの分類に属する商品として登録商標が使用されているとみて差し支えない。かかる主張は過去の判決で既に確立された考え方である(乙第6号証、乙第7号証)。
(2)被請求人は、以上述べたとおり、被請求人及びその通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を、請求に係る指定商品「化学品」に含まれる商品「消臭・防かび・防臭剤」について使用しており、本件審判の取消理由は失当である。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人のホームページの写しで、2枚目の会社概要には、「設立 平成10年6月1日」との記載があり、「企業コンセプト」の見出し下に、「●二酸化塩素を応用した除菌・消臭により清潔な環境空間づくりを目指しております。●環境浄化微生物による排水・汚水環境の浄化を目指し、人と自然を守ります。」と記載され、下部の「製造品目」の見出し下に「二酸化塩素水溶液(…) 応用商品(…) 二酸化塩素水製造装置 亜塩素酸ナトリウム殺菌水製造装置 廃油・油汚れ・グリストラップ処理・洗浄剤(…) 純植物洗剤(…) 微生物製剤(…)」と記載されている。
(2)乙第2号証は、正面中央部分に「ウイルス/バスター」、「VIRUS/BUSTER」、「ウイルスバスター」、「ゲル90」、「ウイルスの除去・除菌・消臭」等の表示がされている商品のパッケージ及び容器の写真5枚で、4枚目のパッケージの裏側部分の拡大写真に「特許 二酸化塩素発生調整剤の機能性で、濃度長期間安定持続」、「ウイルスバスター ゲル90」、「特長/●置いた瞬間からウイルスや雑菌の除去・イヤな臭いの消臭・防カビに有効な成分が働き、その効果を最大限に発揮します。●有効成分がガス状のため拡散し、部屋の隅々まで機能を発揮します。●次亜塩素ナトリウムに比べ、トリハロメタンが生成しにくいです。」、「〔成分〕亜塩素酸塩水溶液、二酸化塩素発生調整剤、ガス発生活性化剤、吸水性材料/〔内容量〕90g …」、「発売元 株式会社キンエイクリエイト」、「製造元 株式会社アマテラ」と商品の特長等が記載されており、5枚目の商品の裏側部分の拡大写真(やや不鮮明)には、「…●本品は金属(特に金・銀)……金属近くで使用しないで下さい。…●密閉状態の人のいる狭い空間では…しない状態でご使用下さい。●車内や冷蔵庫内で…使用しないで下さい。」と使用上の注意が記載されている。
(3)乙第3号証は、正面上部に「ウイルス/バスター」、「VIRUS/BUSTER」、「ウイルスバスター」、「スプレー」、中央部分に「ウイルスの除去・除菌・消臭」等の表示がされている商品のパッケージ及び上部にスプレー器具が備えられている縦長の容器の写真5枚で、3枚目の商品の裏側部分の拡大写真の上部に、「…キッチン用品、ペット用品、吐しや物…」の記載、下部に「〔成分〕二酸化塩素水溶液」、「〔内容量〕300ml」、「発売元 株式会社キンエイクリエイト」、「製造元 株式会社アマテラ」と記載されており、4枚目のパッケージの裏側部分の拡大写真の中央部分に、「保管及び取扱い上の注意/●使用後は必ずガンスプレーをOFFにして、高温や直射日光を避け、小児の手の届かないところに保管して下さい。●使用済みの本品はプラスチックゴミとして廃棄して下さい。」と保管及び取扱い上の注意が記載されている。
(4)乙第4号証は、インターネットの「【楽天市場】ウイルスの除去・除菌・消臭に 二酸化塩素の強力パワー★/NID ウイル…」の表題のある販売サイトで、1枚目の「ザグザグ楽天市場店」の見出しの下に「カテゴリトップ>日用雑貨>消臭・芳香剤」の記載、その下に「特許 二酸化塩素発生調整剤の機能性」、「ウイルス/バスター」、「ゲル90」、「ウイルスの除去・除菌・消臭」と表記されているラベルの拡大部、その右横に「ウイルスの除去・除菌・消臭に/二酸化塩素の強力パワー★/NID ウイルスバスター/ゲル90g」の記載、最下部に「菌・臭いが気になるところに置くだけ!」と記載されている。
2枚目の「【用途】」の下に「玄関、リビング、寝室、子供部屋、キッチン、トイレ、洗面所、浴室、ペット周辺などのウイルスの除去、除菌、消臭、防カビにお使い下さい。」と記載され、最下部に「【発売元】株式会社キンエイクリエイト」と記載されている。
