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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
管理番号 1228340 
審判番号 不服2009-9799 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-05-11 
確定日 2010-11-17 
事件の表示 商願2008-18696拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「上出来」の文字を表してなり、第30類「代用コーヒー,シャーベット状にした又は冷凍したコーヒー,その他のコーヒー及びココア,茶飲料,その他の茶,アイスクリーム,シャーベット,その他の菓子及びパン」を指定商品として、平成20年3月12日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『上出来』の文字を書してなるところ、該文字は、『すぐれたできばえ。性質や作りがすぐれていること。』等の意味で一般に親しまれているものであるから、その指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、当該商品が『できばえのよい商品』であること、すなわち、商品の品質を誇示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、前記のとおり、「上出来」の文字を表してなるところ、該文字は「すぐれたできばえ。性質や作りがすぐれていること。」(広辞苑 第6版)の意味を表わす成語である。
また、「上出来」の文字については、本願指定商品を取り扱う業界において、「商品の出来映えがよいこと」程の意味合いで普通に採択、使用されている実情がある。
そして、これらの実情は、例えば、以下の新聞記事やインターネット情報によっても十分に裏付けられるところである。
(1)「献茶祭:八十八夜に合わせ 『色・味・香』今年は上出来--鹿児島 /鹿児島」の見出しのもと、「県茶市場によると、今年は『色・味・香』の三拍子そろった新茶が出来ているという。」の記載。(2010.5.3 毎日新聞 地方版/鹿児島 21頁)
(2)「新茶まつり:一番茶をPR--宮崎 /宮崎」の見出しのもと、「新芽会の小浦武士副会長(30)によると、今年の茶葉は量が少ないが、味と香りは上出来だという。」の記載。(2008.5.19 毎日新聞 地方版/宮崎 25頁)
(3)「上出来の新茶、初摘み始まる 霧島 /鹿児島県」の見出しのもと、「徳重さんは『今年は霜害もなく、18年栽培している中でも良い出来。・・・』」の記載。(2008.4.24 朝日新聞 西部地方版/鹿児島 27頁)
(4)「東京新聞 ショッパーWEB」のウェブサイトにおいて、「今年のお茶は上出来! 茶寮茶和本店に各産地のお勧め新茶がそろう」の見出しのもと、「お茶がおいしい季節になりました。暖冬と適度な降雨の影響で、茶産地では新芽の発育が良く、今年は新茶の初摘みも昨年に比べ2週間以上早く行われて、店頭には各産地の新茶が出そろっています。」の記載。(http://www.shopper.jp/w/2002/05/17/%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%8C%B6%E3%81%AF%E4%B8%8A%E5%87%BA%E6%9D%A5%EF%BC%81%E3%80%80%E8%8C%B6%E5%AF%AE%E8%8C%B6%E5%92%8C%E6%9C%AC%E5%BA%97%E3%81%AB%E5%90%84%E7%94%A3%E5%9C%B0%E3%81%AE/)
(5)「大分合同新聞」のウェブサイトにおいて、「新茶上出来、一杯いかが きょう八十八夜」の見出しのもと、「ことしの春は気温が低く、茶摘みが遅れているが、その分じっくり育っているので出来はいい。」の記載。(http://www.oita-press.co.jp/localNews/2010_127276012317.html)
(6)「お茶のはまだ」のウェブサイトにおいて、「お茶のはまだ インフォメーション」の見出しのもと、「今年の新茶が出揃いました 香りも味も上出来です!!」の記載。
(http://chiran-omoiire.com/information/2010/05/000048.html)
以上よりしても、「上出来」の文字に接する取引者、需要者は、「すぐれたできばえの商品」のごとき意味合いを理解、認識することは容易というべきである。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「すぐれたできばえの商品」程の意味合いを認識、理解するにすぎず、単に商品の品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 請求人の主張について
請求人は、「『上出来』の文字は、多様な意味合いを有する語であり、本願指定商品に使用したときにおいても、必ずしも『できばえの良い商品』の意味合いを直感させるものではなく、飲食物全般においてもそのような用例は見当たらないものであるから、原審の認定判断は誤ったものであり、取消されるべきである。」旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号列挙のものは通常、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解される。
そうすると、本願商標「上出来」については、その指定商品との関係において、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質を表示したものとして理解するにとどまると判断するのが相当であること、上述のとおりであるから、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切でないものであるから、請求人の該主張は、採用することができない。

3 まとめ
以上のとおり、本願商標が、商品の識別標識としての機能を果たし得ないと判断した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
なお、原査定は、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとして拒絶したものであるが、原査定と当審決とは、いずれも本願商標をその指定商品に使用しても、自他商品識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第3条第1項所定の商標登録の要件を欠く商標に該当するという結論にいたるものであるから、両者は、その判断の内容において実質的に相違するものではない。(平成16年(行ケ)第369号判決[平成17年1月26日言渡]参照。)

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-06-18 
結審通知日 2010-06-21 
審決日 2010-07-06 
出願番号 商願2008-18696(T2008-18696) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小田 昌子
田中 亨子
商標の称呼 ジョーデキ 
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 

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