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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y39
管理番号 1221540 
審判番号 取消2009-300760 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-07-03 
確定日 2010-08-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4861500号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4861500号商標の指定役務中「車両による輸送,貨物の輸送の媒介,寄託を受けた物品の倉庫における保管,自動車の貸与」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4861500号商標(以下「本件商標」という。)は、「足軽くん 足軽クン あしがる 足軽」の文字を標準文字により書してなり、平成16年9月24日に登録出願され、第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,道路情報の提供,自動車の運転の代行,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,貨物の積卸し,引越の代行,船舶の貸与・売買又は運航の委託の媒介,船舶の引揚げ,水先案内,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり,ガスの供給,電気の供給,水の供給,熱の供給,倉庫の提供,駐車場の提供,有料道路の提供,係留施設の提供,飛行場の提供,駐車場の管理,荷役機械器具の貸与,自動車の貸与,船舶の貸与,車いすの貸与,自転車の貸与,航空機の貸与,機械式駐車装置の貸与,包装用機械器具の貸与,金庫の貸与,家庭用冷凍冷蔵庫の貸与,家庭用冷凍庫の貸与,冷凍機械器具の貸与,ガソリンステーション用装置(自動車の修理又は整備用のものを除く。)の貸与」を指定役務として、平成17年4月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「結論同旨の審決を求める」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし第7号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定役務中「車両による輸送、貨物の輸送の媒介、寄託を受けた物品の倉庫における保管、自動車の貸与」に係る役務について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人は、乙第1号ないし第3号証を提出し、本件商標は請求に係る指定役務について使用しているから本件審判請求は成り立たない旨主張しているが、被請求人提出の乙第1号ないし第3号証によっては、本件商標を請求に係る指定役務について使用していることが証明されていないことは明らかである。その理由を以下に述べる。
(ア)被請求人は、「・・チラシを少なくとも、平成20年4月25日に100枚、平成21年4月10日に100枚作成して、これを配布しており、使用の事実は明白である。」と主張しているが、伝票の写し(乙第2号及び第3号証)によって、ネームマスターのチラシ写し(乙第1号証)が株式会社マンリー商会からネームマスター(被請求人)に納品された事実が仮に証明されたとしても、被請求人は当該チラシを配布した事実を何ら証明していない。
(イ)伝票の写し(乙第2号及び第3号証)の品名欄に、「足軽くんちらし」、「足軽くんちらし分」と夫々記載されているが、この伝票の写し(取引書類)が本件商標の使用を証明するものでないことはいうまでもない。
(ウ)被請求人の主張によれば、伝票写し(乙第2号及び第3号証)は株式会社マンリー商会の納品書原本の写しであるはずであるが、これらには納品書である旨の記載がなく、かつ、実際の商取引においては納品書原本には当該商品を納品した会社、即ち株式会社マンリー商会の社印等が押印されているのが一般的であるが押印がない。
(エ)伝票写し(乙第2号及び第3号証)によれば、品名の欄に「カラーデータ出力A4」と記載されているが、原本の写しであるネームマスターのチラシ写し(乙第1号証)はカラーデータではない。
(オ)本件商標は、標準文字で書された「足軽くん」、「足軽クン」、「あしがる」、「足軽」の4つの文言がそれぞれ1文言毎に間隔を置いて横一列に表されたものであるが、当該チラシ写し(乙第1号証)には、左上段に「あしがる」、その下段に太字でポイントの異なる「足軽くん」、右上段に長方形枠内に表された太字「足軽」、そして最下段に「足軽クン」、「あしがる」、「asigaru」の3つの文言がそれぞれ間隔をあけて横一列に記載されており、このように、このチラシ写しには6つの文言が、表示位置、文字の大きさ、太さを区区にして表されている。当該チラシ写しに表示された商標が、本件商標と同一でないことは云うまでもなく明白であり、社会通念上同一のものにも該当しないので、当該チラシに本件商標が使用されていないことは明らかである。したがって、乙第1号証は本件商標及びこれと社会通念上同一と認められる商標を使用している事実を証明するものとはいえない。
