• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商51条権利者の不正使用による取り消し 無効としない Z10
管理番号 1226525 
審判番号 取消2009-301303 
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-11-27 
確定日 2010-10-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4532622号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4532622号商標(以下「本件商標」という。)は、「ENEMAGRA」の欧文字を横書きしてなり、平成12年11月16日に登録出願、第10類「医療用機械器具,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,耳栓,医療用手袋,家庭用電気マッサージ器,しびん,病人用便器,耳かき」を指定商品として、同13年12月28日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張(要旨)
請求人は、商標法第51条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番を含む)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者たる被請求人が、故意に指定商品についての登録商標に類似する商標を使用した結果、請求人の業務に係る商品と品質の誤認又は商品の出所の混同を生ずるに至らしめているものであるから、商標法第51条第1項の規定に該当する。
(1)請求人の使用商標についての経緯
請求人である高島二郎は、USP5797950号(甲第1号証)に係る前立腺治療器(後述する前立腺、会陰マッサージ器に相当)の発明者である。米国特許の出願後、この特許出願に係る前立腺治療器について、米国での製造・販売を開始し(甲第2号証の1及び2)、自身が経営するHigh Island Health LLC(以下「HIH社」という。)のホームページ(http://www.highisland.com/index.php)を通じ、「エネマグラ」の商標を付した前立腺治療器の製造・販売を行っているものである。この商品についての優れた効果を確認しつつ、米国特許出願を基礎とし、日本において特許出願をした。
1998年(平成10年)8月頃、大阪府枚方市で三牧ファミリー薬局を経営する被請求人を知り、日本での販売を行うため、被請求人と共にインターネットを通じての宣伝を開始し、同年10月30日に、被請求人は、前立腺、会陰マッサージ器の販売のためのホームページを立ち上げた。甲第3号証の1ないし7は、請求人と被請求人との問の電子メールによる通信記録であり、アンケート調査を経て、販売用のホームページ開設に至るまでの双方間のやり取りが記録されている。ここでは、請求人の製造に係る前立腺治療器が前立腺、会陰マッサージ器として販売され、その名称を「エネマグラ」とすることが決定した。同時に、モニター募集のためのアンケート(甲第4号証)を実施し、その回答者の中から20名程度を選び、これらの者に商品を無償で配布して実際の使用効果についての感想を集めた。甲第5号証に示すように、このアンケートに基づく使用効果をインターネット上に掲載することを請求人が提案し、その実施は絶大な宣伝効果を生み出した(甲第17号証)。なお、被請求人が経営する三牧ファミリー薬局のホームページ(甲第6号証)において、エネマグラの宣伝のキャッチフレーズとして使用している「三牧ファミリー薬局は真剣です・・」のうたい文句から始まる宣伝文及び使用法等のインストラクションの全ては、請求人が被請求人に与えたものである。
1999年(平成11年)3月頃、請求人は多くの試作品から得た情報を基にして優れた特徴を備えた量産品として「エネマグラ EX」を開発し、日米両国において販売を開始するや否や一気に販売量が増加した。このようなタイプの前立腺、会陰マッサージ器は、世界でも前例のないものであったため、発売から約1年の期間で急速に需要者の間に広まり、「エネマグラ EX」は、現在、世界的なスタンダード商品となっている。
ところが、1999年(平成11年)9月頃、被請求人は、請求人が製造・販売する前立腺、会陰マッサージ器のうち、商標名「エネマグラ EX」と「エネマグラドルフィン」の特徴を備えた模倣品に「エネマグラドルフィンEYE」なる商標を付した商品の製造・販売を請求人の許可を得ることなく開始した。さらに、同年12月には、請求人の「エネマグラ EX」そのものの模倣品に「エネマグラ EX」なる商標を付した商品の製造・販売を、これも請求人の許可を得ることなく開始した。この「エネマグラ EX」、「エネマグラドルフィンEYE」なる商標が付された商品(模倣品)は、現在でも被請求人の主力商品の一つであり、同時に、「エネマグラ EX」(真正品)は、請求人にとっても主力商品の一つである。
真正品と模倣品の双方が「エネマグラ」の商標の下で取引されていることは、甲第17号証(66頁13行ないし15行)に「・・・市場に流通するエネマグラには『正規品』と『そうでない怪しげなもの』の2種類が存在するのだという。・・・」との記載から明らかである。
これ以降、被請求人は、請求人から商品を全く購入しなくなった。また、請求人は、被請求人に対し、模倣品の製造・販売を中止するよう再三、申し入れをしたにもかかわらず、被請求人は、模倣品の製造・販売を止めなかったため、請求人は、被請求人(有限会社光漢堂の代表者 三牧剛太郎)に対して、被請求人の模倣品の製造・販売行為は、不正競争防止法第2条第1項第3号の不正競争行為に該当する旨の警告書を送付し、さらに、その後、2000年(平成12年)4月10日に抗議文を送付している(甲第7号証)。そして、同年9月6日に、請求人は、被請求人に対して不正競争行為(不正競争防止法第2条第1項第3号)を理由として、模倣品の製造・販売の中止等を求める民事訴訟を提起したが、その訴訟の継続中の同年11月16日に、被請求人は、無断で本件商標についての商標登録出願を行った。
上記のような状況から、請求人は、日本での販売を被請求人を通じて行うことを断念し、同年2月頃、日本国内での「エネマグラ」の商標を付した前立腺、会陰マッサージ器の販売を千葉県在のパインズ社(ThePines社)に委託することにした。請求人は、米国HIH社のエネマグラEXを始めとする数種類の商品を、パインズ社を通じて現在まで日本国内において販売してきた(甲第8号証)。
(2)被請求人が使用している商標(以下「被請求人使用商標」という。)及び本件商標について
被請求人が製造・販売している商品(甲第11号証の1、甲第12号証の1及び甲第14号証の1)のパッケージの右下には、「エネマグラ(○の中にRの記号)は有限会社光漢堂の登録商標です。」と記載されている。また、甲第11号証の1等の被請求人の販売する商品に添付されている使用説明書(甲第19号証)においても、前立腺マッサージ器について「エネマグラ」の商標が使用されている。
さらに、被請求人の三牧ファミリー薬局のホームページのエネマグラ(甲第6号証)のサイトにも前立腺、会陰マッサージ器を紹介するページがある。このページではパッケージに収納された状態の商品写真が掲載され、この商品写真の下には「エネマグラ EXソフトタイプ」、「エネマグラ EX2ソフト」等の文字が記載されている。
以上のことから、被請求人は、「前立腺、会陰マッサージ器」について、「エネマグラ」なる商標を使用しているものと認められる。
