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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない X28
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X28
管理番号 1228288 
審判番号 不服2010-14767 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-02 
確定日 2010-11-12 
事件の表示 商願2009- 58267拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、筆書き風の「和光武道具」の漢字を横書きした構成からなり、第28類「武道用具,剣道用具,なぎなた用具」を指定商品として、平成21年7月31日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりである。
(1)引用商標1
登録第415988号商標は、「WAKO」の欧文字を横書きしてなり、昭和26年8月2日登録出願、第36類「被服、手巾、釦鈕及び装身用『ピン』の類、但し足袋、及其の類似商品を除く」を指定商品として、同27年9月17日に設定登録されたものであり、その後、同50年11月11日、同57年10月26日、平成4年12月24日及び同14年10月1日の4回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、同16年5月12日に指定商品を第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第14類「カフスボタン」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第21類「家事用手袋」、第24類「経かたびら,布製身の回り品,ハンカチ,手ぬぐい,タオル,ふくさ,ふろしき」、第25類「被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップ・足袋・足袋カバーを除く。),運動用特殊衣服,洋服,コート,ズボン,パンツ,ねびえしらず,和服,前掛け,よだれ掛け,胸当て,エプロン,手甲,腕貫き,きゃはん,冠,帽子,カラー,カフス,えり飾り,えり,シャツ,じゅばん,ズボン下,胴締め,手袋」及び第26類「こはぜ,ボタン」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)引用商標2
登録第418833号商標は、「WAKO」の欧文字及び「和光」の漢字を二段に横書きしてなり、昭和27年4月7日登録出願、第61類「傘、杖、履物及びその附属品」を指定商品として、同年11月26日に設定登録されたものであり、その後、同50年11月11日、同58年1月27日、平成5年5月28日及び同14年12月3日の4回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、同16年6月16日に指定商品を第18類「傘(傘金具・傘の骨を除く。),洋傘(洋傘金具・洋傘の骨を除く。),つえ」及び第25類「靴(地下足袋を除く。),運動用特殊靴,げた,草履,雪駄,鼻緒,つまかわ」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(3)引用商標3
登録第3302498号商標は、別掲に表示したとおりの構成からなり、平成6年1月26日登録出願、第28類「運動用具」を指定商品として、同9年5月9日に設定登録されたものであり、その後、同19年5月15日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、筆書き風の「和光武道具」の文字を横書きしてなるところ、「和光」の文字は、「自分の知徳の光をやわらげ隠して現さないこと。おだやかな威光。」(広辞苑第六版 株式会社岩波書店発行)の意味を有するものである。また、その構成中、「武道」の文字が、「武術。」(大辞泉第一版〈増補・新装版〉)の意味を有し、「具」の文字が、「道具。」(同掲書)の意味を有することから、「武道具」の文字は、「武術に使用する道具。」程の意味合いを有するものである。
一方、本願指定商品中の「武道用具」は、「武道」の文字が、「武術。」(大辞泉第一版〈増補・新装版〉)の意味を有し、「用具」の文字が、「あることをするために使う道具。」(同掲書)の意味を有するから、「武術をするために使う道具。」程の意味合いを有するものであり、また、本願指定商品中の「剣道用具」及び「なぎなた用具」は、「武道用具」に含まれるものである。
そうとすれば、本願商標の構成中「武道具」の文字は、本願指定商品中の「武道用具,剣道用具,なぎなた用具」を含む「武術に使用する道具」を表す文字とみられるものであり、指定商品の品質等を表示し、自他商品の識別力を有しないか、極めて弱い部分というのが相当である。
したがって、本願商標中、自他商品の識別機能を果たす部分は、「和光」の文字部分にあるというべきである。
してみれば、簡易迅速を旨とする取引の実際にあっては、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る語頭の「和光」の文字部分に着目して、該文字から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきであるから、本願商標は、構成文字全体から「ワコウブドウグ」の称呼を生じるほか、「和光」の文字部分に相応して、「ワコウ」の称呼をも生じ、「自分の知徳の光をやわらげ隠して現さないこと。おだやかな威光。」という観念を生ずるものといわなければならない。
(2)引用商標1
引用商標1は、「WAKO」の欧文字を横書きしてなるから、「ワコー」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じないものである。
(3)引用商標2
引用商標2は、「WAKO」の欧文字及び「和光」の漢字を二段に横書きしてなるところ、「WAKO」の欧文字に相応して、「ワコー」の称呼を生ずるものであり、また、「和光」の漢字に相応して、「ワコウ」の称呼及び「自分の知徳の光をやわらげ隠して現さないこと。おだやかな威光。」の観念を生ずるものである。
