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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X293032
管理番号 1221601 
異議申立番号 異議2009-900323 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-08-17 
確定日 2010-07-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5232542号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5232542号商標の指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」及び第30類「菓子及びパン」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5232542号商標(以下「本件商標」という。)は、「しなやか」の平仮名を標準文字で表してなり、平成19年6月15日に登録出願、第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同21年4月17日に登録査定、同年5月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、「しなやか」の文字を横書きしてなるものであるが、「しなやか」は、物の形容詞としては弾力性を有する物の性質・特性を表す語であり、極めて普通に使用されている語である。
してみれば、本件商標は、その指定商品中、弾性を有する商品の品質又は形状を単に表示したものにすぎず、自他商品識別力を有していないことは明らかである。他方、弾性を有する商品以外の指定商品について使用された場合には、これに接する取引者、需要者はそれらの商品があたかも弾性を有する商品であるかのごとく、商品の品質について誤認混同を生ずることになる。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

3 本件商標に対する取消理由
平成22年2月26日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)本件商標は、「しなやか」の平仮名よりなるものであるが、「しなやか」は、「しなうさま。弾力にとんでたわむさま。」(広辞苑 甲第2号証)を意味する語であり、本件指定商品に係る食品の分野において、登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)発明の名称を「魚肉すり身製品の製造方法及び魚肉すり身製品改良剤」とする特開2009-60788の公開特許公報(甲第3号証)において「…しなやかさが同時に得られるような食感が改善された、フィッシュボール等の魚肉すり身製品…」、「…ソフトで弾力のある『しなやな』な水産練り製品…」などの記載がされている。
同じく、発明の名称を「魚肉練り製品およびその製造方法」とする特開2003-319764の公開特許公報 (甲第4号証)において「…かつしなやかさに富んだ魚肉練り製品を…」などの記載がされている。
同じく、発明の名称を「牛肉加工品及び牛肉加工品の食感改善方法」とする特開2001-327265の公開特許公報 (甲第5号証)において「…好ましいしなやかな食感を有する牛肉加工品…」などの記載がされている。
同じく、発明の名称を「鶏肉スリミの品質判定方法」とする特開平5-256845の公開特許公報 (甲第6号証)において「…鶏肉ソーセージのような加工食品を製造したとき、しなやかな弾力と良好な食感を有し、…」などの記載がされている。
(イ)岩手県工業技術センター研究報告(甲第7号証)とする「雑穀で作ったもち菓子の物性」との表題の下に「…Pliability (しなやかさ・柔軟性)…」、「…測定結果からタカキビは、経時的にしなやかさ・柔軟性が失われるものの……」などの記載がされている。
(ウ)園芸学研究(甲第8号証)とする「ダイコンのテクスチャー評価法と浅漬け加工に伴うテクスチャーの変化」との表題の下に「…野菜に振り塩をした際にしなやかなテクスチャーになると…」、「…すなわちしなやかな物性を示したのは…」などの記載がされている。
(エ)「かまぼこの科学」を表題とする書籍(甲第9号証)において「…弾力、しなやか、硬さ…」、「かまぼこの足には、硬さ、強さ、弾力、粘り、しなやかさ、…」の記載がされている。
(オ)「岩手県水産技術センターニュース シーガルボイス」との表題になるウェブページ(甲第10号証)に「魚肉ねり製品を用いた新発酵食品の開発特許出願中」との見出しの下に「…弾力性に富んだしなやかな食感を…」の記載がされている。
(カ)インターネット検索エンジンGoogleによる「しなやか 肉製品」の検索結果(甲第12号証)において「食肉製品用蛋白組成物およびそれを用いた食肉製品」の見出しの下に「…しなやかで、食感は弾力性がある…」などの記載がされている。
同じく、「しなやか ソーセージ」の検索結果(甲第13号証)において、「しなやかな食感のオードブル用ソーセージ」などの記載がされている。
同じく、「しなやか 魚肉練り製品」の検索結果(甲第14号証)において「魚肉練り製品およびその製造方法」の見出しの下に「…繊維感や弾力性、しなやかさを併せ持つ畜肉様の食感を…」、「セルパワー(魚肉練製品への添加物)-ジェトロ TTPP(Trade Tie-up…」の見出しの下に「…弾力を落とすことなく、しなやかな食感の…」、「千代田商工-製品紹介」の見出しの下に「…腰のあるしなやかな弾力魚肉練り製品の品質改良…」などの記載がされている。
