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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y16
管理番号 1221560 
審判番号 取消2009-300954 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-08-21 
確定日 2010-08-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4736061号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4736061号商標(以下「本件商標」という。)は、「ディー ラックス」の片仮名文字と「DEE LUXE」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成15年3月24日に登録出願、第12類「航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」、第16類「紙類,文房具類」及び第18類「かばん類,袋物」を指定商品として、同年12月26日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第16類「文房具類」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第16類「文房具類」について、今日に至るまで継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した実績が認められないから、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品のうち、前記指定商品について登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用について
被請求人は、請求に係る指定商品「文房具類」に属するステッカーについて本件商標の使用をしている旨主張し、乙第1ないし第15号証を提出しているが、証拠によっては本件商標の使用を認めることはできない。
被請求人は、乙第1ないし第3号証、乙第7ないし第9号証、乙第13ないし第15号証でステッカーを含むオーダーシートを、乙第4ないし第6号証、乙第10ないし第12号証でオーダーシートに対応する売上伝票を提出し、「乙第1ないし第15号証には、それぞれ本件商標と社会通念上同一の商標である『DEELUXE』が記載されている。」旨主張している。
しかし、被請求人が提出した証拠によれば、使用商標とされる表示は本件商標と社会通念上同一の商標であるとは認められず、本件商標の使用には当たらないものであるから、本件商標の使用は立証されていない。
(2)社会通念上同一の商標について
本件商標は、片仮名文字「ディー ラックス」と欧文字「DEE LUXE」(「ディー」と「ラックス」、「DEE」と「LUXE」の間にはそれぞれ一文字の間隔がある。)を上下二段に書してなるものであるのに対し、被請求人が使用していると主張する標章(以下「使用標章」という。)は、欧文字「DEELUXE」を、乙第1号証を始めとするオーダーシートに見られるように図案化したもの、或いはありふれた書体で表示したものであって、使用標章は、いずれも「DEELUXE」を間隔なく一連に書した欧文字であり、また片仮名文字「ディー ラックス」の使用は確認できない。
商標法第50条第1項は、「登録商標の使用」と認める商標について「当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」と規定し、その具体例として「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」を挙げている。
そこで、本件商標と使用標章について検討すると、両者は共に特定の意味合いを想起させない造語であり、共通の観念をもって把握されるものではないから、同一の観念を生ずる商標ということはできない。
次に、本件商標と使用標章から生ずる称呼について検討するに、一般に、片仮名文字と欧文字とを併記した構成の商標において、その片仮名文字の部分が欧文字部分の称呼を特定するものと無理なく認識しうるときは、片仮名文字部分から生ずる称呼をもって白然称呼とみるべきである。
そうすると、本件商標は、上段及び下段の各構成文字から「ディーラックス」の称呼のみを生ずる。
一方、使用標章を構成する「DEELUXE」の文字は上述のとおり造語であるところ、これに接する需要者は、我が国において最も普及し親しまれている外国語である英語、或いは小さい頃から慣れ親しんだローマ字読みの発音を手がかりにして、「ディーラグゼ」又は「ディールクセ」のように語尾の「E」の文字も発音するとみるのが自然である。
「ディー ラックス」という、読みを特定する片仮名文字部分が存在しない場合に、欧文字部分のみから「ディーラックス」の称呼が生ずることはない。
したがって、本件商標と使用標章とは同一の称呼を生ずる商標とはいえない。
さらに、上述のとおり、本件商標は、「ディー」と「ラックス」、「DEE」と「LUXE」の間に1文字分の間隔が空いているのに対し、使用標章は全て「DEELUXE」と一連に書されており、これは商標構成上の明らかな相違であって、社会通念上同一の範囲を越えるものである。
以上から、使用標章は、本件商標と同一の称呼及び観念を生ずる商標とはいえないばかりか、書体相互間の相違、といったものを越え、商標の構成そのものが明確に相違するものであるから、商標法第50条第1項にいう社会通念上同一の商標ということはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第15号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実の要点
