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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z42
管理番号 1225036 
審判番号 取消2009-301282 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-11-20 
確定日 2010-09-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4622589号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4622589号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成13年11月29日に登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、平成14年11月22日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙各号証について
(ア)乙第1号証(平成21年11月13日付け履歴事項全部証明書写し)
乙第1号証には、「平成16年6月20日兵庫県西宮市岡田山5番15号から移転」と記載されているが、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、商標登録原簿の住所又は居所の欄には、「兵庫県西宮市岡田山5-15」と表記されており、「東京都品川区上大崎四丁目5番26号」ではない。したがって、商標権者による使用には該当せず商標権者が使用していることを証明する証拠にはならない。
(イ)乙第2号証(法人税の確定申告書写し)
乙第2号証は、(a)平成15年4月1日から平成16年3月31日、(b)平成16年4月1日から平成17年3月31日、(c)平成17年4月1日から平成18年3月31日、(d)平成20年4月1日から平成21年3月31日の確定申告書であるが、これらの資料は、本件商標が実際に使用された事実を証明するものではない。なお、上記(b)及び(c)には名称「大分春日亭」の所得(売上げ)が「0」であり、被請求人が答弁書において主張することは疑問である。
また、(d)の事務所等の名称の欄には「大分春日亭」と記載されているところ、該「大分春日亭」は、本件商標と同一又は社会通念上同一ではないことは明らかである。さらに、(a)の事務所等の名称の欄には「春日亭」と記載されているがその後の確定申告書の事務所等の名称の欄には「大分春日亭」と記載されていることから、被請求人は店舗名を「春日亭」から「大分春日亭」に変更しており、被請求人が「春日亭」と「大分春日亭」とを区別していることは明らかである。なお、上記のとおり、商標権者の居所とは異なる居所が記載されている。
(ウ)乙第3号証(保険料納入告知額・領収済額通知書の写し)
乙第3号証は、商標権者の居所とは異なる居所「品川区上大崎4-5-26-4-605」が表記され、また、本件商標を使用している事実も不明であり、商標権者が登録商標を使用している事実を証明する証拠にはならない。
(エ)乙第4号証(賃貸借契約の覚書写し)
乙第4号証は、商標権者が登録商標を使用している事実を何ら立証するものではない。また、平成7年10月20日付けのものであり、本件審判の請求の登録日前3年以内(以下「本件期間内」という。)のものではないため、本件商標の使用している事実を証明する証拠にはならない。
(オ)乙第5号証(営業許可書写し)
乙第5号証は、(a)平成7年11月6日から平成13年11月30日、(b)平成13年12月1日から平成19年11月30日、(c)平成19年12月1日から平成25年11月30日までの営業許可書であるが、これらの資料は、本件商標を実際に使用している事実を証明する証拠にはならない。かつ、上記(a)の資料は、本件期間内のものではないため、本件商標の使用している事実の証拠にはならず、(b)及び(c)において営業所の名称、屋号又は商号の欄には「大分春日亭」と明記されており、営業者「株式会社春日亭」が飲食店営業に使用する標章(屋号)は「春日亭」ではなく「大分春日亭」であることが明示されているところ、上記のとおり、「大分春日亭」は、本件商標と同一又は社会通念上同一のものに該当せず本件商標の使用には該当しない。
(カ)乙第6号証(店舗看板の見積書並びに請求書の写し)
乙第6号証は、平成7年12月19日、平成8年1月16日付けものであり、本件期間内のものではないため、本件商標の使用している事実の証拠にはならず、また、本件商標を使用している事実を証明するものではなく、本件商標の使用の事実を証明する証拠にはならない。
(キ)乙第7号証(店舗看板及び額を撮影した写真)