一方、本件商標は、「ENEMAGRA」の文字を一連一体に表してなるものであるから、「エネマグラ」の称呼が生じる。
そうとすれば、被請求人使用商標と本件商標とは、外観を異にするものではあるが、互いに類似する商標であり、被請求人使用商標が使用されている「前立腺、会陰マッサージ器」は、本件商標の指定商品中の「医療用機械器具」に属する商品である。
したがって、被請求人は、本件商標の指定商品に含まれる商品について、本件商標に類似する商標の使用をしているものと認められる。
(3)請求人が使用している商標(以下「請求人使用商標」という。)及び使用商品について
請求人は、1999年(平成11年)3月頃から、米国HIH社製の「エネマグラ EX」を始めとする数種類の商品を被請求人が経営する三牧ファミリー薬局のホームページ等で販売した(甲第3号証の1ないし7)。その後、被請求人が模倣品の製造・販売を開始したため、三牧ファミリー薬局のホームページでのHIH社製の商品の販売が不可能となり、2000年(平成12年)2月頃から、日本国内における「エネマグラ」の商標を付した前立腺、会陰マッサージ器の販売をパインズ社を通じて、現在まで販売してきた(甲第8号証)。
請求人が、現在まで自己の製造に係る商品「前立腺、会陰マッサージ器」に使用してきた商標は、一貫して「エネマグラ」又は「ENEMAGRA」である。甲第9号証(フリー百科事典「ウィキペディア」)の「エネマグラ」の項には、「日本ではエネマグラジャパン/THE PINES STORE(パインズ)が総輸入・発売元となり、エネマグラ及びアネロスという名称で売られている。」との記載がある。
(4)他人の業務に係る商品との混同について
(ア)請求人使用商標の周知性
請求人の発明に係る「前立腺、会陰マッサージ器」は、従来にない特異な機能と形態を備えていたため、需要者の興味をそそり、インパクトが強く印象に残りやすいものであり、請求人使用商標及び請求人が製造する使用商品が需要者に認識されるまでの期間は極めて短かったといえる。
そして、前述したとおり、被請求人に対する差止請求訴訟(不正競争防止法第2条第1項第3号)において、模倣品の販売個数の報告を求められた被請求人は、1999年(平成11年)9月から2000年(平成12年)10月5日までの販売個数が2541個であったと報告しているが、約1年間の販売個数としては決して少なくはない。この数字は、模倣品の販売個数ではあるが、需要者は真正品と誤認して購入しているため、この販売個数からもたらされる「エネマグラ」の周知性は、請求人(HIH社)の商品の信用に基づいて獲得されたものというべきであり、この販売個数からすれば、請求人使用商標は、この当時、既に相当程度の周知性を獲得していたと判断するのに十分である。被請求人との共同による販売ルートが閉ざされた当初は、請求人の日本での販売体制が確立されなかったが、その後、前述のパインズ社経由による請求人の日本での販売(インターネット経由の通信販売)が開始された。
(イ)商品の品質の誤認又は商品の出所の混同について
請求人の会社が1999年(平成11年)3月に完成させたHIH社の「エネマグラ EX」の真正品(甲第10号証の1)には、「HIH Made In USA PAT N0.5797950」(請求人会社の頭文字及び請求人が所有する甲第1号証に示す米国特許番号)が刻印されており(甲第10号証の2)、それ以降、HIH社の真正品には上記刻印が付されている。
一方、被請求人は、当初、請求人と共同してHIH社が製造した商品(真正品)を販売していたが、1999年(平成11年)9月以降、一転して模倣品のみを販売するようになった。そして、その模倣品にも、真正品のものと酷似した「HIH PAT.NO.5797950」の刻印が存在する(甲第11号証の1、2、甲第12号証の1、2)。これらのパッケージの左上方には「KOKANDO」の英文字があり、かつ、右下に「エネマグラ(○の中にRの記号)は有限会社光漢堂の登録商標です。」の記載があることから、これが被請求人の製造・販売に係る商品であることは明らかである。
また、甲第13号証の1、2は、請求人が別途人手した「エネマグラ EX」の模倣品の写真であり、模倣品の使用説明書(甲第19号証)の左欄の13行目ないし14行目には「(アメリカでは充満前立腺液絞出器として特許をうけた製品です)」との記載も認められる。更に、「K PAT.No5797950 U.S.A」の刻印が付された模倣品もある(甲第14号証の1、2)。更に、甲第20号証は、模倣品を製造した株式会社ルッツが作成した設計図であり、この設計図には、品名の欄に「エネマグラ プロステイヤー」の片仮名文字が記載されており、この文字に対応すると思われる「Enemagra Prostater」の文字が甲第11号証の1、甲第12号証の1等に示すように模倣品に付されている。そして、上記の設計図中には、製造する模倣品に「HIH PAT.NO.5797950」の刻印が付されることが明示されている。
以上のように、被請求人は、自己の商品(模倣品)に、請求人の商品(真正品)と紛らわしい表示を付すことで、積極的に虚偽の出所表示を行っていることは明白である。被請求人は、正式に販売を開始した1998(平成10年)10月から1999年(平成11年)9月までは真正品を販売し、それ以降現在まで模倣品を販売しているのであり、販売開始から約1年が経過したところで、突然、製造・販売する商品を真正品から虚偽の出所表示を付した模倣品にすり替えた格好である。このような経緯であるため、需要者は、被請求人が継続して真正品を提供していると信じるのが道理であり、ましてや、HIHの表示や請求人の所有する米国特許番号の刻印があれば、商品の出所の混同及び商品の品質の誤認が生じるのは必然である。
加えて、模倣品は、仕上げが悪く表面にバリ(継ぎ目)があるので、粘膜を傷つけるおそれがある点で真正品よりも品質が劣るものである(甲第17号証)。
上記のような被請求人の行為は、請求人が真正品に関して蓄積した信用の上にただ乗りすると共に、請求人の商標を希釈化させ、その蓄積した信用を著しく傷つけるものである。しかも、被請求人は、真正品であるように見せかけて品質の誤認、出所の混同を積極的に生じさせており、需要者の不利益が生じることを認識した上で、被請求人使用商標「エネマグラ」の使用を継続しているのである。
(5)故意について
上記経緯から、被請求人は、請求人の商標及び商品を知悉していることは明白であり、商品の品質の誤認又は他人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせることを積極的に意図していることは明らかである。
よって、被請求人は、故意に、本件商標に類似する商標を商品「前立腺、会陰マッサージ器」に使用するものであり、その使用は、商品の品質の誤認又は請求人の業務に係る商品と混同を生じさせるものである。
(6)まとめ
以上のように、被請求人による本件商標に類似する「エネマグラ」なる商標の使用は、請求人が本件商標の出願前から前立腺マッサージ器について使用している商標「エネマグラ」及び「ENEMAGRA」と同一若しくは類似する商標の使用と認められ、商品の品質の誤認又は他人(請求人)の業務に係る商品と混同を生ずることになる。
よって、本件商標の登録は、商標法第51条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本審判請求に関しては「故意」の要件を具備していない旨反論している。
