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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 130
管理番号 1228333 
審判番号 取消2008-301131 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-09-04 
確定日 2010-11-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2508953号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2508953号商標(以下「本件商標」という。)は、「ASTORIA」の文字を書してなり、平成1年7月4日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年2月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらにその後、同16年3月10日に第30類「菓子,パン」を指定商品とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁及び口頭審理の陳述において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査したところによれば、本件商標は、その指定商品「菓子,パン」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者により使用されている事実が発見できない。また、本件商標について、専用使用権及び通常使用権者の登録もされておらず、これらによる使用の事実もない。
2 答弁書に対する弁駁
被請求人の提出に係る乙第1号ないし乙第9号証は、商標法50条第1項所定の要件である指定商品についての登録商標の使用を証明したものということはできない。
(1)乙第1号証の写真中に表示された「STRAND」商標は、本件商標「ASTORIA」と明らかに同一性を欠くものである。
(2)被請求人は、「STRAND」商標を付したスコーンは、1200個単位で菓子メーカーに製造を委託し、納品を受けていたもので、諸種の事情で販売数量に変化があることや、品切れ状態を解消する上から、多めに製造数を設定しており、製造後3ヶ月という賞味期限内に、全量を販売し切れるものとなっていなかったこと、「STRAND」商標を付したスコーンは、高級菓子としての品質を保持するために賞味期限一杯までの販売を避け、早めに販売対象から外す必要があったこと、余剰となった「STRAND」商標を付したスコーンの在庫を処分するために、商標を本件商標「ASTORIA」に付け替えて、値段を下げ、包装を簡易化し、販売を中国茶直営小売店「英記茶荘」において及びインターネット通信販売により行っていたこと等を述べている。
しかし、具体的にいつ、どの程度の数量のスコーン余剰在庫となり、本件商標「ASTORIA」に付け替えられて販売されたのか、商品の在庫管理記録、流通記録、販売記録等が存在してしかるべきであるが、被請求人は、かかる記録を明らかにしておらず、不自然である。
さらに、被請求人は、販売場所を中国茶直営小売店「英記茶荘」にしたと述べるが、中国茶の専門店にスコーンが並ぶのは違和感がある。請求人がこの点について、丸の内ビルディング地下に所在する当該店舗「英記茶荘」において現地調査したところ、スコーンはおろか、お茶菓子となりそうな食品は一切販売しておらず、店員に尋ねたところ「ここは、中国茶の専門店です。お茶しか置いていません。」との答えが返ってきた。
(3)被請求人は、乙第3号証の1は「STRAND」商標から本件商標「ASTORIA」に付け替えた後の商品の正面写真であり、乙第3号証の2はその背面写真、乙第4号証の1は商品ラベル、乙第4号証の2は商品表示ラベルであると述べるが、写真の商品がいつ製造され、販売されたものであるか、すなわち本件商標がいつ使用されたのかは一切明らかでなく、撮影日・撮影者の説明もない。また、乙第4号証の1及び同2のラベルは、いつ製造されたものか、印刷日、印刷枚数、印刷業者等の詳細は一切明らかにされていない。
(4)乙第5号証の1及び乙第5号証の2について、被請求人は、中国茶直営小売店「英記茶荘」の陳列風景であるとするが、たしかに包装されたスコーンに本件商標のラベルを付した写真であることは理解されるものの、商品の販売時期が一切明らかでなく、撮影日・撮影者の説明もない。
(5)乙第6号証の1ないし3は、中国茶直営小売店「英記茶荘」に関する賃貸契約書や見取り図であるが、これらの証拠は本件商標の使用を立証するものではない。
(6)被請求人は、乙第7号証は、中国茶直営小売店「英記茶荘」に商品が入庫、販売した記録であり、乙第8号証は、インターネット販売サイトの楽天市場で商品が販売された事実を示す画像の写しであり、乙第9号証は、楽天市場で販売されたことを示す記録であると述べるが、乙第7号証及び乙第9号証がいかなる事実を示す書類であるか、被請求人は具体的な説明を一切行なっていない。
