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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30
管理番号 1226510 
審判番号 取消2009-301387 
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-12-21 
確定日 2010-10-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4874997号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4874997号商標の指定商品中、「アイスクリーム凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,糖類を主成分とする粉末状・顆粒状・タブレット状・丸薬状・ゲル状・ゼリー状・固形状の加工食品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4874997号商標(以下「本件商標」という。)は、「グルコ」の文字を標準文字により表してなり、平成16年12月20日に登録出願され、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす,糖類を主成分とする粉末状・顆粒状・タブレット状・丸薬状・ゲル状・ゼリー状・固形状の加工食品」を指定商品として平成17年6月24日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
1 請求の理由
請求人が調査したところ、本件商標の商標権者である被請求人は、正当な理由なく、継続して3年以上日本国内において、本件商標を第30類に属する指定商品「アイスクリーム凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,糖類を主成分とする粉末状・顆粒状・タブレット状・丸薬状・ゲル状・ゼリー状・固形状の加工食品」に使用していない。また、商標登録原簿を確認してみても、専用使用権者及び通常使用権者の登録はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、上記指定商品についての登録を取り消すべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人は、通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において本件商標を使用している旨、証拠を挙げて主張しているので、以下反論を述べる。
(1)通常使用権者との関係について
被請求人は、第三者であるサントリーウエルネス株式会社(以下「サントリー社」という。)が通常使用権者であると主張している。
しかし、答弁書に添付された「通常使用権許諾確認書」(乙第39号証)を見ても、被請求人の発行に係る書面であって、その内容にしても被請求人が一方的に通常使用権者の存在を宣言しているものにすぎず、第三者であるサントリー社との意思の合致の下、適法に通常使用権許諾契約が締結された事実を確認することができない。
よって、被請求人による主張及び証拠によっては、通常使用権者の存在は、なお不明であるものと考える。
(2)使用商標について
(ア)仮にサントリー社が通常使用権者に該当したとしても、同社による「グルコ」の語の使用が、「本件商標の使用」に該当するかについては、疑問を呈さざるを得ない。
すなわち、被請求人は通常使用権者による本件商標の使用証拠として、乙第1ないし第36号証を提出しているが、これらは、ほぼ同一内容に係る新聞広告及び新聞折込チラシである。
(イ)商標について
ここで、被請求人が「本件商標の使用」と主張する箇所に注目してみると、「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」との表記態様となっており、商標使用者も単に「グルコ」ではなく、「サントリー グルコ」全体としての称呼を求めている意図が読み取れる。
さらに、商標と解される部分について注目してみても、「サントリー グルコ」とわざわざ鉤括弧まで用いられて、まとまりよく一体に表されている。客観的に見ても、この表記態様からは「サントリー グルコ」が一連一体の商標として把握できるのみで、需要者・取引者がことさら「グルコ」の部分のみを抽出して把握することは、およそ想定できないものと思料する。
したがって、サントリー社の使用に係る商標は「サントリー グルコ」であって、同商標は本件商標「グルコ」と同一の商標には該当せず、また、いわゆる社会通念上同一の商標にも該当しないことは明らかである。
(ウ)使用について
次に、「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」との表記が、商標の「使用行為」に該当するかについても、疑問がある。
すなわち、商標の使用については商標法第2条第3項に定義規定が設けられているところ、同項各号のいずれかの行為に該当しなければ、「商標の使用」には当たらない。