しかしながら、被請求人は、当初は真正品を約1年間にわたり販売していた事実があり、その後、1999年9月頃から被請求人自身が製造する模倣品を販売するようになったが、その模倣品にも真正品とほぼ同一の位置に「HIH」の文字及び米国特許番号が付されている。真正品の証である「HIH」の文字及び米国特許番号を付した模倣品を製造・販売することは、真正品との間で混同を生じさせようとする被請求人の積極的な意図の表われでしかなく決して容認されるものではない。
このような状況では、取引者・需要者は、これを真正品であると誤解するか、又は、HIH社と何らかの組織的又は経済的な関連がある者の商品であり、HIH社から正規にライセンスされた商品であると認識するのが通常である。
また、甲第21号証は、被請求人が商標「ENEMAGRA」を使用する「前立腺快癒器」を販売するために開設した2000年(平成12年)当時のホームページの写しであるが、既に模倣品のみを販売していた時期であるにもかかわらず、「米国製前立腺快癒器」、「U.S.特許番号 USP5797950、世界各国へ特許出願中」とあり、また、「DOLPHINE BIGはENEMAGRA.COM(Houston)から直接購入も可能です」との記載がある。したがって、これらを見た需要者等は、被請求人のホームページから米国における特定人の商品が販売されているか、又は、少なくとも米国の特定人と組織的又は経済的に関係を有している者の商品が販売されているものと誤認するから、他人の業務に係る商品と混同を生ずることは論をまたない。
上記のような事情に照らせば、被請求人は、他人の業務に係る商品と混同を生じさせようとする積極的な意図を有していると理解されても仕方なく、「混同が生じるであろう」との認識があること、すなわち「故意」があることは客観的に明らかである。
(2)被請求人は、請求人の使用する商標「エネマグラ」には周知性が認められないので出所の混同は生じない旨主張している。
しかし、商標法第51条第1項の規定では、「他人の業務に係る商品」の商標が需要者等に広く知られていること(周知であること)は、商標登録の取消の要件とはされておらず、商標権者が「他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたのか否か」が問題とされる。仮に、請求人の商標「エネマグラ」が周知といえる程度まで需要者等に広く知られていなかったとしても、本事件では、被請求人は、極めて紛らわしい商品を市場に流通させ、両商品が現実に存在し、需要者等にとっては真正品と模倣品との区別がつかない状況が生じているのである。
また、被請求人は、商標「エネマグラ」が付された商品は被請求人の業務に係る商品であると認識されるものであって、請求人の業務に係る商品であると認識されることはない旨主張している。
しかし、前述の甲第21号証における記載からも理解できるように、需要者は、商標「エネマグラ」を付した商品は、米国が出所源である商品を被請求人が販売していると認識するのである。換言すれば、需要者等は、請求人が経営するHIH社まで具体的に特定して認識するとは限らないが、他人である一定の出所を認識することは明らかである。このことからも、商標法第51条第1項の「他人」である請求人の商標「ENEMAGRA」ないし「エネマグラ」には保護に値する充分な信用形成がされているといえる。
かかる状況下では、需要者が被請求人の商品を真正品(正規のライセンス商品と認識する場合を含む)であると誤認して購入するケースが後を絶たず、購入後もそれが模倣品であることに気付かない例も少なくない。このことは、甲第17号証においても指摘されているとおりである(66頁16行目ないし67頁4行目等)。
よって、被請求人が商標法第51条第1項に規定する「他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをした」との要件は確実に満たされているものである。
(3)被請求人は、仮に被請求人の商品が真正品をまねた商品であったとしても、被請求人の出所である「光漢堂」の表示が正しく表示されているのであるから、不正な商標の使用とは認められない旨主張している。
しかしながら、被請求人は、当初は真正品を販売していたのであり、その後突然、真正品の形態をデッドコピーした模倣品の販売を開始し、模倣品には真正品と同様の「HIH」の文字や真正品の特許番号を極めて紛らわしい態様で付しているのである。このような事情からみれば、需要者等は、光漢堂が米国における一定の出所(HIH社)と組織的又は経済的に何らかの関連を有している者であるかの如く誤認するものである。被請求人は、模倣品について、そのような関係にある者の業務に係る商品であると誤認させることを意図しているのであり、その結果、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは上述したとおりである。
よって、たとえ模倣品について出所が正しく表示されていても、商品の出所の混同を生じさせる不正な商標の使用がされていることに変わりはない。
(4)請求人と被請求人との間では、請求人が製造したHIH社製の真正品を、日本において被請求人が販売する合意があった。請求人は、被請求人が共同して、日本においてHIH社の商品(真正品)を販売するからこそ、「エネマグラ」の商標の使用を被請求人に許可したのであり、当然ながら、模倣品について使用することを許可した訳ではない。
請求人は、仮に、被請求人と共同で、日本国内においてHIH社製の真正品を販売する状況が継続していたとしても、「ENEMAGRA」、又は、これに類似する「エネマグラ」の商標を、被請求人のみが独占的に使用できることを直ちに許容するわけはなく、これらの商標の出願・登録について、どのような扱いにするか、両者間において充分な協議がされるべきであった。請求人は、被請求人と共同で、日本国内においてHIH社製の真正品を販売していた時期(1998年10月から1999年9月)においても、被請求人に対して本件商標の出願・登録を認めたことはない。
また、請求人は、上述のように、被請求人が、請求人の意図に反して模倣品を製造・販売するようになった本件商標の登録出願時には、被請求人と係争中であり、本件商標「ENEMAGRA」について登録を得ることを、被請求人に対して認めることはあり得ない。
被請求人が主張するように、請求人が「関心を示さなかった」ように理解したとしても、本件商標について商標登録出願をすることに関して請求人の了解を得ていないことに何ら変わりはない。また、「被請求人の自由にしてよい」というのは、まさに被請求人側の勝手な解釈である。いずれにせよ本件商標に関する出願・登録は、被請求人側の一方的な行為に基づくものである。

第3 被請求人の答弁(要旨)
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む)を提出した。
商標法第51条に規定する取消審判における取消要件のうち、争点となる要件について答弁する。
1 「故意に」の要件について
本条でいう「故意」とは、一般に、請求人の使用に係る商標を単に知悉しているだけでは足りず、誤認混同を生ずることをも認識・認容していることを要すると解されている。
そして、被請求人は、請求人の使用に係る商標を知悉していることを認めるにやぶさかではないが、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせているとの認識はなく、混同が生じ得るであろうとの認識もない。混同が生じるというためには、後述のとおり、請求人の使用に係る商標が周知である等の事情が必要であると解されるところ、そのような事態に至っているとは到底認められないからである。
