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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X09
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09
管理番号 1224906 
審判番号 不服2008-29262 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-17 
確定日 2010-09-16 
事件の表示 商願2007-94696拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第9類「電池,蓄電器,充電器,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,インターホン,通信機械器具,電話機,携帯電話機,ファクシミリ,携帯通信端末,音声又は映像の記録・送信・再生・受信・ダウンロード・保存及び編集用の機器,テレビ受像機,オーディオ・ビデオカセット再生・録音機,テープ再生・録音機,ビデオカメラ,ビデオディスク再生・録音機,携帯式デジタル音楽再生機,ナビゲーション装置,電子計算機,コンピュータ周辺機器,コンピュータソフトウェア」を指定商品として、平成19年9月5日に登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における平成20年5月26日付け手続補正書において第9類「電池,蓄電器,充電器」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『mobile booster』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、全体として『移動式(携帯型)のブースター(昇圧器、ブースタ増幅器等)』程度の意味を認識させるにとどまるものである。したがって、本願商標をその指定商品中、前記の意味に照応する機能を有する商品等に使用するときは、単に商品の品質、機能を表示したにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

1 その構成中の「mobile」及びその外来語として知られている「モバイル」、「booster」及びその外来語として知られている「ブースター」の各語に関して、以下の事実が認められる。
(1) 辞書類における記載
ア 「mobile」の項に、「動きやすい、可動性の」等の記載(「ジーニアス英和大辞典」2001年4月25日発行株式会社大修館書店)。
イ 「モバイル[mobile]」の項に、「移動性の(もの)。移動式。」等の記載(「現代用語の基礎知識」2010年1月1日発行自由国民社)。
ウ 「モバイル【mobile】」の項に、「『動かしやすい』『移動できる』の意。軽量化や無線通信機能の装備によって機器を自由な場所で利用できること」の記載(「広辞苑第六版」2008年1月11日発行株式会社岩波書店)。
エ 「booster」の項に、「昇圧機[器]、増幅器、ブースター」等の記載(前出「ジーニアス英和大辞典」)。
(2) 新聞記事情報
ア 「携帯 手の中に日本が見える(探検キーワード)」の見出しのもと、「<モバイル(mobile)>英語で『移動しやすい、可動性の』の意。」との記事(1999年2月27日 朝日新聞東京夕刊)。
イ 「モバイル(ことば学入門)【大阪】」の見出しのもと、「このモバイルは移動を意味する英語のmobileから来ている。」との記事(1997年10月3日 朝日新聞大阪夕刊)。
ウ 「松下、携帯電話を1時間で充電できる充電器を7月発売」の見出しのもと、「松下電器産業は18日、携帯電話向けに持ち運びできる充電器『USBモバイル電源』を7月1日に発売すると発表した。」との記事(2007年6月19日 日刊工業新聞)。
エ 「[クローズアップ]パッシブ型マイクロ燃料電池」の見出しのもと、「◆従来比3倍の高容量実現携帯充電器を試作・・・・長時間駆動可能な高容量モバイル電源の開発がますます重要になってきている。」との記事(2005年9月13日 電気新聞)。
オ 「エム・エステクノロジー、モバイルソーラー充電器発売」の見出しのもと、「【川崎】エム・エステクノロジー(川崎市高津区、北茂樹社長、044・812・2288)は、太陽光を利用して携帯電話やデジタルカメラなどの電源切れを解決する『モバイルソーラー充電器』を今秋に商品化する。」との記事(2002年7月24日 日刊工業新聞)。
カ 「日本電池、バッテリー充電器発売。エンジン始動機能付き」の見出しのもと、「【京都】日本電池(社長寿栄松憲昭氏)は、エンジン始動機能付きのバッテリー充電器『ブースターチャージャーCB-2570』を九日から発売する。・・・持ち運びに便利な大型取っ手なども付いた高級仕様。」との記事(1988年9月9日 日刊工業新聞)。
(3) インターネット情報
ア 「ポータブルモバイルチャージャー充電器(PDA用)(発電機 機能付き)」との記載(AlibabaJAPANウェブサイト http://www.alibaba.co.jp/pDetail-free/100123731.htm)。
イ 「『万能充電』USBモバイル充電器」の見出しのもと、「『PL-UCHG01』は、USBに対応したモバイル充電器です。お持ちの携帯電話やiPodなど、機種ごとに必要だった充電器を共有化することができます。」の記事(プラネックスコミュニケーションズ株式会社ウェブサイト http://www.planex.co.jp/product/accessory/pl-uchg01/)。
ウ 「ソーラーモバイル充電器(ソーラーモバイルチャージャー)」との記載(株式会社日本イーテックウェブサイト http://www.etech-japan.com/product/goods_mobile.html)。
エ 「モバイル充電器Cube Poter」の見出しのもと、「・USB端子からもモバイル機器を充電・・・コンパクトで持ち運びに便利!」の記事(八洲電業株式会社ウェブサイト http://www.dlgbattery-japan.com/?mo=battery&ac=Detail&cd=RX4-C)。
オ 「コダック、USBで給電するポータブルソーラー充電器」の見出しのもと、「その電力を携帯電話や携帯音楽プレーヤーなどへUSB端子から給電するモバイルバッテリー。」の記事(家電Watchウエブサイト http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20091217_336440.html)。
カ 「ポータブルバッテリーブースターハイパワー」の見出しのもと、「バッテリー上がりのクルマを始動させる持ち運びできるポータブルバッテリーブースターです」の記事(TOOL COMPANY STRAIGHTウエブサイト http://デンゲン-dengen.jp/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%96%E3%83%AB-%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC-%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC/item/17-201/)。
キ 「ポータブルブースター」の見出しのもと、「家庭用電源またはシガーソケットでバッテリーをチャージし、バッテリー上がり対応や、空気圧補充が可能です。」の記事(楽天市場ウェブサイト http://item.rakuten.co.jp/m-honpo/2069-000/)。
ク 「日動工業:NICHIDO急速充電器スーパーブースター150 150A 12V/24V」の見出しのもと、「特徴●タイマー内蔵により充電時間をバッテリーの状況に合わせて設定できます。・・・●農機などのバッテリー充電やセルスタートに・・・」の記事(ウェビックショッピングウェブサイト http://www.webike.net/sd/2122820/)。
ケ 「大型充電器・急速充電器・ブースター」の見出しのもと、「急速充電器/大型車用充電器/大型車用ブースター」「便利で格安な急速充電器,シリコン式急速充電器です。24V用充電が可能な業務用充電器・ガソリンスタンド用充電器として人気機種のご案内」の記事(有限会社シーイーピーウェブサイト http://www.cep-force.jp/cart/shop/kikai/jyuden.htm)。
コ 「スーパーブースター(大容量充電器)TN1002D」の記載(マルチ計測器販売(株)ウェブサイト http://www.akihabara.co.jp/multi/mi/h/79_03.html)。
サ 「充電器 GYB SP1-24-245ZS」の見出しのもと、「GS YUASA ブースターチャージャー SP1シリーズSP1-24-25ZS」の」記事(アーチホールセールウェブサイト http://www.arch-holesale.co.jp/SHOP/1002055.html)。