(7)以上のとおり、提出された証拠は、本件商標の使用の立証とは無関係のものが多く、使用に関する証拠も曖昧不明確で、総合的にみれば、所定の期間内に本件商標の使用はなかったと判断されるから、被請求人の答弁は、指定商品についての登録商標の使用を証明したものとは認められない。
3 口頭審理における陳述
(1)「英記茶荘」における本件商標の使用について
被請求人は、「乙第7号証は、『英記茶荘』に2006年(平成18年)6月24日に『アストリア・スコーン』が、入庫し、販売されていたことを記録する出荷伝票である」と述べる。しかしながら、乙第7号証は、単なる内部の物流データに過ぎず、被請求人の主張する2006年(平成18年)6月24日における、『アストリア・スコーン』の販売の事実を示すものではない。この点について、請求人は、弁駁書において、在庫管理記録、流通、販売に関する関連資料は多数存在してしかるべきであると指摘したが、被請求人は第2答弁書で「『STRAND』商標を付したスコーンを売れ残りにより賞味期限外となって廃棄処分となるのを回避するために普及品扱いとして値段を下げて買い求めやすくしたものであって、数量は時によってまちまちであったが、少量のものであったことから、独立した商品項目としない『雑件』扱いとし、個別の伝票を起こさず処理していた。」等述べるのみで結局具体的な販売の事実について一切主張、立証をしていない。さらに、被請求人は「個別の伝票を起こさず、複数の商品の合計を一本の伝票で起票し、入出荷、在庫管理を行う」と述べるが、複数の商品がまとめて出入りしてしまえば残りの数量を把握することができず、在庫管理などできるはずがない。また、被請求人は、「個別の在庫管理記録等が少ない」といって一切関連資料を提出していないが、かかる理由によって、被請求人の立証責任は逃れられない。
以上のとおり、被請求人の「英記茶荘」における本件使用の使用事実はなかったというべきである。
(2)「楽天市場」における本件商標の使用について
被請求人は、「『アストリア・スコーン』の販売を、・・・自社通信販売サイトでのインターネット販売に移し、・・・乙第8号証は、インターネット販売サイト『楽天市場』において『アストリア・スコーン』が販売された事実を示す販売画像の写しである。」と述べるが、販売時期が2006年(平成18年)6月20日の楽天市場での販売画像が、乙第8号証の印刷時である2008年11月6日に存在するのは不自然である。また、乙第8号証は、何時作成された画面であるか不明である。
乙第9号証は、「アストリア・スコーン」が販売されたことを示す出荷伝票の写しであるが、単なる内部データにすぎないものであり、請求人の指摘に対しても、関連書類の提出等、具体的な販売の事実について、主張、立証をしていない。
以上のとおり、「楽天市場」における本件商標の使用の事実はなかったというべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁及び弁駁に対する答弁(第
2)をし、さらに口頭審理の陳述において要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標「ASTORIA」は、被請求人が英国風焼き菓子として販売する商品「スコーン」に付して使用しているものであり、不使用を理由に登録を取消されるべき商標ではない。
(1)被請求人は、平成15年(2003年)11月から大手百貨店に「216 The Strand」の名称の下で英国紅茶専門店を出店し、ここで紅茶を始めとしてジャムやスコーンなど紅茶に関連する被請求人が取扱う商品の販売事業を開始している。
英国紅茶専門店「216 The Strand」(以下「ショップ『Strand』」という。)は、前記平成15年11月に第1号店を高島屋京都店にオープンし、その後、同百貨店の日本橋店、新宿店、横浜店、大阪店に出店する一方、大丸百貨店の心斎橋店、札幌店、京都店、そして東武百貨店の池袋店、宇都宮店に、更に熊本の鶴屋百貨店、そごう千葉店等次々に全国16の百貨店に独立のコーナーを設けて出店し、紅茶を中心にこれに関連する商品の販売を行っている。
上記ショップ「Strand」において紅茶と共に販売される英国風焼き菓子「スコーン」は、表面側に「STRAND」の欧文字を図形の中に描き表わした商標(被請求人が所有する登録第4782231号商標)を表わし、背面側に「216 ザ・ストランド スコーン(プレーン)」の文字と商品の品質などの表示をした透明なフィルム製の包装小袋に2個宛封入して店頭に陳列し、販売されるもので、この商品は販売後購入者に引き渡される際に、この包装小袋の上部を紋って「216 The Strand」の文字を織込んでなる特製の布製リボンを結び付け、飾り付けした形態で引き渡されるものとなっていた。