したがって、本審判請求は、「故意に」の要件を具備しない。
2 「他人の業務と混同を生ずるもの」なる要件について
「他人の業務と混同を生ずる」というためには、他人の業務に係る何らかの標識が存在することが前提となるところ、本件においては、請求人が使用する商品「前立腺治療器」に使用されている商標「エネマグラ」が当該他人の業務に係る標識に該当する。
(1)請求人の使用に係る商標の周知性
請求人の使用に係る「エネマグラ」が請求人自身が経営するHIH社の「前立腺、会陰マッサージ器」に係る商品であると広く知られているとは到底認められない。
請求人の使用に係る商標が周知であるというためには、請求人自身の商品の販売時期・販売数量・広告宣伝方法・マーケットシェア等、客観的に検証可能な事実の立証を要すること論をまたない。しかしながら、請求人は、かかる事実を全く立証していない。請求人の使用に係る商標が周知であることの根拠として請求人が主張しているのは、インターネットを通じてのモニター募集等において需要者の反応が強かったこと(甲第5号証)及び別訴不正競争行為に関する民事訴訟において被請求人が報告した販売個数のみである。
さらに、下記の点において、請求人の主張は事実に反するものである。
(ア)アンケートに基づく宣伝効果について
請求人は、「前立腺マッサージ器」の応募モニターに対してアンケートを実施し、当該実施されたアンケートに基づく使用効果が絶大な宣伝効果を生み出したのは請求人の功績であるかの如く主張している。しかしながら、このような宣伝効果を生み出したのは請求人の功績によるものではない。
被請求人は、請求人の業務に係る商品である「前立腺マッサージ器」を販売することを請求人から委ねられ、当該商品について商標「エネマグラ」及び商標「ENEMAGRA」の使用を開始した。乙第1号証の1ないし6は、「前立腺マッサージ器」のアンケート調査、販売方法に関して、被請求人と請求人が行った電子メールでのやりとりの通信記録である。
この通信記録により、日本におけるアンケートは被請求人の名において実施されたものであることが認められる。特に、請求人が用意したアンケートの内容を被請求人に伝える電子メール(乙第1号証の5)では、アンケートの送付者は被請求人の経営する三牧薬局に設定されており、アンケートは被請求人の名で行うことを請求人は了解し、このときに既にアンケートの回答フォームが被請求人によって被請求人のホームページ上に作製されたことが請求人に伝えられている。
このようにアンケートにおける貢献は、そのほとんどが被請求人によるものであり、請求人の功績はほとんどないということができる。
(イ)請求人の貢献について
請求人は、被請求人の販売個数から、1999年から2000年当時、請求人の販売方法及び努力により、相当程度の周知性を獲得していたと判断できる旨主張している。
しかしながら、商品の販売に当たり、商品の使用方法について商品提供者が商品販売者に説明することは商習慣上当然のことである。また、モニター用のアンケートの方法、宣伝文についてのインストラクションが商品提供者から商品販売者にあったとしても、特段の貢献といえるものではなく、このこと自体が周知性の獲得に寄与することはない。
請求人の主張によれば、1999年3月頃から日本において被請求人が経営する三牧ファミリー薬局のホームページを通じて「エネマグラ」の商標を使用して販売したが、その後2000年2月頃から日本の総輸入・発売元であるパインズ社を通じて「エネマグラ」の商標を付した商品を現在まで販売してきたということである。
そうとすれば、請求人が周知になったと主張する1999年から2000年当時、「エネマグラ」又は「ENEMAGRA」の商標を付した商品の販路を形成したのは被請求人である。また、請求人が少なくないとして指摘する1999年9月から2000年10月までの間の販売個数は、被請求人の販売個数であって、請求人が周知性を獲得した根拠となり得るものではない。
以上のように、請求人の販売方法と努力により周知性が獲得されたとの請求人の主張は失当である。
(ウ)被請求人の業務に係る商品であるとの需要者の認識
上記で述べたように、請求人が指摘するところのアンケートの実施も被請求人によって実施されたものであり、そのアンケート結果も被請求人によって公開されたものであるから、当該アンケートによって、商標「エネマグラ」が請求人の業務に係る商品「前立腺マッサージ器」を示すものとして周知になったとは到底認められない。
また、該商品・商標が日本においてアンケート応募者に認識されたとしても、それは被請求人の名において行われたものであって、被請求人の業務に係る商品であると認識されたものであり、HIH社の業務に係る商品を示す商標であるとして認識されることはない。
請求人は、自身が経営するHIH社のホームページを通じ、「エネマグラ」の商標を付した前立腺治療器の製造・販売を行っている旨主張している。 しかしながら、当該ホームページでは、請求人は「Prostate」という販売名で販売を行っており、当該ホームページ上での取扱商品を示す「Shop Online」のページを見ても、商標「ENEMAGRA」を使用して販売している事実は見られない(乙第3号証)。
被請求人は、三牧ファミリー薬局のホームページを通じて販売を開始し、請求人がパインズ社を通じて販売を開始した2000年2月以降も、「エネマグラ」及び「ENEMAGRA」の商標を付した商品「前立腺マッサージ器」を継続して販売してきた(甲第6号証)。そして、甲第6号証の内容を見ても、商標「エネマグラ」が付された商品が請求人の業務に係る商品であることが分かる旨の表記はない。
そうすると、当該ホームページに接した需要者は、「エネマグラ」又は「ENEMAGRA」の商標が付された商品は、被請求人の業務に係る商品であると認識するものであって、請求人の業務に係る商品であるとは認識することはないものというのが相当である。
なお、請求人は、量産品として「エネマグラEX」を開発し、日米両国において販売を開始した旨主張しているが、1999年9月当時、請求人は、米国において「Pro-State」として販売するのみで(乙第4号証)、日本においては、被請求人を通じて販売されるのみであった。
(2)具体的混同の有無
請求人は、被請求人の商品にも「HIH」及び請求人の所有する米国特許番号の刻印があるので、請求人の商品と出所の混同及び商品の品質の誤認が生じるのは必然であり、請求人の使用商標の周知度を問題にするまでもない旨主張している。
しかしながら、商標は出所の表示機能を果たすものであって、仮に、商品自体が真正品をまねた商品であったとしても、特許権侵害等の問題は別として、商標が付された商品の出所として正しく表示されている限り、不正な商標の使用とは認められないことは論をまたない。包装された商品自体に未登録商標であり周知性を獲得しているとの証左もない「HIH」の刻印が付され、米国特許の表示が付されていても、需要者等がその商品に付された「HIH」の刻印や特許表示を認識することは極めて希であり、商品の包装等に付された商標を頼りに購入することが一般的である。
