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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X36
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X36
管理番号 1226575 
審判番号 不服2009-13833 
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-03 
確定日 2010-10-18 
事件の表示 商願2008-38371拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「アウトレットマンション」の片仮名文字を書してなり、第36類、第37類及び第42類に属する役務を指定役務として、平成20年5月19日に登録出願されたものである。そして、指定役務は、当審における平成21年8月3日付けの手続補正書により、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『新築分譲マンションの売れ残りを格安物件として販売されるマンション』を表す語として建築・不動産業界において広く使用されている『アウトレットマンション』の文字を横書きしてなるものであるから、これを本願指定役務中前記文字に相応する役務について使用するときは新築分譲マンションの売れ残り物件に関する役務であるとしか認識し得ず、単に役務の質、内容及び提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
ア 本願商標は、上記1のとおり、「アウトレットマンション」の文字からなるところ、その構成中前半の「アウトレット」の文字は、広辞苑第六版の「アウト‐レット【outlet】」の項に、「(出口・販路の意)アウトレット‐ストアの略。」との記載があり、また、「アウトレット‐ストアoutlet store アメリカ」の項によれば、「売れ残りや傷物を仕入れて安値で売る店。また、メーカーがサンプル品や生産過剰品を売る直販店。アウトレット。」との記載があり、後半の「マンション」の文字は、同じく「マンション【mansion】」の項によれば、「(大邸宅の意)中高層の集合住宅。1960年代後半から急速に普及。」との記載がある。
そうとすれば、本願商標は、よく親しまれた語である、「アウトレット」と「マンション」の語を組み合わせた構成よりなるものと容易に想起させるものである。
イ そして、「アウトレットマンション」の文字については、原審説示の如く役務の質等を表す語として広く使用されている実情が、例えば、以下の新聞情報やインターネット情報等からも窺える。
(ア)新聞情報について
a.「在庫一掃へ安値で再販 氷河期のマンション市場 金沢市に『アウトレット』登場 値下げ幅、最大1000万円以上 格安のモニター物件も」北国・富山新聞2009.02.04 朝刊
「石川県内のマンション市場で販売価格を割り引く動きが広がっている。金沢市では売れ残った物件を割安で転売した『アウトレットマンション』が登場。購入資金の一部還元など特典を設け、間接的に値引くケースもある。不動産市況の急速な悪化を受け、各社は割安感で購買意欲を刺激する狙いだ。」との記載がある。
b.「記者ノート 住宅価格 」中日新聞2009.03.12 朝刊
「売れ残ったマンションを別の業者が安く買い取って売る『アウトレットマンション』の広告だ。住宅購入を検討する人には価格下落は歓迎すべき状況だろう。」との記載がある。
c.「マンション今が買い時? 年度末で値引き、アウトレット増」産経新聞2009.03.17 東京朝刊
「マンション開発事業者から完成在庫を安く買い取り、500万?1000万円もの大幅値引きで売り出す『アウトレットマンション』市場も拡大している。」との記載がある。
d.「『買い得物件』消費者動く 首都圏マンション 在庫1万戸割れ」2009.03.17 FujiSankei Business i.
「完成在庫を抱えるマンション開発事業者から安く買い取り、500万?1000万円もの大幅値引きで売り出す『アウトレットマンション』市場の拡大も、割安感に貢献している。」との記載がある。
e.「【未来に向けて-再起動ニッポン】建設・不動産 付加価値高い物件が売れる時代」2009.03.23 FujiSankei Business i.
「そんな中で比較的好調なのがアウトレット物件とリニューアル物件。アウトレット物件は在庫物件を持つデベロッパーから在庫を安く買い取り再販する物件。低コストで仕入れて低価格販売するため好評だ。同じデベロッパーが在庫を大幅に値引きして売れば、マンションの資産価値が下がるため購入者とのトラブルが起きかねないが、アウトレットマンション業者が販売主になることで、無用なトラブルを避けられるメリットもある。」との記載がある。
f.「[安さのヒミツ](下)マンション余る 赤字で販売も(連載)」読売新聞2009.03.25 東京朝刊
「在庫がだぶつく中、新築マンションの売れ残りを買い取り、再販する『アウトレットマンション』業者が存在感を増している。『定価の4割引きから半値で引き受け、15?20%引きで売るのが相場』(不動産会社)という。」との記載がある。

