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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y41
管理番号 1225157 
審判番号 不服2009-650098 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-31 
確定日 2010-08-10 
事件の表示 国際登録第937323号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ANYTIME FITNESS」の欧文字を横書きしてなり、第41類「Health and fitness club services.」を指定役務として、2007年(平成19年)9月11日に国際商標登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は『ANYTIME FITNESS』の文字よりなるところ、全体としてキャッチフレーズ、モットー、宣伝文句の如き、需要者に向けた標語の一つと認められるものであるから、その指定役務に使用しても自他役務の識別標識としての機能を有しないものであり、何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものと認める。したがって本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、本願商標を指定役務中の『フィットネスクラブの提供』以外の役務に使用をするときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり「ANYTIME FITNESS」の文字を書してなるところ、前半の「ANYTIME」の文字部分は「いつでも」の意味を有する平易な英単語であり、また後半の「FITNESS」の文字部分は「適当なこと、適切さ、健康であること」の意味を有する平易な英単語であるが、我が国においては、該語に由来する外来語である「フィットネス」の語が「健康増進のため各種の身体運動を行うこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味で、より親しまれているから、構成中の「FITNESS」の文字部分は、むしろ「フィットネス(健康増進のため各種の身体運動を行うこと)」を想起、連想させるものとみるのが自然である。
そして、本願の指定役務は、前記のとおり「ヘルスクラブ及びフィットネスクラブの提供」であることからすれば、「ANYTIME FITNESS」の文字よりなる本願商標は、「いつでもフィットネス」又は「いつでもフィットネスができる」程の意味合いを容易に理解、認識させるものということができる。
(2)キャッチフレーズについて
ところで、企業は、その取り扱う商品・役務や企業イメージに関して、消費者や需要者に親しみや好感、信頼感などの良い印象を抱いてもらうよう日常的に心掛けているといえるところ、その一手段として、標語(キャッチフレーズ)などを採択し、それを通して商品・役務の広告・宣伝や企業イメージの向上に努めているというのが実情である。
本願の指定役務を提供しているフィットネスクラブ、スポーツジム等のサービス業界においても、新聞広告、チラシ広告やインターネット等の媒体を通じ、フィットネスクラブやスポーツジム自体のイメージのみならず、自己の提供する役務の内容等について、その役務の内容を簡素で理解しやすい宣伝文句やキャッチフレーズを用いて宣伝、広告活動を行っている実情があるということができる。
(3)本願指定役務に係る取引の実情について
フィットネスクラブ、スポーツジム等においては、施設の利用者が自己のライフスタイル、仕事等の種々の都合に合わせて、いつでも好きなときに施設の利用が可能となるように、利用者の契約内容ごとに様々な利用可能時間を設定したり、施設自体の営業時間を早朝から深夜まで、又は24時間に設定したりして、利用者の便宜性向上を図っているという実情が見うけられる。
このことは、下記のインターネット情報からも伺えるものである。
ア「新宿のフィットネスクラブ・スポーツクラブ【チィップネス】新宿店 会員種類一覧 会員プラン」の見出しの下、以下の記載がある。
「店舗会員 利用店舗をしぼり、月会費をリーズナブルに抑えたい方はこちら」、「会員種類」として「いつもで好きなときに利用したい方に レギュラー」、「説明」として「新宿店をいつでもご利用いただけます。」との記載。
「エリア会員 自宅のそば、お勤め先のそば、いくつものティップネスを楽しみたい方はこちら」、「会員種類」として「店舗によって違う施設やプログラムを楽しみたい方に レギュラープラス」、「説明」として「関東エリアのティップネス全店をいつでもご利用いただけます。」の記載がある。(http://tip.tipness.co.jp/shop_info/SHP009/plan/)
イ「施設ご利用料金:フィットネスクラブ スパーク鮎川:日立ライフ」の見出しの下、「料金 会員種別がいっぱい!」「あなたのライフスタイルに合わせてお選びください。」「レギュラー会員(対象:16才以上)・・・営業時間内いつでも好きな時に全ての施設を何度でも自由にご利用できます。」「レギュラーシニア会員・・・営業時間内いつでも全施設をご利用できます。」との記載がある。(http://www.sparks.jp/facilities/price.html)
ウ「フィットネスクラブ・スポーツクラブ ゴールドジム」の見出しの下、「早朝から深夜まで都合の良い時間にトレーニングがしたい!!そんなあなたには・・・」 「ほとんどの店舗が早朝から深夜まで営業しています!!」「24時間営業の店舗もあります!!」との記載がある。(http://www.sparks.jp/facilities/price.html)
エ「24時間営業年中無休 フィットネスクラブ アオコーナーin 駿河健康ランドスポーツクラブ」の見出しの下、「天然温泉 20のお風呂と各種サウナの駿河健康ランド内のスポーツクラブです! なんと24時間営業年中無休です。・・・24時間営業年中無休『天然温泉&フィットネス』ココロもカラダも健康」との記載がある。
(http://www.ao-corner.co.jp/)
(4)結語
そうとすると、「ANYTIME FITNESS」の文字からなる本願商標を、その指定役務に使用したときは、これに接する取引者、需要者をして、「いつでもフィットネス(ができる)」程の意味合いを容易に理解、認識させるとともに、本願の指定役務を取り扱う請求人の業務に関連し、顧客を吸引するために単にフィットネスクラブの施設の利便性がよいことをアピールするための端的なキャッチフレーズないし宣伝文句の一種と理解、認識するに止まるものというべきであり、結局、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であると判断するのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
(5)請求人(出願人)の主張について
請求人(出願人)は、本願商標は、文字列全体で文章を構成しておらず、語尾に「!」「?」「.」等の記号がないことから、需要者に訴えかける印象が薄く、宣伝文句やキャッチフレーズとしては認識されない旨、及び本願商標は、請求人の名称「Anytime Fitness,Inc.」から選択されたもので、請求人(出願人)は、米国においてフィットネスクラブをチェーン展開する企業で500カ所以上のチェーン店を有しているから、本願商標は米国において、請求人の商標として相当範囲の需要者に認識されている旨を主張する。
しかしながら、一般に宣伝文句やキャッチフレーズは、看者に伝えたい内容を短時間で強い印象として残すべく、より少ない単語で簡潔に表現するよう趣向を凝らす場合が少なくないものであって、看者は、構成文字が有する正確な意味や適切な文法に基づいて、その意味合いを認識、把握するというより、むしろ、該文字が表す意味合いや、表現内容を類推して、全体の意味を理解するというのが自然であり、商標の構成文字が文法的に整っているか否か、あるいは商標構成中に「!」「?」「.」等の記号があるか否かによって、宣伝文句やキャッチフレーズであるか否かを判断するものとはいえないものである。
また、本願商標は、前記のとおり、我が国の需要者をして、前記意味合いを理解させ、単にキャッチフレーズと認識させるものであり、かつ、提出された資料によっては、請求人(出願人)の業務に係る商標として、我が国の需要者に広く知られているものと認めることもできないから、請求人(出願人)の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-03-17 
結審通知日 2010-03-19 
審決日 2010-03-30 
国際登録番号 0937323 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治小林 裕子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 岩崎 良子
佐藤 淳
商標の称呼 エニタイムフィットネス、エニタイム 
代理人 渡邊 隆 
代理人 鈴木 博久 
代理人 志賀 正武 
代理人 高柴 忠夫 

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