5枚目の「【楽天市場】クレベリンゲルと同成分効果を発揮させたいときだけ使いたい方にお勧め…」の表題の販売サイトの「青葉堂薬局」の見出しの下に「ウイルス/バスター」、「スプレー」、「ウイルスの除去・除菌・消臭」と表記されているラベルの右横に、「クレベリンゲルと同成分/効果を発揮させたいときだけ使いたい方にお勧め!!/【二酸化塩素の強力パワー!ウイルスの除去・除菌・消臭/ウイルスバスター スプレー 300ml」と記載されている。
(5)乙第5号証の1枚目は、受注状況リストの写しであり、「伝票番号:0900183346」、「着荷指定日:2009/10/24」、「発行日:2009/10/20」、「得意先名:(株)薬の?」、「支店名:薬の?本部(薬局)」、「JANコード 商品・規格:497●609002● NIDウイルスバスターゲル90g/NIDウイルスバスタースプレー 300ml」ほか、受注数、単価等の記載がある。
乙第5号証の2枚目は、「納品書(控)」の写しであり、「実納品日09年10月28日」、「社名:(株)薬の?」、「店名:薬の?本部」、「伝票番号:0900183346」、「取引先名:(株)キンエイクリエイト」、「受注日:09年10月20日」、「納品日:09年10月24日」、「商品・規格:NID ウイルスバスターゲル 90g/NID ウイルスバスタースプレー 300ml」、「商品コード:497●609002/497●609002」ほか、数量、単価等の記載がある。
乙第5号証の3枚目は、「宅配便の送り状」の写しであり、「ご希望お届日:10月28日」、「受付日:21年10月21日」、「品名:NIDウイルスバスター ゲル90g-2ケース/NIDウイルスバスター スプレー300ml-1ケース」、「お届け先:薬の?本部 様」、「ご依頼人:(株)キンエイクリエイト 様」等の記載がある。
2 以上の乙各号証よれば、以下のことが認められる。
(1)本件商標の使用商品には、「発売元 株式会社キンエイクリエイト」、「製造元 株式会社アマテラ」の表示がされていることからすれば、株式会社キンエイクリエイトは、本件商標の通常使用権者であるといえる。
(2)被請求人及び本件商標の通常使用権者である株式会社キンエイクリエイトは、本件商標と社会通念上同一といえる商標「VIRUS BUSTER/ウイルスバスター」を平成21年10月頃に商品「ウイルスの除去・除菌・消臭剤」について使用していたものと認められる。
3 使用商品について
本件における取消請求に係る指定商品は、第1類の「化学品」である。
そこで、本件商標の使用商品「ウイルスの除去・除菌・消臭剤」が、「化学品」に包含される商品であるか否かについて検討する。
(1)商標法施行令第1条別表には、第1類「工業用、科学用及び農業用の化学品」及び第5類「薬剤」と記載されている。
(2)商標法施行規則第6条別表には、第1類「化学品」の中に「化学剤」等が例示されており、第5類「薬剤」の中に「殺菌剤」及び「防臭剤(身体用のものを除く。)」等が例示されている。
(3)本件商標が出願された平成15年10月29日において適用される商品・サービス国際分類表[第8版]によれば、第1類の類見出しには、「工業用,科学用,写真用,農業用,園芸用及び林業用の化学品,未加工人造樹脂,未加工プラスチック」と記載され、第1類の注釈には、「第1類には、主として工業用、科学用及び農業用の化学品(他の類に属する商品の製造用に用いられるものを含む。)を含む。・・・この類には、特に、次の商品を含まない。・・・医学用化学品(第5類) 殺菌剤,除草剤及び有害動物駆除剤(第5類)・・・」と記載されている。
一方、商品・サービス国際分類表[第8版]の第5類の類見出しには、「薬剤及び獣医科用剤 医療用の衛生剤 食事療法剤,乳児用食品 膏薬,包帯類 歯科用充てん材料,歯科用ワックス 消毒剤 有害動物駆除剤 殺菌剤,除草剤」と記載され、第5類の注釈には、「第5類には、主として、薬剤及び他の医療用剤を含む。この類には、特に次の商品を含む。家庭用衛生剤(化粧品を除く。)、防臭剤(身体用のものを除く。)・・・」と記載されている。
(4)「商品及び役務の区分解説[国際分類第8版対応]」によれば、第1類の【注釈】には、「この類には、主として、工業用、科学用及び農業用の化学品(他の類に属する商品の製造に用いられるものを含む。)を含む。」と記載されており、続いて、「この類には、特に、次の商品を含まない。・・・医学用化学品(第5類) 殺菌剤,除草剤及び有害動物駆除剤(第5類)・・・」と記載されている。
一方、第5類の【注釈】には「この類には、主として、薬剤及び他の医療用剤を含む。」と記載されており、続いて、「この類には、特に、次の商品を含む。家庭用衛生剤(化粧品を除く。)防臭剤(身体用のものを除く。)・・・」と記載されている。