被請求人は、本件審判の請求登録前3年以内に我が国においてその請求にかかる指定商品中「文房具類」について、本件商標を使用している。
乙第1ないし第3号証は、本件審判請求に係る指定商品「文房具類」に属するステッカーを受注した際に、顧客からファックスにて送信された07/08年用のオーダーシートであり、乙第4ないし第6号証は、それぞれ乙第1ないし第3号証のステッカーの発注に対応する売上伝票である。
また、乙第7ないし第9号証は、上記乙第1ないし第3号証と同様に、ステッカーの08/09年用のオーダーシートであり、乙第10ないし第12号証は、それぞれ乙第7ないし第9号証のステッカーの発注に対応する売上伝票である。
そして、乙第13ないし第15号証は、ステッカーの09/10年用のオーダーシートである。
2 本件商標の使用の事実
(1)商標の使用者
乙第1ないし第3号証(07/08オーダーシート)には、それぞれ「CUSTOM PRODUCE INC.」、「FAX:04-7183-2467」が記載され、乙第4ないし第6号証(07/08オーダーシートに対応する売上伝票)には、それぞれ「CUSTOM PRODUCE INC.」、「カスタムプロデュース株式会社」、「千葉県我孫子市寿2丁目27-40」、「FAX 04-7183-2467」が記載されている。
同様に、乙第7ないし第9号証(08/09オーダーシート)及び乙第13ないし第15号証(09/10オーダーシート)には、それぞれ「CUSTOM PRODUCE INC.」、「FAX:04-7183-2467」が記載され、乙第10ないし第12号証(08/09オーダーシートに対応する売上伝票)には、それぞれ「CUSTOM PRODUCE INC.」、「カスタムプロデュース株式会社」、「千葉県我孫子市寿2丁目27-40」、「FAX 04-7183-2467」が記載されている。
(2)使用に係る商品
乙第1ないし第3号証には、それぞれ請求に係る指定商品「文房具類」に属するステッカーの品名「08 DEELUXE STICKER SET」及び価格「¥19,440」が記載され、乙第4ないし第6号証の品名の欄には「DEELUXE STICKER SET」が記載され、納入単価の欄には「19440」が記載されている。
同様に、乙第7ないし第9号証には、それぞれ請求に係る指定商品「文房具類」に属するステッカーの品名「DEELUXE STICKER SET」、枚数「36枚」及び価格「¥15,120」が記載され、乙第10ないし第12号証の品名の欄には、「DEELUXE STICKER SET(36枚人)」が記載され、納入単価の欄には「15120」が記載されている。
また、乙第13ないし第15号証には、請求に係る指定商品「文房具類」に属するステッカーの品名「DEELUXE 抜き型STICKER SET」及び価格「¥18,000」が記載されている。
(3)使用に係る商標
乙第1ないし第15号証には、それぞれ本件商標と社会通念上同一の商標である「DEELUXE」が記載されている。
(4)使用時期
乙第1号証には、「発注日2月27日」、FAX送信日時である「2007年02月27日(火)13:40」が記載され、乙第2号証には、「発注日3月8日」、FAX送信日時である「2007年3月9日7時54分」が記載され、乙第3号証には、「発注日」の記載はないものの、FAX送信日時である「2007/03/18 19:41」が記載されている。また、乙第4ないし第6号証の年月日の欄には、それぞれ「07.11.16」と記載されている。
また、乙第7号証には、「発注日3月9日」、FAX送信日時である「2008/03/09 06:24」が記載され、乙第8号証には、「発注日」の記載はないものの、枠外に3/と記載され、さらに、FAX送信日時である「2008.3.3 14:38」が記載されている。また、乙第9号証には、「発注日」の記載はないものの、FAX送信日時である「2008年03月05日 15:51」が記載されている。また、乙第10ないし第12号証の年月日の欄には、それぞれ「08.10.22」と記載されている。
また、乙第13号証には、「発注日」の記載はないものの、FAX送信日時である「2009.3.8 18:41」が記載され、乙第14号証には、「発注日」の記載はないものの、枠外に3/3と記載され、さらにFAX送信日時である「03/03/2009 17:53」が記載されている。また、乙第15号証には、「発注日」の記載はないものの、枠外に3/3と記載され、さらにFAX送信日時である「’09年3月3日(火)19:23」が記載されている。
ここで、乙第1ないし第3号証と乙第4ないし第6号証、及び、乙第7ないし第9号証と乙第10ないし第12号証では、売上伝票の発行年月日がステッカーの発注された日から7?8ヵ月程度遅れているが、本件に係るステッカーは、主としてスノーボード愛好者に向けて販売されるものであり、商標権者が顧客から3月に注文を受けた後、商品(ステッカー)を製造し、スノーボードのシーズン直前(10月?11月)に商品を顧客に納品しているためである。このため、現時点では、本年の受注分(乙第13ないし第15号証)に対応する売上伝票は発行されていない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により指定商品中「文房具類」について使用されていることが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)オーダーシート(乙第1号証)には、やや図案化した「DEELUXE」の文字が大きく表示され、その横に「ACCESSORY ORDERSHEET」の文字が記載されており、その後段には「DEELUXE STICKER」の文字が表示され、品番や価格の一覧が表示されている。
また、該シートの下段には、被請求人を表したと認められる「CUSTOM PRODUCE INC.」の表示がある。
しかして、該シートには空欄があり、その所定の欄に書き込むことで発注に使用されるものと認められる。
