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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z14
管理番号 1228249 
審判番号 取消2009-300685 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-06-09 
確定日 2010-11-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4639648号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4639648号商標の指定商品中、第14類「貴金属製の大皿,その他の貴金属製食器類,貴金属製のナプキンリング・ナプキンホルダー・くるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製おしろい入れ,貴金属製灰皿・たばこホルダー・ライター,その他の貴金属製喫煙用具,指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,ネクタイピン,スカーフリング,カフスボタン,その他の身飾品,宝玉及びその模造品,時計,時計の部品及び附属品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4639648号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成13年10月2日に登録出願され、第8類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び第14類「貴金属製の大皿,その他の貴金属製食器類,貴金属製のナプキンリング・ナプキンホルダー・くるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製おしろい入れ,貴金属製の灰皿・たばこホルダー・ライター,その他の貴金属製喫煙用具,指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,ネクタイピン,スカーフリング,カフスボタン,その他の身飾品,宝玉及びその模造品,時計,時計の部品及び附属品」を指定商品として平成15年1月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成21年6月26日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、指定商品中、第14類「貴金属製の大皿,その他の貴金属製食器類,貴金属製のナプキンリング・ナプキンホルダー・くるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製おしろい入れ,貴金属製灰皿・たばこホルダー・ライター,その他の貴金属製喫煙用具,指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,ネクタイピン,スカーフリング,カフスボタン,その他の身飾品,宝玉及びその模造品,時計,時計の部品及び附属品」(以下、これらをまとめて「本件指定商品」という。)については日本国内において過去3年間使用されていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項により、本件指定商品についての登録を取り消すべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人の挙げた証拠について
ア 乙第1号証
本証拠は、本件商標を示すものであり、本件商標の使用の事実を示すものではない。
イ 乙第2号証
本証拠には本件商標が現れていないため、本件商標の使用の事実を示すものではない。
ウ 乙第3号証
本証拠は、2002年のものであり、本件審判の請求の登録前3年以内の使用を示すものではない。また、日本国内において本件商標が本件指定商品に使用されたことを示すものではない。
エ 乙第4号証
本証拠は、イタリア国内において「ROCCA CALDERONI」なる店で「ロレックス」というブランドの時計が扱われている旨を示すにとどまり、被請求人が日本国内において本件商標を本件指定商品に使用した事実を示すものではない。また、日付の信憑性も低い。
オ 乙第5号証ないし乙第11号証
これらの証拠は、イタリア国内において頒布されたであろうカタログを示すものであり、被請求人が日本国内において本件商標を使用した事実を示すものではない。
また、乙第5号証の発行年月日は不明である。乙第6号証ないし乙第10号証の発行年は、2000年ないし2005年であって、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用を示すものではない。
さらに、乙第5号証の11頁にあるように、店舗には本件商標が使用されていない。また、乙第5号証の26頁にあるように、「ROCCA CALDERONI」は他のブランドの商品を取り扱うのみである。
乙第6号証には、ブティックが東京、長野、横浜にあることは記されているが、本件商標を使用している事実は記載されていない。
乙第8号証の2頁の時計に示された商標は、本件商標と社会通念上同一とはいえない。