乙第7号証は、看板及び額の右側に「大分」、同左側に「春日亭」をそれぞれ縦書きにして表示されているが、この文字も本件商標と同一又は社会通念上同一のものには該当せず、本件商標の使用をしている事実を証明する証拠にはならない。
(ク)乙第8号証(開店案内)
乙第8号証は、平成7年11月ころに配布されたものであり、本件期間内のものではないから、本件商標の使用の事実を証明する証拠にはならない。
(ケ)乙第9号証(パンフレット及び献立)
乙第9号証は、平成8年5月と表示されており、本件期間内のものではなく、かつ、当該パンフレット及び献立には全て「大分春日亭」と表示され、本件商標の使用の事実を証明する証拠にはならない。
(コ)乙第10号証(店の名刺)
乙第10号証は、表紙及び裏表紙ともに同一の書体で「大分春日亭」と表示されており、本件商標の使用の事実を証明する証拠にはならない。また、本件期間内に使用されていたか否かは不明である。
(サ)乙第11号証(ホームページ作成請求書及び更新管理請求書の写し)
乙第11号証からは、商標権者が本件商標を飲食物の提供について使用しているのか不明であり、商標権者が本件商標を飲食物の提供に使用している事実を証明する証拠にはならない。
(シ)乙第12号証(ホームページの写し)
乙第12号証からは、「春日亭」を使用している事実は見当たらず、全て「大分春日亭」と表示されており、特に1、2、4頁の左上段及び最終頁の店舗ご案内には、同書、同大、同間隔で構成された「大分春日亭」と表示広告され、本件商標と同一又は社会通念上同一のものに該当せず、本件商標の使用の事実を証明する証拠には該当しない。
(ス)乙第13号証(2001年2月11日発行のサンデー毎日の抜粋記事写し)及び乙第14号証(平成16年2月1日発行の求人広告写し)
乙第13号証及び乙第14号証は、本件期間内のものではない。したがって、これらの資料は、本件商標の使用の事実を証明する証拠にはならない。
(セ)乙第15号証(定期建物賃貸借契約解約の覚書写し)
乙第15号証は、商標権者が本件商標を使用している事実を証明する証拠にはならない。
イ 以上のとおり、乙第1号証ないし乙第15号証によっては、商標権者が本件商標を本件期間内に、飲食物の提供について使用している事実は立証されていないことは明らかであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項により取消しを免れ得ないものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
(1)使用の事実
商標権者は、昭和48年の会社設立以来、一貫して飲食物を提供する店舗を経営してきた。最近では、平成7年11月から平成21年2月まで、東京都千代田区有楽町にて、「大分春日亭」(通称「春日亭」)の店名で和食店を経営し、飲食物を提供していた。
なお、現在は休止中であるが、平成22年以降、飲食物を提供する店舗を新たに経営することを計画中である。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、過去3年以内に商標権者により指定役務について使用されていたものであり、本件審判の請求は理由がない。

4 当審の判断
(1)本件審判の請求の登録日は、平成21年12月9日であるところ、商標権者が本件期間内に、請求に係る指定役務について本件商標を使用していたか否かについて検討する。
ア 本件商標の商標登録原簿並びに乙第1号証、乙第2号証及び乙第4号証ないし乙第15号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)本件商標の商標登録原簿によれば、その商標権者である株式会社春日亭の住所は、設定登録時には、「兵庫県西宮市岡田山5-15」であったが、平成21年12月16日受付の「登録名義人の表示の変更」により、「東京都品川区上大崎4丁目5-26-4-605」に移転した。
(イ)乙第1号証は、平成21年11月13日に、東京法務局品川出張所が証明した商標権者の履歴事項全部証明書であるところ、これによれば、商標権者は、「料理、飲食店業並びにこれらに附帯する一切の業務」を目的として、昭和48年4月23日に設立された会社であり、平成16年6月20日に、本店を「兵庫県西宮市岡田山5番15号」から「東京都品川区上大崎四丁目5番26号」に移転した(平成16年6月28日登記)。
(ウ)乙第2号証は、期間を、(a)平成15年4月1日から平成16年3月31日、(b)平成16年4月1日から平成17年3月31日、(c)平成17年4月1日から平成18年3月31日、(d)平成20年4月1日から平成21年3月31日、とする商標権者の法人事業税の確定申告書である(当事者間に争いのない事実)ところ、いずれも申告する法人名として「株式会社春日亭」、事業種目として「日本料理」の記載、及び納付すべき「均等割額」の記載がある。