ここで、「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」との表記は、被請求人提出の証拠全体から把握する限り、電話注文の際に「サントリー グルコ」と称呼することを顧客に求める内容であるものと理解される。しかし、この「電話注文の際に『サントリー グルコ』と称呼することを顧客に求める」という行為が、商標法第2条第3項各号のいずれの使用行為に該当するか、全く定かではない。かかる行為が同法第2条第3項各号列挙のいずれの行為にも該当しないのであれば、それは商標法上の使用ではなく、もって「本件商標の使用」にも該当しないことは明らかである。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人及び通常使用権者のいずれもが、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について本件商標を使用していないから、本件商標の登録は取り消されるものである。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第40号証を提出している。
1 通常使用権者による使用
本件商標は、被請求人たる本件商標権者から許諾を受けた通常使用権者であるサントリー社(東京都港区台場二丁目3番3号)によって、本件審判請求の登録日(平成22年1月12日(審決注:平成22年1月14日の誤り))前3年以内に、日本国内において請求に係る指定商品について使用された事実があるので、請求人の主張は妥当ではない。
2 使用状態の説明
サントリー社は、少なくとも平成21年10月7日より、いわゆる健康食品の取引において「グルコ」の商標を継続的に使用している。これを立証するために、乙第1ないし第37号証を提出する。
(1)乙第1ないし第24号証は、商品に関する新聞広告であり、その中で、商品取引に用いるために「グルコ」の標章を付して継続的に頒布している。
(2)乙第25ないし第36号証は、商品に関する新聞用の折り込み広告の一例であり、その中でも新聞広告と同様に、「グルコ」の標章を付して商品の取引を行っている。
(3)乙第37号証は、上記折り込み広告の配布証明であり、少なくとも平成21年10月14日と同28日の2日間に、計360万枚以上の配布が行われたことを立証する。この証明書中、「内容」欄記載の「AS96」ないし「EJ39」の記号は、各チラシの「申込番号」に符合する。「申込番号」は、チラシの申し込みハガキの右上部の宛名の下部や、チラシ中央下部(表裏両面)の「グルコ」標章の上に表示されている。
なお、他の地区においても同様に多数の広告を実施しているが、ここでは一例として北海道地区での使用証拠を示す。
3 指定商品との関係
本件商標を使用しているいわゆる健康食品は、タブレット状の加工食品であり、一般的な名称は「グルコサミン・サメ軟骨加工食品」として取引されているものである(乙第38号証)。この商品は、「糖類」に属する「グルコサミン」等を主成分としており、少なくとも「糖類を主成分とするタブレット状の加工食品」に該当するものである。
4 通常使用権者との関係
サントリー社が本件商標権者により商標の使用を許諾された通常使用権者であることを立証するため、通常使用権許諾確認書を提出する(乙第39号証)。
なお、両者間では、別途「商標使用許諾契約書」が存在するが、守秘事項を含むものであるため、非公開であれば特許庁に対して提示する用意がある。
5 まとめ
以上より、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者が、少なくとも「糖類を主成分とするタブレット状の加工食品」に使用した結果、業務上の信用が化体しているものであり、本件審判の取消の対象とはなり得ない商標である。
このような商標登録を取り消すことは、業務上の信用の化体しない商標の整理を図るという不使用取消審判制度の趣旨に反するだけでなく、業務上の信用の保護という法目的にも反するものである。
6 弁駁に対する答弁
(1)通常使用権者との関係について
請求人は、「サントリーウエルネス株式会社」との意思の合致の下、適法に通常使用権許諾契約が締結された事実が確認できない旨主張している。
当然、虚偽の申告などするわけもないので、先に提出した乙第39号証の通常使用権許諾確認書で十分であると思料するが、念のため、本件商標権者は証拠を補足し、乙第40号証として、本件商標権者とサントリーウエルネス株式会社との間で通常使用権の許諾が行われていることを両者で確認した文書を改めて提出する。
(2)使用商標について
請求人は、通常使用権者による「グルコ」の使用が、「登録商標の使用」に該当するかについて、疑問があるようだが、これが使用に当たることは明らかである。
(ア)商標について
請求人は、本件商標権者が提出した資料による表記態様からは「サントリー グルコ」が一連一体の商標として把握できるのみで、需要者・取引者がことさら「グルコ」の部分のみを抽出して把握することは、およそ想定できない旨主張している。
しかし、これは商取引の実情を無視した主張である。営業の同一性を表す営業標識として使用される企業ブランドである、いわゆるハウスマークと個々の商品ごとに付けられる個別ブランドであるペットネームとがあわせて用いられることは、広告手法の一つとしてごく一般的に用いられている。主に、ハウスマーク自身を同時に宣伝広告する意味合いや、ハウスマークの有する信用を付加することでペットネームヘの顧客誘引力の相乗効果を狙う目的などで両者が併せて用いられることが多いが、とくに食品業界における商品を眺めれば、パッケージの正面にハウスマークとペットネームが表示されていることが多いのは経験則上も明らかな事実である。これは、パッケージ上だけでなく、文字により表示する場合でもハウスマークとペットネームは併せて用いられることが多い。
ちなみに、「サントリー」の商標は、サントリーグループの営業標識を表す、わが国では極めて著名なハウスマークとして知られている。特に大きな信用を得ているハウスマークであれば、ペットネームと共に使用することで企業価値と商品価値双方を高めることが期待できるため、頻繁に用いられるのは当然のことであり、双方が共に用いられていることをもって、ハウスマークの使用にも、また、ペットネームの使用にもあたらないとするのであれば、それは取引の実情を全く無視する解釈である。