乙第11号証のカタログに示された商標は、「CALDERONI」の文字部分がないため、本件商標と社会通念上同一とはいえない。
よって、これらの証拠は、本件商標を本件指定商品に使用していることを示すものではない。
カ 乙第12号証ないし乙第15号証
これらの証拠には、本件商標が現れていない。
したがって、被請求人が日本国内において本件商標を本件指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に使用した事実を示すものではない。
特に、被請求人が示す店舗名は、「カルデローニ」であって、本件商標とは異なる商標の使用をしていることの証拠になっている。
キ 乙第16号証ないし乙第19号証
これらの証拠は、請求書であり、被請求人が日本国内において本件商標を本件指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に使用した事実を直接的に示すものではない。
また、乙第17号証ないし乙第19号証には、本件商標が現れていない。
なお、乙第17号証ないし乙第19号証に添付されたレシートに「ROCCA CALDERONI」の印字があるが、このレシートにはイタリア国ミラノの住所及び電話番号が記載されているため、被請求人が日本国内において本件商標を本件指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に使用した事実を直接的に示すものではない。このことは、被請求人も認めている。
ク 乙第20号証の1及び2並びに第21号証の1及び2
これらの証拠は、事後免税手続書類であって、イタリア国内において商品を購入し課税された際に、イタリア国内において発行されたものであり、被請求人が日本国内において本件商標を本件指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に使用した事実を直接的に示すものではない。
また、これらの証拠には、本件商標が現れていない。
ケ 乙第22号証ないし乙第24号証
これらの証拠は、株式会社amixコーポレーション(以下「amix社」という。)又は株式会社ビッグヒット(以下「ビッグヒット社」という。)の会社概要又は事業案内であり、本件商標の使用とは無関係である。
コ 乙第25号証
本判決の前提は、被告が被告の商標を付された商品を日本に輸出した事実があることである。
ところが、以上見てきたように被請求人が本件商標を付した商品を日本に輸出した証拠は見当たらない。したがって、本件審判とは事案が異なるといわざるを得ない。
(2)結語
以上述べたとおり、いずれの証拠も被請求人が本件商標を本件指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において使用したことを立証するものでないことは明らかである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第25号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用事実の要点
被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を本件指定商品中、「指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,その他の身飾品,時計」について使用しているところであり、この事実は、乙第1号証ないし乙第25号証から明らかである。
2 本件商標の使用の事実
(1)本件商標の譲渡の経緯
被請求人は、「イタリ一国 ヴァレーゼ,セスト カレンデ21018,ヴィア ピアーヴェ96番」所在の「ロッカ ソシエテ,ペル,アチオニ」(以下「ロッカ社」という。)から本件商標を譲り受け、平成21年7月21日付けで「商標権移転登録申請書」を日本国特許庁に提出し、移転登録を受けた(乙第1号証)。
これは、被請求人の親会社に相当するイタリア国のダミアーニ ソシエテ,ペル,アチオニが本件商標等を所有するロッカ社を買収したことに伴い、ダミアーニグループのブランド管理をも手がける被請求人が、今般ロッカ社から本件商標を譲り受けるに至ったことによるものである(乙第2号証)。
このため、以下においては、本件商標の譲渡人であるロッカ社による本件商標の使用について詳述する。
(2)「指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,その他の身飾品,時計」についての本件商標の使用
ア 本件商標は、ロッカ社のカタログ(乙第5号証ないし乙第11号証)に、ロッカ社のオリジナルの身飾品や時計のブランドとして、カタログの表紙(1頁)や少なくとも「指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,その他の身飾品」が掲載された各頁に表示されているとともに、指輪の内側にも刻印されている。
また、乙第7号証の5頁では、紙袋が掲載されており、この「商品の包装」に本件商標が付されている。
イ ロッカ社は、例えば、乙第10号証及び乙第11号証に示すように、日本ブティックとして、東京都港区高輪3丁目13番1号在の「ザ・プリンスさくらタワー東京」内に1店(乙第12号証)、神奈川県横浜市港北区新横浜3丁目4在の「新横浜プリンスペペ」内に1店(乙第13号証)、神奈川県横浜市西区みなとみらい2212在の「ランドマークプラザ」内に1店(乙第14号証)、長野県北佐久郡軽井沢南軽井沢に1店の小売店を出店しており、これら各店舗では、本件商標を表示した「身飾品」や「時計」を日本国内に輸入し販売している(乙第15号証)。
