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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y28 |
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管理番号 | 1222949 |
審判番号 | 無効2009-890084 |
総通号数 | 130 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-10-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2009-07-15 |
確定日 | 2010-08-10 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5159075号商標及び登録第5172905号商標の商標登録無効審判事件について、審理の併合のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5159075号及び登録第5172905号商標の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 無効請求に係る商標 1 無効2009-890083号事件に係る登録第5159075号商標(以下「本件商標1」という。)は、別掲(1)のとおり、「SWAMP TOURS」の欧文字と「スワンプツァーズ」の片仮名文字を二段に書してなり、平成18年1月27日に登録出願、第18類「札入れ,革製かばん,バックパック,通学用かばん,かばん類,革製スーツケース,キャリーバッグ,スーツケース,ハンドバッグ,買物袋,ブリーフケース,トランク,旅行かばん,登山用ザック,キーケース,携帯用化粧道具入れ,旅行用小型手提げかばん,車付き買物袋,スポーツバッグ,袋物」を指定商品として、同20年6月20日に登録すべき旨の審決がされ、同年8月15日に設定登録され、現に有効に存続している。 2 無効2009-890084号事件に係る登録第5172905号商標(以下「本件商標2」という。)は、別掲(1)のとおり、「SWAMP TOURS」の欧文字と「スワンプツァーズ」の片仮名文字を二段に書してなり、平成18年1月27日に登録出願、第28類「ゴルフボール,ゴルフクラブ用シャフト,ゴルフティー,ゴルフクラブ用ヘッド,ゴルフクラブ用ヘッドカバー,ゴルフクラブのグリップ用プラスチックカバー,グリーンマーカー,キャディーバッグ,ゴルフ手袋,ゴルフクラブ用グリップ,ゴルフクラブ,ゴルフ用具,運動用具」を指定商品として、同20年9月19日に登録すべき旨の査定がされ、同年10月10日に設定登録され、現に有効に存続している。 以下、審理を併合した商標を一括していうときは、「本件各商標」という。 また、審理を併合した審判事件を一括していうときは、「本件各審判」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。 1 引用商標 (1)請求人「スワンプ プロダクションズ ピーティーワイ リミテッド」(以下「スワンプ」という。)は、別掲(2)の構成よりなる商標(以下「引用商標1」という。)を「漫画のタイトル」に使用している。 (2)請求人「明石被服興業株式会社」(以下「明石被服興業」という。)は、「SWAMP TOURS」の欧文字よりなる商標(以下「引用商標2」という。)を「女性用ゴルフウェア、ゴルフバッグ、ポーチ、ボストンバッグ、シューズケース、小物入れ、チョークバッグ、ウエストポーチ、ゴルフクラブ用ヘッドカバー、ゴルフボールホルダー、グリーンマーカー、キャディーバッグ」に使用している。 以下、引用商標1及び引用商標2を一括していうときは、「引用各商標」という。 2 請求の利益について スワンプは、オーストラリア国在住の漫画家ゲーリー・クラークが代表を務める会社であり、同人が描く新聞連載漫画「SWAMP TOUR」(以下「当該漫画」という。)等の著作物を管理している。 スワンプは、明石被服興業と、我が国におけるゲーリー・クラークの著作物の利用許諾契約を締結している。 また、スワンプは、別掲(3)のとおり、「SWAMP TOURS」の欧文字と「スワンプツァーズ」の片仮名文字を二段に書してなり、被服等を指定商品とする登録第3368665号商標の商標権者である(甲第3号証及び甲第4号証)。 