もちろん、一連一体に表示された場合であれば、商標によってはハウスマークとペットネームとの区別がつきにくい場合もあると思われるが、本件商標においては、極めて著名なハウスマークである「サントリー」の商標と、本件商標との間には空間が設けられており、両者の区別は明瞭なものとなっている。
そのため、「サントリー グルコ」の文字に接する需要者・取引者は「グルコ」部分が商品の商標として用いられていることを当然に把握、認識するものである。
したがって、先に提出した各証拠から、本件登録商標が使用されていることは明らかである。
(イ)使用について
請求人は、「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」との表記が、商標の「使用行為」に該当するかについても、疑問がある旨主張している。
この点については、請求人がなぜ疑問を覚えるのか不明だが、商品に関する広告に標章を付して頒布しているのであるから、商標法第2条第3項第8号に該当すると考える。
使用の事実の一部として先に提出した乙各号証からも明らかなように、広範に頒布されている商品の広告において「グルコ」の標章が付され、これが取引の際に商品を特定するために用いられているのであるから、当然に商標の使用と見られるものである。
なお、本件商標の使用証拠として提出した商品は通信販売向けの商品であり、かつ、電話による注文に親しんでいる中高年を主なターゲットとした商品である。このような通信販売用の商品の取引において、需要者・取引者が当該商品を識別し、特定し、注文するために本件商標を用いているにもかかわらず、これが商標の使用でないとすれば、いたずらに出所の混同を認めることにも繋がるものであり、商標権の保護は極めて限定的なものになってしまう。
したがって、「使用行為」に該当することは明らかである。
(3)以上より、請求人の反論は合理性を伴わないものであり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、通常使用権者により、その請求に係る指定商品について使用された結果、業務上の信用が化体しているものであり、本件審判の取消の対象とはなり得ない商標である。

第4 当審の判断
1 通常使用権者について
被請求人は、被請求人から許諾を受けた通常使用権者であるサントリー社が本件商標を使用している旨主張するのに対し、請求人は、被請求人の主張及び証拠によっては通常使用権者の存在は不明である旨主張しているので、この点について検討する。
被請求人は、サントリー社に対し本件商標に係る通常使用権を許諾したとして「通常使用権許諾確認書」(乙第39及び第40号証)を提出しており、これよりサントリー社は本件商標に係る通常使用権者というべきである。
2 本件商標の使用について
(1)被請求人は、サントリー社が、いわゆる健康食品である「糖類を主成分とするタブレット状の加工食品」について本件商標を使用している旨主張し、証拠(乙第1ないし第37号証)を提出しているところ、該証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)乙第1ないし第24号証は、2009年10月7日から同月29日までの間に発行された「十勝毎日新聞」、「北海道新聞(夕刊)」、「朝日新聞」、「毎日新聞」、「日本経済新聞」、「北海道新聞」、「朝日新聞(夕刊)」及び「読売新聞」の各新聞に掲載された広告頁の抜粋写しと認められるところ、その掲載内容は、いずれも、ほぼ同じであって、「SUNTORY」及び「サントリー グルコサミン&コンドロイチン」の文字を表示したラベルを貼付した瓶容器の写真とともに、「サントリー グルコサミン&コンドロイチン」、「180粒入り/1日6粒目安(約30日分)」、「通常価格4,725円(税込)」及び「主要成分(6粒あたり)サメ軟骨抽出粉末(コンドロイチン含有)300mg/グルコサミン(カニ由来)1200mg/ケルセチン配糖体45mg」等の記載がされている。
そして、「無料で20日間分、お試しいただけます。抽選で1万名様」と記載され、「お電話でのお申込み」、「FAXでのお申込み」及び「ハガキでの申込み」として、それぞれ電話番号及びFAX番号が表示され、電話の項目において、「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」と記載されており、FAX及びハガキでの申込みには、「『グルコサミン&コンドロイチン』お試しセット」と記載されている。
(イ)乙第25ないし第36号証は、新聞用の折込チラシの写しと認められるところ、その内容は、いずれもほぼ同じであるばかりでなく、商品の利用者の感想、20日間無料お試しセットの注文用はがきが付け加えられた以外は、上記新聞広告とほぼ同様のものである。
そして、電話での申込みには、「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」と記載されており、FAXでの申込みには、「グルコサミン&コンドロイチン『無料20日間分セット』を申し込みます。」及び「グルコサミン&コンドロイチンを注文します。」と記載されたハガキに必要事項を記載のうえ、そのままファックスしてくださいと記載されている。
商品の利用者の感想には、「サントリーのグルコサミンは友人におしえてもらいました。」と記載されている(乙第31ないし第36号証)。
乙第37号証は、株式会社朝日オリコミによる平成21年10月31日付の「新聞折込広告配布証明書」であり、これによると、平成21年10月14日及び同月28日に北海道地区において上記折込チラシが配布されたものといえる。