請求人は、需要者は真正品と誤認して購入している旨主張しているが、この主張は、甲第17号証の記載を根拠にしているものにすぎず、当該証拠方法以外に被請求人の商品を需要者が真正品と誤認して購入したとか、「エネマグラ」がHIH社の商標であるとの周知性が獲得されているとの事実は示されていない。しかも、甲第17号証として提出されたインタビュー記事における被インタビューアーであるS氏は、請求人が日本における総輸入・発売元として指定したパインズ社の社長である(乙第5号証)。S氏は、「エネマグラ」の由来に関し、S氏自身が提案したかの如く回答しているが全くのでたらめである。この点については、請求人と被請求人との間で交わされた電子メールの通信記録(乙第6号証の1ないし3)によれば、両者の取引開始直後、請求人は当該商品について「Pro-State」という商標を使用しており、日本での名称はまだ決まっていなかったところ、被請求人の発案により商標「エネマグラ」が決定され、請求人も被請求人によるものであることを認めている。さらに、S氏は、あたかもS氏自身が1998年ないし1999年頃にアンケートを実施し、インターネットでものすごい反響が返ってきたと述べているが、これも請求人と被請求人との間の通信記録(乙第1号証の1ないし6)に基づく事実と合致しないものである。
このように、甲第17号証の記載は事実と異なることを請求人自身が熟知しているはずであり、このような信ぴょう性のない甲第17号証を根拠として、請求人の業務に係る商品と被請求人の業務に係る商品が混同されていると主張すること自体、請求人の主張そのものの信頼性がないことを十分窺わせるものである。
また、被請求人は、角枠が付された商標「ENEMAGRA」について、2001年4月20日に商標登録を受けており、2001年12月28日には本件商標登録を受けている。そうすると、2000年2月頃から使用を開始したパインズ社の商標「エネマグラ」は、上記登録商標に類似する商標である。被請求人は、上記登録商標の使用許諾を請求人に与えたことはない。パインズ社は、請求人の総輸入・発売元であるが、仮に、被請求人が請求人に対し暗黙の使用許諾を認めたかのような事情があったとしても、請求人にはさらに第三者に使用許諾を認める権限はなく、総輸入・発売元であるパインズ社は、商品「前立腺マッサージ器」について、「ENEMAGRA」を正当に使用できる権限がないことは論をまたない。
そうとすれば、パインズ社は、商品「前立腺マッサージ具」について、上記登録商標と類似する商標「エネマグラ」を商標権者である被請求人の許諾なく使用しているにすぎず、被請求人が請求人の業務に係る商品と具体的な混同を生じさせているとは認められない。
3 「商品の品質の誤認」なる要件について
請求人は、被請求人の商品は仕上げが悪く表面にバリがあるので、粘膜を傷つけるおそれがある点で真正品よりも品質が劣る旨主張している。
しかしながら、商標法第51条第1項に規定する品質誤認は、品質の劣悪を含むものでないと解される。したがって、仮に、粗悪な品質であると認識させるとしても本項に規定する品質誤認に該当しない。もとより、被請求人は、これまで多数の商品を販売しているが、需要者からは請求人が述べるような品質についての苦情はない。
4 考慮すべき特段の事情
請求人は、請求人が提起した不正競争防止法に基づく訴訟の提起後に、被請求人が無断で本件商標を出願した旨主張しているが、そのような事実はない。
確かに、本件商標の出願日は2000年11月16日であり、該訴訟の提起日よりも後である。しかしながら、「ENEMAGRA」を含む商標は、それよりも前の同年4月3日に商標登録出願され、商標登録第4468398号として登録されている。また、被請求人は、請求人に無断で出願したものでもない。乙第8号証の1ないし4は、日本における商標権の取得に関して両者が行った電子メールでのやりとりの通信記録である。
被請求人は、両者の取引開始直後、請求人は当該商品について「Pro-State」という商標を使用しており(乙第6号証の1)、日本において商標をどのように扱うかは被請求人に委ねられたものと理解していた(乙第6号証の3)。その後、「エネマグラ」の名称が付された「前立腺マッサージ器」が被請求人を通じて市場に広がっていくが、被請求人は商標「エネマグラ」について商標登録がなされていないことを心配して、1999年7月15日付けで被請求人から請求人に対し、商標登録をする旨の意向を伝えている(乙第8号証の1)。その後、同年7月21日付けで、再度、商標登録をすべき旨の打診を行い(乙第8号証の2)、さらに同年8月4日付けで、追伸として「エネマグラの商標登録を今週中にしておきます。」と請求人に対して伝えている(乙第8号証の3)。
上記やりとりの後、請求人は、被請求人に対し、同年8月14日付けで「現在まだ日本では特許申請中であっても米国ではすでに特許(米国は早い)下りているので、この製品の特許侵害があった場合、日本に於いては知的所有権侵害で生産の差し止め及び損害賠償ができるし、米国からは民事訴訟送達を行い米国裁判所に召喚することが出来ますので他の業者に先駆けされるおそれはありませんので心配ご無用です。・・・」と述べ(乙第8号証の4)、知的財産権については十分に保護されている旨の認識はしているものの、被請求人からの再三にわたる商標登録に関する問い合わせに対して、商標登録はどのように取り扱ってもよいとの態度を示している。
このような状況下、被請求人は、請求人に対して商標登録出願をする旨の通知(乙第8号証の3)を行ってから遅れること約8ヶ月後の同年2000年4月3日付で商標登録出願(商願2000-33949号)を行った次第である。
このように、請求人は、商標の取り扱いに特段の注意を払うこともなく、また、商標登録を行うことについて何ら関心を示さなかったことからも、日本における商標「ENEMAGRA」の取り扱いは被請求人の自由にしてよいものと被請求人は理解し、その上で商標登録出願したものである。このような事情があるので、請求人に無断で登録したと言われるべき筋合いのものではない。
5 結語
上述のとおり、本件商標の商標権者たる被請求人は、故意に、指定商品についての登録商標「ENEMAGRA」に類似する商標「エネマグラ」を使用することにより、請求人の使用に係る商品の品質の誤認又は他人たる請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたとは認められない。
したがって、本件商標登録は、商標法第51条第1項により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
商標法第51条第1項は、「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であって商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。 そこで、被請求人(商標権者)による商標の使用が商標法第51条第1項に規定する要件に該当するか否かについて検討する。
1 本件審判事件に至った経緯について
本件審判事件に至った経緯は、概略以下のようなものであったものと認められる。
(ア)請求人は、1998年8月25日に米国特許(5797950号)を受けた前立腺治療器の発明者(甲第1号証)であり、自身が経営するHIH社(High Island Health LLC)のホームページを通じて、該前立腺治療器の販売を行っていた(甲第9号証、甲第17号証、乙第3号証等)。
(イ)1998年(平成10年)8月頃、請求人は、三牧ファミリー薬局を経営する被請求人を知り、日本で「前立腺・会陰マッサージ器(前立腺治療器の副次的効果が注目され性具としての性格が強くなっている。例えば、甲第9号証参照)」の販売を行うため、インターネットを通じて販売開始のための打ち合わせを開始した(両者間の電子メールによる通信記録は、甲第3号証の1ないし7、乙第1号証の1ないし6、乙第4号証、乙第6号証の1ないし3及び乙第8号証の1ないし4)。両者は、モニター募集のためのアンケート等を実施し(甲第4号証、甲第5号証)、該商品の名称を「エネマグラ」とすることとし、同年10月30日に、被請求人は該商品の販売のためのホームページを立ち上げた(甲第6号証は、被請求人のホームページであるが、これは2009年11月5日付けで打出されたものである。)。