(イ)インターネット情報について
a.「HatenaKeyword」のウェブサイトには、「アウトレットマンション」の見出しの下「アウトレットマンションとは、大量の在庫処分に困ったデベロッパーや、経営破たんしたデベロッパーから格安で買い取った再販業者が販売する“投げ売りマンション”のこと。」との記載がある( http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%A6%A5%C8%A5%EC%A5%C3%A5%C8%A5%DE%A5%F3%A5%B7%A5%E7%A5%F3)。
b.「アウトレットマンション【ホームプラザ】」のウェブサイトには、 「 最近ではアウトレットマンションが世間の耳目を集めています。アウトレットマンションとは販売時の価格から価格改定(値下げ)を実施した物件や家具・家電等のプレゼントのある『お得物件』を指します(HomePLAZA提唱)。」との記載がある(http://guide.home-plaza.jp/theme/outletmansion/)。
c.「アウトレットマンション.com」のウェブサイトには、「アウトレットマンションは、1, マンションで、新築後1年近く経過している物件 2, 場所や地形・間取りが悪く、長期間売れ残っているマンション 3, 売り主の事情により、早く売るために安くなっているマンション こういった不動産を、アウトレットマンションと呼んでいます。」との記載がある(http://outletmansion.makusta.jp/c2185.html)。

ウ 上記実情によれば、本願商標「アウトレットマンション」の文字は、その指定役務との関係において、「在庫物件を抱えてしまったデベロッパーや、経営破綻したデベロッパーから再販業者が格安で買い取り再販するマンション」を表す語として、広く使用されている事実が認められる。
そうとすれば、本願商標を、その指定役務中、例えば「建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物の鑑定評価,建物の情報の提供」に使用したときは、前記実情より「再販業者が格安で買い取り再販するマンション」に関する役務であることを表示するにすぎず、取引者、需要者は、本願商標をもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当であって、かつ、前記役務以外の役務について使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

(2) 商標法第3条第2項について
ア 請求人は、原審において、本願商標は商標法第3条第2項の要件を満たしている旨主張し、第1号ないし第3号証を提出している。
イ ところで、出願に係る商標が、指定役務に係る役務の質を表示するものとして商標法第3条第1項第3号に該当する場合であって、それが同条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び役務について、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該役務に係る売上高等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決定すべきものであり、その場合に使用に係る商標及び役務は、出願に係る商標及びその指定役務と同一の場合に限られるものである。
ウ 上記の観点を踏まえ、請求人が提出した証拠について、以下、検討する。
(ア)第1号証は、「サンデー毎日」(2008.11.9)の写しであり、掲載された記事中には、「『アウトレット・マンション』という聞き慣れない“新手”物件が殴り込みをかけている。・・・(中略)・・・そう説明するのは、首都圏のアウトレット・マンション販売の草分けで、千葉県八千代市で4棟目の販売を開始した業者『リスモ』・・・(中略)・・・『金融危機後の貸し渋りで資金繰りに窮したデベロッパ-から、売れ残った新品を設定価格の半額程度で買い取り、ほぼ3割引で再販売するのがアウトレットの定義です。販売中の物件は、好みの家具・家電も付いてさらにお得です』」との記載がある。
上記記事によれば、「アウトレット・マンション」は、「売れ残った新品のマンションを設定価格の半額程度で買い取り、再販売する」程の意味合いで使用されていることが認められる。
(イ)第2号証は、請求人による「『カインドステージ千葉大森台』アウトレットマンション事業 事業投資のご案内」の写しであり、具体的な販売物件の「物件概要」や、アウトレットマンション事業についての「投資のご案内」には、「多くのパートナー(投資家)の皆様に賛同、事業参加していただく必要があると考えます。」等との記載、ほかには、「事業スキーム」、「メリット・リスク」、「アウトレットマンションの販売実績」との記載がある。
該証拠は、「アウトレットマンション事業」に関する「事業投資のご案内」であり、不動産に関する「投資」であることから、本願指定役務には含まれない役務といわなければならない。
(ウ)第3号証は、請求人による「家具・家電付き分譲マンション アウトレットマンション」の情報であり、「アウトレットマンション第5弾 カインドステージ千葉大森台」、「アウトレットマンション第3弾 ドメイン越谷ツインヒルズ」等の販売情報や、他のアウトレットマンションの「完売御礼」の記載がある。
また、「2009/1/30 日本テレビおもいっきりイイ!!テレビ」や「2009/1/24 月刊宝島」等で、「弊社アウトレットマンションが取り上げられました。」との記載がある。

エ 以上のとおり、提出された証拠によっては、本願商標「アウトレットマンション」の文字が、その指定役務中「建物の売買」に使用されたこと、また、請求人の業務がテレビに紹介され雑誌に掲載されたであろうことは推認できるものの、本願商標をその指定役務について、使用を開始した時期、使用期間、使用地域、譲渡の数量、営業の規模、広告宣伝の方法、回数及び内容等について、具体的、かつ、直接的な証拠の提出はないものであるから、結局、本願商標が、その指定役務について使用された結果、請求人の業務に係る役務であることが一般の取引者、需要者にまで、全国的に広く認識されるに至ったものであるとは認めることができない。

(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
また、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったものと認めることもできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-08-24 
結審通知日 2010-08-27 
審決日 2010-09-07 
出願番号 商願2008-38371(T2008-38371) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X36)
T 1 8・ 272- Z (X36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子今田 三男 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 田中 亨子
小田 昌子
商標の称呼 アウトレットマンション、アウトレット 
代理人 赤澤 一博 
代理人 宮澤 岳志 

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