イ 被請求人のホームページのトップページ(甲第3号証)には、「株式会社ネームマスターは、名前の開発会社です。名前とキャッチコピーを提供します。」と宣伝広告され、そして業務内容のサイト(甲第4号証)には、「当社は、お客様の要望に基づき商品名、サービス名、会社名、店舗名、機能名、組織名、職業名、サービスマーク、ブランド名その他あらゆるものの名前の開発をいたします。会社全体の販売戦略に基づいたネーミングの開発作成をいたします。・・・」と宣伝広告されている。
この事実から、被請求人は商品名、サービス名等を開発作成し提供する業務を行う会社であることが窺える。また、本件審判請求に係る指定役務「車両による輸送、貨物の輸送の媒介、寄託を受けた物品の倉庫における保管、自動車の貸与」等の役務の提供業務については全く掲載されていない。そして、被請求人のホームページ等には本件商標が使用されている事実を発見することはできない。
ウ 以上のとおり、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務である「車両による輸送、貨物の輸送の媒介、寄託を受けた物品の倉庫における保管、自動車の貸与」のいずれかの役務について本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用した事実を証明していない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号ないし第3号証を提出した。
<答弁の理由>
(1)被請求人は、本件商標を使ったチラシを少なくとも、平成20年4月25日に100枚、平成21年4月10日に100枚作成して、これを配布しており、使用の事実は明白である(乙第1号ないし第3号証)。
(2)チラシであるから、商標登録に用いた文言と同じではない。しかし、チラシの文言は、商標における内容をカバーしている。
(3)すなわち、チラシにおける「一般軽貨物?引越しまで」は、車両による輸送、貨物の輸送の媒介に含まれ、「輸送・保管サービス」は、寄託を受けた物品の倉庫における保管に含まれ、「レンタカー」は、自動車の貸与に含まれるからである。

4 審尋(要旨)
当審において、平成22年2月9日付けで被請求人に対して審尋した内容は、要旨以下のとおりである。
(1)乙第1号証の「チラシ」は、カラーでなく白黒印刷である。乙第2号及び第3号証によれば、品名欄に「カラーデータ出力 A4」とあるので、前記「チラシ」の原本を提出されたい。
(2)乙第1号証の「チラシ」の配布方法、例えば「新聞折り込み」や「街頭手渡し」等の手段について、実施の時期、期間、人数等を説明されたい。
また、実際に「車両による輸送」等を行った実績を証明する証拠、すなわち、例えば、日付の入った帳簿等の写し・請求書・見積書・領収書等一式、輸送に係る料金表を提出されたい。
(3)前記「チラシ」には広範な業務が記載されていますが、常識的に見て1年間の配布枚数が100枚だとすれば、配布枚数が少なすぎるので、その他別の方法で宣伝をしている場合には、その実績等について上記(2)と同様な証拠を提出されたい。
(4)乙第2号及び第3号証が「納品書」なのか「見積書」なのか「請求書」なのか定かではないので、確認のため原本を提出されたい。また、前記「書類」に対応した「領収書」又は「銀行振込み票」等を必ず提出されたい。
(5)被請求人のホームページ(甲第3号証)には、本件審判請求に係る指定役務「車両による輸送、貨物の輸送の媒介、寄託を受けた物品の倉庫における保管、自動車の貸与」等の役務の提供業務については、全く掲載されておらず、また本件商標の記載もないので、その理由を説明されたい。

5 弁駁及び審尋に対する回答
被請求人は、前記弁駁及び審尋に対し、答弁も回答もしていない。

6 当審の判断
(1)被請求人提出の乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の「チラシ」には、A4サイズの白地用紙に黒文字で、最上段に「あしがる」及び四角の枠内に「足軽」の各文字が表され、2段目のやや左側には「足軽くん」の文字を大きく書し、これらの文字の下に「一般軽貨物?引越しまで/輸送・保管サービス/レンタカー/荷物のことでしたら何なりとご用命/ください」との内容が5行に分けて記載され、その下には「お問合先」として「住所/株式会社 ネームマスター/電話番号」が4行に分けて記載され、最下部には、一列に左から「足軽クン」及び「あしがる」の文字がやや大きく、「asigaru」の欧文字が小さく記載されているものである。
イ 乙第2号証は、「コクヨ ウ・65N」の記号が付された市販の仕切書に、最上段に「H20年4月25日」の日付及びNo.「1001」と記載された伝票であるが、「納品書」等の表題は記載されていない。
そして、伝票中には「下記のとおり 申し上げます」の記述はあるものの、その空白部分に記載はない。また、ゴム判で押印された「株式会社マンリー商会」からネームマスター様宛に発行した伝票と認められるところ、伝票の記載欄には、品名「カラーデータ出力 A4/足軽くん ちらし)」、数量「100」、 単価「50」、金額「5000」、合計「5000」と記載されているが、税込合計金額欄等に記載はない。
