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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200911931 審決 商標
不服200915782 審決 商標
不服20095060 審決 商標
不服200914585 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X35
審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない X35
管理番号 1225077 
審判番号 不服2009-13085 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-21 
確定日 2010-10-07 
事件の表示 商願2007- 69952拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおり「Aoki」の文字を横書きしてなり、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成19年6月28日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、やや図案化した「Aoki」の文字を横書してなるところ、「Aoki」の語は、ありふれた氏「青木」に通じる上、日常の商取引において氏を表す場合、必ずしも漢字のみに限らずローマ文字をもって表示する場合も決して少なくない実情にある。してみれば、本願商標は、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められ、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第4号の該当性について
本願商標は、別掲のとおり、やや図案化した「Aoki」の文字を書してなるところ、該文字は、格別に特異な態様を用いて表されているものではなく、普通に用いられる方法の域を脱しない程度の態様で表されているものである。
そして、「Aoki」の文字は、ありふれた氏である「青木」に通じるものであって、かつ、商取引において氏を表す場合、ローマ文字をもって表示する場合も決して少なくないものである。
してみれば、本願商標は、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ないものである。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものである。

2 商標法第3条第2項の該当性について
(1)請求人は、平成20年8月27日付け提出の意見書において、「本願商標は、1990年以降使用し続けた結果、需要者が何人かの業務にかかる役務であることを認識できるいわゆる周知商標であって、商標法第3条第2項に該当するものである。」旨主張し、その証拠資料として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出している。
(2)ところで、商標法第3条第2項は、本来識別力がないものについて、現実の使用に基づいて 例外的に登録を認めることから、その登録が認められるための要件としては、1)実際に使用している商標が、判断時である審決時において、取引者・需要者において何人の業務に係る商品であるかを認識することができるものと認められること、2)登録が認められる商標及び指定商品は、実際に使用している商標及び商品と同一であることを要し、たとえ当該特定の商品の類似商品といえども使用されなかった商品についてまで同条同項の規定により登録を受けることができるというものではない。また、登録により発生する権利は、全国的に及ぶ独占権であることをも考慮すると、同条同項は、厳格に適用されるべきである。」旨判示されている(知財高裁平成18年(行ケ)10441号判決及び平成19年(行ケ)10243号判決参照)。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。
(3)本願商標が、取引者・需要者において請求人の業務に係る役務であるかを認識することができるものであるかについて
ア 請求人の提出した証拠資料から、以下の事実を窺うことが出来る。
請求人は、1990年から、本願商標を使用して(甲第1号証の1及び甲第2号証の2)、スーパーマーケットの事業を行っており、現在、静岡県10店舗と東京1店舗の合計11店舗を展開している(甲第2号証)。
そして、店舗の周辺地域に、宣伝・広告用のチラシを配布している(甲第3号証の1ないし甲第5号証の11)。
また、日経BP社が2006年11月6日に発行した「日経ビジネス」、ダイヤモンド・フリードマン社が2006年11月15日および2007年4月1日に発行した「Chain Store Age」、株式会社商業界が発行する雑誌「食品商業」の2006年12月号及び株式会社ストアジャパン社が発行する「週間ストアジャパン」の2006年10月16日号に、請求人が展開する店舗のうち、豊洲店に関する記事が掲載されている(甲第6号証の1の1ないし甲第6号証の5の2)。
さらに、請求人は顧客に対し、ポイントカードを発行しており、その会員数は、約25万人にのぼり、かつ、会員の所在地は、ほとんど全国に及ぶとされている(甲第7号証)。
さらにまた、請求人は、インターネットの楽天市場にも出店している(甲第8号証)。
イ 以上を総合判断すると、請求人は、静岡県内を中心に、スーパーマーケットの事業を行い、東京にも1店舗を出店し、それぞれの店舗の所在する周辺地域において、宣伝・広告用のチラシを配布している。
ビジネス誌や業界誌に東京・豊洲店への出店に関する記事が掲載された事実があり、請求人が発行した顧客向けポイントカードの会員数は25万人を超え、その会員の所在地は全国に及んでいる。
また、楽天市場にも、出店を開始している事実が認められる。
しかしながら、請求人が事業を展開するのは、静岡県内を中心とするものであって、それ以外は東京都に1店存在しているのみである。
そして、広告・宣伝に関しても、いわゆる店舗周辺地域への、折り込み広告といわれるものであって、その店舗周辺地域以外の広域な地域に対して、宣伝・広告を行っている事実は認められない。
また、行っている広告・宣伝の方法は、テレビCM,大衆向け新聞紙等のマスメディアによるものは少ないか、あるいは、認められないことからすれば、広く一般需要者向けに宣伝・広告を行っているとは認められないものである。
さらに、請求人の事業に係る売上高等については、特に言及されておらず、その業界における市場占有率がどの程度であるのかも窺い知れないものである。
さらにまた、請求人の発行するポイントカードの会員が約25万人にのぼるものであるとしても、請求人の事業であるスーパーマーケットは、日常的に利用されるものであり、かつ、地域と密接的に関連する業界であることからすれば、全国規模に及ぶ会員が、静岡県内を中心とした請求人のスーパーマーケットを、ポイントカードを作成後に、日常的に利用するものとは考え難い。
ウ これらの取引の実情を考慮すると、請求人の店舗は、全国的にみると一部地域にしか存在せず、その広告も当該一部地域で行われているにすぎず、また、請求人の業にかかる売上高がどの程度の市場占有率であるのかも不明であることからすると、請求人が、楽天市場にも出店し、請求人の発行するポイントカードの会員数が多数あり、かつ、その会員の住所が全国に及ぶものであるとしても、それらの事実のみをもって、請求人のスーパーマーケットが需要者の間に広く知られているものと、直ちに認めることはできないものである。
その他、本願商標が、使用された結果、請求人を表示するものとして、全国的な周知・著名性を得るに至っていると判断し得る証拠は認められない。
してみれば、本願商標が、取引者・需要者をして、請求人の業務に係る役務であることを認識することができるものとはいえないと判断するのが相当である。
(4)出願商標及び指定役務と使用に係る商標及び役務の同一性について
前記(2)のとおり、商標法第3条第2項により、その登録が認められる商標及び指定商品は、使用に係る商標及び商品と同一であることを要するものであり、これは役務についても同様といえるところ、本願については、本願商標と同じ態様の標章が、その指定役務に使用されていることを認めることができる。
(5)まとめ
以上からすると、本願商標を、その指定役務について、実際に使用している事実を認めることはできるものの、提出された証拠を総合勘案しても、本願商標が、その指定役務について使用された結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものと認めることはできない。
よって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。

3 結論
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備しないとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)



審理終結日 2010-07-28 
結審通知日 2010-08-03 
審決日 2010-08-23 
出願番号 商願2007-69952(T2007-69952) 
審決分類 T 1 8・ 14- Z (X35)
T 1 8・ 17- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子今田 三男 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 豊田 純一
小川 きみえ
商標の称呼 アオキ 
代理人 嶋 宣之 

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