スワンプは、平成18年4月17日に、「スワンプツァーズ」の片仮名文字と「SWAMP TOURS」の欧文字を二段に書してなる商標を、商品及び役務の区分第18類及び第28類に登録出願(商願2006-35115号)したところ、本件各商標を引用され、商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶査定を受けた(甲第5号証)。 したがって、スワンプは、本件各審判について重大な利害関係を有しているから、請求の利益を有する。 一方、明石被服興業は、スワンプから、著作物の利用許諾及び上記登録第3368665号に係る商標権の使用許諾を受けて、1996年8月頃から、商標「SWAMP TOURS」を使用した「女性用ゴルフウェア、ゴルフバッグ、ポーチ、ボストンバッグ、チョークバッグ、ウエストポーチ、ゴルフクラブ用ヘッドカバー、ゴルフボールホルダー、グリーンマーカー、キャディーバッグ」等を製造販売している。 上記商品中、ボストンバッグ等は、ゴルフなど運動専用品ではないために、本件商標1の指定商品に含まれるものである。 また、上記商品中、ゴルフクラブ用ヘッドカバー、ゴルフボールホルダー、グリーンマーカー、キャディーバック等は、ゴルフなど運動専用品であるから、本件商標2の指定商品に含まれるものである。 したがって、明石被服興業も、本件各審判について重大な利害関係を有しているから、請求の利益を有する。 3 「SWAMP TOURS」について 「SWAMP」の語は、「低湿地、沼地」の意味を有する英単語であり、「TOURS」の語は、「小旅行、周遊、観光旅行、ツアー」の意味を有する英単語であるが、両語を組み合わせた「SWAMP TOURS」又は「スワンプツァーズ」の各語は、いずれも英和辞典等に掲載されていない造語的な言葉であるといえる。 4 スワンプと引用商標1について スワンプの代表者ゲーリー・クラークは、前記2で述べたように、オーストラリア国在住の漫画家である。 彼が少年時代を過ごしたオーストラリア国ブリスベンの干潟や小川をモデルとし、沼地に生きる様々な動物達が繰り広げるエピソードを描いた当該漫画は、1981年に、同国クイーンズランド州における地域新聞にはじめて掲載された。 その後、当該漫画は、オーストラリア国における主要な31の新聞紙に掲載されるようになり、隣国ニュージーランドのほか、スウェーデンの著名な雑誌「Knasen」に掲載されるなどヨーロッパ各国においても愛読されるようになった。 我が国においても、2005年3月に、当該漫画の日本語版が発行されている(甲第9号証)。 当該漫画のキャラクターは、オーストラリア航空協会のマスコット・キャラクター、オーストラリア国政府広報、同国の学校教材等にも採用されている。 しかして、引用商標1は、当該漫画のタイトルである。 5 明石被服興業と引用商標2について 明石被服興業が製造販売する商品は、1996年8月頃から現在に至るまで全国各地のゴルフ場におけるクラブハウス内の用品ショップにおいて販売されているほか、京王聖蹟桜ケ丘ショッピングセンター、函館大沼プリンスホテル、広島天満屋、姫路ヤマトヤシキ百貨店、星ケ丘三越、京都高島屋、神戸大丸百貨店、銀座松坂屋など全国の百貨店や、インターネット上の楽天市場に開設されたオンラインショップ等で販売され、おしゃれでかわいいゴルフ用品として好評を博しており、ゴルフ専門雑誌等においても頻繁に商品紹介がなされている。ちなみに、インターネットにて「スワンプツァーズ」の語を検索(Google)すると、明石被服興業の製造販売に係る各種商品が、多数ヒットする(甲第10号証ないし甲第21号証)。 6 具体的無効理由 (1)商標法第4条第1項第7号について 本件各商標と引用商標1とを対比すると、「スワンプツアーズ」の片仮名文字の有無の他に、欧文字部分の語尾における「S」の有無が認められるところ、一般に、英単語ないし英熟語において、末尾における「S」は、複数形であることを表すにすぎない。 したがって、本件各商標と引用商標1は、相紛らわしく明確には判別しづらいというべきである。 しかも、当該漫画では、語尾に「S」を伴う「SWAMP TOURS」の語が使用されている箇所も少なからず認められる(例えば、甲第7号証におけるボート部分の表示)。 確かに、新聞紙上において日々連載されているオーストラリア国等と異なり、我が国のみについていえば当該漫画の認知度は未だ高くないから、本件各商標や引用商標1から直ちに当該漫画のタイトルを認識する者はさほど多くないかもしれない。 しかし、商標法第4条第1項第7号は、客観的に公正な取引秩序の維持を図るため、国際信義に反する商標の登録排除も目的としている。 