なお、上記(a)の「課税標準の分割に関する明細書」の「事務所又は事業所」欄の「名称」及び「所在地」には、上から順に、「(株)春日亭 本社/西宮市岡田山5番15号」、「大分春日亭/東京都千代田区有楽町1-7-1」、「GINZA春日亭/東京都中央区銀座3-3-15」の記載がある。また、同(b)の「均等割額の計算に関する明細書」の「当該事業年度(算定期間)中の・・主たる事業所等の異動」欄によれば、商標権者の本店は、平成16年6月20日に、「兵庫県西宮市岡田山5-15」から「東京都品川区上大崎4-5-26 4-605」に異動したことが記載されている。さらに、同(d)の申告者の所在地は、「東京都品川区上大崎4-5-26 4-605」の記載があり、また、「均等割額の計算に関する明細書」の「特別区内における従たる事務所等」欄には、「所在地:千代田区」、「名称:大分春日亭」、「月数:10」の記載がある。
(エ)乙第4号証は、三菱地所株式会社が商標権者に宛てた平成7年10月20日付けの「賃貸借契約の件」との表題のある文書であるところ、その内容の要旨は、商標権者が、「有楽町電気ビルヂング南館地下1階B169区」について、平成7年11月1日から平成9年10月31日(以後更新の際の契約期間は2年間)まで店舗として使用することを目的として賃借することを取り決めたことに対するお礼と確認である。
(オ)乙第5号証は、(a)平成7年11月6日付け、(b)平成13年11月22日付け、(c)平成19年11月15日付け、の営業許可書であるところ、上記(a)は、申請者住所を「大分県大分市勢家町四丁目6番27号」とし、営業所所在地を「東京都千代田区有楽町一丁目7番1号 有楽町電機ビルヂングB1」、氏名を「株式会社春日亭」とするものであって、営業の種類は「飲食店営業」、営業所の名称、屋号又は商号は「『大分』春日亭」、許可の効力は、平成7年11月6日から平成13年11月30日までである。なお、この「届出事項」欄には、収受年月日を「平成12・6・27」とする氏名・住所変更届の記載があり、「兵庫県西宮市岡田山5番15号」との記載、及び、収受年月日を「平成13・11・14」とする屋号変更届の記載があり、「大分春日亭」との記載がある。同(b)は、営業者住所を「兵庫県西宮市岡田山5番15号」、営業者氏名を「株式会社春日亭」とするものであって、営業所の所在地は「東京都千代田区有楽町一丁目7番1号 有楽町電気ビルヂングB1」、営業の種類は「飲食店営業」、営業所の名称、屋号又は商号は「大分春日亭」、許可の効力は、平成13年12月1日から平成19年11月30日までである。なお、この「届出事項」欄には、収受年月日を「平成19・10・29」とする氏名・住所変更届の記載があり、「東京都品川区上大崎四丁目5番26号」の記載がある。(c)は、営業者所在地を「東京都品川区上大崎四丁目5番26号」、営業者氏名を「株式会社春日亭」とするものであって、営業所の所在地は「東京都千代田区有楽町一丁目7番1号 有楽町電気ビルヂングB1」、営業の種類は「飲食店営業」、営業所の名称、屋号又は商号は「大分春日亭」、許可の効力は、平成19年12月1日から平成25年11月30日までである。
(カ)乙第6号証は、東京都千代田区に所在の「株式会社メック・デザイン・インターナショナル」が商標権者に宛てた「有楽町電気ビル内貴店舗案内板作成工事」に関する平成7年12月19日付け見積書及び平成8年1月16日付け請求書である。
(キ)乙第7号証は、「2008年11月6日」及び「2008年12月19」に撮影したと推認することができる商標権者の営業に係る飲食店(以下「商標権者店舗」という。)及びその看板の写真2葉、並びに撮影日の記載がない同店舗内にある店舗名称を記載した額の写真1葉であるところ、上記看板及び額には、本件商標と同一の構成態様からなる「春日亭」の文字を大きく縦書きにし、そのうちの「春」の文字部分のやや右上に、「大分」の文字を小さく縦書きにした商標が表示され、「春日亭」の文字部分が目立つような態様で表示されている。
(ク)乙第8号証は、「開店のごあんない」との表題のある商標権者店舗の案内状であるところ、その右側(案内状の裏面に当たる部分)には、店舗所在地の有楽町周辺の地図が示され、その下に、「大分 春日亭」の文字が明朝体で縦書きされているが、その構成中の「大分」の文字部分は、「春日亭」の文字部分に比べ小さく表示されている。また、開店日は、平成7年11月13日である。さらに、見開き部分には、「さてこの度、皆様方にお引き立ていただいております『春日亭』が、『大分 春日亭』として東京・有楽町に開店の運びとなりました。・・・会席料理中心の大分とは趣を変えた料理を楽しんでいただくつもりでございます。大分名産の“関のあじ”“関のさば”“城下かれい”・・・などの海の幸、山の幸も、・・・」などと店舗で提供する料理の特徴等が記載され、見開き部分の左には、「株式会社 春日亭」の文字と共に、「大分 春日亭」の文字が縦書きされているところ、「大分 春日亭」中の「春日亭」の文字部分は、毛筆で書したように表されているが、「大分」の文字部分は、明朝体で書され、「春日亭」の文字部分に比べ小さく表示され、「春日亭」の文字部分が目立つような態様で表示されている。