(ウ)1999年(平成11年)3月頃、請求人は、多くの試作品から得た情報を基にして量産品として「エネマグラ EX」を開発した(甲第10号証の1及び2)。
(エ)被請求人は、1998年(平成10年)10月から1999年(平成11年)9月までは、請求人の製造に係る商品を販売していたが、それ以降は、被請求人自身が製造する商品に「エネマグラ」等の商標を付して販売するようになり、現在に至っている。
(オ)請求人は、被請求人に対し、被請求人の製造する商品の製造・販売を中止するよう再三申し入れたが、被請求人は製造・販売を止めなかったため、2000年(平成12年)4月10日に、被請求人に対して、被請求人の行為は不正競争防止法第2条第1項第3号の不正競争行為に該当する旨の警告書を送付し(甲第7号証)、同年9月6日に、被請求人に対して、被請求人商品の製造・販売の中止等を求める民事訴訟を提起した(事件番号は明らかにされておらず、その後の経緯も不明である。)。
(カ)請求人は、日本での販売を被請求人を通じて行うことを断念し、2000年(平成12年)2月頃、「エネマグラ」の商標を付した「前立腺・会陰マッサージ器」の販売を千葉県在のパインズ社(ThePines社)に委託し(甲第8号証)、現在に至っている。
(キ)本件商標の出願よりも前の平成12年4月3日に商標登録出願された登録第4468398号商標は、正方形内に「ENEMAGRA」の欧文字を横書きしてなり、第10類「医療用機械器具,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,耳栓,医療用手袋,家庭用電気マッサージ器,しびん,病人用便器,耳かき」を指定商品とするものである(乙第7号証)。
(ク)被請求人は、平成12年11月16日に本件商標の出願を行い、本件商標は同13年12月28日に設定登録された。
(ケ)請求人は、平成21年11月27日に本件審判の請求を行った。
2 商標法第51条第1項の各要件についての検討
次に、商標法第51条第1項の各要件について検討する。
(1)本件商標と被請求人の使用商標・使用商品及びその類否
(ア)本件商標について
本件商標は、前記したとおり、「ENEMAGRA」の欧文字を横書きしてなり、第10類「医療用機械器具,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,耳栓,医療用手袋,家庭用電気マッサージ器,しびん,病人用便器,耳かき」を指定商品とするものである。
(イ)被請求人の使用商標について
被請求人の使用に係る商標(当審の判断の項においても「被請求人使用商標」という。)は、甲第6号証(被請求人が経営する三牧ファミリー薬局のホームページ 2009年11月5日打出し)に示されているとおりの商標であり、その態様は、「エネマグラ」の片仮名文字からなる商標、「Enemagra」の欧文字からなる商標及び篭文字で表された「ENEMAGRA」の欧文字からなる商標である。そして、請求人の主張(審判請求書5頁下から2行目ないし4行目)及び被請求人の主張(審判事件答弁書5頁下から2行目ないし3行目)によれば、被請求人は、これらの商標を、1999年(平成11年)9月以降、被請求人自身が製造する商品について使用していたものと認められる(この当時以前は、請求人の製造に係る商品に「エネマグラ」等の商標を付した商品の販売を行っていたものと認められる。)。そして、その商品は「(前立腺治療器)前立腺・会陰マッサージ器」であり、これは、本件商標の指定商品中の「医療用機械器具」中の「治療用機械器具」の範疇に属する商品と認めて差し支えないものということができる。
(ウ)本件商標と被請求人使用商標との類否について
本件商標及び被請求人使用商標は、上記のとおりの構成からなるものであるところ、被請求人使用商標のうち、片仮名文字の「エネマグラ」と本件商標とは外観を異にするものである。また、それ以外の被請求人使用商標である「Enemagra」の欧文字からなる商標及び篭文字で表された「ENEMAGRA」の欧文字からなる商標と本件商標とは、欧文字の綴り自体は同じではあるが、書体において差異を有するものであるから、これらの商標との関係においても、両者は、外観において差異を有するものである。
しかしながら、本件商標及び被請求人使用商標は、いずれも、それぞれの態様から「エネマグラ」の称呼を生ずるものと認められるから、両者は称呼を同じくするものということができる。
そうとすれば、本件商標と被請求人使用商標とは、互いに類似する商標といわなければならない。
(2)請求人の使用する商標及び請求人が製造する使用商品について
請求人が米国特許に基づいて米国において「前立腺治療器(前立腺、会陰マッサージ器に相当)」について使用していた商標は、「Pro-State」あるいは「Aneros」と認められる商標である(甲第9号証、乙第3号証等)。その後、請求人は、我が国において、1998年(平成10年)10月頃から1999年(平成11年)9月頃までの間、被請求人を通して、請求人の製造に係る「前立腺・会陰マッサージ器」を「エネマグラ」等の商標のもとに販売していたものと推認される。
そして、本件商標の設定登録当時から本件審判の請求に至るまで、請求人が我が国において「前立腺・会陰マッサージ器」の商標として使用していた商標(当審の判断の項においても「請求人使用商標」という。)は、2000年(平成12年)2月頃から千葉県在のパインズ社(ThePines社)を通じて使用していた商標であり、甲第8号証(パインズ社のホームページ 2009年11月5日打出し)に示されているとおりの商標であって、その態様は、「エネマグラ」の片仮名文字からなる商標及び「enemagra」の欧文字からなる商標である。
(3)被請求人使用商標、被請求人が製造する使用商品と請求人使用商標、請求人が製造する使用商品との類否について
上記したとおり、被請求人使用商標は、「エネマグラ」の片仮名文字からなる商標、「Enemagra」の欧文字からなる商標及び篭文字で表された「ENEMAGRA」の欧文字からなる商標であり、請求人使用商標は、「エネマグラ」の片仮名文字からなる商標及び「enemagra」の欧文字からなる商標である。
これらの各商標からは、いずれも「エネマグラ」の称呼を生ずるものと認められ、片仮名文字及び欧文字からなる各商標については、外観においても類似のものであるということができる。
してみれば、被請求人使用商標と請求人使用商標とは、互いに類似の関係にある商標と認められるものである。そして、被請求人及び請求人がそれぞれの商標を使用しているのは、いずれも「(前立腺治療器)前立腺・会陰マッサージ器」である。
(4)他人の業務に係る商品との混同について
(ア)「エネマグラ/ENEMAGRA(Enemagra)」商標の採択の経緯について
請求人は、「請求人である高島二郎は、米国特許5797950号(甲第1号証)に係る前立腺治療器の発明者であり、自身が経営するHIH社のホームページを通じ、『エネマグラ』の商標を付した前立腺治療器の製造・販売を行っている。」旨述べている。
しかしながら、請求人の提出に係る甲第2号証(請求人会社に対する注文書)には「ENEMAGRA」の表示は認められないし、被請求人の提出に係る乙第3号証(請求人が開設しているホームページ)においても、該前立腺治療器器は「Pro-State」の名称で紹介されてはいるが、「ENEMAGRA」の商標が使用されていた事実は認められない。