本件各商標の登録出願当時、本件各商標に酷似している引用商標1は、すでに、オーストラリア国やニュージーランド国、そしてヨーロッパ各国において愛読されている漫画のタイトルであったこと、他方、「SWAMP TOUR」又は「SWAMP TOURS」は辞書等に掲載されていない造語的な商標であって、スワンプらと無関係な被請求人が、我が国において、引用商標1に酷似した本件各商標を偶然に採択・使用する蓋然性は極めて薄いこと、そして後述するように、我が国においてはすでに10年前から同漫画に係る著作権の利用許諾を得た明石被服興業が引用商標2を使用したゴルフ用品類を広く販売しているライセンスビジネスが実在していたこと等々に照らせば、当該漫画の著作者らと何ら関係のない者に、当該漫画のタイトルたる引用商標1に酷似した本件各商標を自己の商標として採択・使用することを許すことは、明らかに国際信義に反する結果を招来することになる。 よって、本件各商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第10号について 明石被服興業が使用している引用商標2は、女性用ゴルフウェアを主たる使用商品としているが、ポーチ、ボストンバッグ、シューズケース、小物入れ、チョークバッグ、ウエストポーチ、ゴルフクラブ用ヘッドカバー、ゴルフボールホルダー、グリーンマーカー、キャディーバッグ等についても使用されてきた。 上記商品は、需要者たる女性ゴルファーに対して確実に訴求するように、ゴルフ場のクラブハウス内ショップや百貨店のスポーツショップ等において販売されており、ゴルフ専門雑誌においても頻繁に商品が紹介されてきた。 その結果、引用商標2は、本件各商標が登録出願された平成18年1月27日頃には、明石被服興業の業務に係る商品を表示するものとして、女性ゴルファーの間において広く認識されるに至っていた。 そして、本件各商標と引用商標2は、「SWAMP TOURS」の欧文字を共通にする類似の商標であり、本件各商標の指定商品には引用商標2が使用されている商品が含まれている。 したがって、本件各商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。 (3)商標法第4条第1項第15号について 引用商標2は、女性用ゴルフウェアを主たる使用商品として、1996年の発売以来、女子プロゴルファーのみならず、プロ野球選手や女子アナウンサー等がゴルフ場外におけるカジュアルウェアとして着用している例が見られるなど、おしゃれでかわいいウェアとして好評を博してきた。 本件各商標が登録出願された平成18年1月27日頃には、年間3億円程度の規模に成長していたから、女性用ゴルフウェアという極めて限定された商品分野においては知悉された存在になっていたものである。 一方、本件商標1の指定商品中、女性用のポーチやボストンバッグ等は、ゴルフシーンにおいて必須の商品であることから、スポーツショップ店頭等においても扱われることになるが、そこでは女性用のゴルフウェアも一緒に販売されるのが通例である。 また、本件商標2の指定商品は、主にスポーツショップ店頭等において扱われることになるが、そこでは女性用のゴルフウェアも一緒に販売されるのが通例である。 そうとすれば、女性用ゴルフウェアとして需要者間において広く知られている引用商標2と実質的に同一商標といえる本件商標1をポーチ等のかばん類や袋物について使用した場合、あるいは、本件商標2をゴルフ用具に使用した場合、需要者においては、明石被服興業の業務に係る商品であるかのように誤認混同を生ずるおそれや、ひいてはライセンス元であるスワンプ等と何らかの契約関係を有するかのように誤認混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件各商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 7 むすび 以上述べたとおり、本件各商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号又は同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号によりその登録は無効とされるべきである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、何ら答弁していない。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号について (1)商標法第4条第1項第15号は、「周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものである」とされ、また「『混同を生ずるおそれ』の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである。」とされる(最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決参照)。 