そして、該シート(写し)には、「08 DEELUXE STICKER SET」、納入税込価格(納入価格)「¥20,412(¥19,440)」、1SET「36枚」の発注について、TOTAL欄に「1SET」が記入されており、発注者の欄に「ブラッツ」、担当者名欄に「原口」、発注日欄に「2月27日」の記載がある。また、該シート写しの欄外に、FAX送信日時と認められる「2007年02月27日(火)13:40」が表示されている。
(2)オーダーシート(乙第2号証)は、上記(1)同様のシートであるところ、発注に関するTOTAL欄に「1SET」の書き込みがあり、発注者の欄に「ザ・インパクト」、担当者名欄に「田口」、発注日欄に「3月8日」の記載があり、該シート写しの欄外には、FAX送信日時と認められる「2007年3月9日7時54分」が表示されている。
(3)オーダーシート(乙第3号証)は、上記(1)同様のシートであるところ、発注に関するTOTAL欄に「1SET」の書き込みがあり、担当者名欄及び発注日欄に記載はないが、発注者の欄に「ガイア スノーボードショップ」の記入があり、該シート写しの欄外には、FAX送信日時と認められる「2007/03/18 19:41」が表示されている。
(4)被請求人から「BLAZE(ブラッツ)」宛の売上伝票(乙第4号証)には、年月日欄に「2007年11月16日」と認められる「07.11.16」の記載、商品コード・品名等の欄に「DEELUXE STICKER SET」の記載、数量欄に「1」、納入単価欄に「19440」の記載が認められる。そして、宛名や品名・数量等からして、上記(1)に対応した売上伝票と認めることができる。
(5)被請求人から「ザ・インパクト(田口勝浩様)」宛の売上伝票(乙第5号証)には、年月日欄に「07.11.16」の記載があるほか、商品コード・品名等の欄、数量欄、納入単価欄に、上記(4)同様の記載がある。そして、宛名や品名・数量等からして、上記(2)に対応した売上伝票と認めることができる。
(6)被請求人から「株式会社ガイア」宛の売上伝票(乙第6号証)には、年月日欄に「07.11.16」の記載があるほか、商品コード・品名等の欄、数量欄、納入単価欄に、上記(4)同様に「DEELUXE STICKER SET」に関した記載があり、宛名(住所の一致を含む。)や品名・数量等からして、上記(3)に対応した売上伝票と認めることができる。
(7)上記のオーダーシート及び売上伝票における年月日は、いずれも、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に該当するものであり、商品「ステッカー」についての取引が、要証期間内に行われたと優に推認することができる。
2 本件商標は、前記第1のとおり、「ディー ラックス」及び「DEE LUXE」の文字からなるものである。
そして、当該片仮名文字は、下段の欧文字の表音として極めて自然なものと認められるから、本件商標は、これら構成文字に相応して「ディーラックス」のみの称呼を生ずるというのが相当であり、また、構成文字はいずれも、特定の観念を生じさせることのない造語からなるものと認められる。
一方、上記1において、「DEELUXE STICKER」あるいは「DEELUX STICKER SET」と表示された標章にあって、「STICKER」あるいは「STICKER SET」は、商品名や品質を表したものとして看取されると認められるから、「DEELUXE」が自他商品の識別機能を果たすものである。
しかして、使用に係る商標は、「DEELUXE」の欧文字を表したもの、あるいは「DEELUXE」の欧文字をやや図案化してなるがその文字構成を明確に把握し得るものであって、これより「ディーラックス」の称呼が生じ、特定の観念を生じさせないものと認められる。
そうとすると、上記の使用に係る商標は、本件商標の欧文字と比較すると、ともに大文字をもって表され、かつ構成(綴り)を同じにするものであるうえ、それより生ずる称呼「ディーラックス」を共通にするものである。
そして、本件商標の片仮名文字は、欧文字から生じ得る複数の自然称呼のうちの一を本件商標の称呼として特定したとみるよりも、本件商標の自然称呼に照応した文字を表したというべきものであるから、使用に係る商標が片仮名文字を欠く構成であることで、本件商標の自然称呼「ディーラックス」が生じないということはないというべきである。また、使用に係る商標の構成文字に空白がなく一連に表されていることによっても、同様に、本件商標と称呼及び観念について異同が生ずるとは認められないものである。
したがって、上記の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認め得るものというべきである。
また、上記1によれば、使用に係る商標は、商標権者である被請求人によって、商品「ステッカー」について使用をされたと認められるものであり、「ステッカー」は、取消請求に係る指定商品「文房具類」に属する商品であることが明らかである。
3 したがって、本件商標は、要証期間内に商標権者によって、取消請求に係る指定商品「文房具類」の一に使用をされたと認めることができるものであるから、本件商標は、商標法第50条によって、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-03-03 
結審通知日 2010-03-05 
審決日 2010-03-24 
出願番号 商願2003-22765(T2003-22765) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y16)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 2003-12-26 
登録番号 商標登録第4736061号(T4736061) 
商標の称呼 ディーラックス 
代理人 江崎 光史 
代理人 特許業務法人クシブチ国際特許事務所 
代理人 河原 正子 
代理人 佐久間 洋子 

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