この点については、請求人の提出に係る甲第9号証(フリー百科事典「ウィキペディア」)においても、「タカシマは1997年に自らHigh Island Health LLC(HIH)社を創業し、この器具をPro-Stateと名付けて製造・販売を開始し、その普及に努めた。・・・前立腺炎治療器具としてPro-Stateが普及し始めると、多くの患者(使用者)から前立腺を刺激することで性的快感を得られるという報告もなされ、今では前立腺オナニー器具としても知られるようになった。2008年現在、一般大衆向け性具としてはHIH社製Pro-Stateがアメリカ合衆国ではAneros社からAnerosという名称で、また日本ではエネマグラジャパン/THE PINES STORE(パインズ)が総輸入・発売元となり、エネマグラおよびアネロスという名称で売られている。」旨記載されており、甲第17号証(株式会社太田出版発行の「エネマグラ教典(2004年8月15日第1刷、2007年5月24日第5刷)」)ににおいても、「エネマグラはもともとアメリカHIH社の製品である。正式名称を『Pro-State』といい、(66頁、67頁)・・・エネマグラという名称は日本だけのもので、諸外国では主に“アネロス(ANEROS)”という名で販売されています。(248頁)」と記載されている。
そして、請求人自身、請求書の中で「1998年(平成10年)8月頃、大阪府枚方市で、三牧ファミリー薬局を経営する被請求人を知り、日本での販売を行うため、被請求人と共にインターネットを通じての宣伝を開始した。そして、同年10月30日、被請求人は、前立腺、会陰マッサージ器の販売のためのホームページを立ち上げた。甲3号証の1ないし甲3号証の7は、請求人と被請求人との間の電子メールによる通信記録であるが、・・・ここでは、請求人の製造に係る前立腺治療器が前立腺、会陰マッサージ器として販売され、その名称を『エネマグラ』とすることが決定した。」と記載している(請求書3頁1行目ないし8行目)。
また、商品の命名についての当事者間のやり取りは、被請求人の提出に係る電子メールによる通信記録にも以下のような記載のあることが認められる。
乙第6号証の1は、1998年8月21日付けで、請求人が被請求人(三牧剛太郎)へ宛てたメールであり、請求人の開発に係る「前立腺、会陰マッサージ器」を紹介するメールである。乙第6号証の2は、上記メールに対して、被請求人が請求人へ宛てた返信のメールであり、「名前がまだありませんね。ENEMAGULA(エネマグラ)というのはいかがでしょう。」とあり、乙第6号証の3は、上記被請求人のメールに対する同月30日付けの請求人の再返信メールであり、「ENEMAGULAはなかなか良い名前だと思いますが、どうせだったらVIAGRAにひっかけてENAMAGRAはいかがでしょうか。いずれにせよ貴殿にお任せいたします。」と記載されている。
以上を総合してみれば、請求人は、米国特許5797950号に係る前立腺治療器(前立腺、会陰マッサージ器に相当)の発明者であり、自身が経営するHIH社のホームページを通じ、該前立腺治療器の製造・販売を行っていたことは認められるが、米国における該商品の名称は「Pro-State」ないしは「Aneros」であり、米国及び諸外国において、「ENEMAGRA」の商標が使用されていた事実を認めるに足る証拠は提出されていない。
そして、「ENEMAGRA」の商標は、1998年8月ないし10月頃の請求人と被請求人との間のメールのやり取りの中で、被請求人の発案(乙第6号証の2)により(請求人の寄与があったことは否定できないが)採択されたものと推認されるところであり、専ら、我が国における該商品の商標として採択されたものと認められる。
(イ)請求人使用商標の周知・著名性について
請求人は、「1999年3月頃、多くの試作品から得た情報を基にして優れた特徴を備えた量産品として『エネマグラ EX』を開発し、日米両国において販売を開始するや否や一気に販売量が増加した。このようなタイプの前立腺、会陰マッサージ器は、世界でも前例のないものであったため、1999年3月の発売から約1年の期間で急速に需要者の間に広まり、『エネマグラ EX』は、現在、世界的なスタンダード商品となっている。」旨及び
「請求人は、米国HIH社のエネマグラEXを始めとする数種類の商品を、パインズ社を通じて現在まで日本国内において販売してきた。」旨述べている。
そして、請求人が提出した証拠のうち、周知・著名性を立証する証拠は、エネマグラジャパン・パインズストアのホームページ(甲第8号証)、フリー百科事典ウィキペディアの記事(甲第9号証)及びエネマグラ教典(甲第17号証)である。
一方、被請求人が経営する三牧ファミリー薬局のホームページ(甲第6号証、乙第2号証)も2009年(平成21年)11月5日及び2010年(平成22年)2月10日に存在しているし、請求人は、三牧ファミリー薬局のホームページを1998年(平成10年)10月30日に立ち上げた旨述べている。また、エネマグラ教典(甲第17号証)には、「まずは通販ショップを捜そうと、Google(検索エンジン)で『エネマグラ』と入力してみた。すると、すごい……。売っている店がたくさんありすぎて、どこで買っていいのか見当もつかない。」(66頁)と記載されている。
このような状況からすると、請求人使用商標が周知・著名であると認めることはできない。
また、請求人は、我が国における「エネマグラ」商標に係る商品の販売状況について、請求人が被請求人に対して提起した差止請求訴訟において、被請求人が1999年(平成11年)9月から2000年(平成12年)10月5日(本件商標の出願前)までに販売した個数である2541個を挙げている。そして、これは、需要者が真正品と誤認して購入していたものであるから、請求人の商品の信用に基づいて販売されたものというべきであり、約1年間の販売個数としては決して少ないものではなく、この販売個数からすれば、請求人使用商標は、この当時既に相当程度の周知性を獲得していたと判断するに十分である旨主張している。
しかしながら、上記2541個の商品は、請求人ないしパインズ社に係る請求人使用商標の使用をしたものではないこと明らかであり、前記のとおり、「エネマグラ」「ENEMAGRA」等の商標は、我が国においてはパインズ社のほかに被請求人等も1998年10月から現在に至るまで継続して使用されていたことが推認できるから、請求人ないしパインズ社の使用に係る商標として、需要者に認識されていたものとういことは到底できない。
加えて、「前立腺・会陰マッサージ器」をはじめとする性具全体の製造・販売数量について、請求人は何らの証拠も提出していないから、該商品の性具全体に占める位置付けを把握することができず、約1年間の販売個数が2541個であったことのみをもって、該商品が請求人ないしパインズ社に係る商標を使用するものとして、この種商品の取引者、需要者の間において広く知られていたものであると認めることはできない。
(ウ)出所の混同について
以上を総合してみれば、請求人使用商標が周知・著名であると認めることはできないものであるが、上記(イ)のとおり、「まずは通販ショップを捜そうと、Google(検索エンジン)で『エネマグラ』と入力してみた。すると、すごい……。売っている店がたくさんありすぎて、どこで買っていいのか見当もつかない。」等の状況にあるものである。
そうすると、需要者は、被請求人使用商標に係る商品が、被請求人が製造する商品であるのか、又は請求人が製造する商品であるのか区別がつかない状況にあるものと認められる。