そこで、上記基準に沿って、本件各商標が、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるか否かについて、以下検討する。 (2)本件各商標と引用商標2との類似性の程度 本件各商標は、「SWAMP TOURS」の欧文字及び「スワンプツアーズ」の片仮名文字を二段に書してなるものであるから、その構成文字に相応して「スワンプツアーズ」の称呼を生ずる。 一方、引用商標2は、「SWAMP TOURS」の欧文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「スワンプツアーズ」の称呼を生ずる。 そうとすれば、本件各商標と引用商標2は、「スワンプツアーズ」の称呼を共通にする、称呼上類似する商標である。 また、本件各商標と引用商標2は、「SWAMP TOURS」の欧文字部分を共通にするから外観上も類似する商標である。 さらに、「SWAMP TOURS」は熟語ではないものの、「SWAMP」は、「沼地」の意味を有する語として、また「TOURS」は、「周遊旅行」の意味を有する語「TOUR」の複数形として、いずれもよく知られている語であるから、本件商標構成中「SWAMP TOURS」の文字及びその字音と認められる「スワンプツアーズ」からは「沼地を巡る周遊旅行」程の観念を認識させる。 また、引用商標2は、「SWAMP TOURS」の文字からなるものであるから、本件各商標と同様に「沼地を巡る周遊旅行」程の観念を認識させる。 してみれば、本件商標と引用商標2とは、「沼地を巡る周遊旅行」の観念を共通にする商標である。 したがって、本件各商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しており類似性の程度が極めて高い商標である。 (3)引用商標2の周知著名性 ア 甲各号証によれば、以下の事実を認めることができる。 (ア)甲第10号証は、「SWAMP TOURS」を表題とする冊子であるところ、2枚目表には「●展開内容」として、「対象 レディース(ゴルファー)」、「消費者特徴 ファッションに遊び心がある人」、「用途特徴 スポーティーカジュアル(ゴルフ) タウン・リゾートカジュアル」、「展開アイテム アウタージャケット 20% ニット 5% カットソー 15% シャツ類 45% ボトム類 15% その他、ゴルフ雑貨、小物類あり」、「販路 専門店(ゴルフSHOP、スポーツブティック等) 百貨店 その他(ホテルSHOP、ゴルフ場SHOP等)」等と記載されている。 また、2枚目裏には「SWAMP TOURSは女子プロゴルファーの市來美和さん/永井美里さんを応援しています。」と記載され、また、「スワンプ大好き!!」の吹き出しと共に、引用商標2が表示されたキャディーバッグと並んだ市來美和の写真及び引用商標2が表示されたキャディーバッグと並んだ永井美里の写真が掲載されている。 さらに、3枚目表には、「●スワンプ展開SHOP」、「SWAMP TOURS取り扱いゴルフ場」として、御前水ゴルフ倶楽部(北海道)をはじめとして、群馬県、千葉県、神奈川県、静岡県、石川県、奈良県、兵庫県、岡山県、愛媛県、香川県及び熊本県における22ヶ所のゴルフ場が挙げられている。 (イ)甲第11号証は、「THE WORLD OF SWAMP TOURS by Gary Clark」を表題とする冊子であるところ、3枚目表には「SWAMP TOURSカジュアルウエア 販売概要」の項に、「デザイン、企画 SWAMP PRODUCTIONS PTY LTD QUEENSLAND AUSTRALIA 作家 GARY CLARK」、「製造、販売 明石被服興業株式会社」、「商品構成 キャラクターカジュアルウエア、衣料雑貨等」、「販売店舗 スワンプツアーズ横浜元町店 横浜市元町1-42 TEL 045-641-0960」、「販売開始 1996年8月24日(土)」、「お問い合わせ先 明石被服興業株式会社 カジュアル衣料部」等の記載がある。 また、3枚目裏には、「スワンプツアーズ横浜元町店」の店舗の写真が掲載されているところ、店外及び店内の看板には、引用商標2をやや図案化した商標が表示されている。 (ウ)甲第12号証の1枚目は、「SWAMP TOURS ゴルフ雑貨・小物 製造・販売実績 1(審決注:1は○で囲まれている)」「SWAMP TOURS ゴルフ雑貨・小物 製造・販売実績 2(審決注:2は○で囲まれている)」を表題とする冊子であるところ、1枚目表から裏にかけて、「2002 SPRING & SUMMER」、「2003 SPRING & SUMMER」、「2003 FALL & WINTER」、「2004 SPRING & SUMMER」、「2004 FALL & WINTER」、「2005 SPRING & SUMMER」、「2006 SPRING & SUMMER」、「2007 SPRING & SUMMER」、「2007 FALL & WINTER」、「2008 SPRING & SUMMER」の各項目が設けられ、その各項目の右側にキャディーバッグ、ボストンバッグ、キーホルダー、ヘッドカバー、ウエストポーチ、チョークバッグ、ペットボトルホルダー、クリップマーカー、ポーチ、ボールホルダー、ポケットマーカー、シューズケース等の商品の写真、品番、品名、値段、生産数量が掲載されている。 同号証の2枚目ないし10枚目は、「2002 SS SWAMP TOURS アイテム一覧表」(審決注:「SS」は、「SPRING & SUMMER」の意味であると思われる。以下同じ。)、「2003 SS SWAMP TOURS アイテム一覧表」、「2003 FW SWAMP TOURS アイテム一覧表」(審決注:「FW」は、「FALL & WINTER」の意味であると思われる。以下同じ。)、「2004 SS SWAMP TOURS アイテム一覧表」、「2005 SS SWAMP TOURS アイテム一覧表」、「2006 SS SWAMP TOURS アイテム一覧表」、「2007 SPRING & SUMMER SWAMP TOURS アイテム一覧表」、「2007 FALL & WINTER SWAMP TOURS アイテム一覧表」、「2008 SPRING & SUMMER SWAMP TOURS アイテム一覧表」を表題とする冊子であるところ、キャディーバッグ、ボストンバッグ、サンバイザー、クリップバイザー、ヘッドカバー、小物入れ、レインハット、レインスーツ、キャップ、ハイソックス、クリップマーカー、ウエストポーチ、チョークバッグ、ペットボトルホルダー、クリップマーカー、ポーチ、ボールホルダー、ポケットマーカー、シューズケース等の商品の写真、品番、品名、値段等が掲載されている。 そして、当該キャディーバッグ、サンバイザー、クリップバイザー、キーホルダー、ボストンバッグ、ヘッドカバー、レインスーツ、クリップマーカー、ウエストポーチ、ポーチ等には、引用商標2が表示されている。 (エ)甲第13号証は、1996年秋冬から2008年秋冬までのTシャツ、ポロシャツ、トレーナー、コート等についての「SWAMP TOURS商品生産実績表」であるところ、の生産額は、1996年7月1ないし同年12月31日が、70,352,500円、1997年3月1日ないし同年6月5日が、49,456,400円、1997年7月1日ないし1998年4月15日が、145,724,500円、1998年12月26日ないし2008年11月1日が、2,214,445,900円となっている。 (オ)甲第15号証は、「2008年5月12日 ゴルフ場展開一例 SWAMP TOURS ゴルフウェア・ゴルフ雑貨(キャディーバッグ・ボストンバッグ等)販売」を表題とする冊子であるところ、2008年5月12日付けの16ヶ所のゴルフ場内の店頭販売状況を示す写真、1997年4月、同年5月、同年9月、同年12月付けのホテル、デパート等の店頭販売状況を示す写真及び1996年8月付けのスワンプツアーズ横浜元町店の店頭販売状況が掲載されており、これらの店舗の店外及び店内の看板、ゴルフウェアー等に引用商標2をやや図案化した商標が表示されている。 (カ)甲第16号証は、「プレス情報」を表題とする冊子である。 1枚目表には、レジーナ(2008年11月25日発行)の表紙と当該雑誌の141頁が表示されているところ、当該頁掲載のヘッドカバーには、引用商標2が記載されている。 1枚目裏には、スーパーゴルフ(2008年10月1日発行)の表紙と当該雑誌の51頁が表示されているところ、当該頁には、引用商標2が表示された服を着た女性が写っている。 3枚目表には、週間ゴルフダイジェスト(2008年8月12日号)の表紙と当該雑誌の203頁が表示されているところ、当該頁には、引用商標2が表示された服を着た女性が写っている。 7枚目表には、週間ゴルフダイジェスト(2008年3月25日号)の表紙と当該雑誌の267頁が表示されているところ、当該頁には、引用商標2が表示された服が紹介されている。 8枚目裏には、チョイス(2006年9月号)の表紙と当該雑誌の171頁が表示されているところ、当該頁には、「SWAMP TOURS マルチストライプ」の表題で、キャディバッグが写真と共に紹介されている。 9枚目表には、ワッグル(2004年12月号)の表紙と当該雑誌の199頁が表示されているところ、当該頁には、「新ブランドの『スワンプツアーズ』でオシャレを楽しもう」「『スワンプツアーズ』は、オーストラリアのコミックから生まれた新しいブランド。