同じく、「しなやか 野菜」の検索結果(甲第15号証)において「しなやか野菜の6色サラダ:レシピブログ-ココロとカラダにやさしい…」などの記載がされている。
同じく、「しなやか菓子」の検索結果(甲第16号証)において「赤てのごい(チーズマドレーヌ)/博多西洋和菓子の明月堂」の見出しの下に「…しなやかなスポンジケーキにチーズがとけあって…」などの記載がされている。
同じく、「しなやか パン」の検索結果(甲第17号証)において「手づくりパン応援サイト【ベイキングデイズ】-最強力粉(スーパー…」の見出しの下に「…しなやかで適度な弾力を持ったパンに適します。…しなやかなパンが焼き上がるのが特徴…」の記載がされている。
(キ)「ニュースリリース」を見出しとするウェブページ(甲第20号証)において「伊藤ハム…そのまま味わう、あっさり、しなやか食感のオードブル用ソーセージ…」などの記載がされている。
(ク)「研修関連情報データベース中央研修」を見出しとするウェブページ(甲第21号証)において「魚肉練り製品の弾力 …しなやかな弾力を持つゲル(かまぼこ)になる。」の記載がされている。
(ケ)「上品な甘さとしなやかな食感は最高級のメロンの味わい熊本県・上田農園 赤肉メロン『…」を見出しとするウェブページ(甲第22号証)において、当該赤肉メロンに係る記載がされている。
(コ)「『青森、洋菓子、心菓子』しなやかチーズケーキ『朝の八甲田』」を見出しとするウェブページ(甲第23号証)において当該チーズケーキに係る記載がされている。
(サ)「おいしさの秘密:おいしく 森永製菓の菓子育[食育の取り組み]」を見出しとするウェブページ(甲第24号証)において「マシュマロ …しなやかさとやわらかさを保ちながら…」との記載がされている。
(シ)「しなやかな肌触り、ほんのりとした甘さ。」を見出しとするウェブページ(甲第25号証)において「…【笑福堂】二味 羽二重餅…一つ手にとり、お口に運べば・・・もっちり、しなやか…」などの記載がされている。
(ス)「山形県産のラ・フランス贅沢ゼリー通販」を見出しとするウェブページ(甲第26号証)において「しなやかな食感、広がる上品な甘みがたまらない!」の記載がされている。
(セ)「麺類 新鮮野菜、果物ショップ いずみや」を見出しとするウェブページ(甲第28号証)において「…【愛知県特産】金トビ 特級そうめん コシの強さとソフトな弾力、しなやかなのど越しが特徴。…」、「…【愛知県特産】西尾製粉 安城和泉 手延半生そうめん しなやか弾力とコシ、しっかりとした食感。…」などの記載がされている。
(2)以上の認定事実によれば、「しなやか」の語は、魚肉練り製品を始めとして、ソーセージ、メロン、チーズケーキ、そうめんなどの食感も重要な商品の特徴である各種食品について、「しなうさま。弾性をとんでたわむさま」の食感を表わすものとして用いられており、すなわち、それらは商品の品質、性質等を表示する語として普通に使用されているものというべきである。
そうすると、本件商標は、その指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」及び第30類「菓子及びパン」について使用しても、単に商品の品質、性質等を表示したものとして認識されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわなければならない。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由の通知に対して何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
上記3の取消理由は妥当であるから、本件商標の指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」及び第30類「菓子及びパン」についての登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといいわざるを得ない。したがって、本件商標の指定商品中、上記商品についての登録は、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものである。
また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、登録異議申立人の主張及び提出証拠を検討したが、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではなく、取り消すべき理由がないものと認められるから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-05-21 
出願番号 商願2007-61182(T2007-61182) 
審決分類 T 1 651・ 13- ZC (X293032)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 吉田 静子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
内山 進
登録日 2009-05-22 
登録番号 商標登録第5232542号(T5232542) 
権利者 味の素株式会社
商標の称呼 シナヤカ 
代理人 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 

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