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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z38 |
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管理番号 | 1228250 |
審判番号 | 取消2009-301134 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2009-10-14 |
確定日 | 2010-11-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4555258号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4555258号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4555258号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年6月14日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,放送をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、同14年3月29日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成21年11月2日にされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べた。 1 請求の理由 請求人の調査によれば、登録から3年以上経過しているが、指定役務について本件商標を使用した事実を発見することができなかった。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務について、その登録を取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人が本件商標をその指定役務中、第38類「電子計算機端末による通信」について使用しているものとは認められない。 ア 被請求人は、本件商標を使用している被請求人の業務は、「電子計算機端末であるパソコンと携帯電話、PHS、ポケットベルとを連動させ、事故や異常発生時の位置情報・状況を即座に把握し、対応指示等を文字メッセージや音声メッセージで必要な携帯端末に自動通知するもの」であると述べている。 しかしながら、被請求人が具体的業務として証拠方法によって立証しているのは、「iマスター」(「i」の文字の上部に小さい「アイ」の文字が振られている。以下同じ。)を情報管理・通知システム、すなわち、コンピュータソフトウェアの名称として使用している事実である。 イ 乙第1号証の「iマスター製品概要」、乙第2号証の「納品」、乙第3号証、乙第4号証の1、乙第4号証の2の「パッケージ」、「アイマスター設置」、乙第4号証の3の「アイマスターソフト」などの文言からも、「iマスター」が商品である電子応用機械器具(コンピュータソフトウェアを含む)についての商標としてのみ使われている。 ウ 被請求人は、「電子計算機端末による通信」とは、具体的には「少なくとも一人の者が感覚を手段として、電子計算機端末を使用して、他の者と通信することを可能にする役務」であると述べるところ、被請求人がそのような役務を行っている事実に関しては乙第1号証ないし乙第4号証の証拠方法によって何ら立証できていない。 すなわち、乙第1号証及び乙第2号証において、「iマスター」の商品説明として「通報システム」なる言葉が用いられていて、あたかも「電子計算機端末による通信」について、本件商標を使用しているかのように錯覚させる。 しかし、カタログの説明から明らかなとおり、この通信手段はNTTやKDDI等第三者が提供するものを利用しているにすぎず、自己の業務に係る役務として「通信することを可能にする」ことは行っていない。 このことは、通信費に関する取引書類が提出されていないことからも明白である。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。 1 第1答弁 (1)被請求人が、本件商標を使用している「電子計算機端末による通信」の業務とは、電子計算機端末であるパソコンと携帯電話、PHS、ポケットベルとを連動させ、事故や異常発生時の位置情報・状況を即座に把握し、対応指示等を文字メッセージや音声メッセージで必要な携帯端末に自動通知するものである(乙第1号証ないし乙第3号証)。 (2)乙第1号証ないし乙第3号証の広告媒体に使用されている商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲のものである。 (3)以上のとおり、被請求人が本件商標を本件取消審判に係る指定役務のうち、第38類「電子計算機端末による通信」について本件審判の請求の登録前継続して3年以内に日本国内において使用しているものである。 2 第2答弁及び審尋に対する回答 (1)請求人は、「『iマスター』が商品である電子応用機械器具(コンピュータソフトウェアを含む)について商標としてのみ使われている」と主張しているが、被請求人は、電子応用機械器具(コンピュータソフトウェアを含む)の販売だけでなく、併せて、「電子計算機端末による通信」(通信のためのインフラストラクチャー)の提供・整備を主要な業務の一つとして行っている。 ここで、『電子計算機端末による通信』とは、具体的には、少なくとも一人の者が感覚を手段として、電子計算機端末を使用して、他の者と通信することを可能にする役務である。 (2)この点に関し、請求人は、「カタログの説明から明らかなとおり、この通信手段はNTTやKDDI等第三者が提供するものを利用しているに過ぎず、自己の業務に係る役務として『通信することを可能にする』ことは行っていない」と主張している。 被請求人が提供する役務において、通信回線に一般公衆回線網を利用している点は、請求人の主張のとおりであるが、被請求人は、当該通信回線に結ばれた端末を提供し、整備を行うことにより、「通信することを可能にする」役務を行っているものである。 (3)被請求人が、本件商標を使用している、『電子計算機端末による通信』の業務とは、電子計算機端末であるパソコンと携帯電話、PHS、ポケットベルとを連動させ、事故や異常発生時の位置情報・状況を即座に把握し、対応指示等を文字メッセージや音声メッセージで必要な携帯端末に自動通知するものであり(乙第1号証ないし乙第3号証)、被請求人は、電子応用機械器具(コンピュータソフトウェアを含む)の販売だけでなく、その後の整備(改修を含む。)を行っており(乙第4号証の1ないし3において、「一般管理費」の項目名で費用計上している。)