乙第1号証は、この「STRAND」の商標を付したスコーン(以下「ストランド・スコーン」という。)の大丸百貨店札幌店のショップ「Strand」において店頭陳列形態を映した写真であり、「ストランド・スコーン」は陳列棚の最下段に陳列されている。なお、ここでは布製リボンによる結び付けは行われていない。
また、乙第2号証の1は、販売後購入者に引き渡す際に包装小袋に布製リボンを結び付けて飾り付けた姿の正面側の写真であり、乙第2号証の2は背面側の写真である。
(2)この「ストランド・スコーン」は、他のクッキー類と共に菓子メーカーに製造委託し、提供を受けていたものであり、製造後3ヶ月を賞味期限に設定し、製造後直ちに冷凍し、保管可能期間を3ヶ月としていたものである。
この商品の販売は、ショップ「Strand」への配送時に冷凍庫から出荷することによって自然解凍され、ショップではこの出庫日から4日間を賞味期間と定めていた。
上記商品「ストランド・スコーン」は、前記した16店舗中、前記大丸百貨店札幌店、高島屋京都店等5店舗のショップ「Strand」の取扱い商品としていたもので、これらのショップでの販売の適正数量を前記賞味期限との関係から1200個と設定して、これを製造ロットとして前記菓子メーカーに製造委託し、提供を受けていたものである。なお、実際の取り扱いでは包装形態に示される様に2個入り包装小袋を1販売単位として600単位として受けていた。
この「ストランド・スコーン」は、2個入りで315円(税込)で販売しており、前記製造後賞味期限内に販売し尽くすことを目標としていたが、季節等諸種の事情から販売数量に変化があることや、品切れ状態を解消する上から幾分多めに製造数を設定していたことから賞味期限内にその全量を常に販売し切れるものとはなっていなかった。
そこで、被請求人会社は、ショップ「Strand」においては賞味期限一杯の商品の販売を避け、鮮度を常時高く保って高級菓子としての品質を保持すると同時に、見込みとして賞味期限内に販売できない商品については事前に期限に余裕を持って出荷対象から除外し、その後の処分方法として被請求人会社はこの商品に付していた「STRAND」の商標を、本件商標「ASTORIA」に変更すると共に、その販売場所及び商品価額を変更して前記賞味期限内の販売促進に努めていたのである。
(3)乙第3号証の1は、本件商標「ASTORIA」を付した商品「スコーン」の正面側の写真であり、乙第3号証の2は、その背面側の写真である。また乙第4号証の1は、包装小袋の表面に「ASTORIA」の商標を表示するための商標ラベルであり、乙第4号証の2は、「アストリア・スコーン」の商品表示ラベルである。
この「スコーン」は、前記「ストランド・スコーン」と内容を同一にするものであるが、残された賞味期限内に販売を完了する必要があることから2個入りのものを200円(税込)に値下げし、更に差別化を図るため前記乙第3号証の1及び2のとおり包装形態を「ストランド・スコーン」のものより簡素化していた。
この包装形態の簡素化は、商品コストを下げる上で貢献するものとなっているが、それにも増して「ストランド・スコーン」の高級感を維持した上で「アストリア・スコーン」について普及品化を図り、「アストリア・スコーン」の販売に当っては包装小袋に布製リボンを結ばず、そのまゝの形態で販売したのである。
この様な差別化に加えて、「アストリア・スコーン」の販売を、前記百貨店に置くショップ「Strand」から被請求人会社の中国茶直営小売店である「英記茶荘」に移す一方、自社通信販売サイトでのインターネット販売に移して「ストランド・スコーン」との販売系統を区別して商品相互の混同を回避していたのである。
(4)乙第5号証の1は、上記店舗「英記茶荘」の店頭を写す写真であり、乙第5号証の2は、上記同号証の1の一部の拡大写真である。そして、乙第6号証の1及び同2は、「英記茶荘」の所在地を示す建物賃貸借契約書の写しであり、乙第6号証の3は、その出店場所である丸の内ビルディング地下1階の平面見取図であり、区番表示「B135区」を示している。
被請求人直営の店舗「英記茶荘」は、乙第6号証の1にあるとおり、平成14年9月6日に営業を開始し、その後契約を更新(乙第6号証の2)して現在に至るもので、ここには「ストランド・スコーン」から「アストリア・スコーン」に変更された商品が並ぶ。
また、乙第7号証は、「英記茶荘」に2006年(平成18年)6月24日に「アストリア・スコーン」が入庫し、販売されたことを記録する出荷伝票の写しである。
一方、乙第8号証はインターネット販売サイトの「楽天市場」において「アストリア・スコーン」が販売されていた事実を示す販売画面映像(インターネット・ショップ)の写しであり、乙第9号証は2006年(平成18年)6月20日に上記「楽天市場」において販売されたことを記録する「アストリア・スコーン」の出荷伝票の写しである。なお、個人情報秘密保持の上から乙第9号証中購入者の氏名、住所及び電話番号をマスキングしている。
(5)これらのことから、本件商標「ASTORIA」がその指定商品である菓子、つまり英国風焼き菓子の「スコーン」について使用されていたことが明らかになったものと思料する。