2 本願指定商品中、「蓄電器」と「充電器」の製造場所及び販売場所について、以下の事実が認められる。
(1)辞書類における記載
ア 「ちくでんき【蓄電器】」の項に「コンデンサーに同じ。」の記載(「広辞苑第6版」2008年1月11日発行株式会社岩波書店)。
イ 「コンデンサー【condenser】」の項に「1 電気の導体に多量の電荷を蓄積させる装置。絶縁した二つの導体(両極)が接近し、正負の電荷を帯びると、その電気間の引力により電荷が蓄えられる。バリコン・ライデン瓶の類。キャパシター。蓄電器。」等の記載(前出「広辞苑第6版」)。
ウ 「蓄電器(コンデンサー、capacitor)」の項に「コンデンサーは、紙コンデンサー、マイカコンデンサー・・・」の記載(「商品大辞典」1996年4月15日発行東洋経済新聞社)。
したがって、「蓄電器」と「コンデンサー」は、同意と認められる。
エ 「じゅうでんき【充電器】」の項に「蓄電池の充電に用いる器具。特に交流の電源を整流して充電に適する直流電圧を得る装置。」の記載(前出「広辞苑第6版」)。
(2)新聞記事情報
ア 「[エネルギー新時代]蓄電池(2)膨らむ商機異業種続々(連載)」の見出しのもと、「京都市は3月末までに政令市で最多の33カ所にEV用充電器を置く。・・・このEV用充電器を巡っても、多くの企業が名乗りを上げ始めた。地元では、電力界社向けコンデンサーで国内シェア9割をもつ日新電機が2009年11月に参入した。」の記事(2010年3月3日 読売新聞)。
イ 「経営ひと言/ニチコン・荒木幸彦社長『環境で活況』」の見出しのもと、「ハイブリット車(HV)向けコンデンサーに加え、三菱自動車が来年量産する電気自動車(EV)用充電器などを手掛ける。」の記事(2008年9月26日 日刊工業新聞)。
(3)インターネット情報
ア 「製品詳細」欄に「コンデンサ系」及び「放充電器 PRCシリーズ(充電器) PRC-PROシリーズ(充電器)」の記載(株式会社ピューマウェブサイトhttp://www.puma-net.co.jp/)
イ 「取扱い商品」欄に「コンデンサー電解」「コンデンサー積層」・・・「充電器PSシリーズ」の記載(ロジックデバイス株式会社ウェブサイトhttp://www.logic-d.net/shopping/?cat_lvl0=44&cat_lvl1=20000092&cat_lvl2=306&type=1 及びhttp://www.logic-d.net/shopping/?cat_lvl0=12&cat_lvl1=26&cat_lvl2=67&type=1)。
ウ 「パーツフロア」欄に「コンデンサ」及び、「完成品フロア」欄に「充電器」の記載(共立エレショップウェブサイトhttp://eleshop.jp/shop/contents3/index_parts.aspx 及びhttp://eleshop.jp/shop/contents3/index_product.aspx)。
エ 「全カテゴリー一覧」欄の「電池一般」欄に「充電器/電池チェッカ」及び「パーツ一般」欄に「コンデンサ」の記載(秋月電子通商ウェブサイトhttp://akizukidenshi.com/catalog/c/cbatt/ 及びhttp://akizukidenshi.com/catalog/c/cparts/)。