ウ また、日本ブティック以外の輸入販売業者においても、例えば、乙第16号証の「請求書」に示すように、神奈川県横浜市神奈川区鳥越2-3在の「セントラルエンタープライズ(Central Enterprise Co.,Ltd.)」(以下「セントラル社」という。)にあっては、本件商標を表示した「身飾品」や「腕時計」をロッカ社より購入し、これを日本国内に輸入し販売している。
エ さらに、乙第17号証ないし乙第19号証に示すロッカ社発行の「請求書」や乙第20号証及び乙第21号証に示すロッカ社発行の「事後免税手続書類」からも明らかなように、イタリアのミラノのピサドゥオーモ広場前のロッカ社のブティック(Piazza Duomo, 25 Milano)などに、ロッカ社の販売する「身飾品」や「時計」を求めて多くの日本人や輸入販売業者が訪れ、ロッカ社より購入しこれを日本国内に輸入し販売していることがうかがえる。
例えば、乙第17号証6頁に示す2007年6月16日付けの「請求書」からも明らかであるが、名古屋市中区大須4-1-18セイジョウビル2Fに本社を有するamix社がダイヤモンド付き陶器時計」、「黒色陶器時計」及び「白色男性用陶器時計」をピサドゥオーモ広場前のブティックにて購入しているところであり、同社は、高級腕時計、アンティーク腕時計の仕入れ・卸・販売を行う輸入販売業者であって、名古屋パルコ東館7階等に小売店舗を有する者であるから(乙第22号証)、これらの「時計」を日本国内に輸入し販売していることは明らかである。
また、乙第19号証22頁に示す2006年11月7日付けの「請求書」からも明らかであるが、江戸川区西葛西8在のビッグヒット社が「フランス製戦車時計」をピサドゥオーモ広場前のブティックにて購入しているところであり、同社は、並行輸入業者であるから(乙第23号証及び乙第24号証)、これらの「時計」を日本国内に輸入し販売していることは明らかである。
オ そこで、外国の商標権者が商品に付した商標の使用につき、平成14年(行ケ)第346号東京高等裁判所第13民事部判決は、「商標法2条3項が同法上の標章の『使用』の定義を規定した趣旨は、商品に標章が表示される場合において、それが何人の使用と認められるものであるかについては社会通念にゆだねるとともに、同法の目的との関係を考慮し、特に商品の識別標識として機能すると認められる事実についてのみ、これを『使用』であると定義することにより、同法上の『使用』としての法的効果を認めるべき行為の範囲を限定したものであると解される。そして、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるから、その商品が実際に何人によって所有、占有されているとを問わず、同法2条3項に該当する行為が行われる限り、その行為は、当初、商品に商標を付した者による商標の『使用』行為であるというべきである。これを本件のような我が国で商標登録を有する外国法人との関係についてみれば、商標権は、国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり、属地主義の原則に支配され、その効力は当該国の領域内においてのみ認められるところから、当該外国法人が商標を付した商品が我が国外において流通している限りは、我が国の商標法の効力は及ばない結果、我が国の商標法上の『使用』として認めることはできないものの、その商品がいったん日本に輸入された場合には、当該輸入行為をとらえ、当該外国法人による同法第2条第3項第2号にいう『商品に標章を付したものを輸入する行為』に当たる『使用』行為として、同法上の『使用』としての法的効果を認めるのが相当である。」と判示している(乙第25号証)。
カ この点、本件につき、我が国で商標登録を有していた外国法人であるロッカ社との関係についてみれば、ロッカ社によって本件商標が付された「指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,その他の身飾品,時計」が、日本ブティックの他、セントラル社、amix社、ビッグヒット社などといった日本の輸入販売業者によって「輸入」された場合には、当該輸入行為をとらえ、ロッカ社による商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に当たる「使用」行為に該当し、商標法上の使用に該当するとするのが相当であるから、日本ブティックや日本の輸入販売業者の輸入行為をもって、商標法第50条に規定する商標権者による本件商標の「使用」があったものと認め得るところである。
また、日本ブティック及び日本の輸入販売業者は、輸入したロッカ社によって本件商標が付された「指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,その他の身飾品,時計」を販売するものであるから、当該販売行為をとらえて、ロッカ社による商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示する行為」に当たる「使用」行為に該当し、商標法上の使用に該当するとするのが相当であるから、日本ブティックや日本の輸入販売業者の販売行為をもって、商標法第50条に規定する商標権者による本件商標の「使用」があったものと認め得ることはいうまでもない。
3 結語