なお、「英記茶荘」及びインターネットの「楽天市場」での「アストリア・スコーン」の販売は、前述したとおり「ストランド・スコーン」の販売において賞味期限の残りの問題や委託製造者との一定の製造ロットでの納品の取決め等から過剰在庫が発生した際の解決策として採られた販売方法であることから、「ストランド・スコーン」として順調な販売が行われ、適正在庫が維持される間は販売対象を失うことになる結果、「アストリア・スコーン」を売り尽した段階で販売は終了し、次の調整時まで休止状態となっていた。
また、前記百貨店において展開していたショップ「Strand」の事業は、本年(平成20年)10月に撤退しており、現在営業している店舗はない。
(6)以上説明のとおり、本件商標「ASTORIA」は、指定商品の1つである英国風焼き菓子「スコーン」の商標として使用されていた「STRAND」が前述した販売事情から変更する必要が生じたとき、これに代って使用されていたものであり、その使用が連続して恒常的に使用されなかったとしても本件審判の請求の登録日の平成20年9月4日から逆算して不使用状態は継続して3年を超えておらず、したがって、商標法第50条第1項に規定する不使用取消の要件を満たすものとなっていない。
(7)請求人は、「商品の在庫管理記録、流通記録、販売記録等が存在してしかるべきであるが、かかる記録が明らかにされていないのは、不自然である。」と主張するが、英国風焼き菓子「ASTORIAスコーン」の事務処理は、殆どのものが「雑件」で伝票処理されおり、取り扱いが元々少ないこともあって、個別の在庫管理記録等が少ないものとなっていたのである。
(8)また、請求人は、「英記茶荘」の店員に尋ねたところ「ここは中国茶の専門店です、お茶しか置いていません。」との答えが返ってきたとしているが、「英記茶荘」の店員は、臨時雇用のアルバイト店員であり、実際の営業実態について知る者はいない。
(9)以上のとおり、被請求人は、取り扱い数は少なくないものの、2006年6月において、本件商標を、焼き菓子「スコーン」に使用していたことを証明した。
3 口頭審理における陳述
(1)乙第1号証について、撮影の目的は、販売の店頭状況を報告するためである。撮影者は、当時の店舗担当者であるが、これを特定する記録、資料は保管されていない。
(2)乙第2号証の1及び2について、撮影日時、撮影者は当時の担当者であるが特定はできない。撮影の目的は、インターネットショップ「楽天市場」に「ストランド・スコーン」を出品するためである。
(3)乙第3号証の1及び2について、撮影日時、撮影者は当時の担当者であるが特定はできない。撮影の目的は、インターネットショップ「楽天市場」に「アストリア・スコーン」を出品するためである。
(4)乙第5号証の1及び2について、被請求人直営店舗「英記茶荘」に勤務していた派遣会社からのアルバイト店員によって撮影されたものである。撮影の目的は、本社担当者に向けて商品の陳列状況や販売状況を報告するためである。
(5)乙第8号証の最下部「フッター」のある販売画面画像の写しを提出する。販売時期は、「2006年6月1日?9月30日」である。

第4 当審の判断
1 被請求の提出した乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証の1及び2は、袋詰めされた商品の正面と背面の写真であり、乙第2号証の1には図形の中央部に「STRAND」の文字を有する商品ラベルが認められ、乙第2号証の2には、ラベルに「216 ザ・ストランド スコーン(プレーン)」の表示の下、「名称:焼き菓子、原材料名:小麦粉、…、販売者:片岡物産株式会社」等の表示がされている。
(2)乙第3号証1及び2は、スコーン2個を袋詰めした商品の正面と背面の写真であり、乙第3号証の1の商品の正面のラベルには、「ASTORIA」、「Scone」の文字が表示されている。
乙第3号証の2の商品説明のラベルには、「アストリア スコーン(プレーン)」の表示の下、「名称:焼き菓子、原材料名:小麦粉、…、販売者:片岡物産株式会社」等が表示されている。
(3)乙第4号証の1及び2は、上記乙第3号証の1の写真にある商品の表側と裏側のラベルの実物(各2枚)である。
(4)乙第8号証は、インターネットの楽天市場商品販売サイトの画像コピーで、「アストリア スコーン」の見出しの下、「ASTORIA」、「Scone」と表記されているラベルが貼付された袋詰の商品の写真とともに「英国伝統の焼き菓子『スコーン』のお買い得品です。アストリア スコーン(プレーン)24個 商品番号67910501 販売期間06月01日00時00分?09月30日23時55分 価格2,286円(税込み2,400円)」等の記載がなされ、また、フッター部分に「http://www.rakuten.co.jp/select-foods/476441/1873097/」及び「2008/11/06」と表示されている。