かわいらしいウエアのほかに雑貨も○(審決注:判別不明)っていて、女性ゴルファーの間で人気急上昇中。」の記載があり、カーディガン、パンツ及びボールマーカーが写真と共に紹介されている。 9枚目裏には、週間パーゴルフ(2004年6月8日号)の表紙と当該雑誌の274頁が表示されているところ、当該頁には、「スワンプツアーズ 明石被服興業」の記載があり、バイザー、ボタンアップシャツ及びショートスリーブシャツが写真と共に紹介されている。 10枚目表には、月刊ゴルフモード北海道(2004年3月号)の表紙と当該雑誌の4頁が表示されているところ、当該頁には、引用商標2をやや図案化した商標の記載があり、セーター等が写真と共に紹介されている。 10枚目裏には、ゴルフダイジェスト(2004年1月20日号)の表紙と当該雑誌の153頁が表示されているところ、当該頁には、明石被服興業が、スワンプツアーズのキャディーバッグをプレゼントする旨が記載されている。 11枚目表には、「TBS ANNOUNCER アナウンサー名鑑 2004」の表紙と当該雑誌の63頁が表示されているところ、当該頁には、女性アナウンサーと引用商標2が表示されたキャディーバッグが並んで写っている。 11枚目裏には、岡山ゴルフ情報(2003年12月号)の表紙と当該雑誌の101頁が表示されているところ、当該頁には、引用商標2が表示されたキャディーバッグが読者プレゼントとして紹介されている。 12枚目裏には、週刊ゴルフダイジェスト(2003年8月19・26合併号)の表紙と当該雑誌の153頁が表示されているところ、当該頁には、スワンプツアーズのボールホルダーが読者プレゼントとして紹介されている。 13枚目裏には、週刊ゴルフダイジェスト(2004年2月4日号)の表紙と当該雑誌の219頁が表示されているところ、当該頁には、「・・・『スワンプツアーズ』レディスシャツ3名に」の記載があり、女性用シャツ等が写真と共に紹介されている。 14枚目裏には、セサミ(1998年121号)の表紙と当該雑誌の138頁が表示されているところ、当該頁では、引用商標2をやや図案化した商標が表示された子供服が紹介されている。 (キ)甲第17号証は、タレント、アナウンサー、女子プロゴルファーなどが「SWAMP TOURS」の文字が表示されたウェアを着用している写真の写し及び社団法人日本女子プロゴルフ協会のウエブサイトを印刷した書面であるところ、当該ウエブサイト中「土屋陽子」及び「永井美里」の「契約」項には、「ウェア:スワンプツアーズ」の記載がある。 (ク)甲第18号証は、明石被服興業が、2002年9月10日から、2008年3月19日まで、それぞれ数日づつ、30回にわたり、同社の本店及び支店で行った展示会開催の様子が掲載されている商品案内である。 同展示会で展示されているキャリーバッグ、スポーツジャケット、シャツ等には、引用商標2が表示されている。 (ケ)甲第19号証は、ウエブサイトの写しであるところ、その3枚目から6枚目は、2008年11月18日ないし同21日付けの「スワンプツアーズ」によるブログを印刷した書面である。 3枚目裏には、引用商標2が表示されたキャディバッグが写っている。 4枚目表には、「SWAMP」及び「TOURS」の欧文字が記載された服を着た女子プロゴルファーと引用商標2が表示されたキャディバッグが並んで写っている。 4枚目裏には、女子プロゴルファーと引用商標2が表示されたキャディーバッグが並んで写っている。 5枚目表には、引用商標2をやや図案化した商標が表示されたシューズバッグと引用商標2が表示されたボストンバッグが写っている。 5枚目裏には、引用商標2が表示されたボールホルダーが写っている。 6枚目表には、引用商標2が表示されたポーチが写っている。 (コ)甲第20号証の1ないし7は、「SWAMP TOURS」の「2003 FALL & WINTER 」、「2004 FALL & WINTER 」、「2005 FALL & WINTER 」、「2006 SPRING & SUMMER」、「2006 FALL & WINTER 」、「2007 SPRING & SUMMER」、「2007 FALL & WINTER 」の商品紹介カタログで、主として女性用のゴルフウェアの写真が掲載されているところ、当該女性用ゴルフウェアの多くに引用商標2が表示されている。 (サ)甲第21号証は、インターネット(Google)でのスワンプツアーズの検索結果中1ないし10件までの写しであるところ、そのうち8件には、「スワンプツアーズ」に関する商品の概略説明が記述されている。 