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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X03
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X03
管理番号 1226688 
審判番号 不服2009-15985 
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-31 
確定日 2010-11-01 
事件の表示 商願2008- 49546拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成20年6月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の(1)及び(2)の拒絶の理由に該当すると認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、「nano Bio」の欧文字を書してなるところ、その構成中の「nano」の文字は、「10億分の1」を意味を有し、「ナノテクノロジー」、又はその略称の「ナノテク」の意味合いをも理解させるものであり、また、「Bio」の文字は、「生物の、生命の」の意味を有し、「バイオテクノロジー」の意味合いをも理解させるものであって、その指定商品「化粧品」との関係において、「nano Bio」の表音である「ナノバイオ」の文字が、近年、化粧品に関連する業界において、ナノ技術とバイオ技術を応用した商品に使用・販売されている実情が認められるから、これをその指定商品中「化粧品」に使用しても、これに接する取引者・需要者に「ナノ技術とバイオ技術を応用した化粧品」であることを表示するものと認識させるにすぎず、単に商品の品質を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第4861183号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成16年8月20日に登録出願、第3類「つや出し剤,靴墨,靴クリーム,塗料用剥離剤,せっけん類,香料類,歯磨き,家庭用帯電防止剤,さび除去剤,家庭用脱脂剤,つや出し紙,つや出し布,研磨紙,研磨布」を指定商品として、同17年4月28日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲(1)のとおり「nano Bio」の文字を普通に用いられる域をでない方法で書してなるところ、構成中の「nano」の文字は、「ナノ,10億分の1」等の意味合いを有し、また、「Bio」の文字は、「生(せい),生命」等の意味合いを有するものである。そして、前記「nano」の文字は、「nano・technology ナノテクノロジー:半導体などの微細加工の技術」(以上、小学館ランダムハウス英和大辞典)、「ナノテク化粧品:粒径がナノメートル(ナノは10億分の1)という超微粒子・ナノ粒子を用いた化粧品」(現代用語の基礎知識2010)、また、「Bio」の文字は、「bio・technology バイオテクノロジー,生物工学」(小学館ランダムハウス英和大辞典)、「バイオインダストリー(bioindustry):生命工学技術を用いて生物の持つ機能や能力を高めることをめざす産業」、「バイオ化粧品:バイオテクノロジーの技術を利用して作った化粧品」(コンサイスカタカナ語辞典 第3版)などといった複合語を形成し、普通に使用されているものである。
そうとすれば、本願商標は、その構成全体から「ナノテクノロジーとバイオテクノロジーを融合した技術」程の意味合いを容易に認識させるものである。
そして、本願商標「nano Bio」の表音と認められる「ナノバイオ」の文字は、別掲(3)の新聞記事情報及びインターネット情報からも裏付けられるとおり「ナノテクノロジー(超微細技術)とバイオテクノロジー(生物工学)を融合した技術」を意味する語として使用され、その技術の応用範囲も本願指定商品中の「せっけん類,歯磨き,化粧品」の分野にまで及んでいるものと解されるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品中「せっけん類,歯磨き,化粧品」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「ナノテクノロジーとバイオテクノロジーを融合した技術を利用した商品」であると理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。また、これを上記商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと認められる。
なお、請求人は、「本願商標からは『ナノバイオ』の称呼は生じず、請求人が市販している商品『化粧水』には本願商標を表記し、商品紹介には『ナノビオ』を使用しているのが実情であり、化粧品や自然食品等の業界においては、『bio』は『ビオ』と称されるケースの方が多く見受けられ、『bio』を『ビオ』と読ませる登録商標も多数存在しているため、商標法第3条第1項第3号の適用自体が、そもそも誤っている。」旨主張している。
しかしながら、前掲の「小学館ランダムハウス英和大辞典」等の「bio-」文字をみると、その発音記号は「baiou」(「a」には、アクセント記号がある。)であり、その発音も「バイオウ」となるものである。また、「コンサイスカタカナ語辞典第3版」では、「バイオ〔bio〕」の項に「バイオテクノロジー,バイオニクス.」と記載されているから、「ナノバイオ」の称呼が生ずるものである。
そして、請求人が使用している化粧水に「nano Bio」、「ナノビオ」が使用されていたとしても、別掲(3)のとおり、本願の指定商品の属する「せっけん類,化粧品」等の業界において、「ナノテクノロジー(超微細技術)とバイオテクノロジー(生物工学)を融合した技術」を「ナノバイオ」と称して使用されている事実が認められるものである。
また、請求人が所有する登録第5001118号商標「ナノビオ」と、本願商標は構成文字が相違するものであるから、本願商標からは「ナノバイオ」と自然に称呼されることは前記のとおりであり、「ナノビオ」のみの称呼が生ずるものとはいえないため、請求人の主張は採用することができない。
なお、請求人があげた登録例及び出願例は、商標の具体的構成において相違するものであるから、本願商標とは事案を異にするといわざるを得ず、また、登録出願された商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の構成態様と指定商品(指定役務)との関係において、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、それら登録例の存在によって、前記判断は何ら左右されないというべきである。
したがって、上記2の拒絶の理由(2)について判断するまでもなく、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
(1)本願商標