(5)乙第9号証は、上部中央に「***承認***」、上部右に「2006/06/19」とある帳票で、左上から「オーダーNO 010756 楽天セレクト・クレジットカード」、「出荷日 2006/06/20」、「直販処理日 2006/06/19」、「担当 9110 寺田 恵子」、「商管処理日 2006/06/19」、「担当 9113 川島 夕紀」、「着荷日 2006/06/21」、「倉庫:4001 トランシー ヒガシマツヤマ」、「運送:71 ヤマト」、「(依頼主)…(TEL)…(住所)…」、「(届先)…(住所)…」(「…」の部分はマスキングされている。)、「伝票NO コード 商品名」の欄に「679105-01 ソノタザッケン アストリア スコーン プレーン 2P」の各記載他、数量、単価、金額等が表示されている(乙第9号証の原本については平成22年5月14日の口頭審理において確認済みである。)。
2 以上の乙各号証及び被請求人の主張を総合すれば、以下のとおりの事実認められる。
(1)被請求人は、「STRAND/ストランド」の文字からなるラベルを付して商品「スコーン」を製造、販売し、同商品について余剰が生じた場合に、同商品に「ASTORIA」、「Scone」と二段に表記されたラベルを付し、「ASTORIA/アストリア スコーン」として、インターネットのwebサイト等で販売していた(乙第3号証の1及び2、乙第8号証)。
(2)被請求人は、インターネットのwebサイト【楽天市場】アストリア スコーン:片岡物産セレクト・フーズ・マートにおいて、「ASTORIA Scone」のラベルを貼付した袋詰の商品「アストリアスコーン(プレーン)24個」、「商品番号67910501」を、「販売期間06月01日00時00分?09月30日23時55分」、「価格2,286円(税込み2,400円)」として、宣伝、広告したものと認められる(乙第8号証)。なお、被請求人は、販売期間の表示については、2006年6月1日00時00分?9月30日23時55分であると主張し、これを覆す理由はない。
(3)2006年6月19日に、楽天を通じて商品コード「679105-01」の「アストリア スコーン プレーン 2P」の注文のクレジット支払いの承認がなされ、同商品が2006年6月20日に、トランシー東松山の倉庫から、ヤマトにより出荷され、販売されたものと推認できる。
(4)してみれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品「スコーン」を、2006年6月1日00時00分?9月30日23時55分の期間、インターネットのwebサイト【楽天市場】アストリア スコーン:片岡物産セレクト・フーズ・マートにおいて広告、宣伝及び販売をし、2006年6月19日に譲渡したものと認められる。
3 なお、請求人は、提出された証拠は、本件商標の使用の立証とは無関係なものが多く、使用に関する証拠も撮影日、撮影者等が不明である等暖昧不明確であり、また、被請求人の販売店舗に電話で確認したが販売の事実が確認できなかった等、総合的にみれば所定の期間内に本件商標の使用はなかったと判断されるべきものである旨主張する。
しかしながら、被請求人は、「STRAND/ストランド」のラベルを付した商品「スコーン」について余剰が生じた場合に、同商品に本件商標を表示したラベルに付け替えて「ASTORIA/アストリア スコーン」として、インターネットのwebサイト等で不定期に販売していた、そのために、当該「ASTORIA/アストリア スコーン」は、個別に商品管理されない雑件として処理されていたものであり、このようなことが不自然な商品取引とはいい得ないし、かかる取引の事情を考慮すれば、使用に関する証拠について、撮影日、撮影者等が不明である等暖昧不明確であり、また、被請求人の販売店舗に電話で確認したが販売の事実が確認できなかったこと等があるとしても、乙第8号証及び乙第9号証の信憑性について疑義があるとまではいえず、先の判断に影響するものではないから、請求人の主張は採用できない。
4 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品中「菓子,パン」の範疇に属する「スコーン」について、本件商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-06-21 
結審通知日 2010-06-23 
審決日 2010-07-09 
出願番号 商願平1-74853 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (130)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 1993-02-26 
登録番号 商標登録第2508953号(T2508953) 
商標の称呼 アストリア 
代理人 青木 篤 
代理人 中山 伸治 
代理人 原 隆 
代理人 田島 壽 
代理人 山口 現 

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