(ケ)乙第9号証は、商標権者店舗のパンフレットと認められるところ、表紙には、乙第7号証で示した看板及び額に表示された商標と同一の構成よりなる「春日亭」の文字と「大分」の文字とが表示され、その右側に「平成八年夏」と記載されている。また、内側頁には、乙第7号証で示した看板及び額の写真が掲載され、「大分直送の魚・肉・米・酒など、何れも御好評をいただき、・・平成8年5月 吉日」の記載がある。
(コ)乙第10号証は、商標権者店舗の名刺と認められるところ、その表面には、乙第7号証で示した看板と同一の構成よりなる「春日亭」の文字及びその右上に小さく書された「大分」の文字とが大きく表示され、その下には、「当店は、平成七年十一月に、大分市内に百年以上続いた料亭『春日亭』の東京店としてオープン致しました。大分直送の食材を主にした創作和料理を・・」などと記載されている。名刺の作成日は記載されていないが、名刺の裏面には、「URL http://www.kasugatei.com/」との記載がある。
(サ)乙第11号証は、(a)東京都港区に所在の「有限会社ビー・ティー・シー」が商標権者に宛てた「春日亭HP制作料」及び「運営費」についての平成13年10月8日付け請求書、(b)東京都渋谷区に所在の「ラジカルボイス株式会社」が商標権者に宛てた「春日亭HP更新・管理」についての平成21年1月10日付け請求書である。(a)の「運営費」の「摘要」欄には、「ドメイン収得・レンタルサーバー・(2002.10月?2003年9月)」、「ドメイン名:kasugatei.com」と記載され、また、(b)の「摘要」欄には、「2008年10月?2008年12月分更新管理」の記載がある。
(シ)乙第12号証は、2009年(平成21年)2月16日にプリントアウトされた商標権者店舗のホームページであり、「店内紹介」、「おしながき」、「店舗ご案内」の各項目のページで構成されているところ、いずれの項目のページにも、ページ上部には、上段に大きく「KASUGATEI.COM」と表示され、その左下には、同書、同大、同間隔で表された「大分春日亭」の文字が小さく表示され、さらに、ページ下部の項目表示部分には、本件商標と極めて近似する「春日亭」の文字を毛筆で大きく横書きし、その文字の上に、「大分」の文字を小さく横書きした商標が表示されている。また、「店内紹介」のページには、項目表示部分に表示された商標と同一の商標が大きく表示され、「春日亭」の文字部分が目立つような態様で表示されている。「店舗ご案内」のページには、上段に「大分春日亭」の文字が表示されているところ、該文字中の「春日亭」の文字部分は、「大分」の文字部分に比べ若干大きく表されている。該「大分春日亭」の表示の下には、「〒100-0006 東京都千代田区有楽町1丁目7-1 有楽町電気ビルヂング南館地下1階」の記載がある。
(ス)乙第13号証は、サンデー毎日(2001年(平成13年)2月11日号)において商標権者店舗が紹介された記事であるところ、店舗名称として、大きく縦書きされた「春日亭」の文字の上に、「大分」の文字を小さく縦書きして表示され、紹介記事には、「大分産の有機栽培米を艶やかに炊いたご飯と、・・さらに、大分名物のだんご汁を・・」などの記載がある。
(セ)乙第14号証は、平成16年2月1日発行の求人広告であるところ、商標権者店舗の求人欄には、本件商標と同一の構成態様からなる「春日亭」の文字を横書きし、その左に、「春日亭」の文字よりやや小さく「大分」の文字が横書きされ、店舗の紹介として、「大分の老舗料亭の支店」の記載がある。
(ソ)乙第15号証は、三菱地所株式会社の代理人である三菱地所ビルマネジメント株式会社が商標権者に宛てた2008年(平成20年)11月20日付けの「定期建物賃貸借契約解約の件」との表題のある文書であるところ、その内容の要旨は、商標権者が賃借している「有楽町電気ビル南館地下1階B169区外」についての契約を2009年(平成21年)2月10日をもって解約することについての確認である。