以上のとおり、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件指定商品中、「指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,その他の身飾品,時計」について使用されているものであるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、本件指定商品について、その登録を取り消し得ないものであることは明白である。
よって、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人は、本件商標を本件指定商品中、「指輪,ブレスレット,ネックレス,イヤリング,ブローチ,ペンダント,その他の身飾品,時計」について使用しているとし、その事実を立証すべく証拠を提出しているので、該証拠について検討する。
ア 乙第2号証及び乙第3号証は、被請求人の企業グループに関する報道資料の写しと認められるところ、これらには、被請求人等の会社概要、沿革等が記述されているに止まり、本件商標の表示はどこにも見られず、これらからは本件商標の具体的使用状況は一切明らかでない。
イ 乙第4号証は、第三者のインターネットのウェブサイトの写しと認められるところ、その内容はイタリア、ミラノにおける「ROLEX PRINCE CELLINI」なる時計に関する記述が中心であり、該記述中には「そんなモンテナポレオーネに面した名店の一つに、”ROCCA CALDERONI”がある。」及び「Special thanks to: ROCCA CALDERONI-via Montenapoleone, 16, Milano」との記載があるものの、これらが本件商標や本件指定商品といかなる関係を示すのか明らかでなく、また、本件商標権者等との関係も不明であるから、本件商標の使用について具体的に立証したものとはいえない。
ウ 乙第5号証ないし乙第11号証は、いずれもロッカ社の発行に係る英語及びイタリア語による商品カタログの抜粋写しと認められるところ、そのうち、乙第5号証ないし乙第10号証のカタログには、それぞれの表紙を始め、指輪、ペンダント等の商品が掲載された頁において、別掲2のとおり、本件商標とほぼ同一の構成態様からなる標章(以下「使用標章1」という。)が表示されていることが認められ、また、これらカタログの記載中には「ROCCA CALDERONI」の文字からなる標章(以下「使用標章2」という。)も認められる。そして、使用標章1は、その構成からして、本件商標と社会通念上同一といえるとしても、文字のみから構成される使用標章2は、幾何図形及び文字からなる本件商標と社会通念上同一とはいえないものである。
しかし、乙第5号証のカタログの発行日は不明であり、乙第6号証ないし乙第10号証のカタログは、それぞれの最終頁の右下における「Printed in Italy...in November 2002」、「Printed in Italy...in July 2003」、「Printed in Italy...in November 2003」、「Printed in Italy...in November 2004」又は「Copyright 2005 by Rocca S.p.A....Printed in Italy ...」の表示に照らし、本件審判の請求の登録前3年以内の期間よりも前にイタリア国内で発行されたものと推認される。
また、乙第11号証のカタログは、その最終頁の右下における「Copyright 2006 by Rocca S.p.A....Printed in Italy ...」の表示によれば、本件審判の請求の登録前3年以内にイタリア国内で発行されたものと推認されるものの、その表紙を始め、商品が掲載された頁に表示された標章は、幾何図形と「ROCCA」の文字とからなるものであって、「CALDERONI」の文字を欠くものであるから、本件商標と社会通念上同一とはいえないものであり、他に本件商標の表示はどこにも見あたらない。
さらに、乙第5号証ないし乙第11号証のカタログは、いずれも英語及びイタリア語からなるものであり、イタリア国内で発行されたものと推認されるばかりでなく、これらが本件審判の請求の登録前3年以内に我が国において頒布されたことを示す証左は一切ない。
エ 乙第12号証ないし乙第14号証は、いずれも被請求人関連の日本における店舗に係るウェブサイトの写しと認められ、各店舗を紹介したものと認められるところ、店舗名として「カルデローニ」と表示され、店舗の写真には店頭に「CALDERONI」の表示が見られるものの、これらの表示は、幾何図形及び「ROCCA」の文字を欠くものであり、本件商標と社会通念上同一とはいえないものである。また、上記ウェブサイトの内容が本件審判の請求の登録前3年以内に記載されたものであることを示す証左はない。
オ 乙第15号証は、被請求人関連の日本における店舗及び取扱商品を紹介する記事の写しと認められるところ、その掲載媒体、発行日が一切不明であるばかりでなく、その記事中に「CALDERONI GIOIELLI」、「CALDERONI」又は「カルデローニ」の表示は見られるものの、これらは幾何図形及び「ROCCA」の文字を欠くものであり、本件商標と社会通念上同一とはいい難いものである。