ウ 乙第3号証は、上記イと同様の仕切書に、「H21年4月10日」の日付及びNo.「2001」と記載された伝票であることを除けばその内容は、乙第2号証とほぼ同一である。
(2)請求人提出の証拠によれば、被請求人に関する業務について、以下の事実が認められる。
ア 甲第3号証は、被請求人の「ホームページ」のコピーであるところ、上から二段目には「株式会社ネームマスターは、名前の開発会社です。名前とキャッチコピーを提供します。」と記載され、下段には被請求人会社の電話番号、ファックス番号、E-メールアドレス及びホームページアドレスなどが記載されている。
イ 甲第4号証は、被請求人の「業務内容」のウェブサイトであり、二重線の横長四角形内には「当社は、お客様の要望に基づき商品名、サービス名、会社名、店舗名、機能名、組織名、職業名、サービスマーク、ブランド名その他あらゆるものの名前の開発をいたします。会社全体の販売戦略に基づいたネーミングの開発作成をいたします。また、名前をサポートするキャッチコピーの作成もします。」と記載されている。
(3)本件商標の使用について
ア 被請求人は、本件商標を使ったチラシを少なくとも、平成20年4月25日に100枚、平成21年4月10日に100枚作成して、これを配布しており、使用の事実は明白である旨主張している。
しかしながら、被請求人の答弁及び提出された全証拠に徴しても、該チラシが、何時、何処でどのように配布されたのか、その配布方法については明らかにされていない。
また、乙第1号証には作成日等の記載はなく、そもそも、乙第1号証は、白地用紙に黒文字で印刷した「白黒チラシ」であるから、乙第2号及び第3号証の品名欄に「カラーデータ出力 A4」と記載されている「カラーチラシ」とは、別異のチラシであるといわざるを得ない。
イ 乙第2号証及び乙第3号証には、それが「納品書」であることを示す表題の記載はなく、さらに「下記のとおり 申し上げます」との文字中の空白部分にも「納品」であることを示すいかなる文言も記載されていないから、乙第2号及び第3号証を「納品書」又は納品の事実を証明するその他の伝票であるとも認めることはできない。
ウ 乙第2号及び第3号証が、仮に、株式会社マンリー商会の「納品書」であるとしても、品名欄に記載された「カラーデータ出力 A4」に対応する証拠(カラーチラシ)の提出はない。
エ 被請求人は、また、乙第1号証における「一般軽貨物?引越しまで」は、「車両による輸送、貨物の輸送の媒介」に含まれ、「輸送・保管サービス」は、寄託を受けた物品の倉庫における保管に含まれ、「レンタカー」は、自動車の貸与に含まれるから、本件商標を使用していることを表している旨主張している。
しかしながら、実際に「車両による輸送」等の役務を行った実績を証明する証拠の提出はない。さらに、被請求人のホームページ(甲第3号及び第4号証)には、本件審判請求に係る指定役務「車両による輸送、貨物の輸送の媒介、寄託を受けた物品の倉庫における保管、自動車の貸与」等の役務の提供業務については、全く掲載されておらず、本件商標も発見できなかった。
オ 上記のとおり、乙各号証には不自然な点が多いことから、被請求人はチラシに記載した業務を現実には行っていないにもかかわらず、取消審判による登録商標の取消を免れるために、乙各号証を作成したのではないかとの疑義をもたざるを得ない。
カ そこで、当審において、前記アないしオの疑問等について、上記4のとおり、審尋を行ったが、被請求人からは何らの証拠の提出も釈明もなく、また、同時期に送付した弁駁書に対する答弁の提出もなかった。
キ そうすると、乙第1号ないし第3号証によっては、未だ本件審判請求の登録前3年以内に被請求人が取消請求に係る指定役務「車両による輸送、貨物の輸送の媒介、寄託を受けた物品の倉庫における保管、自動車の貸与」のいずれかの役務について本件商標の使用をしていることを立証したものとは認められない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標の使用を立証していないといわざるを得ない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」について、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-06-08 
結審通知日 2010-06-10 
審決日 2010-06-23 
出願番号 商願2004-87953(T2004-87953) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y39)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡口 忠次浦辺 淑絵 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
小川 きみえ
登録日 2005-04-28 
登録番号 商標登録第4861500号(T4861500) 
商標の称呼 アシガルクンアシガルクン、アシガルアシガル、アシガルクン、アシガル 
代理人 川浪 圭介 
代理人 川浪 薫 

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