、「通信することを可能にする」役務を行っているといい得るものである。 第4 審尋 被請求人は、本件商標を「電子計算機端末による通信」に使用していたと主張するところ、提出した取引書類は、工事及びシステムリプレースに係る「見積書」の類、商品の売上げに係る「売上げ伝票、明細書」の類と見受けられるものであるから、上記役務(電子計算機端末による通信)に係る具体的な取引書類等を提出されたい。 第5 当審の判断 1 被請求人は、本件商標をその指定役務中の「電子計算機端末による通信」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用しているとして、乙第1号証ないし乙第4号証を提出しているので、以下検討する。 (1)乙第1号証には、「構内情報通報システム」、「iアイマスター」(「i」の文字に、小さい「アイ」の文字が一部分重ねて表記されている。)、「iモード対応の携帯電話にコンピューターを連動。現場で発生した情報を即座に通知し、また保存します。」(1枚目)、「構内設備とコンピュ-タを連動させ、iモード対応の携帯電話やポケットベルへ現場で発生した情報を即座に文字又は音声で通知するシステムです。」(2枚目)及び「オーミケンシ株式会社」(2枚目)の記載があるが、日付に関する記載はない。 (2)乙第2号証には、「図案化した『i』/アイ・マスター/Master」、「情報管理・通報システム」、「工場のFAラインをはじめ、オフィスや病院など様々な環境でその実力を発揮いたします。」(1枚目)、「パソコンと携帯電話やPHS、ポケットベルを連動させ、事故や異常発生時の位置情報・状況情報を即座に把握し、対応指示等を文字メッセージや音声応答メッセージで必要な携帯端末に自動通知するシステムです。」(2枚目)及び「オーミケンシ株式会社」の記載があるが、日付に関する記載はない。 (3)乙第3号証の1枚目には、「【アイマスター】モニタリング通知システム」、「PHS通知システム(アイマスター)ポケベル通知システム(アイマスター)ビル内情報通知システム」及び「ウェブ検索結果」を印刷した日付と思われる「2009/12/15」の記載がある。 (4)乙第4号証の1の1枚目は、平成18年10月10日付け、「オーミケンシ株式会社」発行の「見積書」であり、「品名及仕様」の欄には「小澤染工殿向け 『構内情報通知システム改修工事』」などの記載がある。 同2枚目は、2007年6月14日付け、「オーミケンシ株式会社」発行の「売上伝票」であり、「品番・品名」の欄に「アイマスターリプレース」などの記載がある。 同3枚目は、2009年11月24日付けの「オーミケンシ株式会社」作成の「得意先別売上明細書」であり、商品名の欄に「アイマスターリプレース」などの記載がある。 (5)乙第4号証の2は、平成19年11月29日付け、「オーミケンシ株式会社」発行の「見積書」であり、「品名及仕様」の欄には「昭和電工(株)彦根 向け 『i-Master』設置工事」及び「ページャーシステム 改造」などの記載がある。 (6)乙第4号証の3は、平成19年12月5日付け、「オーミケンシ株式会社」発行の「見積書」であり、「品名及仕様」の欄には、「アイマスター(ポケットベル対応)システム PC側リプレース」などの記載がある。 2 以上の認定した事実よりすると、被請求人が提供する役務は、工場やオフィス等の構内設備と電子計算機を接続し、事故や異常発生時に、その情報を、ポケットベル等に自動的に通報するシステム(以下「自動通報システム」という。)の設置工事・改修工事ということができる。 3 ところで、商標法でいう役務とは、他人のためにする労務又は便益であって、独立して商取引の対象たり得るものと解するのを相当とするところ、被請求人が提供する役務は、被請求人と顧客との間に締結された契約により、「自動通報システム」の設置工事・改修工事を行っているものと認められるものの、被請求人自ら、他人のために、独立して、通信事業を行っているものとは認められず、また、被請求人は、電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供している事業者ということも、提出された証拠から窺うことはできない。 この点に関し、被請求人は、「電子計算機端末であるパソコンと携帯電話、PHS、ポケットベルとを連動させ、事故や異常発生時の位置情報・状況を即座に把握し、対応指示等を文字メッセージや音声メッセージで必要な携帯端末に自動通知するものであり(乙第1号証ないし乙第3号証)、被請求人は、電子応用機械器具(コンピュータソフトウェアを含む)の販売だけでなく、その後の整備(改修を含む。)を行っており(乙第4号証の1ないし3において、『一般管理費』の項目名で費用計上している。)、『通信することを可能にする』役務を行っている。」旨、主張している。 しかしながら、被請求人は、その業務である「自動通報システムの設置工事・改修工事」を行うに当たり、事故や異常発生時に、その情報をポケットベル、携帯電話等を介し、すなわち、単に、NTTやKDDI等の第三者が提供する通信手段を利用しているにすぎないものであって、被請求人が主張する「『通信することを可能にする』役務」は、それ自体独立して商取引の対象たり得るものと解することはできないから、被請求人の主張は認められない。 4 そして、他に上記認定を覆すに足りる証拠は見出せない。また、前記第4の審尋に対して、「電子計算機端末による通信」に係る具体的取引書類等の提出もない。 5 まとめ したがって、被請求人の行う役務は、独立して自らが、通信に関する役務を行っているものとはいえないから、第38類に属する「電子計算機端末による通信」を行っているものということはできない。 以上のとおりであるから、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、本件商標をその指定役務について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標(登録第4555258号商標) |
審理終結日 | 2010-07-27 |
結審通知日 | 2010-07-29 |
審決日 | 2010-09-27 |
出願番号 | 商願2000-72785(T2000-72785) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Z38)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 柴田 昭夫 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
小林 由美子 小川 きみえ |
登録日 | 2002-03-29 |
登録番号 | 商標登録第4555258号(T4555258) |
商標の称呼 | アイマスター、イマスター、マスター |
代理人 | 森 治 |