(2)引用商標




(3)新聞記事情報及びインターネット情報
ア 「<わいど&ズーム>紫外線吸収 DNA化粧品 しみ、そばかすを予防 産学協同で開発中 神戸ポーアイ サケから抽出 敏感肌にも優しく」の見出しのもと、「日焼けによるしみやそばかすを防ぐため、魚のデオキシリボ核酸(DNA)で紫外線をカットするユニークな化粧品開発が、神戸・ポートアイランドを舞台に産学協同で進行中だ。・・・『ナノバイオ』と呼ばれる、新しい科学分野の発想と手法だ。」との記事がある。
(2009.10.03 神戸新聞 夕刊 9頁)
イ 「<戦略を語る>甲南大先端生命工学研究所長 杉本直己氏 ナノバイオ、神戸を核に 暮らしの中に潜む需要」の見出しのもと、「十億分の一を表す単位「ナノ」レベルのデザインや加工を施す超微細技術と生命工学を融合させ、医療や物質生産などに応用する研究分野・ナノバイオ。・・・例えば、一人一人の体質や好みに合った医薬品や化粧品、調味料ができたらどうか。ナノバイオ技術を用いれば、それも不可能でなくなる。」との記事がある。
(2007.11.05 神戸新聞 朝刊 8頁)
ウ 「(株)白日社」のウェブサイトにおいて、書籍紹介の中に「きちんとわかるナノバイオ」があり、その中で「はじめに??『ナノバイオ』とはなんだろうか ナノバイオテクノロジー(ナノバイオ)は、急激な発展を遂げているナノテクノロジーと、過去数十年にわたってさまざまな知見を蓄積してきたバイオテクノロジーとが融合することによって生まれた新しい研究分野である。・・・【ナノバイオ】・・・ナノバイオテクノロジーはバイオテクノロジーに含まれるのではなく、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーとをつなぐ技術と考えられる。」旨記載されている。
(http://www.hakujitsusha.co.jp/hakujitsusha/978-4-89173-122-9.html/)
エ 「〔最新ナノバイオ特許動向・上〕世界有数の化粧品会社がしのぎを削る,2002年はロレアルがトップに」の見出しのもと、「ナノバイオ分野の特許出願数ランキング(図1)を見て最初に気がつくのは,世界有数の化粧品会社が上位を占めていることだ。ロレアルは,ナノ粒子の化学的性質を利用し,例えば,皮膚に浸透してビタミンなどの有効成分を徐々に放出できるような化粧品,シャンプー,洗剤などを開発してきた。」旨記載されている。
(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20030311/60077//)
オ 「ホソカワミクロン株式会社」のウェブサイトにおいて、「業務内容」の項に、「■機能性化粧品、美肌・美容技術の研究開発 独自のナノテクDDS技術により開発した美肌成分含有 “機能性ナノ粒子” を配合したスキンケア化粧品 “ナノクススフェア シリーズ”を開発し、一般のお客様へ高品質の機能性化粧品をホソカワミクロン化粧品からお届けしています。・・・キーワードは生体適合性材料を用いたナノバイオ&DDSテクノロジーです。」旨記載されている。
(http://www.hosokawalab.jp/work/cosme/main.html/)
カ 「株式会社ナノエッグのスキンケア化粧品『マリアンナ』」の見出しのもと、「シミ・シワ改善のフシギ 医薬に物理学の光を当てたナノバイオ新技術《ナノキューブ》。これを配合したスキンケア化粧品は、今やナノエッグ社の自社ブランド《マリアンナ》シリーズに留まらない。」旨記載されている。
(http://www.senstone.co-site.jp/PDF/tamajin33/tamajin33-22.pdf)
キ 「ナノバイオ Expo 2011」の見出しのもと、「2010開催報告 ナノバイオテクノロジー産業化に向け、最新医療技術だけでなく、化粧品、食品へのナノバイオ技術の取り組みについて発表されました。」旨記載されている。
(http://www.nanobioexpo.jp/show.html/)
ク 「株式会社健人」の「ビューティコム」のウェブサイトにおいて、商品「マウスマウスナノ 30ml【デンタルネット】」の項に、「『マウスマウスナノ 30ml』は、東京医科歯科大学と岩手医科大学で共同開発された歯と口のためのケア商品です。ナノバイオ技術により、花崗岩や玄武岩から良質のミネラルを抽出。」旨記載されている。
(http://beautycom.jp/?pid=11056102/)
ケ 「株式会社エポー」のウェブサイトの商品紹介の項に「バーズビオシャンプーって何? エポーの『ナノ』テクノロジーは、まず水の加工から挑戦しています。・・・ナノ加工製造はもとより、生体分子を活性化するナノバイオテクノロジー。」旨記載されている。
(http://www.epo.co.jp/product/baz_bio/index2.html/)



審理終結日 2010-08-26 
結審通知日 2010-08-27 
審決日 2010-09-13 
出願番号 商願2008-49546(T2008-49546) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X03)
T 1 8・ 13- Z (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一目黒 潤箕輪 秀人 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 瀧本 佐代子
大島 康浩
商標の称呼 ナノバイオ、ナノビオ、ナノ 
代理人 岩堀 邦男 
代理人 大沼 加寿子 

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