(4)引用商標3
引用商標3は、別掲に表示したとおり、「WAKO」の欧文字を横書きしたものと認められるから、「ワコー」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じないものである。
(5)本願商標と引用商標1及び3との類否について
そこで、本願商標から生ずる「ワコウ」の称呼と引用商標1及び3から生ずる「ワコー」の称呼とを比較すると、両者は、「ワコ」の音を共通にし、「ウ」の音と「コ」の長音(ー)に差異を有しているものである。
しかして、該差異音「ウ」と「コ」の長音(ー)は、いずれも明確に聴取し難い語尾に位置する語であるばかりでなく、前者の「ウ」の音は、前音「コ」の母音(o)と二重母音を形成する結果、前音の母音(o)をそのまま延ばす長音の如く発音され、後者の「コー」の音とは、ほぼ同一の音として聴取されるものといえるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、称呼上互いに聞き誤るおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標と引用商標1及び3とは、外観において相違し、観念において比較することができないとしても、称呼において類似する商標である。
(6)本願商標と引用商標2との類否について
本願商標と引用商標2とは、前記1及び2のとおりの構成からなるものであるから、外観においては相違するところがあるとしても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「和光」の構成文字を同じくし、「ワコウ」の称呼及び「自分の知徳の光をやわらげ隠して現さないこと。おだやかな威光。」の観念を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、本願商標から生ずる「ワコウ」の称呼と引用商標2から生ずる「ワコー」の称呼とを比較すると、前記のとおり、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、称呼上互いに聞き誤るおそれがあるものといわなければならない。
(7)指定商品の類否について
本願商標の指定商品「武道用具,剣道用具,なぎなた用具」と引用商標1の指定商品中「運動用特殊衣服」及び引用商標2の指定商品中「運動用特殊靴」とは、用途及び需要者の範囲が一致しているから、その指定商品においても類似するものである。
また、本願商標の指定商品「武道用具,剣道用具,なぎなた用具」は、引用商標3の指定商品「運動用具」に包含されるものである。
(8)請求人の主張について
ア 請求人は、「『帝国データバンク』のデータベースを使用して『和光』の文字を含む企業を検索したところ、『和光印刷株式会社』『和光運輸株式会社』『和光開発株式会社』『和光建設株式会社』等、681件もの企業が検索された(第2号証)。・・・このように商号の一部に『和光』の語が含まれる企業が多数存在する取引界においては、『和光印刷』『和光運輸』『和光開発』『和光建設』『和光武道具』『和光システム』『和光スポーツ』のように、『和光』に業種名を表示する語を結合してはじめて互いを区別することが可能となっており、単に『和光』の部分のみでは何れの企業を指すのか判然としない。」旨述べているが、商標権は、日本全国に一律の権利が付与されるものであるから、同一の所在場所における同一の商号の登記が禁止される商号とは、同列に論ずることはできないものである。
イ 請求人は、「本願人は昭和44年創業の老舗の武道用品店であり、『和光武道具』を商号の略称として40年間の長きに亘って使用している。例えば、第7号証ないし第10号証等の資料からも、本願人が長年『和光武道具』を使用してきた事実を知ることができる。また、本願人は、積極的に広告を行ってきている(第11号証)。このような事業活動により、本願人は、本願の指定商品の分野にかかる取引者・需要者をして『和光武道具』と認識され親しまれているといえる」旨述べているが、第7号証は、請求人の商品カタログと認められるところ、最終頁には、「武道具 和光 大田(和光の文字は、他の文字よりも小さく表されている。)」の文字が記載された看板が掲げられた店頭の写真が掲載されていることから、請求人は、常に「和光武道具」の文字を使用しているとはいえないものであること、最も古い商品カタログでさえ昭和60年頃のものであること、本願商標に関する広告の回数が決して多いとはいえないものであることから、本願の指定商品の需要者において、「和光武道具」として広く親しまれているとまではいえないものである。
ウ 請求人は、平成22年2月15日付けの意見書において、「運動具と武道用具とは明らかに商品流通ルートが異なり、またお客様も武道用品具店にテニスや野球などのスポーツ用具を買いに来ない。」旨述べているが、商品カタログ(第9号証)には、「なぎなた防具」「なぎなた袋・道具袋」とともに「Tシャツ・トレーナー」が掲載されており、シール(第10号証)には、「剣道・柔道・・・スポーツ用品全般」と記載されており、売上票、納品書、請求書及び売掛元帳(第10号証)には、「取引銀行 鳥取銀行県庁前支店 普通No.・・・(武道具) 普通No.・・・(スポーツ部)・・・」と記載されていることから、運動具と武道用具の商品流通ルートが、明らかに異なるとはいえないものである。
(9)以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標3




審理終結日 2010-09-09 
結審通知日 2010-09-15 
審決日 2010-09-28 
出願番号 商願2009-58267(T2009-58267) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X28)
T 1 8・ 263- Z (X28)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 高橋 謙司
井出 英一郎
商標の称呼 ワコーブドーグ、ワコー 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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