イ 上記アで認定した事実及び請求人の主張によれば、明石被服興業は、1996年8月頃から2008年11月頃まで、継続して引用商標2等を使用した「女性用ゴルフウェア、ゴルフバッグ、ポーチ、ボストンバッグ、シューズケース、小物入れ、チョークバッグ、ウエストポーチ、ゴルフクラブ用ヘッドカバー、ゴルフボールホルダー、グリーンマーカー、キャディーバッグ」等を製造販売していたことが認められる。 そして、引用商標2を使用した女性用ゴルフウェアについては、ゴルフの専門雑誌等での広告、女性プロゴルファーとの広告契約、展示会の開催及びゴルフ場・デパート・ホテル等での商品の販売が行われた結果、引用商標2は、本件各商標の登録出願時及び登録査定時において、明石被服興業の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く知られていたと認められる。 (4)独創性の程度 引用商標2を構成する「SWAMP TOURS」及び「スワンプツアーズ」の語から「沼地を巡る周遊旅行」程の観念を生ずることは、前記(2)で認定したとおりであるが、「SWAMP TOURS」及び「スワンプツアーズ」は、熟語ではなく造語というべきであるからから、独創性の強い語であるというべきである。 (5)本件商標の指定商品と引用商標2の使用に係る商品との関連性 本件商標1の指定商品「札入れ,革製かばん,バックパック,通学用かばん,かばん類,革製スーツケース,キャリーバッグ,スーツケース,ハンドバッグ,買物袋,ブリーフケース,トランク,旅行かばん,登山用ザック,キーケース,携帯用化粧道具入れ,旅行用小型手提げかばん,車付き買物袋,スポーツバッグ,袋物」及び本件商標2の指定商品「ゴルフボール,ゴルフクラブ用シャフト,ゴルフティー,ゴルフクラブ用ヘッド,ゴルフクラブ用ヘッドカバー,ゴルフクラブのグリップ用プラスチックカバー,グリーンマーカー,キャディーバッグ,ゴルフ手袋,ゴルフクラブ用グリップ,ゴルフクラブ,ゴルフ用具,運動用具」と「女性用ゴルフウェア」は、いずれもファッションに関連し、比較的安価で日常的に購入される商品であって、用途において密接な関連性を有するものというべきであり、また、需要者、販売店を共通にする場合も多いというべきである。そして、その需要者は、老若男女を含む一般の消費者であり、商品に対する注意力もそれほど高いものではない。 したがって、本件商標1の指定商品及び本件商標2の指定商品と「女性用ゴルフウェア」とは、関連性の程度が高い商品といえるものである。 (6)引用商標2へのただ乗り 前記(4)で認定したとおり、「SWAMP TOURS」及び「スワンプツアーズ」は、独創性の強い語であること及び請求人が商標権者である別掲(3)の構成からなる登録第3368665号商標と別掲(1)の構成からなる本件各商標とが同一の構成であることからすれば、被請求人が偶然に本件商標を採択したとは考えがたい。そして、引用商標2が、女性用ゴルフウェアについて、本件各商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間に広く知られていたこと及び被請求人が、何ら答弁していないことをもあわせて勘案すると、本件各商標は、我が国における引用商標2の著名性、顧客吸引力等にただ乗りするものであると推認することができる。 2 むすび 以上によれば、本件各商標は、これをその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者をして、引用商標2を連想、想起し、当該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。 したがって、本件各商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標1及び本件商標2 (2)引用商標1 (3)登録第3368665号商標 |
審理終結日 | 2010-03-12 |
結審通知日 | 2010-03-16 |
審決日 | 2010-03-31 |
出願番号 | 商願2006-6430(T2006-6430) |
審決分類 |
T
1
11・
271-
Z
(Y28)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 正樹、小川 きみえ |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 末武 久佳 |
登録日 | 2008-10-10 |
登録番号 | 商標登録第5172905号(T5172905) |
商標の称呼 | スワンプツアーズ、スワンプ、ツアーズ |
代理人 | 森 寿夫 |
代理人 | 森 寿夫 |
代理人 | 山口 朔生 |