第4 請求人の意見
請求人は、前記第3の証拠調べに対し、何ら意見を述べていない

第5 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、「mobile booster」の欧文字を横書きしてなるところ、構成中の「mobile」と「booster」の各文字が、半角ほどの空白を空けて表されていることから視覚上容易に分離して認識、把握されるものである。
そして、前記第3の証拠調べの1(1)より、その構成中「mobile」の文字部分が「可動性の」の意味を、また「booster」の文字部分が「ブースター」の意味を有するものとしていずれも一般に知られている語と認められる。
してみれば、本願商標は、全体として、「可動性のブースター」の意味を理解させるに止まるものである。
さらに、前記第3の1(2)カ及び(3)カないしサの事実によれば、「booster」及びその外来語として知られている「ブースター」の各文字は、自動車用の充電器を示す語としても使用されており、また、自動車用充電器にも可動性のものが存在することが認められる。
そうすると、本願商標を、その指定商品中「充電器」に使用したときには、これに接した需要者、取引者は、「動かすことができる自動車用充電器」であることを理解させるにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「可動性の充電器」に使用しても商品の品質を表示するにすぎないものである。
また、本願商標は、これを上記以外の「充電器」に使用したときは、あたかもそれが「動かすことのできる充電器」であるかの如く商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
さらに、前記第3の2(2)及び(3)の事実より、本願商標の指定商品中「蓄電器」は、「充電器」とその製造場所、販売場所及び需要者を共通にする商品と認められるものであるから、充電器の意味を有する語として、使用され、知られている「booster」の文字を含む本願商標は、これをその指定商品中「蓄電器」に使用するときは、あたかもそれが「充電器」であるかのごとく商品の品質の誤認を生ずるおそれがあると判断するのが相当である。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨を主張するが、それら過去の登録例は、指定商品の内容及び商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の上記主張は、採用することができない。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標



審理終結日 2010-07-06 
結審通知日 2010-07-13 
審決日 2010-07-26 
出願番号 商願2007-94696(T2007-94696) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X09)
T 1 8・ 13- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 正俊薩摩 純一 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 大森 友子

末武 久佳
商標の称呼 モバイルブースター、モービルブースター、モビールブースター 
代理人 ▲角▼谷 浩 

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