(5)以上を総合すれば、第1類の商品は、主として工業用、科学用及び農業用の化学品であって、商品の製造工程に用いられる化学品ということができる。
一方、第5類の商品には、消毒剤、殺菌剤、家庭用の衛生剤(化粧品を除く。)、防臭剤(身体用のものを除く。)等が含まれることから、第5類の商品は、主として家庭において使用される商品ということができる。
(6)本件商標の使用商品「ウイルスの除去・除菌・消臭剤」は、保管及び取扱い上の注意の欄に「●使用後は必ずガンスプレーをOFFにして、高温や直射日光を避け、小児の手の届かないところに保管して下さい。●使用済みの本品はプラスチックゴミとして廃棄して下さい。」(乙第3号証)と記載されており、用途として、「玄関、リビング、寝室、子供部屋、キッチン、トイレ、洗面所、浴室、ペット周辺などのウイルスの除去、除菌、消臭、防カビにお使い下さい。」(乙第4号証)と記載されていること及びインターネット上の薬局(乙第5号証及び乙第6号証)において、当該商品は、一般家庭用の商品と一緒に販売されている取引の実情からすると、家庭において使用される商品ということができるものであるから、商品の区分第5類の「殺菌剤,防臭剤(身体用のものを除く。),消毒剤,家庭用の衛生剤(化粧品を除く。)」の範ちゅうに属するものというべきであり、商品の製造工程に用いられる商品ではないから、取消請求に係る指定商品「化学品」に属するものということはできない。
なお、被請求人は、「商品は、常にいずれか一つの分類に属するものであって二つの分類に属することはありないとするのは相当ではなく登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが二つの分類に属する両面性を有する商品であれば当該二つの分類に属する商品として登録商標が使用されているとみて差し支えない。かかる主張は過去の判決で既に確立された考え方である。」と主張しているが、商品「ウイルスの除去・除菌・消臭剤」は、専ら家庭で使用される商品であり、商品の製造工程に用いられる商品ではなく、両面性を有する商品ではないから、取消請求に係る指定商品「化学品」に属するものということはできない。
また、被請求人は、「商品『二酸化塩素発生調整剤』にも使用している」と主張しているが、前記のとおり、本件商標は商品「ウイルスの除去・除菌・消臭剤」について使用するものであり、二酸化塩素発生調整剤は、使用商品の成分表示として記載がなされているにすぎず、他に「二酸化塩素発生調整剤」について、本件商標が使用されている事実は見当たらない。
4 してみれば、商標権者及び通常使用権者「株式会社キンエイクリエイト」が、商品「ウイルスの除去・除菌・消臭剤」について本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているとしても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件取消審判の取消請求に係る「化学品」について、本件商標を使用していたことを証明したものとは認めることはできない。
5 以上のとおり、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る「化学品」について本件商標を使用していたことを証明したものとは認めることはできず、また、被請求人は、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、その指定商品「化学品」についての登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-09-14 
結審通知日 2010-09-17 
審決日 2010-11-02 
出願番号 商願2003-95466(T2003-95466) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y01)
最終処分 成立  
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2004-07-02 
登録番号 商標登録第4782810号(T4782810) 
商標の称呼 ウイルスバスター、ビールスバスター 
代理人 藤田 雅彦 
代理人 鈴木 正次 
代理人 涌井 謙一 
代理人 山本 典弘 
代理人 鈴木 一永 
代理人 香原 修也 

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