カ 乙第16号証は、いずれもロッカ社から日本国内のセントラル社に宛てて発行された請求書の写しと認められ、それぞれの冒頭に使用標章1が表示されていることが認められるものの、上記請求書に記載された日付は、最新のものでも2005(平成17)年11月23日(46頁)であるから、これらはいずれも本件審判の請求の登録前3年以内の期間よりも前に発行されたものである。
キ 乙第17号証ないし乙第19号証(いずれも枝番を含む。)は、いずれもロッカ社から日本国内の個人又は法人に宛てて発行された商品「時計」に係る請求書の写しと認められ、乙第19号証の一部(1頁ないし18頁、20頁、25頁ないし29頁、31頁及び32頁)は、本件審判の請求の登録前3年以内の期間よりも前に発行されたものであるが、その余のものは、本件審判の請求の登録前3年以内に発行されたものである。
しかし、これらの書面には、頭書部分に「Rocca s.p.a.」の表示が認められるほかには、本件商標の表示は一切見いだせない。そして、上記「Rocca s.p.a.」の表示は、幾何図形及び「CALDERONI」の文字を欠くものであるから、本件商標と社会通念上同一とはいえないものである。
仮に、乙第17号証ないし乙第19号証の請求書をもって、時計等の商品がロッカ社によって日本に輸出・販売されているとみる余地があるとしても、本件商標の表示が一切見当たらない以上、これらの請求書は、本件商標の使用を立証する証左とはなり得ないものである。
ク 乙第20号証の1及び2並びに乙第21号証の1及び2は、いずれも事後免税手続書類の写しと認められ、乙第20号証は、2006(平成18)年6月28日から同年12月29日までの間に発行され、また、乙第21号証は、2006(平成18)年10月5日及び2008(平成20)年3月23日から同年12月30日までの間に発行されたものと認められ、これらは、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものである。
しかし、これらの書類は、イタリア国内のロッカ社の店舗において日本人の顧客が商品を購入し課税された際にイタリア国内で発行されたものであり、日本国内において発行されたものではないばかりでなく、そこには「ROCCA」又は「ROCCA-CALDERONI」の各文字が見られるものの、いずれも本件商標と社会通念上同一とはいえないものである。
そして、これらの書類に記載された者は、被請求人との関係では単なる顧客にすぎず、本件商標に係る使用権者とは到底いえないものであるから、これらの者を通じてロッカ社が日本に商品を輸出しているものともいえない。
ケ 乙第22号証ないし乙第24号証は、amix社又はビッグヒット社のウェブサイトの写しと認められるところ、乙第22号証には、「1992年から高級腕時計の輸入販売をスタートしたA.M.I.」と、乙第23号証には、「主な仕入れ先」として「イタリア・フランス・・・」と、乙第24号証には、「並行輸入の利点を生かし・・・」と各記載されていることから、amix社及びビッグヒット社は、海外から商品を輸入していることが認められるものの、本件商標や商標権者等についての記述は一切見いだせないものである。
(2)前記(1)を総合してみるに、本件審判の請求の登録前3年以内の期間よりも前には、本件商標と社会通念上同一といえる商標が指輪、ペンダント等の身飾品等について使用されていたことがうかがえるとしても、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、本件指定商品のいずれかについて使用されていなかったものといわざるを得ない。
その他、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件指定商品のいずれかについて使用されていることを認めるに足る証拠はない。
2 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を本件指定商品のいずれかについて使用していることを証明したものとはいえず、かつ、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったものともいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の商品について、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標

(色彩は、原本参照)

2 使用標章1

(色彩は、原本参照)

審理終結日 2010-06-16 
結審通知日 2010-06-18 
審決日 2010-07-01 
出願番号 商願2001-88593(T2001-88593) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z14)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 斎田口 善久 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
酒井 福造
登録日 2003-01-24 
登録番号 商標登録第4639648号(T4639648) 
商標の称呼 ロッカカルデローニ、ロッカ、カルデローニ、キャルデローニ 
復代理人 長沢 幸男 
代理人 正林 真之 
代理人 富樫 竜一 
代理人 鈴木 正夫 
代理人 小椋 崇吉 
代理人 八木澤 史彦 

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