イ 前記アで認定した事実によれば、商標権者は、平成7年11月13日に、東京千代田区有楽町に所在の「有楽町電気ビルヂング南館地下1階」に商標権者店舗を開店したこと、商標権者は、その後の平成16年6月20日に、本店を兵庫県西宮市岡田山5番15号から東京都品川区上大崎四丁目5番26号に移転したこと、商標権者店舗は、もともと大分で営業していた「春日亭」なる料理屋の支店として有楽町に開店され、店名を「大分 春日亭」とし、主として大分県で生産された魚や米などを食材に使用した郷土料理を提供する飲食店であったこと、商標権者は、商標権者店舗の開店当初より、その看板、献立表、名刺、店舗内の額に本件商標と同一の構成態様よりなる「春日亭」の文字を大きく縦書きし、該文字の右に「大分」の文字を小さく表した商標(以下、縦書きの書体を「使用商標1」という。)を表示したこと、商標権者は、その後、商標権者店舗に関し、平成13年発行の週刊誌における紹介記事や平成16年発行の求人広告において、「春日亭」の文字を大きく表し、その上部又は左側に「大分」の文字を小さく表した店舗名称を表示したこと、さらに、2009年(平成21年)2月には、インターネットの商標権者店舗のホームページにおいて、本件商標と極めて近似する構成態様よりなる「春日亭」の文字を大きく横書きし、該文字の上に「大分」の文字を小さく表した商標(以下、横書きの書体を「使用商標2」という。)を表示したことが認められる。
そして、法人事業税の確定申告書(乙第2号証)、営業許可書(乙第5号証)、商標権者店舗の週刊誌での紹介記事(乙第13号証)、求人広告(乙第14号証)、定期建物賃貸借契約解約の通知書(乙第15号証)などを総合して勘案すれば、商標権者は、平成7年11月13日に、「有楽町電気ビルヂング南館地下1階」に商標権者店舗を開店して以来、当該地の建物賃貸借契約を解約する2009年(平成21年)2月10日前の、少なくとも2009年(平成21年)1月末ころまでは、当該地において、商標権者店舗の営業を継続していたことを優に推認することができ(商標権者店舗の営業が平成21年1月末ころまでであることは、乙第2号証の(d)の「均等割額の計算に関する明細書」の「特別区内における従たる事務所等」欄に、月数が「10」と記載されていること、及び、乙第15号証の記載等より推認することができる。)、商標権者店舗の開店当初より使用されていた使用商標1を表示した看板は、本件期間内である2008年(平成20年)12月の時点においても継続して使用していたこと、及び、使用商標2を表示した商標権者店舗のホームページについても、本件期間内である2008年(平成20年)10月以降も継続していたことを、それぞれ推認することができる。
また、使用商標1及び使用商標2は、上記認定のとおり、本件商標と構成態様において同一又は極めて近似する「春日亭」の文字を大きく表し、該文字の右ないし上に「大分」の文字を小さく表した構成よりなるものであって、その構成中の「大分」の文字部分は、小さく表示されていることに加え、商標権者店舗で提供する料理が大分県の郷土料理であり、大分県と深い関わりがあることを理解させるものであって、提供する役務の質等を表示するものといえるから、自他役務の識別機能を有しない部分というべきである。
これに対して、使用商標1及び使用商標2中の「春日亭」の文字部分は、商標権者店舗の名称の主要部を表すものとして、目立つ態様で表示され、それ自体独立して強い自他役務の識別機能を発揮するものといえる。
そうすると、使用商標1及び使用商標2は、本件商標とは、「カスガテイ」の称呼及び「春日亭」の観念を同じくするものであり、外観も同視し得るものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。
したがって、商標権者は、平成7年11月の店舗開店から本件期間内である平成21年1月ころまで、請求に係る指定役務である飲食物の提供について、少なくとも看板やインターネット上での広告に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1及び使用商標2を表示したものと認めることができる。
そして、商標権者の上記行為は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。
(2)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定役務「飲食物の提供」に本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲(本件商標)



審理終結日 2010-08-02 
結審通知日 2010-08-04 
審決日 2010-08-19 
出願番号 商願2001-111362(T2001-111362) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三澤 惠美子 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 内山 進
井出 英一郎
登録日 2002-11-22 
登録番号 商標登録第4622589号(T4622589) 
商標の称呼 カスガテー、シュンジツテー、カスガ、シュンジツ 
代理人 川浪 圭介 
代理人 川浪 薫 

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