(ウ)乙第38号証は、サントリー社のウェブサイトの写しであって、同社の業務に係る「グルコサミン&コンドロイチン」と称する商品を紹介する頁と認められるところ、該頁には、上記新聞広告及び折込チラシに掲載されているものと同一の「SUNTORY」及び「サントリー グルコミサン&コンドロイチン」の文字を表示したラベルが貼付された瓶容器の写真が掲載され、商品の価格、形状、利用方法、返品・交換方法、電話番号等と共に、「グルコサミンやコンドロイチンは食材として食べる機会も少ないので、健康食品などで積極的に摂取したい海のパワーです。『グルコサミン&コンドロイチン』は、カニの甲殻のキチン質からつくられる良質のグルコミサンを使用し、コンドロイチンを含むサメの軟骨成分を配合しました。・・・」等の説明がされ、「グルコサミン・サメ軟骨加工食品」として、「内容量」、「原材料名」及び「6粒(2.25g)あたりの成分」が記載されている。そして、「原材料名」欄には、「サメ軟骨抽出粉末(コンドロイチン含有)、グルコミサン(カニ由来)、セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、酵素処理ルチン、酸化ケイ素、光沢剤」が掲げられている。
(2)以上の認定事実によれば、本件商標の通常使用権者であるサントリー社は、本件審判の請求の登録日である平成22年1月14日前3年以内である平成21年10月に、グルコミサン、コンドロイチン等を原材料とする、いわゆる健康食品の範疇に属する「サントリー グルコサミン&コンドロイチン」と称する商品についての宣伝広告を行っていたものと認められる。
そして、該「グルコサミン&コンドロイチン」の文字は、商品の原材料、品質を表示するものと認識されるものである。
そうとすると、上記新聞広告及び折込チラシにおける記述中や、瓶容器に貼付されたラベル中の「SUNTORY」及び「サントリー グルコサミン&コンドロイチン」の文字部分において、自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は、「SUNTORY」又は「サントリー」の文字部分というべきである。
また、上記新聞広告及び折込チラシを精査してみても、本件商標及び本件商標と社会通念上同一といい得る商標は、何処にも見出すことができない。
(3)なお、被請求人は、上記新聞広告及び折込チラシ中の電話番号の下部に記述された「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」の部分を捉え、本件商標が使用されている旨主張する。
しかしながら、電話による申込み時の「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」の部分は、FAX及びハガキでの申込み時には、「グルコサミン&コンドロイチン」と記載されていることからすれば、需要者が電話による商品の注文の際の便宜に、「サントリー グルコサミン&コンドロイチン」を簡略して表示したものとみるのが自然である。
したがって、電話による申込み時の「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」の部分は、「『サントリー グルコサミン&コンドロイチン』とお申しつけください。」を省略したものと理解される。
そうとすると、電話による申込み時の「『サントリー グルコ』とお申しつけください。」の部分中「グルコ」の部分は、商品の原材料、品質を表示する「グルコサミン&コンドロイチン」を省略したものと理解されるものであるから、電話による申込み時の上記文字部分をもって、本件商標の使用ということはできない。
(4)以上のとおりであるから、被請求人の提出に係る証拠によっては、たとえ「グルコサミン&コンドロイチン」と称する商品がいわゆる健康食品であって、本件請求に係る指定商品中「糖類を主成分とするタブレット状の加工食品」の範疇に属するものであるとしても、通常使用権者であるサントリー社が、上記商品について本件商標を使用しているものと認めることはできない。
他に、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に請求に係る指定商品について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、請求に係る指定商品「アイスクリーム凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,糖類を主成分とする粉末状・顆粒状・タブレット状・丸薬状・ゲル状・ゼリー状・固形状の加工食品」について使用されていなかったものであり、かつ、使用されていないことについて正当な理由があるものとも認められないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、上記指定商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-08-11 
結審通知日 2010-08-17 
審決日 2010-08-31 
出願番号 商願2004-115735(T2004-115735) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梶原 良子藤村 浩二 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
渡邉 健司
登録日 2005-06-24 
登録番号 商標登録第4874997号(T4874997) 
商標の称呼 グルコ 
代理人 宮崎 昭夫 
復代理人 山田 武史 
代理人 緒方 雅昭 
代理人 石橋 政幸 

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