してみれば、被請求人使用商標と請求人使用商標とは類似のものであり、被請求人使用商標に係る商品と請求人の業務に係る商品も同一のものであるから、被請求人が被請求人使用商標を「前立腺・会陰マッサージ器」なる商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者をして、請求人使用商標に係る商品又は被請求人使用商標に係る商品であるか出所の混同を生ずる場合も否定し得ない。
なお、請求人は、「自社の製品には、請求人の会社の頭文字である『HIH』の文字と米国特許番号である『USA PAT N0.5797950』が刻印されているところ、被請求人の商品にも「HIH」の文字と米国特許番号が表示されており、請求人商品との出所の混同が生じるのは必然である旨主張している。
しかしながら、商標法第51条第1項を適用するに当たっての主要な要件の一つは、商標権者が指定商品についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品に類似する商品についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用をした場合に、商品の品質の誤認又は他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをすることである(要件中の「役務」については便宜上省略した。)。
そうとすれば、本件の場合、被請求人が商品の包装や商品自体に、被請求人使用商標とは別に、「HIH」の文字や請求人の米国特許番号を付したとしても、該表示が商標法第51条第1項に規定されている本件商標に類似する商標の使用に当たるものとはいえず、そのことが他の法律に触れることになるか否かは別にして、少なくとも、同項に規定されている商標の変更使用とは別異のことというべきである。しかも、「HIH」の文字が請求人の業務に係る「前立腺・会陰マッサージ器」なる商品を表示するものとして周知・著名であるとの証拠もなく、該文字や該米国特許番号から直ちに請求人の業務に係る商品を認識し得るものでもない。
したがって、この点についての請求人の主張は採用できない。
(5)商品の品質の誤認について
請求人は、「商品の品質の誤認の点についても、被請求人の商品に『HIH』の文字と米国特許番号が表示されていることを指摘して、商品の品質の誤認が生じるのは必然である旨主張するとともに、被請求人の商品は、仕上げが悪く表面にバリ(継ぎ目)があるので、粘膜を傷つけるおそれがある点で請求人商品よりも品質が劣るものである」旨主張している。
しかしながら、商標法第51条第1項に規定されている「商品の品質の誤認」には、品質を劣悪にして需要者に商品の品質の誤認を生じさせたような場合は適用の対象とはされていない(特許庁編「工業所有権法逐条解説」参照)。
そうとすれば、被請求人(商標権者)は、指定商品についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品に類似する商品についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であって商品の品質の誤認を生ずるものをしたものとはいえない。
また、被請求人の商品に「HIH」の文字と米国特許番号が表示されている点については、前記したところと同様の理由により、請求人の主張は採用できない。
(6)故意について
商標法第51条第1項の規定による取消審判は、ただ単に、類似した商標を有する者との関係を調整する規定ではなく、一般公衆の利益を害するような登録商標の使用をした場合についての制裁規定と解される。そうとすれば、商標登録の適否について審理する無効審判等とは異なり、一般公衆の利益を害するような登録商標の使用の事実の存否が前提となり、これが認定されない限り、仮に請求人の所有又は使用する商標と本件商標とが類似するものであるとしても、それ自体をもって、商標登録を取り消す理由とはなし得ないものである。
そこで、「ENEMAGRA」の商標は、前記2(4)(ア)のとおり、被請求人の発案により採択され、かつ、同(イ)のとおり、被請求人は、1998年10月から現在に至るまで継続して被請求人使用商標を使用しているものと推認される。
また、被請求人使用商標は、前記2(1)(イ)のとおり、その態様は、「エネマグラ」の片仮名文字からなる商標、「Enemagra」の欧文字からなる商標及び篭文字で表された「ENEMAGRA」の欧文字からなる商標である。一方、請求人使用商標は、前記2(2)のとおり、その態様は、「エネマグラ」の片仮名文字からなる商標及び「enemagra」の欧文字からなる商標である。
そして、被請求人使用商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一視し得るものであり、登録商標の使用にあたって通常変更される態様にとどまるというべきものである。
そうとすれば、被請求人使用商標と請求人使用商標とは、称呼を同じくする類似の商標であるとしても、被請求人使用商標は、請求人使用商標に近づけるような態様に変更したわけでなく、また、被請求人の発案により採択されたことを勘案すると、被請求人が請求人使用商標を認識したうえで被請求人使用商標を採択、使用したということはできない。
したがって、被請求人が本件商標と類似する被請求人使用商標をその指定商品に使用するにあたって、商標法第51条第1項に規定する「故意」はなかったものといわなければならない。
(7)その他の請求人の主張について
請求人は、「被請求人の模倣品は、仕上げが悪く表面にバリ(継ぎ目)があるので、粘膜を傷つけるおそれがある点で真正品よりも品質が劣る。このような被請求人の行為は、請求人が真正品に関して蓄積した信用の上にただ乗りするものであり、請求人の商標を希釈化させ蓄積した信用を著しく傷つけるものである。」旨主張している。
しかしながら、本件審判は、商標法第51条第1項による商標登録の取消しの審判であって、品質の劣悪等について審理をする審判ではないから、請求人が主張しているような上記理由は、商標法第51条第1項を適用するための要件に該当するものではない。
したがって、この点についての請求人の主張は採用できない。
3 結び
以上のとおり、被請求人(商標権者)による被請求人使用商標の使用は、故意に、商品の品質の誤認又は他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたと認めることはできない。
したがって、被請求人による被請求人使用商標の使用は、商標法第51条第1項の要件を欠くものというべきであるから、本件商標の登録は、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-08-09 
結審通知日 2010-08-12 
審決日 2010-09-03 
出願番号 商願2000-124113(T2000-124113) 
審決分類 T 1 31・ 3- Y (Z10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 孝 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小畑 恵一
末武 久佳
登録日 2001-12-28 
登録番号 商標登録第4532622号(T4532622) 
商標の称呼 エネマグラ 
代理人 藤田 千恵 
代理人 志村 尚司 
代理人 永田 豊 
代理人 大島 孝文 
代理人 加藤 公延 
代理人 押野 宏 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