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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X31
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X31
管理番号 1228462 
審判番号 不服2009-14263 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-07 
確定日 2010-12-02 
事件の表示 商願2008- 64282拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「福山城」の文字を標準文字で書してなり、第31類「種子類,ドライフラワー,苗,苗木,バラ,その他の花」を指定商品として、平成20年8月5日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『福山城』の文字を標準文字で書してなるところ、『福山城』は『広島県福山市にあり、その一部が国の重要文化財に指定されている著名な城』であり、著名な名所史跡及びその周辺の土地においては、一般的に観光土産や名所史跡にちなんだ各種の商品が販売されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『福山城周辺一帯で販売される商品』等であることを理解するにすぎないものであって、単に商品の品質、販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
「法3条1項3号は、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない商標として、商品の産地、販売地、品質、原材料等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものを例示的に列挙しているところ、同号の『販売地』を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、当該指定商品が販売されているであろうと一般的に認識されている地域、土地を表示するものにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとともに、特定人による独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるから、商標登録が許されないのである。したがって、同号の『販売地』は、厳密に地域、土地の表示に限定されるものではなく、例えば、著名な公共建造物等の名称などもこれに含まれると解して差し支えがないものといえる(特許庁編『商標審査便覧』42.08参照(審決注:現在は41.103.02参照 http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/syouhyoubin.htm))。」(東京高裁 平成16年(行ケ)第369号 平成17年1月26日判決言渡)旨判示されている。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて検討する。
(2)本願商標について
本願商標は、「福山城」の文字を標準文字で書してなるところ、「福山城」は、「広島県福山市に存し、国の重要文化財(伏見櫓、筋鉄御門)及び史跡に指定されている城」(フリー百科事典『ウィキペディア』(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B1%B1%E5%9F%8E_(%E5%82%99%E5%BE%8C%E5%9B%BD)/))であり、別掲のとおり観光地として広く知られているものである。
そして、商品の販売地については、前記(1)のとおり、「販売地」は、厳密に地域、土地の表示に限定されるものではなく、著名な公共建造物等の名称などもこれに含まれると判示されている。
そうすると、「福山城」が著名な公共建造物であり、観光地であることからすれば、本願商標は、「販売地」を表示するものと認識されるにすぎないものというべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとともに、特定人による独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるといわなければならない。
してみれば、本願商標は、その指定商品に使用したときには、これに接する取引者・需要者は、該商品が「福山城周辺地域において生産又は販売された商品」であると認識し、単に商品の生産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと認められる。
(3)請求人の主張について
請求人は、当審において、「本願商標をその指定商品に使用した場合には、単に商品の品質や販売地を表示するというよりも、むしろ福山城の歴史的ロマンや象徴性を連想させながらも自他商品の識別機能を十分に発揮すること。また、福山市を代表する新しいばらの名前として知悉されるようになっているから、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号のいずれの規定にも該当しない。」旨主張するとともに、同21年8月10日付けの手続補足書(資料1ないし資料9)を提出している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の適用に関しては、前記(2)に記載のとおり、本願商標は、一般的に商品の販売地と認識されるものであり、特定の者の出所表示として、その指定商品が需要者の間で全国的に認識されているといった事実も認められないものであることからすると、請求人の主張は採用することはできない。
なお、請求人は過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の構成態様と指定商品との関係において、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、それら登録例の存在によって、前記判断は何ら左右されないというべきである。
また、請求人は、平成22年8月9日付けの出願人名義変更届を提出し、承継人を福山市としたものであるが、本件は、本願商標が自他商品の識別力を有するか否かを判断すべき事案であるところ、本願商標が自他商品の識別標識として機能を果たし得ないものであること前記認定のとおりであるから、本件の名義を変更したとしても、前記判断に何ら影響を与えるものとは認められない。
(4)むすび
以上のことよりすれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲(「福山城」に関する観光情報について)
広島県福山市の「福山城」が、観光スポットとしてインターネットの観光情報において、紹介されている事実について
1 「YAHOO!JAPANトラベル」を見出しとするウェブページにおいて、「YAHOO!トラベル 観光・温泉ガイド」の「全国観光情報検索」の項に、「福山城(歴史的建造物) 名称:福山城(ふくやまじょう) 所在地:広島県福山市丸之内1-8 」と記載されている。
(http://domestic.travel.yahoo.co.jp/bin/tifdetail?no=jtba4203100)
2 「旅行のクチコミサイト フォートラベル」を見出しとするウェブページにおいて、「福山(広島県)観光ガイド」の項に、「【福山城】」と記載されている。
(http://4travel.jp/domestic/area/chugoku/hiroshima/onomichi/fukuyama/hotplace/10008570/)
3 「BIGLOBE旅行」を見出しとするウェブページにおいて、「広島県の旅行ガイド→福山・鞆の浦」の項に、「福山城 ふくやまじょう (見る・建物・史跡)」と記載されている。
(http://travel.biglobe.ne.jp/tguide/spot/s14839.html)
4 「MAPPLE観光ガイド」を見出しとするウェブページにおいて、「福山・鞆の浦エリアの観光情報」の項に、「福山・鞆の浦エリアの見どころ 1.福山 福山城」と記載されている。
(http://www.mapple.net/byarea/0602100000.htm)
5 「国内旅行観光情報・大好き日本」を見出しとするウェブページにおいて、「ピックアップ観光情報」の項に、「日本100名城→広島:福山城(福山市)、郡山城(安芸高田市)、広島城(広島市)」と記載されている。
(http://www.gojapan.jp/sub/siro.html)



審理終結日 2010-09-28 
結審通知日 2010-10-05 
審決日 2010-10-19 
出願番号 商願2008-64282(T2008-64282) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X31)
T 1 8・ 272- Z (X31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武谷 逸平小田 明早川 真規子 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 大島 康浩
瀧本 佐代子
商標の称呼 フクヤマジョー 
代理人 木村 厚 
代理人 森 廣三郎 
代理人 森 寿夫 
代理人 松浦 瑞枝 

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